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向上心
第163話
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「……どうか致しましたか?クリア様」
パパの陰からコグモさんを睨んでいた私。
それがばれたのか、コグモさんが振り返り、私を見つめて来る。
「な、なんでもない、です……」
私はすぐにパパの後ろに隠れる。
本当は私がパパを守らなければいけないのに、コグモさんと目が合っただけで委縮していては、駄目駄目である。
パパが、私に助けを求めたあの日。私はコグモさんに、無謀にも立ち向かった。
正直、あれ程強いとは思わなかったのだ。
いつも、ニコニコして、姿勢を低くしている彼女が悪い。
あれでは、誰が見たって、弱いと思うに決まっている。
あの後、気を失った私が目覚めると、パパ達は何事も無かったかのように、振る舞った。
私が見た物は夢で、私は疲れて寝てしまっただけだと言ってのけたのだ。
しかし、あれが夢な訳が無い。
パパは確実に、あの女に脅されている。
私は知っているのだ、コグモさんがパパの心臓を持っている事を。
あれが、彼女の手にある以上、パパは絶対に逆らえない。
私があの時、パパがコグモさんに心臓を渡したあの時に、止めていれば……。
あの時の私は、あの人形がパパの心臓だと言う事は分かっていても、その後に起こりうる事態が予想できなかったのだ。
馬鹿だ!馬鹿すぎる!あの時、ぼーっと見ていた私をぶん殴ってやりたい!
「……パパ。早く行こ?」
私はパパの服の裾を引っ張って、移動を促す。
あの女から少しでも距離を離させるためだ。
パパは「あぁ……」と言って足を進め始めるが、当然、その後ろをコグモさんもついて来る。
私はパパの後ろに付きつつ、ちらちらとコグモさんの様子を窺った。
ニコリ。
視線が合う度、微笑みかけて来る悪魔。
全く隙が無い。
どう足掻いても、あの悪魔に勝てるビジョンが思いつかなかった。
「……ほら、着いたぞ」
森を抜け、いつもの河原に付いた所でパパが止まった。
「まずは昨日、川の中に仕掛けた罠を見に行くからな。後は、俺達にしかできない、糸を扱う練習をして……。誰かが合流してきたら、その都度、柔軟に訓練内容を変更して行こう」
パパの声にコグモさんが、当然の様に「はい」と答える。
何故、彼女が、従順な振りをするのか、私には全く理解ができなかった。
そんな彼女が不気味で仕方なかったけれど、ここでパパを一人にする訳には行かない。
私はパパの服の裾をギュッと握りながら「うん」と答える。
体はパパの後ろに隠れてしまったけれど、視線だけはコグモさんを捉え続ける。
そんな私を見て、微笑むコグモさん。
その余裕な表情も、今だけだ。パパの心臓さえ取り戻せば、火でも使って、コテンパンにやっつけてやる。
闘志を込めて睨み続ける私に、それでも、コグモさんは余裕の表情を崩さなかった。
パパの陰からコグモさんを睨んでいた私。
それがばれたのか、コグモさんが振り返り、私を見つめて来る。
「な、なんでもない、です……」
私はすぐにパパの後ろに隠れる。
本当は私がパパを守らなければいけないのに、コグモさんと目が合っただけで委縮していては、駄目駄目である。
パパが、私に助けを求めたあの日。私はコグモさんに、無謀にも立ち向かった。
正直、あれ程強いとは思わなかったのだ。
いつも、ニコニコして、姿勢を低くしている彼女が悪い。
あれでは、誰が見たって、弱いと思うに決まっている。
あの後、気を失った私が目覚めると、パパ達は何事も無かったかのように、振る舞った。
私が見た物は夢で、私は疲れて寝てしまっただけだと言ってのけたのだ。
しかし、あれが夢な訳が無い。
パパは確実に、あの女に脅されている。
私は知っているのだ、コグモさんがパパの心臓を持っている事を。
あれが、彼女の手にある以上、パパは絶対に逆らえない。
私があの時、パパがコグモさんに心臓を渡したあの時に、止めていれば……。
あの時の私は、あの人形がパパの心臓だと言う事は分かっていても、その後に起こりうる事態が予想できなかったのだ。
馬鹿だ!馬鹿すぎる!あの時、ぼーっと見ていた私をぶん殴ってやりたい!
「……パパ。早く行こ?」
私はパパの服の裾を引っ張って、移動を促す。
あの女から少しでも距離を離させるためだ。
パパは「あぁ……」と言って足を進め始めるが、当然、その後ろをコグモさんもついて来る。
私はパパの後ろに付きつつ、ちらちらとコグモさんの様子を窺った。
ニコリ。
視線が合う度、微笑みかけて来る悪魔。
全く隙が無い。
どう足掻いても、あの悪魔に勝てるビジョンが思いつかなかった。
「……ほら、着いたぞ」
森を抜け、いつもの河原に付いた所でパパが止まった。
「まずは昨日、川の中に仕掛けた罠を見に行くからな。後は、俺達にしかできない、糸を扱う練習をして……。誰かが合流してきたら、その都度、柔軟に訓練内容を変更して行こう」
パパの声にコグモさんが、当然の様に「はい」と答える。
何故、彼女が、従順な振りをするのか、私には全く理解ができなかった。
そんな彼女が不気味で仕方なかったけれど、ここでパパを一人にする訳には行かない。
私はパパの服の裾をギュッと握りながら「うん」と答える。
体はパパの後ろに隠れてしまったけれど、視線だけはコグモさんを捉え続ける。
そんな私を見て、微笑むコグモさん。
その余裕な表情も、今だけだ。パパの心臓さえ取り戻せば、火でも使って、コテンパンにやっつけてやる。
闘志を込めて睨み続ける私に、それでも、コグモさんは余裕の表情を崩さなかった。
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