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冬に向けて
第171話
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もぐもぐもぐ……。
うつ伏せになった俺の背中の上に乗り、肩の部分を食いちぎって、咀嚼するコグモ。
こうなると、もう、話しは通じない。
捕食時に相手に馬乗りになり、糸を吐くのも、相手を逃がさない為の本能らしかった。
ブチブチブチィ!
「ふうっ………!!」
食い千切られる度、俺は自身の腕に噛み付きながら、声を抑えていた。
けれども、俺のそれ程固くない歯と顎では、大して力が入らず、気を緩めると、声が漏れてしまうのだ。
ただ、声をあまり漏らす訳には行かない。
地下は糸によって補強されている分、音を吸収し、反響する事は抑えてくれているが、すぐ隣は耳の良いウサギの部屋なのだ。
本当は他の部屋が良かったのだが、先日入って来たゴブリン達に各部屋が占拠されていた為、仕方なく、隅っこに残った、この道具部屋でする事となったのである。
因みに、食糧庫もあるが、そこは俺が全力で拒否をした為、却下となった。
匂いが付いてやだし、食糧が汚れるのも嫌だ。なんて言うのは建前で、なにより、そこで食われていたら、本当に食料になった気分になりそうだったからだ。
はむはむ。くちゃくちゃ……。
とうとう、えぐれた俺の部位に頭を埋める様にして、咀嚼を始めるコグモ。
こうなると、食い千切られる場合とは違い、常に痛みが襲ってくる為、拷問度が増す。
……何だよ、拷問度って……。
「ふぅ……!くふっ……!」
これじゃあ、これじゃあ、ウサギに聞こえちゃうっ!!
こんな情けない姿を、ウサギに見られるのだけはやだっ!!
変な意地を張らずに、食糧庫にしておけばよかったっ!!
後悔しつつも、コグモの糸と体重から、逃げだす事は出来ない。
ウサギが目覚めない事を祈りつつ、ただ耐えしのぐしかなかった。
「……五月蠅いッスよ、誰っすか、こんな夜中に……」
しかし、そんな祈り空しく、暖簾の向こうの
廊下から聞こえて来るウサギの声。
俺が姿を隠す為、発光を辞めれば、一瞬で辺りは暗闇に包まれた。
「……何してるんすか?二人とも」
呆れた様な、気まずそうなウサギの声が響いて来る。
考えてみれば、発光できるのは俺とクリアだけ、他の皆は光以外の何だかの手段で辺りを把握できていて当然。
つまりは、俺達の今の姿が、丸見えという訳で……。
「みるなっ!!あっち行け!!」
恥ずかしいっ!!
恥ずかしすぎて、死んでしまいそうだった。
と言うか、殺してくれっ!!
「んくぅっ……!!」
はむはむ。くちゃくちゃ。
ウサギの存在を気にも留めずに食事を進めるコグモ。
ウサギの存在に気を割いていた俺は、変な声を上げてしまい、急いで自らの人差し指に噛み付いた。
「……んぐぅ……。ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ……」
拷問が始まってから数分、コグモの摂食速度が落ちてきている。
終わりが近いのだろう。
俺は、恥ずかしさと、痛みに歯を食いしばりながら、残り時間を待った。
うつ伏せになった俺の背中の上に乗り、肩の部分を食いちぎって、咀嚼するコグモ。
こうなると、もう、話しは通じない。
捕食時に相手に馬乗りになり、糸を吐くのも、相手を逃がさない為の本能らしかった。
ブチブチブチィ!
「ふうっ………!!」
食い千切られる度、俺は自身の腕に噛み付きながら、声を抑えていた。
けれども、俺のそれ程固くない歯と顎では、大して力が入らず、気を緩めると、声が漏れてしまうのだ。
ただ、声をあまり漏らす訳には行かない。
地下は糸によって補強されている分、音を吸収し、反響する事は抑えてくれているが、すぐ隣は耳の良いウサギの部屋なのだ。
本当は他の部屋が良かったのだが、先日入って来たゴブリン達に各部屋が占拠されていた為、仕方なく、隅っこに残った、この道具部屋でする事となったのである。
因みに、食糧庫もあるが、そこは俺が全力で拒否をした為、却下となった。
匂いが付いてやだし、食糧が汚れるのも嫌だ。なんて言うのは建前で、なにより、そこで食われていたら、本当に食料になった気分になりそうだったからだ。
はむはむ。くちゃくちゃ……。
とうとう、えぐれた俺の部位に頭を埋める様にして、咀嚼を始めるコグモ。
こうなると、食い千切られる場合とは違い、常に痛みが襲ってくる為、拷問度が増す。
……何だよ、拷問度って……。
「ふぅ……!くふっ……!」
これじゃあ、これじゃあ、ウサギに聞こえちゃうっ!!
こんな情けない姿を、ウサギに見られるのだけはやだっ!!
変な意地を張らずに、食糧庫にしておけばよかったっ!!
後悔しつつも、コグモの糸と体重から、逃げだす事は出来ない。
ウサギが目覚めない事を祈りつつ、ただ耐えしのぐしかなかった。
「……五月蠅いッスよ、誰っすか、こんな夜中に……」
しかし、そんな祈り空しく、暖簾の向こうの
廊下から聞こえて来るウサギの声。
俺が姿を隠す為、発光を辞めれば、一瞬で辺りは暗闇に包まれた。
「……何してるんすか?二人とも」
呆れた様な、気まずそうなウサギの声が響いて来る。
考えてみれば、発光できるのは俺とクリアだけ、他の皆は光以外の何だかの手段で辺りを把握できていて当然。
つまりは、俺達の今の姿が、丸見えという訳で……。
「みるなっ!!あっち行け!!」
恥ずかしいっ!!
恥ずかしすぎて、死んでしまいそうだった。
と言うか、殺してくれっ!!
「んくぅっ……!!」
はむはむ。くちゃくちゃ。
ウサギの存在を気にも留めずに食事を進めるコグモ。
ウサギの存在に気を割いていた俺は、変な声を上げてしまい、急いで自らの人差し指に噛み付いた。
「……んぐぅ……。ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ……」
拷問が始まってから数分、コグモの摂食速度が落ちてきている。
終わりが近いのだろう。
俺は、恥ずかしさと、痛みに歯を食いしばりながら、残り時間を待った。
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語彙力が無いので言い表せないのですが心にグッときました更新頑張ってください!