うっかり喚びだしたのはスーツの邪神でした。

イワキヒロチカ

文字の大きさ
1 / 15

しおりを挟む

「あ……っああ…っ、い…やだ、もうやめ…っ」
 ずるずると体内を這いずる悍ましい存在が、恐怖と生理的嫌悪感を凌駕する快楽を与えてくる。
 流されてしまいそうな意識をつなぎとめるのは、こちらを楽しそうに観察する男の声だ。

「嫌だという顔ではないな。やめて欲しい?もっとして欲しいの間違いじゃないのか」

「ち…がう、ほん、とうに……あっ、ヒ、あぁあっ」
 ぐり、とねじれた細い触手の束が思い知らせるように内部の感じるポイントを強く刺激して、まどかは身悶えた。
 全身をぬるついた太い触手に拘束されて、身動きできない身体をまた別の紐のような細い触手に弄られている。
「やっ…やめ…っそこは、入るとこじゃない…っ」
 紐のようなものの先が割れ、中から更に細い触手が乳首に潜り込むようにして先端を攻める。
 そこから体内へと侵入されそうな恐怖にぞっとしたはずが、より一層赤く熟れた突起は凝り、勃ち上がったままの性器からも期待するように蜜が溢れた。

 どうしてこんなことに――――――

 高良まどかは数時間前の軽率な自分を心の底から呪った。




 この春大学生になるまどかは、進学と同時に二ヶ月前に事故で急逝した伯父の家に住むことになった。
 変わり者で、少し怖いと思うこともあったが、謎めいたところのある伯父が、まどかは好きだった。
 大学で学びたいと思っている文化人類学に興味を持ったのも伯父の影響だ。
 まだ五十歳にもならなかった伯父だが、自分の死を予見でもしていたのだろうか、弁護士から伝えられた遺言書には、土地と家をまどかの父に譲るということと、いらなければ放棄して構わない、ただしどちらの場合も屋根裏にあるものは全て破壊して処分して欲しいということだけが書かれていた。
 父は相続を決め、大学に行くには便利なためまどかが家を管理がてら住むことになったのである。
 彼にもう会えないことはとても悲しい。それでもその家を受け継ぐようにして住めること、そして初めての一人暮らしは素直に嬉しかった。
 共働きの両親は毎日忙しく、遺品の整理などにはまだ来ることができずにいたため、無くなった直後に葬儀や相続に必要なものを取りに入ってから今まで誰もこの家に足を踏み入れていない。

「うわ…埃が」

 玄関の扉を開けると、ふわっと埃が舞ってまどかは苦笑した。
 人の手の入らない家というのは劣化が早いというのは本当のようだ。
 伯父もマメに掃除をするタイプではなかったので、生前から積もっていた埃もあるかもしれない。
 とりあえず今日は生活できるスペースを作ろうと、なかった場合を想定して持ってきた雑巾や洗剤などの入ったバッグを置く。
 そういえば、屋根裏の物を処分して欲しいという遺言があったな、と思い出して、しかしすぐに首を傾げた。

「屋根裏…?」

 入った覚えはないが、ここにそんなものがあったのか。
 まずはそれを探してみようと階段に足をかけた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

苗床になった元騎士

鵜飼かいゆ
BL
引退した元騎士の老人が触手に寄生されて若返って苗床になるラブラブハッピーエンド話です。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

【完結】逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。抱かれたら身代わりがばれてしまうので初夜は断固拒否します!

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
隣国の国王キリアン(アルファ)に嫁がされたオメガの王子リュカ。 しかし実は、結婚から逃げ出した双子の弟セラの身代わりなのです… 本当の花嫁じゃないとばれたら大変! だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだんキリアンに惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

処理中です...