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エピローグ
しおりを挟む肌寒さを感じて目を開けると、そこは伯父の部屋だ。
窓から見える空が赤く染まっていて、夕方であることがわかる。
ハッとして起き上がって、周りを見回すが、何の気配もない。
服は、朝着たものと同じで、溶けたような痕跡も汚れも何もなく、きちんと身につけている。
夢、だったのだろうか。
だが、全身に残る体感、そして違和感があまりにもリアルで、まだあの男の声が耳元で聞こえているような気がしてぞくりと体を震わせた。
恐ろしかったが、そのままにしておくのもそれはそれで恐ろしく、屋根裏に上ってみると、そこには何もなかった。
最初から何もなかったのか、それとも――――――
夢だ。
正直、夢だとしたら自分の脳内がちょっと心配だが、とびきりの悪夢ということで忘れてしまおう。
逃げ帰るようにして帰宅したまどかは、掃除が大変だからしばらくは実家から大学に通う、と両親に伝えた。
入学後。
楽しみにしていた初めての文化人類学の講義の日、扉を開けて現れた人物を見て、まどかは我が目を疑った。
すらりとした細身の長身、後ろに流した柔らかそうな金髪、そして深い海の色の瞳。
二人といないような端正な顔立ちを見間違うはずもない、この男は、あの日、まどかを――――――…
「事故に遭った木村教授に代わり講義をすることになった文化人類学教授、九頭龍瑠璃夜だ。…よろしく」
女性向けのアプリにでも出てきそうな美青年の登場に浮き足立つ女子達になど目もくれず、自称・邪神はまどかにだけ、ニヤリと笑いかける。
よみがえる、触手の快楽――――――
「あ…ああああああああああああああ!?」
悪夢の再来に、教室中に絶叫が響き渡った。
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