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続・うっかり喚び出したのはスーツの邪神でした。

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 壊れてしまうのではないかと思うほどに内部を穿たれ、嬌声とともに白濁をまき散らす。
 強制的に何度も絶頂させられ息も絶え絶えになっていると、ずるりと体内を圧迫していたものが抜け出て行った。
 終わりを期待したが、腹に回ったゲル状の腕のようなものに抱えられ、ふわりと体が浮いたかと思うと、仰向けに寝かされた。
「(な……に……?)」
 背中に触れたのは硬い地面ではなく、ソファ状になったスライムで、ウォーターベッドのような寝心地に疲弊した体が反射的にほっとしたのも束の間、ずぶっと肘から下、膝下がゲルの中に沈み、またしても四肢を拘束されたような形になる。
 今まで以上に身動きが取れない危機感に、まどかは無駄と知りつつも弱々しくもがいた。

 唐突に、階下からの声がもうこれ以上はないと思えるほど一際高まった。
 割れんばかりの大音声に、何が起こるのかとまどかは怯えたが、その理由はすぐにわかった。

 ピラミッドの頂上にある神殿のような場所から、何者かが降りてくるのだ。
 それは、神だった。
 後光のように輝くのは金色の髪。
 余裕に満ちた表情は、支配者のそれだ。
 纏う装束は黄金をあしらった……………、

「って、なんだその格好」

 つい、自分の置かれた状況も恐怖心も忘れ、思わず素で返してしまった。

 九頭龍はスーツではなく、物語に出てくる王様のような姿をしていた。
 ファーのついたケープを翻し、見ただけで嫌悪感を催すような冒涜的な意匠の黄金の冠を被り、金の縁取りのついたブーツを鳴らし歩いてくる姿は、『王様』以外の何者でもなく、何事かと凝視してしまう。
 それを見とれているとでも勘違いしたのか、男はフッと流し目で微笑んだ。

「奴隷の戦いを高みの見物するのは、王や貴族と相場が決まっているだろう」

 そんなイメプレにいつの間にか巻き込まれていた…だと…?

「ちなみにお前はあれだ。飢えた孤児で盗みを働いたが失敗して捕まり、犯罪者として闘技場で獣と戦わされている剣闘士だ」
「しかも俺そんな酷い設定!?」
「まあ…残念ながら勝てなかったようだが」
 嗤われ、唇を噛んだ。
「だが、お前はこの結末を望んでいたのだろう?ご褒美だと思えばいい」
「思えるか!それよりこれ…っ、何とかしろよ!」
 この男はクズ・オブ・クズだが、この事態をなんとかできるのは結局この男しかいないのだ。
 ……しかし、当然目の前の王様気取りの自称・邪神は、まどかの意を汲んだりしなかった。

「中途半端な絶望では足りないと?貪欲だなお前は」


 違うそうじゃない。(二回目)


 本気なのかふざけているだけなのか。
 九頭龍の間違いすぎた解釈に更なるツッコミを入れようとしたが、それは叶わなかった。

「あっ…?」

 ずくずくと這い上がってきたスライムが、ずれてしまって覆うべき場所を覆っていない鎧の代わりのように下腹部に張り付き、みるみるうちにそこを覆ってしまう。
「あ……ん、」
 敏感になった性器を扱くようにぶよぶよが波打ち、甘い快感が走り吐息が漏れた。
 だが。

「っえ、あ…、嫌、やめろ、っそこは、そんなところ……っ」

 勃ち上がり震える先端の小さな孔に、にゅるにゅるとゲル状のものが入り込んできて、まどかは目を見開いて悲痛な声を上げた。
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