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その後のいじわる社長と愛されバンビ
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しおりを挟む用を足してスッキリしたあと、ついでにとシャワーを借りた。
待たせたまま念入りに体を洗うほど図太くはなれず、軽く流して早めに出たのだが、寝室までの道中、万里は次の関門にぶつかった。
以前、相手がシャワーを浴びている間待っているのが気まずいと思ったが、相手の待っている部屋に入っていくのもそれはそれでどんな顔をして入っていけばいいのかわからない。
あの時、思い余って桜峰に相談もしてみたが、『いつも風呂には一緒に入って一緒に出て来るからわからない』という万里にとっては全く参考にならない回答だった。
万里も同じようにすれば恥ずかしさが軽減するだろうか?
銭湯のように遮蔽物があったり洗い場が複数あったりすれば問題ないだろうが、風呂でもやはり、相手のアクションを待ったり待たせたりする時間は発生するように思う。
「(しかも今日の場合、俺は自発的にお仕置きされに戻るわけで、一体どんな顔して戻れば…)」
いや、こういうことは、恥ずかしいと思うから恥ずかしいのだ。
堂々と入っていけば何ということはないはず。
さりげない感じで、『ごめん、ついでにシャワーも借りた』なんて言いながら……、
「おい、部屋の前で何をうんうん唸ってるんだ?」
「ぎゃああ!?」
突然寝室のドアが開き、声をかけられて万里は飛び上がった。
「うわ、何だ」
「突然ドア開けるとか、びっくりしただろ!」
「す、すまん?」
謎のキレ方をする万里に律儀に謝ってくれる久世は優しい。
「まあ、色々済んだならとにかく入れ。俺がお待ちかねだ」
「……………ん」
自分でお待ちかねとか言わないだろと心の中でツッコミを入れながらも、手を引かれて寝室に入る。
沈黙に耐えきれず、万里は半ばヤケクソで、自発的にベッドに横たわった。
「拷問するならいっそ一思いに……!」
「どんな覚悟なんだそれは」
ぎしりとベッドが鳴ると上から苦笑が降って、再び唯一の装備であるバスタオルを奪われる。
「待ってる間どんなお仕置きが楽しいか色々妄想してみたんだが、お前の場合、普通にやっても「恥死」とかいって死にかけてるよな」
どのような妄想をしたのか、実行に移す前に検閲させて欲しい。
恐らく、全て発禁にするとは思うけれど。
「そ、それが何か……?」
「やや本気モードくらいで行けば十分拷問もといお仕置きになりそうだなと」
にっこりとやけに爽やかに微笑んだ久世に、嫌な汗が止まらない万里であった。
それから十数分後。
万里は、用を足しに行った際、逃亡を図らなかったことを早々に後悔していた。
「や……っ、も、む、無理……っ、こんな、できな……っ」
「あと少しって感じなんだけどなあ」
胸から顔を上げた久世が、ぴんと反対側の先端を指先で弾く。
びくんと全身で反応してしまって、万里は涙目で意地悪な男を睨んだ。
何かの作業工程のように言うのはやめて欲しい。
ぷっくりと膨れた小さな先端は、じんじんとして触れられるだけで声が出てしまうが、絶頂には足りない。
先ほどから延々とそこばかり弄っているが、久世自身はそれでいいのだろうか。
「う……そこ、そんなに楽しい……?」
「噛んだり摘んだりするのも好きだが、お前の反応を見てるのがな」
「悪趣味!」
「好きな奴が気持ちよくなってるの見るのが楽しいのは普通のことだろ」
甘ったるく囁かれて、つい流されてしまいそうになる自分を叱咤した。
久世ばかり楽しんでいるのはやはり釈然としない。
「じゃあ、お、俺だって……!」
万里は渾身の力で、覆い被さる男をひっくり返した。
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