131 / 188
極道とウサギの甘いその後+サイドストーリー
極道とウサギの甘いその後3−9
しおりを挟む「そういえば、竜次郎はご飯食べた?」
無事家に戻り、玄関でパンプスを脱ぎながら、夕食を摂っていなかったことに気が付いた。
「いや……まだだ」
「そっか。じゃあ何か作ろうかな」
食材は普段は日守に頼んで、屋敷で男達が食べる分と一緒に買ってもらうことになっている。
気付くと補充されているのだが、その中にさりげなく日持ちのきく乾麺や冷凍の野菜など簡単に調理のできるものが紛れていることがあり、それはきっと日守の気遣いなのだろうと思う。
今日の夕食は食べて戻る予定だったので食材を頼んではいないが、何かそういったものはあるだろう。
見当をつけ、台所に立つ前にひとまず借りた服を着替えようと、二階に向かおうとした湊の腕を竜次郎が掴んだ。
「竜次郎……?」
ちょっと来いと連行されたのは台所で、解放されたのは流し台の前だ。
「どうしたの?そんなにお腹空いて……んぅ」
問いかけの途中で唐突に顎を捉えられ、食いつくように唇を塞がれて、目を見開いた。
押し入ってきた厚い舌に口蓋をぞろりと舐られ、犯すように深く貪られると力が抜けてしまい、回された腕に縋りつく。
「んっ……んん……あ、……、りゅ…、りゅうじろう……?」
突然どうしたんだろうと不思議に思い、口を離して見上げると、竜次郎は湊の口端を親指で拭いながら苦笑した。
「八重崎の奴に乗せられたみたいで癪だが、折角だからやっとくかと思ってな」
「あ……、『湊の女装が見られてラッキー☆今夜は燃えるぜ』?」
八重崎の言葉をそのままなぞると竜次郎はとても嫌そうな顔になった。
「それはやめろ。萎える」
向きを変えられ、流しのふちに手をつくように促されて、消せない懸念に「でも」と振り返る。
「服、汚れちゃったら……。借り物なのに」
「別に返せとか言われねえだろ。気になるなら俺が奴から買い取ってやるよ」
「そ、そういうことじゃ……」
竜次郎は何も気にした様子はなく、スカートの中に手を突っ込んだ。
「あっ」
下着の上から握りこまれて、びくんと体を揺らした。
感触を確かめるようにそこを探られると、容易に息が上がってしまう。
「こっちは女物じゃねえのか」
「う、ん……っ、や、やだった……?」
竜次郎はもっと本格的な女装を期待していたのだろうかと申し訳ない気持ちになるが、それはすぐに否定された。
「なわけねえだろ。中身がお前なら何でも興奮する」
「何でも、は……広いね、……あっ!…あ…!」
取り出されたものを大きな手にきゅっと扱かれる。根元の方を擦りながら人差し指で先端をくすぐられると腰が揺れてしまう。
流しのふちを縋るように強く握り襲ってくる快感に耐えるが、次第に竜次郎の方へ突き出すようになってしまう尻に、硬くなったものを擦りつけられて、膝が砕けた。
「っと……ちゃんと掴まってろよ」
へたり込みそうになった態勢をすかさず直される。
「う……力、抜けちゃう……」
行為自体には何の不満もなく、竜次郎の望むままに求めてもらうことは湊の喜びでもあるのだが、思うとおりに応えられるかはまた別問題である。
せめて床で……と訴えてみたが、背後を陣取る男が聞き入れてくれる様子はない。
それどころか。
「関わるなっつったのにこんな格好してクラブなんかに出かけて行ったからな。お仕置きだ」
え……、と驚いて振り返ると、竜次郎はニヤリと不穏に唇の端を上げた。
8
あなたにおすすめの小説
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
発情期のタイムリミット
なの
BL
期末試験を目前に控えた高校2年のΩ・陸。
抑制剤の効きが弱い体質のせいで、発情期が試験と重なりそうになり大パニック!
「絶対に赤点は取れない!」
「発情期なんて気合で乗り越える!」
そう強がる陸を、幼なじみでクラスメイトのα・大輝が心配する。
だが、勉強に必死な陸の周りには、ほんのり漂う甘いフェロモン……。
「俺に頼れって言ってんのに」
「頼ったら……勉強どころじゃなくなるから!」
試験か、発情期か。
ギリギリのタイムリミットの中で、二人の関係は一気に動き出していく――!
ドタバタと胸きゅんが交錯する、青春オメガバース・ラブコメディ。
*一般的なオメガバースは、発情期中はアルファとオメガを隔離したり、抑制剤や隔離部屋が管理されていたりしていますが、この物語は、日常ラブコメにオメガバース要素を混ぜた世界観になってます。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―
無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」
卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。
一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。
選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。
本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。
愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。
※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。
※本作は織理受けのハーレム形式です。
※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
【完結済】俺のモノだと言わない彼氏
竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
【完結】毎日きみに恋してる
藤吉めぐみ
BL
青春BLカップ1次選考通過しておりました!
応援ありがとうございました!
*******************
その日、澤下壱月は王子様に恋をした――
高校の頃、王子と異名をとっていた楽(がく)に恋した壱月(いづき)。
見ているだけでいいと思っていたのに、ちょっとしたきっかけから友人になり、大学進学と同時にルームメイトになる。
けれど、恋愛模様が派手な楽の傍で暮らすのは、あまりにも辛い。
けれど離れられない。傍にいたい。特別でありたい。たくさんの行きずりの一人にはなりたくない。けれど――
このまま親友でいるか、勇気を持つかで揺れる壱月の切ない同居ライフ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる