4 / 23
第一章 目覚めたらそこは……
3話 能力の確認
しおりを挟む
やっと全員が起きた。
説明した現状に関してシュラとレイスの二人も同じような状態らしいが……
「……で?俺達が態々街に降りて冒険者ギルドで働くだと?」
「シュラ、これから先の事を考えたらそれしかないだろう」
オレンジ色の髪と水色の瞳を持った偉そうな顔をした長男、死の天使シュラは否定的な意見を述べる。
こいつの性格的に間違いなく、自分よりも弱い存在しか居ないだろう街に行くくらいならここに街事移動して来いと言いたいのだろうけど、その高圧的で好戦的な性格は一度死んでも治らなかったらしい。
「えっと、行くのはいいんだけど僕たちが冒険者ギルドで冒険者になるとして……、仕事内容は?」
「それならレイス、あなたは討伐系とか良いんじゃない?相手の意志に干渉して襲い掛かった時に仕留めるとか得意だったじゃない」
「仕留める何てかわいそうな事をどうしてしなくちゃいけないんだい?、出来れば二度と危害を加えないように説得たいよ僕は……、必要があったら躊躇う事無くやるけど」
白の髪と同じ色の瞳を持ったやる気の無さそうな顔をした次男、意志の天使レイスは肯定派だけどやる気はそこまで無いようだ。
肯定的で尚且つ協力的な意志を持ってくれているのはセスカとセツナの双子姉妹位か……、ただ確かにレイスの言うように冒険者になったとしても、仕事内容が分からなければどうしようもない。
「……ん?あぁっ!?シュラ兄とレイス兄起きたのっ!?」
「あぁ、ついさっき目を覚ましたぞ」
「もうそれなら教えてよ兄貴」
「魔力の波長で気付けるだろ……?」
「……食べれる物集めてたら気付けないよって、うわっ!」
両腕で抱きしめるようにして大量の食べ物を持って洞窟の奥から出て来たミコトが、嬉しそうに走って来たけど途中で躓いて転びそうになる。
それをセツナが急いで近付くとそっと抱き留め、持っている荷物を半分受け取るとゆっくりと二人で歩く。
「セツ姉ごめん……」
(大丈夫だよ?、ほらミコトは小さい頃から良く転んだりしてたから大丈夫かなって心配で、直ぐ動けるようにしてたの)
「うん、ありがとう、でさ、これが食べ物なんだけど……」
取り立ての果物に乾燥して硬くなったパン、そして色が変わった肉としなびた野菜、食べ物を定期的に街に降りて買っていたのではなかったのだろうか。
これではどう見てもこれは購入してから大分時間が経っているように見えるが……
「ミコト、まさか俺にこのような家畜の餌を食えと?」
「えっとそうじゃなくてね?ほら私の能力を使えば……」
ミコトが背中の白い羽を広げると頭上に天使の輪が浮かび上がり洞窟の中を明るく照らす。
すると痛んでいた食材達が徐々に元の色や水気を帯びて行き新鮮な状態へと戻っていく。
パンに至っては柔らかそうにふっくらとしたかと思ったら一部を残して穀物の状態へと戻ってしまった。
「あっ……」
「なるほど、命の天使の力を使って食材を生前に近い状態に戻したのか……、だがパンだけはやり過ぎたようだな」
「ごめん……、目を覚ましてから細かい調整が難しくて」
「という事は、もしかしたら私達も同じ状況にあるかもしれないな……、セスカ試しに破壊の力で何でもいいから壊してみてくれ」
「ん?え、えぇ……」
(いや……、私が何か作るからセスカはそれを壊してみて?)
セツナが機械で出来た翼を広げると眼を閉じて両手を祈るようにすると空中に四角い物体が現れる。
それに手を触れたセスカが緋色の翼を輝かせ魔力を流すと砂のように細かくなって崩れて行き中から人型の小さな人形が現れる……、どうやら二人の能力は問題無く使えるようだ。
「……細かい制御とかも私は出来るようね、丁度意志を込めやすい人形が出来たからレイスやシュラも試してみたら?」
「うん、やってみるよ……」
レイスの石で出来た灰色の翼が軋むような音を上げて前方へと翼を広げていく。
そして両手で包み込んだ後に魔力を込めて念じる……、そして手を開くと人形が意志を持ったかのように動き出した。
「……何故俺がこんな事に付き合わなければならないんだ、ふん、まぁいいやってやる」
太陽のように眩しく翼を輝かせると指先から底冷えするかのような黒い魔力が伸びて行く。
何かを感じたのか人形がレイスの手の上から逃げるように飛び降りて洞窟の出口へと走るが……、追いかける魔力の方が早く体に触れた瞬間に体中がひび割れ砕けてしまう。
「出力が安定しないが徐々に出来るな……、イフリーゼお前はどうだ」
「……私の能力を使う為に必要な生命がいないが、使おうとして見た結果問題無く使えそうだ、どうやら強力過ぎる能力程不安定な状況らしい、セツナの能力も以前はもっと発動が早かった筈だ」
(うん……、イメージが形になるのに大分時間が掛かる)
「これは街には翌日にでも降りた方が良さげだろうな、冒険者となって実戦で感を取り戻して行った方がいいだろう」
「決まりだね……、パンは食べれなくなっちゃったけど今日はお肉と野菜を食べようよ、そのままでも素材の味がして美味しいよ」
……ミコトがそう言うと生の状態の肉と新鮮な野菜を渡して来る。
確かに天族である私達は食材に火を通さなくても食べればするが……、個人的には焼いた後に調味料を大量に付けて味が残る方が好きだ。
そう思いながら肉に噛り付くと……、ゴムを噛むような感覚しかなく味覚を感じない。
どうやら私は一部の記憶以外に味覚も失っていたようだった。
説明した現状に関してシュラとレイスの二人も同じような状態らしいが……
「……で?俺達が態々街に降りて冒険者ギルドで働くだと?」
「シュラ、これから先の事を考えたらそれしかないだろう」
オレンジ色の髪と水色の瞳を持った偉そうな顔をした長男、死の天使シュラは否定的な意見を述べる。
こいつの性格的に間違いなく、自分よりも弱い存在しか居ないだろう街に行くくらいならここに街事移動して来いと言いたいのだろうけど、その高圧的で好戦的な性格は一度死んでも治らなかったらしい。
「えっと、行くのはいいんだけど僕たちが冒険者ギルドで冒険者になるとして……、仕事内容は?」
「それならレイス、あなたは討伐系とか良いんじゃない?相手の意志に干渉して襲い掛かった時に仕留めるとか得意だったじゃない」
「仕留める何てかわいそうな事をどうしてしなくちゃいけないんだい?、出来れば二度と危害を加えないように説得たいよ僕は……、必要があったら躊躇う事無くやるけど」
白の髪と同じ色の瞳を持ったやる気の無さそうな顔をした次男、意志の天使レイスは肯定派だけどやる気はそこまで無いようだ。
肯定的で尚且つ協力的な意志を持ってくれているのはセスカとセツナの双子姉妹位か……、ただ確かにレイスの言うように冒険者になったとしても、仕事内容が分からなければどうしようもない。
「……ん?あぁっ!?シュラ兄とレイス兄起きたのっ!?」
「あぁ、ついさっき目を覚ましたぞ」
「もうそれなら教えてよ兄貴」
「魔力の波長で気付けるだろ……?」
「……食べれる物集めてたら気付けないよって、うわっ!」
両腕で抱きしめるようにして大量の食べ物を持って洞窟の奥から出て来たミコトが、嬉しそうに走って来たけど途中で躓いて転びそうになる。
それをセツナが急いで近付くとそっと抱き留め、持っている荷物を半分受け取るとゆっくりと二人で歩く。
「セツ姉ごめん……」
(大丈夫だよ?、ほらミコトは小さい頃から良く転んだりしてたから大丈夫かなって心配で、直ぐ動けるようにしてたの)
「うん、ありがとう、でさ、これが食べ物なんだけど……」
取り立ての果物に乾燥して硬くなったパン、そして色が変わった肉としなびた野菜、食べ物を定期的に街に降りて買っていたのではなかったのだろうか。
これではどう見てもこれは購入してから大分時間が経っているように見えるが……
「ミコト、まさか俺にこのような家畜の餌を食えと?」
「えっとそうじゃなくてね?ほら私の能力を使えば……」
ミコトが背中の白い羽を広げると頭上に天使の輪が浮かび上がり洞窟の中を明るく照らす。
すると痛んでいた食材達が徐々に元の色や水気を帯びて行き新鮮な状態へと戻っていく。
パンに至っては柔らかそうにふっくらとしたかと思ったら一部を残して穀物の状態へと戻ってしまった。
「あっ……」
「なるほど、命の天使の力を使って食材を生前に近い状態に戻したのか……、だがパンだけはやり過ぎたようだな」
「ごめん……、目を覚ましてから細かい調整が難しくて」
「という事は、もしかしたら私達も同じ状況にあるかもしれないな……、セスカ試しに破壊の力で何でもいいから壊してみてくれ」
「ん?え、えぇ……」
(いや……、私が何か作るからセスカはそれを壊してみて?)
セツナが機械で出来た翼を広げると眼を閉じて両手を祈るようにすると空中に四角い物体が現れる。
それに手を触れたセスカが緋色の翼を輝かせ魔力を流すと砂のように細かくなって崩れて行き中から人型の小さな人形が現れる……、どうやら二人の能力は問題無く使えるようだ。
「……細かい制御とかも私は出来るようね、丁度意志を込めやすい人形が出来たからレイスやシュラも試してみたら?」
「うん、やってみるよ……」
レイスの石で出来た灰色の翼が軋むような音を上げて前方へと翼を広げていく。
そして両手で包み込んだ後に魔力を込めて念じる……、そして手を開くと人形が意志を持ったかのように動き出した。
「……何故俺がこんな事に付き合わなければならないんだ、ふん、まぁいいやってやる」
太陽のように眩しく翼を輝かせると指先から底冷えするかのような黒い魔力が伸びて行く。
何かを感じたのか人形がレイスの手の上から逃げるように飛び降りて洞窟の出口へと走るが……、追いかける魔力の方が早く体に触れた瞬間に体中がひび割れ砕けてしまう。
「出力が安定しないが徐々に出来るな……、イフリーゼお前はどうだ」
「……私の能力を使う為に必要な生命がいないが、使おうとして見た結果問題無く使えそうだ、どうやら強力過ぎる能力程不安定な状況らしい、セツナの能力も以前はもっと発動が早かった筈だ」
(うん……、イメージが形になるのに大分時間が掛かる)
「これは街には翌日にでも降りた方が良さげだろうな、冒険者となって実戦で感を取り戻して行った方がいいだろう」
「決まりだね……、パンは食べれなくなっちゃったけど今日はお肉と野菜を食べようよ、そのままでも素材の味がして美味しいよ」
……ミコトがそう言うと生の状態の肉と新鮮な野菜を渡して来る。
確かに天族である私達は食材に火を通さなくても食べればするが……、個人的には焼いた後に調味料を大量に付けて味が残る方が好きだ。
そう思いながら肉に噛り付くと……、ゴムを噛むような感覚しかなく味覚を感じない。
どうやら私は一部の記憶以外に味覚も失っていたようだった。
0
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる