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そして学園へ……
21話
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シルヴァ王子が驚いた表情をして問い掛けて来るけど、何て答えてあげればいいのか。
あなたの双子の妹は行商人に捕まって奴隷になってます……そんなことを伝える勇気が私にはない。
それならアーロは?とは思うけど、さすがの彼もこればっかりは言う事は出来ないと思う。
「教えてくれ!セレスティアは無事なのか!?」
「無事かどうかって言われると、その……」
「シルヴァ様、落ち着けよ!マリスが嫌がってるだろ!?」
アーロがシルヴァ王子の腕を私から引きはがして間に入る。
そして間に入って近づけないようにすると、我に返ったのかハッとしたような顔をして
「……すまない」
「いえ……、あの、シルヴァ様、落ち着きましたか?」
シルヴァ王子が胸に手を当てて、深呼吸を数回繰り返すとゆっくりと眼を閉じる。
「あぁ……少しだけ落ち着いたよ、ありがとうマリス」
「えぇ、ほんとあなたって人は……困った人なんだから」
「……え?それってどういうことだい?」
「あっ……」
以前の人生で私と一緒にいた時も、焦ったりすると今のように冷静さを失う時がある。
そんな時は落ち付くまで側にいてあげたりしたけど、あの頃は私とあなたが親密な関係だったから出来たけど、この人生ではまだ知り合ったばかりだし、そのような関係になるつもりはない。
だって……シルヴァ王子は、私に関わると不幸になってしまうから……。
「それも勘?」
「それは……あの、えぇそんな感じね」
「何だか不思議な感じがするね」
「そうかしら?」
「まるで……俺の事を昔から知ってるみたいな顔をするんだね」
そんな表情をしていたのだろうか。
けど……何だか嬉しそうに笑うシルヴァ王子を見ていると、何て言葉を返せばいいのか分からなくなる。
彼の前にいると、私の中に残っている彼への思いが溢れそうで……。
「……シルヴァ、二人の世界を作ってるところ悪いんですけど、セレスティア様の話をした方がいいんじゃないか?です」
「そうだね、マリス……妹は今どういう状況なんだい?」
「……それは──」
昨日あった出来事を、シルヴァ王子に出来る範囲で説明をする。
行商人がセレスティアを連れて接触して来た事や、その後に起きた出来事……。
さすがに死に戻りをするきっかけになった出来事までは話す事は出来ないから、その部分は上手く説明出来なくて作り話のようになってしまったけど、納得はしてくれたようで、困ったような表情を浮かべながら口元に手を置くと。
「……セレスティアが城下町に視察に行って行方不明になった後に、まさか奴隷にされていたなんてね」
「えぇ……、そしてあそこにある行商人が持っていた荷物の中に奴隷契約の書類が入っているのだけれど」
「君が言うには、破棄した瞬間に悪い事が起きると……、アーロ、君はどう思う?」
「俺は……マリス様の従者として、信じてるから本当の事だと思ってます」
アーロの言葉を聞いたシルヴァ王子が、頷くと私の方を見て困ったように笑う。
そして荷物の方に視線を向けると、ゆっくりと近づいて。
「なるほど……、これは困ったな、身分を隠してお忍びでここまで来てセレスティアを見つける事が出来たというのに……何もできないじゃないか」
「……シルヴァ王子」
「こんなに近くに、妹を解放できる物があるというのに……何もすることが出来ない、それに今の俺は着いて来てくれた護衛達まで野盗に襲われて失って……情けない、一人では何も出来ないじゃないか」
手を置きながら、辛そうな声を出す。
その姿を見ると心が締め付けられるように苦しくなるけど、私には何て声を掛けてあげればいいのか分からなくなる。
以前の人生のように寄り添うわけにはいかない、けど辛そうなシルヴァ王子を見ると今すぐにでも隣に駆け寄りたくて……、けどそんな私の心情を察してくれたのか。
アーロが彼へと近づくと、肩に手を置いて振り向いたシルヴァ王子に笑顔を作り口を開く。
「何言ってんだよ、シルヴァには俺やマリス様って言う友達がいるだろ?だから頼れって……です」
「アーロ……君っていう人は……ふふ、ありがとう、ならそうだね……力を貸して貰っていいかい?」
「おぅっ!任せてくれ……です」
「マリスもいいかな?」
「私は……あの、……ハァ、もう分かりました、それなら馬車の方に旅に同行してくれているお母様がいるのだけれど、相談してもいいかしら?」
この国の王子であるシルヴァ王子に助けを求められた事に関して、私が独断で判断して動くよりも、一度お母様に相談した方がいいだろう。
もしかしたら……彼の近くでは冷静でいられない私には出せない答えを出してくれるかもしれないし。
「ありがとうマリス、もちろん……それが必要な事なら構わないよ」
「……そう、なら今から行ってくるけど、シルヴァ様も一緒にお母様に話をしてちょうだい、その方がスムーズに行くと思うから」
「あぁ、分かった、けどそうだね……アーロ、君も着いて来てもらえるかな?」
「ん?着いて来るも何も、俺はマリス様の従者兼未来の護衛騎士だぞ?言われなくても着いて行くって……ですよ、まぁそれに友達が困ってるならそんな理由が無くても着いて行くから安心してくれ……あぁ、うん、してくださいって」
「……そうか、俺は本当に良い友人に出会えたようだね、ではマリス、話をしに行こうか」
そのやり取りの後、小屋を出た私達はお母様が休んでいる馬車へと向かう道中で、何やら騒がしい雰囲気を感じて、周囲の様子をうかがう。
すると、お母様とリバスト護衛騎士隊長を探しに行ったヘルガが、複数人の騎士と何やら話し合いをしていた。
あなたの双子の妹は行商人に捕まって奴隷になってます……そんなことを伝える勇気が私にはない。
それならアーロは?とは思うけど、さすがの彼もこればっかりは言う事は出来ないと思う。
「教えてくれ!セレスティアは無事なのか!?」
「無事かどうかって言われると、その……」
「シルヴァ様、落ち着けよ!マリスが嫌がってるだろ!?」
アーロがシルヴァ王子の腕を私から引きはがして間に入る。
そして間に入って近づけないようにすると、我に返ったのかハッとしたような顔をして
「……すまない」
「いえ……、あの、シルヴァ様、落ち着きましたか?」
シルヴァ王子が胸に手を当てて、深呼吸を数回繰り返すとゆっくりと眼を閉じる。
「あぁ……少しだけ落ち着いたよ、ありがとうマリス」
「えぇ、ほんとあなたって人は……困った人なんだから」
「……え?それってどういうことだい?」
「あっ……」
以前の人生で私と一緒にいた時も、焦ったりすると今のように冷静さを失う時がある。
そんな時は落ち付くまで側にいてあげたりしたけど、あの頃は私とあなたが親密な関係だったから出来たけど、この人生ではまだ知り合ったばかりだし、そのような関係になるつもりはない。
だって……シルヴァ王子は、私に関わると不幸になってしまうから……。
「それも勘?」
「それは……あの、えぇそんな感じね」
「何だか不思議な感じがするね」
「そうかしら?」
「まるで……俺の事を昔から知ってるみたいな顔をするんだね」
そんな表情をしていたのだろうか。
けど……何だか嬉しそうに笑うシルヴァ王子を見ていると、何て言葉を返せばいいのか分からなくなる。
彼の前にいると、私の中に残っている彼への思いが溢れそうで……。
「……シルヴァ、二人の世界を作ってるところ悪いんですけど、セレスティア様の話をした方がいいんじゃないか?です」
「そうだね、マリス……妹は今どういう状況なんだい?」
「……それは──」
昨日あった出来事を、シルヴァ王子に出来る範囲で説明をする。
行商人がセレスティアを連れて接触して来た事や、その後に起きた出来事……。
さすがに死に戻りをするきっかけになった出来事までは話す事は出来ないから、その部分は上手く説明出来なくて作り話のようになってしまったけど、納得はしてくれたようで、困ったような表情を浮かべながら口元に手を置くと。
「……セレスティアが城下町に視察に行って行方不明になった後に、まさか奴隷にされていたなんてね」
「えぇ……、そしてあそこにある行商人が持っていた荷物の中に奴隷契約の書類が入っているのだけれど」
「君が言うには、破棄した瞬間に悪い事が起きると……、アーロ、君はどう思う?」
「俺は……マリス様の従者として、信じてるから本当の事だと思ってます」
アーロの言葉を聞いたシルヴァ王子が、頷くと私の方を見て困ったように笑う。
そして荷物の方に視線を向けると、ゆっくりと近づいて。
「なるほど……、これは困ったな、身分を隠してお忍びでここまで来てセレスティアを見つける事が出来たというのに……何もできないじゃないか」
「……シルヴァ王子」
「こんなに近くに、妹を解放できる物があるというのに……何もすることが出来ない、それに今の俺は着いて来てくれた護衛達まで野盗に襲われて失って……情けない、一人では何も出来ないじゃないか」
手を置きながら、辛そうな声を出す。
その姿を見ると心が締め付けられるように苦しくなるけど、私には何て声を掛けてあげればいいのか分からなくなる。
以前の人生のように寄り添うわけにはいかない、けど辛そうなシルヴァ王子を見ると今すぐにでも隣に駆け寄りたくて……、けどそんな私の心情を察してくれたのか。
アーロが彼へと近づくと、肩に手を置いて振り向いたシルヴァ王子に笑顔を作り口を開く。
「何言ってんだよ、シルヴァには俺やマリス様って言う友達がいるだろ?だから頼れって……です」
「アーロ……君っていう人は……ふふ、ありがとう、ならそうだね……力を貸して貰っていいかい?」
「おぅっ!任せてくれ……です」
「マリスもいいかな?」
「私は……あの、……ハァ、もう分かりました、それなら馬車の方に旅に同行してくれているお母様がいるのだけれど、相談してもいいかしら?」
この国の王子であるシルヴァ王子に助けを求められた事に関して、私が独断で判断して動くよりも、一度お母様に相談した方がいいだろう。
もしかしたら……彼の近くでは冷静でいられない私には出せない答えを出してくれるかもしれないし。
「ありがとうマリス、もちろん……それが必要な事なら構わないよ」
「……そう、なら今から行ってくるけど、シルヴァ様も一緒にお母様に話をしてちょうだい、その方がスムーズに行くと思うから」
「あぁ、分かった、けどそうだね……アーロ、君も着いて来てもらえるかな?」
「ん?着いて来るも何も、俺はマリス様の従者兼未来の護衛騎士だぞ?言われなくても着いて行くって……ですよ、まぁそれに友達が困ってるならそんな理由が無くても着いて行くから安心してくれ……あぁ、うん、してくださいって」
「……そうか、俺は本当に良い友人に出会えたようだね、ではマリス、話をしに行こうか」
そのやり取りの後、小屋を出た私達はお母様が休んでいる馬車へと向かう道中で、何やら騒がしい雰囲気を感じて、周囲の様子をうかがう。
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