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第一章 死んだらそこは異世界でした
30話 幽霊さんと料理
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あの後何で屋根に乗って布を巻いたのか聞いてたら……
「ん?あぁ……、これは俺がこの家にいる時に付けるようにしてるんだ、そうすれば俺に挑みたい奴がどんどん来るだろうし、そいつらから金を巻き上げれば上手いもんを沢山食べれるだろ?」
なんていうか考え方が乱暴だなぁって……、でもそういう所がゼンさんらしくて少しだけ安心してしまう。
けど問題はその後で、頑張って屋根に上ったのはいいけどそのまま降りれなくなってしまって、ゼンさんに抱きかかえられながら降りる事になってしまった。
そして今はというと……
「えっとゼンさん?この家って料理は何処ですればいいの?」
「ん?あぁ……そういや台所とかなかったなこの家」
「それってアンデッドの人はどうやってご飯を用意してくれてたの?」
「そういや気づいたら庭に石で作った釜戸が出来てたな……、そこでやってたんじゃないか?」
「……ちょっと見て来るね?」
家の外に幽霊が作った釜戸って……何か曰くつき物件なのに一生懸命働いてくれてるみたいで怖がっちゃったのが申し訳ない気がするかも。
とりあえずゼンさんを二階に残して、家を出て周囲を見渡してみると確かに石で出来た釜戸があって周囲を木材で囲って天井にもちゃんと板が貼ってあって立派な作りをしていてびっくりしちゃう。
それに……直ぐ使えるように薪もあるし、調理場っぽいところには多分幽霊さんがいつも変えてるんだと思うけど新鮮な水に、素人の私でも分かる位に良く手入れされている包丁がおいてあって……
「ゼンさんが帰って来たら直ぐご飯出せるようにおいてあるんだねぇ……、ってえぇ!?」
少し離れた所にある小屋、あれがお風呂とトイレなのかもしれないけど……そこから妙に体付きの良い時代劇に出て来るような、半透明なお侍さんが出て来たかと思うとそのまま地面の一部を持ち上げて地下へと潜って行くのが見えて……
「……もしかして幽霊さん!?」
幽霊さんを見るのが初めてだから、驚いて釜戸の後ろに隠れちゃったけど……暫くして地下から凍ったお肉と野菜を両手に持った幽霊さんが私の所に来て、釜戸に薪を入れて火をつけると鍋水を入れお湯を沸かし始める。
そして調理場のまな板の上に食材を置くと、包丁を手に持ち……ゆっくりと首だけが私の方に向いて……
「こ、ここ、こここ」
目があってしまった。
眼球のない落ちくぼんだ顔がこっちを向いている……。
でもおかしいな、ゼンさんが言うには首が無いアンデッドらしいんだけど、目の前にいるお侍の幽霊さんには首があって、しかも近づかれるまで分からなかったけど微かに、胸に膨らみがあるのが見えて……
「こ、こっちにこいって事?」
何故か私の方を見て手招きをしてくる。
恐る恐る隠れていた場所から出て近づいて見ると、包丁を手に取って私に差し出して来た。
「もしかして私に料理を教えてくれるの?」
無言で頷いたから包丁を受け取ったらと身振り手振りで教えようとしてくれるけど……何も分からない。
だからとりあえずお肉と野菜を適当に切って鍋の中に入れると……
「そんなどうして!?みたいな顔されてもね?、何を言ってるから分からないから教えらても分からないよ?」
何やら絶望したような顔をされたけど、調理場にある調味料を入れて味を調えながら適当においしいだろうなぁって感じるスープを作っていく。
その間も隣で、そうじゃないとか違うこれはこう!っていうようなジェスチャーをしてくるけど、全然何をして欲しいのか分からないから無視する。
でも……多分ゼンさんの好きそうな味付けを教えてくれようとしてるんだろうけど、あの人は美味しく食べられれば気にしないだろうから、時間を掛けて美味しい料理をするよりはさっと作ってぱっと終わる、そんなので十分なんだけどね。
あれ?、なんかこういう私この人の事を分かってるムーブって奥さんみたいで面白いかもって事は、この幽霊さんが姑役で私が新妻役?あれ?なんかそれって良いかも……。
「ふへ、ふへへ……ひひ」
幽霊さんが何やら凄い顔をしたかと思うと、首から上が体から落ちて何処かへと転がってしまう。
驚いて思わず妄想が止まってしまうけど……、それのおかげでゼンさんが首の無いアンデッドと言ってた理由が分かった気がする。
着脱式だったみたい、多分ゼンさんに首を切られて死んだから取り外しが可能になってのかも?だってこの世界は剣と魔法があるファンタジーだし、そんな事があってもおかしくない筈だよね。
「と、とりあえずご飯出来たから持っていこうかな」
……完成したスープをそのまま持とうとすると、首のない体が焦ったように何故か腕を掴んでくる。
ひんやりしてて気持ち良いけどどうしたんだろう?、とりあえず気にしないで両手で鍋を持って移動するけど……これ位なら別に熱くも無いから気にする必要何て無いのに変な幽霊さんだなぁって思いながら、お腹を空かせて待っているゼンさんの元へと戻るのだった。
「ん?あぁ……、これは俺がこの家にいる時に付けるようにしてるんだ、そうすれば俺に挑みたい奴がどんどん来るだろうし、そいつらから金を巻き上げれば上手いもんを沢山食べれるだろ?」
なんていうか考え方が乱暴だなぁって……、でもそういう所がゼンさんらしくて少しだけ安心してしまう。
けど問題はその後で、頑張って屋根に上ったのはいいけどそのまま降りれなくなってしまって、ゼンさんに抱きかかえられながら降りる事になってしまった。
そして今はというと……
「えっとゼンさん?この家って料理は何処ですればいいの?」
「ん?あぁ……そういや台所とかなかったなこの家」
「それってアンデッドの人はどうやってご飯を用意してくれてたの?」
「そういや気づいたら庭に石で作った釜戸が出来てたな……、そこでやってたんじゃないか?」
「……ちょっと見て来るね?」
家の外に幽霊が作った釜戸って……何か曰くつき物件なのに一生懸命働いてくれてるみたいで怖がっちゃったのが申し訳ない気がするかも。
とりあえずゼンさんを二階に残して、家を出て周囲を見渡してみると確かに石で出来た釜戸があって周囲を木材で囲って天井にもちゃんと板が貼ってあって立派な作りをしていてびっくりしちゃう。
それに……直ぐ使えるように薪もあるし、調理場っぽいところには多分幽霊さんがいつも変えてるんだと思うけど新鮮な水に、素人の私でも分かる位に良く手入れされている包丁がおいてあって……
「ゼンさんが帰って来たら直ぐご飯出せるようにおいてあるんだねぇ……、ってえぇ!?」
少し離れた所にある小屋、あれがお風呂とトイレなのかもしれないけど……そこから妙に体付きの良い時代劇に出て来るような、半透明なお侍さんが出て来たかと思うとそのまま地面の一部を持ち上げて地下へと潜って行くのが見えて……
「……もしかして幽霊さん!?」
幽霊さんを見るのが初めてだから、驚いて釜戸の後ろに隠れちゃったけど……暫くして地下から凍ったお肉と野菜を両手に持った幽霊さんが私の所に来て、釜戸に薪を入れて火をつけると鍋水を入れお湯を沸かし始める。
そして調理場のまな板の上に食材を置くと、包丁を手に持ち……ゆっくりと首だけが私の方に向いて……
「こ、ここ、こここ」
目があってしまった。
眼球のない落ちくぼんだ顔がこっちを向いている……。
でもおかしいな、ゼンさんが言うには首が無いアンデッドらしいんだけど、目の前にいるお侍の幽霊さんには首があって、しかも近づかれるまで分からなかったけど微かに、胸に膨らみがあるのが見えて……
「こ、こっちにこいって事?」
何故か私の方を見て手招きをしてくる。
恐る恐る隠れていた場所から出て近づいて見ると、包丁を手に取って私に差し出して来た。
「もしかして私に料理を教えてくれるの?」
無言で頷いたから包丁を受け取ったらと身振り手振りで教えようとしてくれるけど……何も分からない。
だからとりあえずお肉と野菜を適当に切って鍋の中に入れると……
「そんなどうして!?みたいな顔されてもね?、何を言ってるから分からないから教えらても分からないよ?」
何やら絶望したような顔をされたけど、調理場にある調味料を入れて味を調えながら適当においしいだろうなぁって感じるスープを作っていく。
その間も隣で、そうじゃないとか違うこれはこう!っていうようなジェスチャーをしてくるけど、全然何をして欲しいのか分からないから無視する。
でも……多分ゼンさんの好きそうな味付けを教えてくれようとしてるんだろうけど、あの人は美味しく食べられれば気にしないだろうから、時間を掛けて美味しい料理をするよりはさっと作ってぱっと終わる、そんなので十分なんだけどね。
あれ?、なんかこういう私この人の事を分かってるムーブって奥さんみたいで面白いかもって事は、この幽霊さんが姑役で私が新妻役?あれ?なんかそれって良いかも……。
「ふへ、ふへへ……ひひ」
幽霊さんが何やら凄い顔をしたかと思うと、首から上が体から落ちて何処かへと転がってしまう。
驚いて思わず妄想が止まってしまうけど……、それのおかげでゼンさんが首の無いアンデッドと言ってた理由が分かった気がする。
着脱式だったみたい、多分ゼンさんに首を切られて死んだから取り外しが可能になってのかも?だってこの世界は剣と魔法があるファンタジーだし、そんな事があってもおかしくない筈だよね。
「と、とりあえずご飯出来たから持っていこうかな」
……完成したスープをそのまま持とうとすると、首のない体が焦ったように何故か腕を掴んでくる。
ひんやりしてて気持ち良いけどどうしたんだろう?、とりあえず気にしないで両手で鍋を持って移動するけど……これ位なら別に熱くも無いから気にする必要何て無いのに変な幽霊さんだなぁって思いながら、お腹を空かせて待っているゼンさんの元へと戻るのだった。
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