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第五章 囚われの姫と紅の槍
32話 紅の槍
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コルクの準備が出来たから後はぼくがしっかりとやるだけ、そう思うと何だか緊張して来たけどきっとうまく行くはずだと信じたいけど早くしないとジラルド達が持たない、現にクラウズ王のハンマーをクロウに跨ったジラルドが心器の槍で受け止めると二人の身体に電流が走り人の肉の焼ける不快な匂いがする。
ソラも器用に攻撃を躱しているが、雨のせいで徐々に体力が削られているのか凍った床に脚を取られそうになる時があっていつ当たってしまうか分からない。
「レースっ!早くしないとジラルド達がっ!」
コルクは今すぐにでも飛び出したそうにしているけど、今の状態で動いても前衛で戦ってくれている三人の邪魔にしかならない。
彼女もそれが分かっているからか焦りながらもぼくの準備が出来るのを待ってくれている。
そうしている内に、新たに使えるようになった雪の魔術を使う為のに必要な雪が降り積もった。
「――雪像作成、スノーゴーレム!」
雪が長杖を包み込んで行くと巨人の姿をした雪のゴーレムが作られてゆく。
心器を内側へ取り込ませる事で耐久を確保し、誤差なく自分の考えのままに操る事が出来るようになった。
「準備が出来たからいくよ、ぼくがこのまま突っ込むからコルクは後ろに隠れて奇襲して欲しいんだ」
コルクは返事をせずに頷くと、素早く水の魔術で作り上げた分身を作り出して二手に分かれると何が起きたのか空間に溶けるように消えて行く。
これが心器の能力らしく自身を覆うようにに薄い水の膜を展開して、周囲の風景を映し出す事で姿を隠す事が出来るらしい。
特に肉体強化が斥候型の彼女の実力と合わせる事で気配と姿を消して確実に奇襲を決める事が出来る筈だ。
「皆っ!今から突っ込むから離れてっ!」
彼等に声を掛けてから、雪のゴーレムの中にある心器に魔力の糸を繋げると前進するイメージをしながら、前方に雪の魔術を使い地吹雪を吹かせて突撃する。
「離れてっておまっ!それはやばいって!」
「レースくんっ!室内でそんな大規模な魔術使うのは止めた方がいいと思うよっ!」
ジラルドとソラが慌てたように大声で叫び、クロウが驚いたような鳴き声を出すと急いでクラウズ王から離れて行くけど何でそんなに焦っているんだろうか……
「貴公、味方を巻き込むのは感心せんぞっ!?」
クラウズ王の雲の魔術と心器で作られた腕が体積を増して大きくなると、雲のハンマーを手放してぼくの方へ向けて腕を伸ばすと、雪のゴーレムの肩と脚を掴まれて動きを止められてしまうが、地吹雪が商王の身体を凍らせて行き動きを封じて行く。
「皆を巻き込む気はなかったんだけど……」
「そういう意図せずに周りを巻き込む所がヴォルフガングの若い頃を思い出させるが……、雪が作られたゴーレムを扱う所まで同じとは、ヴィーニ王子が言っていた事は本当かもしれんな」
そんな似ていると言われてもぼくはその人の事を知らないから正直どうでもいいと思いたいけど……、少しだけストラフィリアの【覇王 ヴォルフガング・ストラフィリア】に興味が湧いて来た。
機会があったら行ってみるのもいいかもしれない。
そんな事を思いながら更に前進するイメージをして雪のゴーレムを強引に動かす。
「だが顔付きは何となく母親に似ておるな、その強引な所もまた似ているが……むっ!?」
「あんな?いくら気配や姿を消しても、凍らされたら意味無いやんっ!あんた暫く見ない間にアホになったんやないの!?」
コルクが声を荒げながらクラウズ王の前に姿を現すと、短剣を持っている方とは別の方の手を握り殴りつけようするが片手で受け止められてしまう。
「ミントよ、何故その短剣を使わぬのだ……?それが出来れば儂を動かす事出来ただろうに」
「うっさい!おとんは少し黙っててっ!レースっその地吹雪をとめーやっ!、ジラルド達の事を考えろやっ!」
「あ、うん……」
コルクの指示を聞いて雪のゴーレムから出る地吹雪を止めるようとするが……
「止めないで良いっ!そのまま動きを封じてろっ!」
「ジラルドっ!あんたも何を考えてんの!?」
「これは俺の勘だっ!、戦いの勘だけは俺を絶対に裏切らないっ!」
クロウから降りたジラルドが、槍の石突から火を噴射させながら飛び込ん行く。
その姿はまるで一筋の紅い閃光のように力強く輝いて見える。
「ミントもそのまま親父を抑えてろっ!」
「……わかった!」
更に火の力を強めて加速すると、槍先に火属性の魔力を付与して紅く染め上げて行くと、螺旋を描く様に先端から炎が燃え上がりジラルドを包み込んで全身を紅い槍へと変えて、周囲を焦がしぼくの雪のゴーレムを溶かしながらクラウズ王とコルクへと突っ込んで行く。
「……これが俺の切り札だっ!戦技【炎槍】!」
「貴公っ!いや……、お主っ!何を考えて居るか分かっているのかっ!?」
クラウズが作られた四本の腕を消すと、両腕でコルクを守るように抱きかかえると後ろに跳びながら再び心器の腕を顕現させてジラルドを受け止めて衝撃を逃がして着地する。
「分かってるぜ?でもこうでもしないと、明らかに俺達よりも格上のお前を動かす事なんて出来ないだろ」
「うちを巻き込もうとすればおとんは守ろうとして動かぜるをえへんやない?そこを狙ったんよ」
「それで卑怯な手を使い、ましてやお主の大事な者を傷付ける事すら構わぬというのか……?」
「卑怯も何も冒険者の戦いは正々堂々じゃねぇんだっ!それに動いたって事は分かってるよな?」
「うちらの勝ちだよっ!」
……クラウズ王に抱きかかえられているコルクが恥ずかし気に『だから、おとんそろそろ離してくれない?』と言うと、困った顔をしながらも彼女を解放した。
そして笑顔でジラルドに走って行くと、両腕を広げて抱き締めようとしている彼に向って勢いよく飛び蹴りをするのだった。
ソラも器用に攻撃を躱しているが、雨のせいで徐々に体力が削られているのか凍った床に脚を取られそうになる時があっていつ当たってしまうか分からない。
「レースっ!早くしないとジラルド達がっ!」
コルクは今すぐにでも飛び出したそうにしているけど、今の状態で動いても前衛で戦ってくれている三人の邪魔にしかならない。
彼女もそれが分かっているからか焦りながらもぼくの準備が出来るのを待ってくれている。
そうしている内に、新たに使えるようになった雪の魔術を使う為のに必要な雪が降り積もった。
「――雪像作成、スノーゴーレム!」
雪が長杖を包み込んで行くと巨人の姿をした雪のゴーレムが作られてゆく。
心器を内側へ取り込ませる事で耐久を確保し、誤差なく自分の考えのままに操る事が出来るようになった。
「準備が出来たからいくよ、ぼくがこのまま突っ込むからコルクは後ろに隠れて奇襲して欲しいんだ」
コルクは返事をせずに頷くと、素早く水の魔術で作り上げた分身を作り出して二手に分かれると何が起きたのか空間に溶けるように消えて行く。
これが心器の能力らしく自身を覆うようにに薄い水の膜を展開して、周囲の風景を映し出す事で姿を隠す事が出来るらしい。
特に肉体強化が斥候型の彼女の実力と合わせる事で気配と姿を消して確実に奇襲を決める事が出来る筈だ。
「皆っ!今から突っ込むから離れてっ!」
彼等に声を掛けてから、雪のゴーレムの中にある心器に魔力の糸を繋げると前進するイメージをしながら、前方に雪の魔術を使い地吹雪を吹かせて突撃する。
「離れてっておまっ!それはやばいって!」
「レースくんっ!室内でそんな大規模な魔術使うのは止めた方がいいと思うよっ!」
ジラルドとソラが慌てたように大声で叫び、クロウが驚いたような鳴き声を出すと急いでクラウズ王から離れて行くけど何でそんなに焦っているんだろうか……
「貴公、味方を巻き込むのは感心せんぞっ!?」
クラウズ王の雲の魔術と心器で作られた腕が体積を増して大きくなると、雲のハンマーを手放してぼくの方へ向けて腕を伸ばすと、雪のゴーレムの肩と脚を掴まれて動きを止められてしまうが、地吹雪が商王の身体を凍らせて行き動きを封じて行く。
「皆を巻き込む気はなかったんだけど……」
「そういう意図せずに周りを巻き込む所がヴォルフガングの若い頃を思い出させるが……、雪が作られたゴーレムを扱う所まで同じとは、ヴィーニ王子が言っていた事は本当かもしれんな」
そんな似ていると言われてもぼくはその人の事を知らないから正直どうでもいいと思いたいけど……、少しだけストラフィリアの【覇王 ヴォルフガング・ストラフィリア】に興味が湧いて来た。
機会があったら行ってみるのもいいかもしれない。
そんな事を思いながら更に前進するイメージをして雪のゴーレムを強引に動かす。
「だが顔付きは何となく母親に似ておるな、その強引な所もまた似ているが……むっ!?」
「あんな?いくら気配や姿を消しても、凍らされたら意味無いやんっ!あんた暫く見ない間にアホになったんやないの!?」
コルクが声を荒げながらクラウズ王の前に姿を現すと、短剣を持っている方とは別の方の手を握り殴りつけようするが片手で受け止められてしまう。
「ミントよ、何故その短剣を使わぬのだ……?それが出来れば儂を動かす事出来ただろうに」
「うっさい!おとんは少し黙っててっ!レースっその地吹雪をとめーやっ!、ジラルド達の事を考えろやっ!」
「あ、うん……」
コルクの指示を聞いて雪のゴーレムから出る地吹雪を止めるようとするが……
「止めないで良いっ!そのまま動きを封じてろっ!」
「ジラルドっ!あんたも何を考えてんの!?」
「これは俺の勘だっ!、戦いの勘だけは俺を絶対に裏切らないっ!」
クロウから降りたジラルドが、槍の石突から火を噴射させながら飛び込ん行く。
その姿はまるで一筋の紅い閃光のように力強く輝いて見える。
「ミントもそのまま親父を抑えてろっ!」
「……わかった!」
更に火の力を強めて加速すると、槍先に火属性の魔力を付与して紅く染め上げて行くと、螺旋を描く様に先端から炎が燃え上がりジラルドを包み込んで全身を紅い槍へと変えて、周囲を焦がしぼくの雪のゴーレムを溶かしながらクラウズ王とコルクへと突っ込んで行く。
「……これが俺の切り札だっ!戦技【炎槍】!」
「貴公っ!いや……、お主っ!何を考えて居るか分かっているのかっ!?」
クラウズが作られた四本の腕を消すと、両腕でコルクを守るように抱きかかえると後ろに跳びながら再び心器の腕を顕現させてジラルドを受け止めて衝撃を逃がして着地する。
「分かってるぜ?でもこうでもしないと、明らかに俺達よりも格上のお前を動かす事なんて出来ないだろ」
「うちを巻き込もうとすればおとんは守ろうとして動かぜるをえへんやない?そこを狙ったんよ」
「それで卑怯な手を使い、ましてやお主の大事な者を傷付ける事すら構わぬというのか……?」
「卑怯も何も冒険者の戦いは正々堂々じゃねぇんだっ!それに動いたって事は分かってるよな?」
「うちらの勝ちだよっ!」
……クラウズ王に抱きかかえられているコルクが恥ずかし気に『だから、おとんそろそろ離してくれない?』と言うと、困った顔をしながらも彼女を解放した。
そして笑顔でジラルドに走って行くと、両腕を広げて抱き締めようとしている彼に向って勢いよく飛び蹴りをするのだった。
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