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第九章 戦いの中で……
4話 新しい得物
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大剣と長杖を受け取るとさっきとは違い、軽く触れるただけなのに手に馴染むというか。
強く握らなくても吸い付くような感覚に思わず驚いて手を放しそうになる。
「はは、そんな良い反応をされると嬉しくなるね、これがあんた専用の武器だよ」
「何ていうか……凄いね」
「そりゃそうさ!あたいはこの世界でも上から数えた方が良い程の腕を持つ武器職人だよ?」
「ん?という事はトキよりも腕の良い人っているの?」
「そりゃあいるさ、あたいよりも長く生きてるドワーフの族長やあたいの親父とかね……まぁでもあたいはズルをしてるようなもんだからねぇ」
トキが自分の心器を見ると魔力に戻して消してしまう。
そういえば彼女はこの技術を武器として使う事に関して良い感情を持っていなかった記憶があるから、多分心器を使って武器を作る事に関して思う事があるのかもしれない。
「何ていえばいいのか分からないけどさズルも何も、使える物を使うのは当然の事なんじゃないかな」
「ん?いったい何を言ってるんだい?」
「トキって心器に関してあんまり良い考えを持ってないでしょ?だから少しでもこう何か言える事があるかなって」
「……あたいを心配してくれたんだね、ただまぁそう……うん、確かにあんたの言う通りかもしれないね、今ある手札の中で使える物を使って最高の作品を作るのは職人としては当たり前の事だったよ、まさかこんな若造に教えられるとはねぇ」
そう言って笑う彼女は何やら嬉しそうな顔をしているのを見ると、ぼくなりの気遣いはどうやらトキの悩みを解決するきっかけになったようだ。
「まぁ……何ていうか変な事を言って悪かったね」
「いや、別に無いからいいよ、ただ少しだけ気になったんだけどぼく専用って事は他の人も専用の武器って持ってたりするの?」
「ん?あぁ、栄花騎士団だと幹部クラス以上で戦場に出る団員なら皆持ってるね……、勿論あたいも持ってるけど切り札になるからね滅多に使わないよ」
「切り札って事はもしかして何かあるの?」
「ん?気になるのかい?あたいの切り札に使われる武器には【壊滅】という能力が付与されててね、一度使うとその場で壊れちまうけどその瞬間に溜め込んだ魔力を開放して周囲を吹っ飛ばす感じだね」
それってぼくの【魔力暴走】よりも危険なんじゃって思うけど、滅多に使わないと言う事だから本当に追い込まれた時くらいしか使わないのかもしれない。
「シンとか巻き込まれても何とかなるのと組む時は使えるんだけどね、普段は危なっかしくて使えやしないよ」
「そうなんだ、でも何で心器があるのに専用の武器を持ってるの?」
「そりゃあんた……、使い手の精神状態によって性能や耐久面が変化する武器だよ?いくら戦場にいる時は精神面が不安定にならないように訓練を受けているとはいえ、完璧じゃないからね……、例えば一緒に行動している仲間が死んだ場合それが親しい相手でいればいるほど精神面に受ける影響は大きいからね」
「だから専用の武器を持ってるんだ……、そういえばハスも不思議な銃を持ってたし」
「あぁ、あれを作るのに苦労したよ……、銃なんて作った事なかったから態々マーシェンス出身の幹部に頭を下げて作り方を教わって何度も失敗しながら作ったんだけど、代わりに弾を撃つ代わりに魔術を撃ち出す変な武器になっちまったけどね」
あの炎は魔術だったのか……。
この前ハスと喧嘩になった時に使われた時は心器の能力である【自動迎撃】が活かせなかったりと辛い思いをした事を思い出すけど、あの時の戦いのおかげで色々と得る事が出来たという意味では良い経験が出来た気がする。
「ただ、例外として姫ちゃんだけは専用の武器を持ってないんだよね」
「あぁ……心器もそういえばガラスペンだったけど、以前教授から受け取った魔導具と合わせて武器にしてたよ?」
「あれを心器に使うとは思わなかったけどね、正直姫ちゃんは大人びてはいるけど、中身は年相応の子だからあんまり使って欲しくないんだよね、あんたは旦那になるんだから何となくだけど分かってる筈だよ」
「……確かに時折幼く感じるところはあるけど、大丈夫じゃないかな」
「何言ってんだい、大丈夫な訳あるわけないよ?だから今回姫ちゃんがランを呼んだんだから……あの子はね自分の弱さもしっかりと分かってる立派な子だよ」
ランがいるのはそういう事か……、でも戦闘に関して戦う能力が低かったとしてもカエデの作戦立案能力の高さとか凄いと思うし、必死に強くなろうとしてるところを知ってるから、ぼくは彼女が弱いとは思わない。
「けどカエデはちゃんと頑張ってるから弱くは無いよ、ぼくはカエデが一生懸命に頑張ってるところをずっと見て来たから知ってる」
「へぇ、さすが未来の旦那だ……言うねぇ、まぁそれに関してはあんたよりも付き合いが長いあたい等も分かってるから大丈夫だよ、それよりもそろそろあんたの武器について説明したいけどいいかい?」
……そういえば武器を受け取ったのはいいけど説明を受けてなかった。
とりあえず返事の代わりに頷くと『じゃあ説明をするんだけど、まず大剣の方は鞘に【軽量化】の効果を付与して軽くした後に、魔導具の作成が出来る幹部に頼んで【空間収納】の回路が刻まれてるんだ、試しに抜いてみな?』と言われ、鞘から抜いてみると黒い刃を持った大剣が中から現れるのだった。
強く握らなくても吸い付くような感覚に思わず驚いて手を放しそうになる。
「はは、そんな良い反応をされると嬉しくなるね、これがあんた専用の武器だよ」
「何ていうか……凄いね」
「そりゃそうさ!あたいはこの世界でも上から数えた方が良い程の腕を持つ武器職人だよ?」
「ん?という事はトキよりも腕の良い人っているの?」
「そりゃあいるさ、あたいよりも長く生きてるドワーフの族長やあたいの親父とかね……まぁでもあたいはズルをしてるようなもんだからねぇ」
トキが自分の心器を見ると魔力に戻して消してしまう。
そういえば彼女はこの技術を武器として使う事に関して良い感情を持っていなかった記憶があるから、多分心器を使って武器を作る事に関して思う事があるのかもしれない。
「何ていえばいいのか分からないけどさズルも何も、使える物を使うのは当然の事なんじゃないかな」
「ん?いったい何を言ってるんだい?」
「トキって心器に関してあんまり良い考えを持ってないでしょ?だから少しでもこう何か言える事があるかなって」
「……あたいを心配してくれたんだね、ただまぁそう……うん、確かにあんたの言う通りかもしれないね、今ある手札の中で使える物を使って最高の作品を作るのは職人としては当たり前の事だったよ、まさかこんな若造に教えられるとはねぇ」
そう言って笑う彼女は何やら嬉しそうな顔をしているのを見ると、ぼくなりの気遣いはどうやらトキの悩みを解決するきっかけになったようだ。
「まぁ……何ていうか変な事を言って悪かったね」
「いや、別に無いからいいよ、ただ少しだけ気になったんだけどぼく専用って事は他の人も専用の武器って持ってたりするの?」
「ん?あぁ、栄花騎士団だと幹部クラス以上で戦場に出る団員なら皆持ってるね……、勿論あたいも持ってるけど切り札になるからね滅多に使わないよ」
「切り札って事はもしかして何かあるの?」
「ん?気になるのかい?あたいの切り札に使われる武器には【壊滅】という能力が付与されててね、一度使うとその場で壊れちまうけどその瞬間に溜め込んだ魔力を開放して周囲を吹っ飛ばす感じだね」
それってぼくの【魔力暴走】よりも危険なんじゃって思うけど、滅多に使わないと言う事だから本当に追い込まれた時くらいしか使わないのかもしれない。
「シンとか巻き込まれても何とかなるのと組む時は使えるんだけどね、普段は危なっかしくて使えやしないよ」
「そうなんだ、でも何で心器があるのに専用の武器を持ってるの?」
「そりゃあんた……、使い手の精神状態によって性能や耐久面が変化する武器だよ?いくら戦場にいる時は精神面が不安定にならないように訓練を受けているとはいえ、完璧じゃないからね……、例えば一緒に行動している仲間が死んだ場合それが親しい相手でいればいるほど精神面に受ける影響は大きいからね」
「だから専用の武器を持ってるんだ……、そういえばハスも不思議な銃を持ってたし」
「あぁ、あれを作るのに苦労したよ……、銃なんて作った事なかったから態々マーシェンス出身の幹部に頭を下げて作り方を教わって何度も失敗しながら作ったんだけど、代わりに弾を撃つ代わりに魔術を撃ち出す変な武器になっちまったけどね」
あの炎は魔術だったのか……。
この前ハスと喧嘩になった時に使われた時は心器の能力である【自動迎撃】が活かせなかったりと辛い思いをした事を思い出すけど、あの時の戦いのおかげで色々と得る事が出来たという意味では良い経験が出来た気がする。
「ただ、例外として姫ちゃんだけは専用の武器を持ってないんだよね」
「あぁ……心器もそういえばガラスペンだったけど、以前教授から受け取った魔導具と合わせて武器にしてたよ?」
「あれを心器に使うとは思わなかったけどね、正直姫ちゃんは大人びてはいるけど、中身は年相応の子だからあんまり使って欲しくないんだよね、あんたは旦那になるんだから何となくだけど分かってる筈だよ」
「……確かに時折幼く感じるところはあるけど、大丈夫じゃないかな」
「何言ってんだい、大丈夫な訳あるわけないよ?だから今回姫ちゃんがランを呼んだんだから……あの子はね自分の弱さもしっかりと分かってる立派な子だよ」
ランがいるのはそういう事か……、でも戦闘に関して戦う能力が低かったとしてもカエデの作戦立案能力の高さとか凄いと思うし、必死に強くなろうとしてるところを知ってるから、ぼくは彼女が弱いとは思わない。
「けどカエデはちゃんと頑張ってるから弱くは無いよ、ぼくはカエデが一生懸命に頑張ってるところをずっと見て来たから知ってる」
「へぇ、さすが未来の旦那だ……言うねぇ、まぁそれに関してはあんたよりも付き合いが長いあたい等も分かってるから大丈夫だよ、それよりもそろそろあんたの武器について説明したいけどいいかい?」
……そういえば武器を受け取ったのはいいけど説明を受けてなかった。
とりあえず返事の代わりに頷くと『じゃあ説明をするんだけど、まず大剣の方は鞘に【軽量化】の効果を付与して軽くした後に、魔導具の作成が出来る幹部に頼んで【空間収納】の回路が刻まれてるんだ、試しに抜いてみな?』と言われ、鞘から抜いてみると黒い刃を持った大剣が中から現れるのだった。
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