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第九章 戦いの中で……
5話 思わぬ負傷と性能確認
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「へぇ……あたいでも引きずる位に重い物をあんたは軽そうに持つんだね」
トキが面白そうな物を見るような顔をしてこっちを見る。
とはいえ少しだけ重いから、多分これ怪力を使えなかったら鞘に入った状態でも重いのかな……いや、でも【軽量化】が付与されてるっていうし、普通に持てそうだと思って一度鞘にしまった後に、右手の長杖を床に置いてから大剣を持って怪力を解くと……
「……これ、無理!」
「え?ちょっとあんた何してんだい!?」
【軽量化】っていうから大丈夫だと思ったのに、ありえない程の重さに腕と手首が耐え切れずに内部から聞こえてはいけない鈍い音がしたかと思うと、本来なら曲がらない場所に関節が曲がってしまう。
それだけならまだ良いのだけれど余りの痛みに手を放す事も出来なくなってしまい、どう見ても凄惨な事故現場になったしまった。
とりあえず初歩的な治癒術を使い痛みを抑えて指先を一本ずつゆっくりと動かして大剣から手を離すと義肢の左手に心器の長杖を持たせて、【怪力】を再び発動させると治癒術を使い損傷個所の治療を始める。
「……怪力を切っても持てるかなって思ったら無理だった」
「そりゃあんた……軽量化してやっとあたいが持てるくらいだよ?それが
能力を使わなかったら一般人よりも少し力だある程度の奴が持てるわけないよ」
「なら最初から言ってくれたら良かったのに……」
「そりゃかもうかもだけどね……、普通こんな自殺行為に近い事する馬鹿がいるなんて思わないじゃないか、あんたが治癒術師じゃなかったら今頃治療が追い付かなくてその腕なくなっててもおかしくなかったと思うよ?」
自殺行為に近い事って……興味本位でやったとはいえ酷い言われようだ。
でもあれ位の損傷なら治癒術師だったら直ぐに治せる気がするから大丈夫だと思うんだけどな……
「これくらい出来て当然みたいな顔してるけど、あんなに早く精確な治癒術が出来る人の方が少ないから、自分の物差しで物事を考えるのは止めときな……同業者によってはそれは嫌味になるからね」
「……嫌味って当たり前に出来る事なんだけどな」
「あんたねぇ……、自分にとって当たり前だと思う事は他人にとっての非常識だって理解しな、そうしないと姫ちゃんとダートからそのうち愛想尽かされるよ?」
それは……特にダートに愛想を尽かされるのは嫌だ。
これから親になるというのに嫌われたらと思うと、そこから上手くいかなくなる気がするから……トキからの忠告を素直に聞いた方がいいのかもしれない。
「……うん、気を付けるよ」
「分かったならいいけど、とりあえず……怪我も治ったみたいだし武器の性能を確認を始めるよ」
「……確認?さっきの握った時のだけじゃダメなの?」
「それだけでも別に問題無いとは思うけど、実際に実戦で使ってみないといざと言う時上手く使えないってなったら、作った側の確認不足としかいいようがないよ……だからちょっとだけ痛い目見て貰うよ」
そう言うと腰につけているポーチから黒い片刃の戦斧を二本取り出すと、両手に掴んで刃のない方を肩に乗せて構える。
痛い目を見て貰うという事は、トキが実際に戦って武器の性能を見るという事なのだろう。
とりあえず心器の大剣を顕現させて氷と雪で作られた狼を、大剣を核にして作り出すと作って貰った方の武器を左右の手に持つ。
「これはあんたの為に作った武器の余った素材で作った斧だけどさ、色々と試している内に能力を複数付与する方法が分かってね【不壊】ともう一つ【転回】と言ってね……、こうやるんだ!」
戦斧を振り下ろすようにして投げたかと思うと、途中で回転しながらトキの元へと戻って行く。
そしてそれを再び掴むともう一度投げるが狙いが外れたようで後ろへと通り過ぎて行くけど、ポーチから今度は普通の片刃の斧を更に二本取り出して投げて走って来る。
「前からはあたい、後ろからは二本が転回して戻って来る!あんたにこれが防げるかい?」
「防ぐも何も……」
「その狼が守ってくれるって?出来るわけないだろ?あたいは能力を複数付与する方法が分かったって言ったんだ!」
「えっ……!?」
背後からの攻撃からぼくを守ろうとしてくれた狼が、氷で出来た大剣を口に咥えて攻撃を受け止めようとする。
その瞬間、とてつもなく重くて硬い物が当たったかのような衝撃音がしたかと思うと後ろから心器の大剣だけが斧と共に弾き飛ばされて行き壁に突き刺さると、それを縫い付けるかのように戦斧が縫い付けるように心器を固定し、更に少し遅れて雪と氷の破片が後ろからぼくの前方へと弾け飛び舞う。
「心器を核にする、その発想はいいけどね……、衝撃で中から弾き飛ばしてしまえば無力化出来るんだよ!、特に栄花に滞在しているSランク冒険者の中には同じ事をする奴がいるからね、対応にこちとら馴れてんのさ!」
「そんな……」
「発想は良いとは思うけど、あんたの考えて試した事は既に誰かが通過した場所だって事を理解しな!それにこれはあたいが作った武器の性能を確認する為の戦いだよ?そこに心器何て無粋な物使うんじゃないよバカタレが!」
……無粋な物って言われても今まで武器として使ってたのが心器だったから、無意識に動いてしまっただけなんだけどトキはそれが気に入らなかったようだ。
それならこの新しい武器だけで何とか戦おうと思ったけど、『次【怪力】以外の能力を使った、本気でぶっ飛ばすからね!』と両手の戦斧を投げながらトキが更に怒りを口にするのだった。
トキが面白そうな物を見るような顔をしてこっちを見る。
とはいえ少しだけ重いから、多分これ怪力を使えなかったら鞘に入った状態でも重いのかな……いや、でも【軽量化】が付与されてるっていうし、普通に持てそうだと思って一度鞘にしまった後に、右手の長杖を床に置いてから大剣を持って怪力を解くと……
「……これ、無理!」
「え?ちょっとあんた何してんだい!?」
【軽量化】っていうから大丈夫だと思ったのに、ありえない程の重さに腕と手首が耐え切れずに内部から聞こえてはいけない鈍い音がしたかと思うと、本来なら曲がらない場所に関節が曲がってしまう。
それだけならまだ良いのだけれど余りの痛みに手を放す事も出来なくなってしまい、どう見ても凄惨な事故現場になったしまった。
とりあえず初歩的な治癒術を使い痛みを抑えて指先を一本ずつゆっくりと動かして大剣から手を離すと義肢の左手に心器の長杖を持たせて、【怪力】を再び発動させると治癒術を使い損傷個所の治療を始める。
「……怪力を切っても持てるかなって思ったら無理だった」
「そりゃあんた……軽量化してやっとあたいが持てるくらいだよ?それが
能力を使わなかったら一般人よりも少し力だある程度の奴が持てるわけないよ」
「なら最初から言ってくれたら良かったのに……」
「そりゃかもうかもだけどね……、普通こんな自殺行為に近い事する馬鹿がいるなんて思わないじゃないか、あんたが治癒術師じゃなかったら今頃治療が追い付かなくてその腕なくなっててもおかしくなかったと思うよ?」
自殺行為に近い事って……興味本位でやったとはいえ酷い言われようだ。
でもあれ位の損傷なら治癒術師だったら直ぐに治せる気がするから大丈夫だと思うんだけどな……
「これくらい出来て当然みたいな顔してるけど、あんなに早く精確な治癒術が出来る人の方が少ないから、自分の物差しで物事を考えるのは止めときな……同業者によってはそれは嫌味になるからね」
「……嫌味って当たり前に出来る事なんだけどな」
「あんたねぇ……、自分にとって当たり前だと思う事は他人にとっての非常識だって理解しな、そうしないと姫ちゃんとダートからそのうち愛想尽かされるよ?」
それは……特にダートに愛想を尽かされるのは嫌だ。
これから親になるというのに嫌われたらと思うと、そこから上手くいかなくなる気がするから……トキからの忠告を素直に聞いた方がいいのかもしれない。
「……うん、気を付けるよ」
「分かったならいいけど、とりあえず……怪我も治ったみたいだし武器の性能を確認を始めるよ」
「……確認?さっきの握った時のだけじゃダメなの?」
「それだけでも別に問題無いとは思うけど、実際に実戦で使ってみないといざと言う時上手く使えないってなったら、作った側の確認不足としかいいようがないよ……だからちょっとだけ痛い目見て貰うよ」
そう言うと腰につけているポーチから黒い片刃の戦斧を二本取り出すと、両手に掴んで刃のない方を肩に乗せて構える。
痛い目を見て貰うという事は、トキが実際に戦って武器の性能を見るという事なのだろう。
とりあえず心器の大剣を顕現させて氷と雪で作られた狼を、大剣を核にして作り出すと作って貰った方の武器を左右の手に持つ。
「これはあんたの為に作った武器の余った素材で作った斧だけどさ、色々と試している内に能力を複数付与する方法が分かってね【不壊】ともう一つ【転回】と言ってね……、こうやるんだ!」
戦斧を振り下ろすようにして投げたかと思うと、途中で回転しながらトキの元へと戻って行く。
そしてそれを再び掴むともう一度投げるが狙いが外れたようで後ろへと通り過ぎて行くけど、ポーチから今度は普通の片刃の斧を更に二本取り出して投げて走って来る。
「前からはあたい、後ろからは二本が転回して戻って来る!あんたにこれが防げるかい?」
「防ぐも何も……」
「その狼が守ってくれるって?出来るわけないだろ?あたいは能力を複数付与する方法が分かったって言ったんだ!」
「えっ……!?」
背後からの攻撃からぼくを守ろうとしてくれた狼が、氷で出来た大剣を口に咥えて攻撃を受け止めようとする。
その瞬間、とてつもなく重くて硬い物が当たったかのような衝撃音がしたかと思うと後ろから心器の大剣だけが斧と共に弾き飛ばされて行き壁に突き刺さると、それを縫い付けるかのように戦斧が縫い付けるように心器を固定し、更に少し遅れて雪と氷の破片が後ろからぼくの前方へと弾け飛び舞う。
「心器を核にする、その発想はいいけどね……、衝撃で中から弾き飛ばしてしまえば無力化出来るんだよ!、特に栄花に滞在しているSランク冒険者の中には同じ事をする奴がいるからね、対応にこちとら馴れてんのさ!」
「そんな……」
「発想は良いとは思うけど、あんたの考えて試した事は既に誰かが通過した場所だって事を理解しな!それにこれはあたいが作った武器の性能を確認する為の戦いだよ?そこに心器何て無粋な物使うんじゃないよバカタレが!」
……無粋な物って言われても今まで武器として使ってたのが心器だったから、無意識に動いてしまっただけなんだけどトキはそれが気に入らなかったようだ。
それならこの新しい武器だけで何とか戦おうと思ったけど、『次【怪力】以外の能力を使った、本気でぶっ飛ばすからね!』と両手の戦斧を投げながらトキが更に怒りを口にするのだった。
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