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第九章 戦いの中で……
36話 転生者について
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あの後、ショウソクがルード達が攻めて来るまでの間この隠し部屋で休むように言うと再び姿を消してしまった。
取り合えず……ここにいるように言われても、窓も無ければ寝具は一つしかない部屋でどう過ごせと言うのか。
取り合えず手持ち無沙汰になったぼく達はメイメイ達の所に戻り、ここに滞在する許可を貰った事を話すと……
「……なんじゃ、こんな暮らしづらそうな場所に客人を止まらせるとは、父は何を考えておるんじゃろうな」
「ベッドも一人分しかねぇし……それに何だかこのシーツ枯れ葉みたいな匂いがして、ここで寝るのは嫌だぜ俺は」
「それは多分……父の加齢臭なのじゃ、見た目はエルフ故に若いが充分に老いておるからのぅ」
「加齢臭かよ……」
加齢臭、確か古本や枯れ木に近い匂いがするとは聞いた事があるけど……どちらかというとショウソクの場合、肉体がメランティーナと同じというか自ら植物人間のような存在へと変える事が出来るから、加齢臭というよりも本物の枯れ葉の匂いが着いているのかもしれない。
「加齢臭は確か……耳の後ろとか洗うと良いって昔、古郷でお父様が言ってたなぁ」
「お父様……ダートの家族の事あんまり聞いた事無かった気がする」
「だってもうあそこに帰れるとは思えないし、いちいち話すようなもんでもないかなぁって」
「そうかもしれないけど、ぼくはダートの小さい頃の話とか沢山知りたいかな」
「ん……じゃあ、家に帰ったら今度話してあげるから楽しみにしててね?」
帰った時の楽しみが増えたけど、大事な出来事の前にそういう話をすると良くないっていうのを、以前ジラルドから聞いた事がある。
何でも戦いが終わった後の事に思考が無意識に寄ってしまい、普段のパフォーマンスを生かす事が出来なくなり、冒険者として活動する際に依頼の成功率が下がったりして、それが討伐系の依頼だった場合実際に死亡例が増えたりするケースが多いらしい。
……ぼくはそうならないように気持ちを引き締めておこう、それに今はそんな事よりもメイメイの前でダートの故郷の事を言う事に対して問題無いのか気になる……異世界から転移して来た事は出来る限り秘密にした方がいいと思う。
「ダート……メイメイの前で故郷の事言って大丈夫なの?」
「ん?……あぁ、問題無いのじゃ、一応ダリアから聞いてはおるからな……ダートは異世界からの転移者でダリアは、二人の間に産まれた子供という事しか知らんけどのぅ」
「いや、それ位知ってるなら充分じゃないかな……」
「まぁ、最近は少なくなったけどこの世界には転生者や、転移して来た者が来たりするからのぅ……驚きはせぬのじゃよ」
実際に身近に転移して来た人がいるとメイメイのように驚くような事は無い気がする。
この国にも異世界人が広めようとした漫画という本の複製品があったし……、昔からいたという事はぼくやカエデも何処かでその人達の血が混ざっている可能性があってもおかしくない。
ただ、そうだった場合……この世界の人間と繁殖可能な種族と言うのは正直ありえない確率だ。
ぼくとダートの間に子供が出来たのもそうだし……ただこれに関しては何となくだけど理由は分かるような気がする。
この世界は神々の手で元々複数の世界から切り取られて出来た世界だ、多分だけど神という神話的な存在が、一定の知識を持つ生命体を共有されたテンプレートを使って産み出して人間と呼ばれる形へと進化させていった場合、そうなる可能性があるだろうけど……とはいえこれはあくまでぼくの妄想だ。
「……ん?お主等の知り合いにも一人転生者がおるじゃろ?ほらミオラームという南東の国の」
「え?メイメイ様、ミオラーム様が転生者ってどういう事ですか?」
「その反応知らなかったようじゃな、やらかしたのじゃ……、という事はまだ前世の記憶が蘇ってないようじゃな、もしくは【マーシェンス】が前世とは比べ物にならなら程に蒸気を用いた機械文明いや……今はどちらかというか魔導具が発達しているとかで、前世を思い出す必要が無いのかもしれないのじゃ」
ミオラームが転生者、その言葉に少しだけ驚きはしたけど……正直ぼくからしたらそんな事はどうでもいい。
「別に誰が転生者だとか転移者とかどうでも良いよ、ミオラームはミオラームだし」
「じゃがもし記憶を取り戻したら、色々と影響を受けたりしておかしくなるかもしれないのじゃ……、遠い過去にあった事なのじゃが転生又は転移した者がこの世界に新しい調味料や食事、文化を根付かせようとした事があるのじゃが……既に似たような物があって挫折した場合何が起きるか分からんぞ?」
「それは大丈夫だよ、あの子には良き理解者がいるからね」
「なら良いのじゃがな……取り合えずこんな場所で長々と話すのはこれ位にして上に戻るのじゃよ、ここは空気が悪いからのぅ」
……そう言ってメイメイが部屋を出ると『余について来ないと戻れないから着いてくるのじゃよ』と言って手招きをする。
この部屋に滞在するようにショウソクから言われているのに、勝手に出ていいのだろうかと思いながら彼女に続くのだった。
取り合えず……ここにいるように言われても、窓も無ければ寝具は一つしかない部屋でどう過ごせと言うのか。
取り合えず手持ち無沙汰になったぼく達はメイメイ達の所に戻り、ここに滞在する許可を貰った事を話すと……
「……なんじゃ、こんな暮らしづらそうな場所に客人を止まらせるとは、父は何を考えておるんじゃろうな」
「ベッドも一人分しかねぇし……それに何だかこのシーツ枯れ葉みたいな匂いがして、ここで寝るのは嫌だぜ俺は」
「それは多分……父の加齢臭なのじゃ、見た目はエルフ故に若いが充分に老いておるからのぅ」
「加齢臭かよ……」
加齢臭、確か古本や枯れ木に近い匂いがするとは聞いた事があるけど……どちらかというとショウソクの場合、肉体がメランティーナと同じというか自ら植物人間のような存在へと変える事が出来るから、加齢臭というよりも本物の枯れ葉の匂いが着いているのかもしれない。
「加齢臭は確か……耳の後ろとか洗うと良いって昔、古郷でお父様が言ってたなぁ」
「お父様……ダートの家族の事あんまり聞いた事無かった気がする」
「だってもうあそこに帰れるとは思えないし、いちいち話すようなもんでもないかなぁって」
「そうかもしれないけど、ぼくはダートの小さい頃の話とか沢山知りたいかな」
「ん……じゃあ、家に帰ったら今度話してあげるから楽しみにしててね?」
帰った時の楽しみが増えたけど、大事な出来事の前にそういう話をすると良くないっていうのを、以前ジラルドから聞いた事がある。
何でも戦いが終わった後の事に思考が無意識に寄ってしまい、普段のパフォーマンスを生かす事が出来なくなり、冒険者として活動する際に依頼の成功率が下がったりして、それが討伐系の依頼だった場合実際に死亡例が増えたりするケースが多いらしい。
……ぼくはそうならないように気持ちを引き締めておこう、それに今はそんな事よりもメイメイの前でダートの故郷の事を言う事に対して問題無いのか気になる……異世界から転移して来た事は出来る限り秘密にした方がいいと思う。
「ダート……メイメイの前で故郷の事言って大丈夫なの?」
「ん?……あぁ、問題無いのじゃ、一応ダリアから聞いてはおるからな……ダートは異世界からの転移者でダリアは、二人の間に産まれた子供という事しか知らんけどのぅ」
「いや、それ位知ってるなら充分じゃないかな……」
「まぁ、最近は少なくなったけどこの世界には転生者や、転移して来た者が来たりするからのぅ……驚きはせぬのじゃよ」
実際に身近に転移して来た人がいるとメイメイのように驚くような事は無い気がする。
この国にも異世界人が広めようとした漫画という本の複製品があったし……、昔からいたという事はぼくやカエデも何処かでその人達の血が混ざっている可能性があってもおかしくない。
ただ、そうだった場合……この世界の人間と繁殖可能な種族と言うのは正直ありえない確率だ。
ぼくとダートの間に子供が出来たのもそうだし……ただこれに関しては何となくだけど理由は分かるような気がする。
この世界は神々の手で元々複数の世界から切り取られて出来た世界だ、多分だけど神という神話的な存在が、一定の知識を持つ生命体を共有されたテンプレートを使って産み出して人間と呼ばれる形へと進化させていった場合、そうなる可能性があるだろうけど……とはいえこれはあくまでぼくの妄想だ。
「……ん?お主等の知り合いにも一人転生者がおるじゃろ?ほらミオラームという南東の国の」
「え?メイメイ様、ミオラーム様が転生者ってどういう事ですか?」
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ミオラームが転生者、その言葉に少しだけ驚きはしたけど……正直ぼくからしたらそんな事はどうでもいい。
「別に誰が転生者だとか転移者とかどうでも良いよ、ミオラームはミオラームだし」
「じゃがもし記憶を取り戻したら、色々と影響を受けたりしておかしくなるかもしれないのじゃ……、遠い過去にあった事なのじゃが転生又は転移した者がこの世界に新しい調味料や食事、文化を根付かせようとした事があるのじゃが……既に似たような物があって挫折した場合何が起きるか分からんぞ?」
「それは大丈夫だよ、あの子には良き理解者がいるからね」
「なら良いのじゃがな……取り合えずこんな場所で長々と話すのはこれ位にして上に戻るのじゃよ、ここは空気が悪いからのぅ」
……そう言ってメイメイが部屋を出ると『余について来ないと戻れないから着いてくるのじゃよ』と言って手招きをする。
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