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第九章 戦いの中で……
71話 炎精と栄花騎士団
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栄花騎士団の人達が部屋に着くと中に入り、そこにあった光景は……顔を赤く腫らした二人組と、それを呆れたような顔をして見ているトキの姿だった。
いったい何があったのか気になるけど、今はそんな事に時間を掛けるよりも……あの戦いでアキラさんがどうなったのかが気になる。
謁見の間にもいなかったし、部屋の中にもいない……いったいどこにいるのだろうか。
「──つまりガイストくん、君は【天魔】シャルネ・ヘイルーンの能力で正気を失っていたから、その影響から解放されたので指名手配を取り下げて欲しいと?」
「そうじゃな……」
「おめぇよぉ、そんな都合の良い話が通用すると思ってんのかよ……ストラフィリアの前覇王ヴォルフガング・ストラフィリアの殺害、並びにこの世界の禁忌を犯してんだぞ?それで頭おかしくなって正気じゃなかったから、見逃せって理屈が通ると思ってんのかよ」
三人が真剣に話をしているけど、ぼくの頭の中ではアキラさんの事が優先だから……どうしても彼の事を探してしまう。
マスカレイドが最後に起こした爆発、首都はショウソクとアナイスのおかげで被害が無かったけど、周囲に起きた被害は壊滅的だった。
正直どうして首都が略無傷で済んだのかと疑問に思う所はあるけど、それに関しては彼女が自身の精霊を犠牲にしてまで守ってくれたと考えれば納得は出来なくはない。
けど……なら離れた所にいたアキラさんはどうしたのだろうか、向こう側にいた人達の殆どが黒い影のような染みになって地面に後だけを残して死体すら残らずに死んでしまった。
ただ、アキラさんの作ってくれた氷の防壁によって中に避難する事が人達は、奇跡的に火傷や強い光によって一時的に視力が失われる等の、治療が出来る範囲の負傷の範囲で収まり、現に冒険者の中で唯一生き残ったAランク冒険者【猛蛇】マダラ・スジオナメラも全身に酷い火傷を負っていたが無事に治療を終えて、冒険者ギルドに帰還している。
「ねぇトキ、アキラさんはどうしたの?」
「ん?あいつかい?……あぁ」
「もしかして何かあったの?」
「いや、心配なのは分かるけどさ、まずはあんたの姉貴の事をどうにかするべきじゃないのかい?」
「……優先順位としてはそうかもしれないけど、アキラさんの事が気になって個人的にはそっちを優先したいかな」
トキが呆れたような顔をしながら、『あんたのそういう所凄いと思うよ』と言葉にするけど……こればっかりはしょうがないと思う。
ぼくにとっては師匠であり、大事な友人でもある彼の事が気になるのは当然だ。
「アキラなら、今頃栄花にある自分の家で目を覚ましていると思うよ」
「……え?」
ちょっと意味が分からない。
……どうして栄花にある自分の家で目を覚ましているのだろうか、メイディから栄花までかなりの距離があるというのに
「アキラの奥の手を見た事無いって感じだね、あいつは生き残る事に関してはあたい達の中で最も得意だからね、命の危機を感じたら予め自分の能力で作った人形と居場所を入れ替える事で逃げんだよ」
「あぁ、なんかそれ以前見た事ある気がする」
確かジラルド達が初めてクイストに来て、Aランク昇格試験の時のリベンジの為にアキラさんに挑んだ時に氷像に変わったのを思い出す。
「なんだ見た事あるんじゃないかい、そんな訳でアキラは無事だよ……まぁ、あたい等を置いて逃げた事に関しては帰ったらぶん殴ってやりたいけど、そんな事したらアンに恨まれちまうから我慢するよ、あいつはアンから何があっても生きて側にいて欲しいって言う約束を守ってるだけだからね」
「……あぁ、取り合えず無事なら安心出来たからいいかな」
「そうかい?それならさっさとあっちの会話に入ってやりな、あたいはちょっとまだ体の節々が痛いからね、ゆっくりと休みたいんだよ」
「んー、それなら今度診療所に来てよ、トキなら安く治療するからさ」
「お?それなら、色々とやる事が終わったら行かせて貰う事にするよ」
トキはそう言うと、手を動かしてさっさと行けとジェスチャーをする。
それに頷いて三人の所に行くと……
「……レース君、ガイストを君は本当に保護するつもりかい?」
「やった事には問題があるのは確かだけど、ぼくにとっては大事な家族だからさ」
「おめぇ、もしかしてこいつに脅されたりしてんじゃねぇのか?」
「いや、そんな事は無いよ」
「ならどうしてこんな犯罪者を庇うんだよ」
ガイストに脅されているというよりは、マリステラに脅されていると言った方がいいだろう。
「……庇うって言うよりも助けて貰った恩があるのもあるかな、後はほら【天魔】シャルネ・ヘイルーンの事を知ってる人が身近にいるのって栄花騎士団にとってもいい事だと思うんだ」
「んな訳ねぇだ──」
「ハス、静かにしていてくれ……取り合えず話を聞いてもいいかな」
「ガイストは【精神汚染】のせいで人格に異常を来たしていたのはそうだけど、解放されて正常になった今、シャルネに対して色々と情報を持ってる筈だから力になれるんじゃないかな」
「なるほど……つまりレース君は栄花騎士団と【炎精】ガイストの間で司法取引が出来るという事を言いたいのかな」
……司法取引ってなんだろう?って思うけど、取り合えず話がうまく行きそうだから頷くと『まぁ、それで我の指名手配が取り下げられるのなら、知ってる事を何でも話そうかのぅ』とガイストが笑顔を作り、ライさんへと向けて手を差し出す。
そして『指名手配の取り下げは俺の一存では出来ないけど、司法取引が出来るのなら最善を尽くす事を約束しよう』と言葉にして握手を交わすのだった。
いったい何があったのか気になるけど、今はそんな事に時間を掛けるよりも……あの戦いでアキラさんがどうなったのかが気になる。
謁見の間にもいなかったし、部屋の中にもいない……いったいどこにいるのだろうか。
「──つまりガイストくん、君は【天魔】シャルネ・ヘイルーンの能力で正気を失っていたから、その影響から解放されたので指名手配を取り下げて欲しいと?」
「そうじゃな……」
「おめぇよぉ、そんな都合の良い話が通用すると思ってんのかよ……ストラフィリアの前覇王ヴォルフガング・ストラフィリアの殺害、並びにこの世界の禁忌を犯してんだぞ?それで頭おかしくなって正気じゃなかったから、見逃せって理屈が通ると思ってんのかよ」
三人が真剣に話をしているけど、ぼくの頭の中ではアキラさんの事が優先だから……どうしても彼の事を探してしまう。
マスカレイドが最後に起こした爆発、首都はショウソクとアナイスのおかげで被害が無かったけど、周囲に起きた被害は壊滅的だった。
正直どうして首都が略無傷で済んだのかと疑問に思う所はあるけど、それに関しては彼女が自身の精霊を犠牲にしてまで守ってくれたと考えれば納得は出来なくはない。
けど……なら離れた所にいたアキラさんはどうしたのだろうか、向こう側にいた人達の殆どが黒い影のような染みになって地面に後だけを残して死体すら残らずに死んでしまった。
ただ、アキラさんの作ってくれた氷の防壁によって中に避難する事が人達は、奇跡的に火傷や強い光によって一時的に視力が失われる等の、治療が出来る範囲の負傷の範囲で収まり、現に冒険者の中で唯一生き残ったAランク冒険者【猛蛇】マダラ・スジオナメラも全身に酷い火傷を負っていたが無事に治療を終えて、冒険者ギルドに帰還している。
「ねぇトキ、アキラさんはどうしたの?」
「ん?あいつかい?……あぁ」
「もしかして何かあったの?」
「いや、心配なのは分かるけどさ、まずはあんたの姉貴の事をどうにかするべきじゃないのかい?」
「……優先順位としてはそうかもしれないけど、アキラさんの事が気になって個人的にはそっちを優先したいかな」
トキが呆れたような顔をしながら、『あんたのそういう所凄いと思うよ』と言葉にするけど……こればっかりはしょうがないと思う。
ぼくにとっては師匠であり、大事な友人でもある彼の事が気になるのは当然だ。
「アキラなら、今頃栄花にある自分の家で目を覚ましていると思うよ」
「……え?」
ちょっと意味が分からない。
……どうして栄花にある自分の家で目を覚ましているのだろうか、メイディから栄花までかなりの距離があるというのに
「アキラの奥の手を見た事無いって感じだね、あいつは生き残る事に関してはあたい達の中で最も得意だからね、命の危機を感じたら予め自分の能力で作った人形と居場所を入れ替える事で逃げんだよ」
「あぁ、なんかそれ以前見た事ある気がする」
確かジラルド達が初めてクイストに来て、Aランク昇格試験の時のリベンジの為にアキラさんに挑んだ時に氷像に変わったのを思い出す。
「なんだ見た事あるんじゃないかい、そんな訳でアキラは無事だよ……まぁ、あたい等を置いて逃げた事に関しては帰ったらぶん殴ってやりたいけど、そんな事したらアンに恨まれちまうから我慢するよ、あいつはアンから何があっても生きて側にいて欲しいって言う約束を守ってるだけだからね」
「……あぁ、取り合えず無事なら安心出来たからいいかな」
「そうかい?それならさっさとあっちの会話に入ってやりな、あたいはちょっとまだ体の節々が痛いからね、ゆっくりと休みたいんだよ」
「んー、それなら今度診療所に来てよ、トキなら安く治療するからさ」
「お?それなら、色々とやる事が終わったら行かせて貰う事にするよ」
トキはそう言うと、手を動かしてさっさと行けとジェスチャーをする。
それに頷いて三人の所に行くと……
「……レース君、ガイストを君は本当に保護するつもりかい?」
「やった事には問題があるのは確かだけど、ぼくにとっては大事な家族だからさ」
「おめぇ、もしかしてこいつに脅されたりしてんじゃねぇのか?」
「いや、そんな事は無いよ」
「ならどうしてこんな犯罪者を庇うんだよ」
ガイストに脅されているというよりは、マリステラに脅されていると言った方がいいだろう。
「……庇うって言うよりも助けて貰った恩があるのもあるかな、後はほら【天魔】シャルネ・ヘイルーンの事を知ってる人が身近にいるのって栄花騎士団にとってもいい事だと思うんだ」
「んな訳ねぇだ──」
「ハス、静かにしていてくれ……取り合えず話を聞いてもいいかな」
「ガイストは【精神汚染】のせいで人格に異常を来たしていたのはそうだけど、解放されて正常になった今、シャルネに対して色々と情報を持ってる筈だから力になれるんじゃないかな」
「なるほど……つまりレース君は栄花騎士団と【炎精】ガイストの間で司法取引が出来るという事を言いたいのかな」
……司法取引ってなんだろう?って思うけど、取り合えず話がうまく行きそうだから頷くと『まぁ、それで我の指名手配が取り下げられるのなら、知ってる事を何でも話そうかのぅ』とガイストが笑顔を作り、ライさんへと向けて手を差し出す。
そして『指名手配の取り下げは俺の一存では出来ないけど、司法取引が出来るのなら最善を尽くす事を約束しよう』と言葉にして握手を交わすのだった。
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