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第十二章 魔導国物語
14話 無の天使
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産まれたばかりの子が狙われている。
その言葉の意味が分からなくて、返事を返すことすら出来ずに固まってしまう。
「おいおい、ソフィア様よぉ、それってどういう……事なんですか?」
「ダリアさん、話しやすい方で問題ありませんよ?」
「そうか?ありがとな、で?俺の可愛い弟が狙われてるって何でだよ、時空間魔術なら俺も使えるだろうが」
ダリアが私の変わりに、聞きたかった事を言ってくれるけど、本当になんでラディアを狙ってるのか。
シャルネは、私のお腹の中に当時、子供がいることを知らなかったと思うの……に……?
「もしかして……」
「ダートさん、どうしましたか?」
この事を知っているのは、私達以外に誰がいるのか。
そう疑問に思った時だった、レースが学園の教師をしていた時に尋ねに来たキューさん……グロウフェレス、彼の事が脳裏を過ぎる。
「……グロウフェレス、彼が私達の事をシャルネに?」
「あぁ、そう言えばあいつ、学園の教師に憑依?いや、身体の中に精神を召喚されてたんだっけ?んー?してもらってた?ややこしいな」
「えぇ、私の予想が間違えで無ければ、その時にラディア君の事を知ったのだと思います」
「おいおい、何でそれで、まだ生まれて無かった俺の弟が狙われなければいけねぇんだよ、母さんの次元断に、俺の時空間魔術、あいつらが狙ってるのはこれだろ?あいつは関係ねぇだろ」
もしかしてだけど、シャルネの中で、私とレースの間に生まれる子は全員【時空間魔術】が使えるかもって考えているのかもしれない。
もしそうだったとしたら、狙われる理由にもなるけど、あちら側は何時産まれるか知らないわけで……
「ソフィアさん、もしかして……シャルネの狙いはラディアをまだお腹の中に宿していた頃の私?」
「えぇ、本来の目的はそうだったのだと思います、ですが……」
「もしかして……産まれたから計画を変更した?」
「……そうなりますね」
けど、そうなるとグロウフェレスの件とは話が繋がらない気がする。
私が当時、妊娠した事を彼が知ったのなら、シャルネの元に帰った後に直ぐに報告した後、栄花に攻め込む前に来てもおかしく無いのに、なぜかそうしなかった。
そう思うと……彼は私達の事を言わずに黙っていてくれたのかもしれない。
でも、なら誰が?他にこの事を知っている相手は、誰がいただろうか……。
「あ?それってなんかおかしくねぇか?なんで、生まれたばかりのラディアの事を、あちら側が知ってんだよ」
「それは……大変言いづらいのですが、私の落ち度です」
「あ?どういうことだよ」
「この領主館の使用人の一人が、シャルネから【精神汚染】の影響を受けていたみたいでして、本人の意思に反して無意識の間に彼女達の仲間に情報を渡してしまったそうです」
二人の話を聞いて、精神汚染の影響を受けていたのなら納得は出来る。
当時、私達を案内してくれた頭の固そうな人が、以前シャルネに接触した事があるのかもしれない。
だって、あの人は表向きは行商人の振りをしながら、この世界を自由に動き回っていたから、会うなというのは無理がある。
「精神汚染……?それって確かレースも影響を受けてましたよね?」
でも、それならレースは……?、彼もストラフィリアでシャルネに身体を奪われたり、精神汚染の影響で名前を言う事が出来なかった。
今は大丈夫だと信じたいけど、もし影響をまだ受けていて無意識に情報を渡してしまっていたら、私はどうすればいいのかな。
大事な人を信じられなくなりそうで、恐怖から言葉が震えてしまう。
「ダートさん安心してください、あなたもご存じの通りレース君はマスカレイドが作成した偽装の魔導具のおかげで、彼女の能力の影響下にありません」
「けど、もしかしたらってこともあるかも……」
「……他に他者に流されないくらいに強い意思を持った方なら、精神汚染の影響を受けずにいられます、あなたが選んだ人が、簡単に流されるような方に見えますか?」
「……大丈夫だと思う」
「ですよね?レース君は、良くも悪くも周りに流されはしませんから、私の知っている彼は独りよがりなところがあったり、人との距離感を掴むのが苦手なところはあっても、思慮深く思いやりがある優しい子ですからね」
今は……独りよがりなところがだいぶ無くなって来たけれど、確かにまだちょっとだけ、距離感を間違えたり、言葉が足らなくて人を怒らせてしまう時がある。
でも、ソフィアさんの言うように、簡単に流されたり、自分の考えを曲げるような人じゃない。
……そもそも、私が彼を信じてあげなくて、誰が愛する夫を一番に信じてあげるのだろうか。
「……厄介な事になっちまったな、これだと俺がここにいる事もバレてんじゃねぇか?」
「それに関しては問題ありません、影響下にあるとみられる使用人は全員、首都へと返しましたので……変わりに今ここにいるのは新たに、カルディア様が遺してくれた判別方法を使って、この辺境開拓都市で雇い入れた方達ですから」
……ソフィアさんは笑いながらそう言うけれど、親しい使用人達が去ってしまったのは辛い筈。
そう思うけれど、私にはどうする事も出来なくて、申し訳ない気持ちになってしまうのだった。
その言葉の意味が分からなくて、返事を返すことすら出来ずに固まってしまう。
「おいおい、ソフィア様よぉ、それってどういう……事なんですか?」
「ダリアさん、話しやすい方で問題ありませんよ?」
「そうか?ありがとな、で?俺の可愛い弟が狙われてるって何でだよ、時空間魔術なら俺も使えるだろうが」
ダリアが私の変わりに、聞きたかった事を言ってくれるけど、本当になんでラディアを狙ってるのか。
シャルネは、私のお腹の中に当時、子供がいることを知らなかったと思うの……に……?
「もしかして……」
「ダートさん、どうしましたか?」
この事を知っているのは、私達以外に誰がいるのか。
そう疑問に思った時だった、レースが学園の教師をしていた時に尋ねに来たキューさん……グロウフェレス、彼の事が脳裏を過ぎる。
「……グロウフェレス、彼が私達の事をシャルネに?」
「あぁ、そう言えばあいつ、学園の教師に憑依?いや、身体の中に精神を召喚されてたんだっけ?んー?してもらってた?ややこしいな」
「えぇ、私の予想が間違えで無ければ、その時にラディア君の事を知ったのだと思います」
「おいおい、何でそれで、まだ生まれて無かった俺の弟が狙われなければいけねぇんだよ、母さんの次元断に、俺の時空間魔術、あいつらが狙ってるのはこれだろ?あいつは関係ねぇだろ」
もしかしてだけど、シャルネの中で、私とレースの間に生まれる子は全員【時空間魔術】が使えるかもって考えているのかもしれない。
もしそうだったとしたら、狙われる理由にもなるけど、あちら側は何時産まれるか知らないわけで……
「ソフィアさん、もしかして……シャルネの狙いはラディアをまだお腹の中に宿していた頃の私?」
「えぇ、本来の目的はそうだったのだと思います、ですが……」
「もしかして……産まれたから計画を変更した?」
「……そうなりますね」
けど、そうなるとグロウフェレスの件とは話が繋がらない気がする。
私が当時、妊娠した事を彼が知ったのなら、シャルネの元に帰った後に直ぐに報告した後、栄花に攻め込む前に来てもおかしく無いのに、なぜかそうしなかった。
そう思うと……彼は私達の事を言わずに黙っていてくれたのかもしれない。
でも、なら誰が?他にこの事を知っている相手は、誰がいただろうか……。
「あ?それってなんかおかしくねぇか?なんで、生まれたばかりのラディアの事を、あちら側が知ってんだよ」
「それは……大変言いづらいのですが、私の落ち度です」
「あ?どういうことだよ」
「この領主館の使用人の一人が、シャルネから【精神汚染】の影響を受けていたみたいでして、本人の意思に反して無意識の間に彼女達の仲間に情報を渡してしまったそうです」
二人の話を聞いて、精神汚染の影響を受けていたのなら納得は出来る。
当時、私達を案内してくれた頭の固そうな人が、以前シャルネに接触した事があるのかもしれない。
だって、あの人は表向きは行商人の振りをしながら、この世界を自由に動き回っていたから、会うなというのは無理がある。
「精神汚染……?それって確かレースも影響を受けてましたよね?」
でも、それならレースは……?、彼もストラフィリアでシャルネに身体を奪われたり、精神汚染の影響で名前を言う事が出来なかった。
今は大丈夫だと信じたいけど、もし影響をまだ受けていて無意識に情報を渡してしまっていたら、私はどうすればいいのかな。
大事な人を信じられなくなりそうで、恐怖から言葉が震えてしまう。
「ダートさん安心してください、あなたもご存じの通りレース君はマスカレイドが作成した偽装の魔導具のおかげで、彼女の能力の影響下にありません」
「けど、もしかしたらってこともあるかも……」
「……他に他者に流されないくらいに強い意思を持った方なら、精神汚染の影響を受けずにいられます、あなたが選んだ人が、簡単に流されるような方に見えますか?」
「……大丈夫だと思う」
「ですよね?レース君は、良くも悪くも周りに流されはしませんから、私の知っている彼は独りよがりなところがあったり、人との距離感を掴むのが苦手なところはあっても、思慮深く思いやりがある優しい子ですからね」
今は……独りよがりなところがだいぶ無くなって来たけれど、確かにまだちょっとだけ、距離感を間違えたり、言葉が足らなくて人を怒らせてしまう時がある。
でも、ソフィアさんの言うように、簡単に流されたり、自分の考えを曲げるような人じゃない。
……そもそも、私が彼を信じてあげなくて、誰が愛する夫を一番に信じてあげるのだろうか。
「……厄介な事になっちまったな、これだと俺がここにいる事もバレてんじゃねぇか?」
「それに関しては問題ありません、影響下にあるとみられる使用人は全員、首都へと返しましたので……変わりに今ここにいるのは新たに、カルディア様が遺してくれた判別方法を使って、この辺境開拓都市で雇い入れた方達ですから」
……ソフィアさんは笑いながらそう言うけれど、親しい使用人達が去ってしまったのは辛い筈。
そう思うけれど、私にはどうする事も出来なくて、申し訳ない気持ちになってしまうのだった。
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