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1章
海の女王VS氷の女王
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「ディーネって……エミルダさんが言っていた……」
絵の中に入る前にこの世界を創り出した人物の名を聞かされていた3人は、砂浜で出会った少女の名前がその名前と一致していたことに驚きを隠せなかった。
「ま、待ってください!確かにエミルダさんが言っていた名前はディーネでしたが、そもそもその人物は人魚だって話ですよ!?」
「そ、そうだったわね。確かにあの子はどう見ても人間……」
「でも、たまたま名前が一緒だったってこと?この世界にどれだけ人がいるのかもわからないけどそんな偶然あるのかな……」
「あの?まさか皆さん、私のことご存じなんですか?」
「い、いや!何でもない!私たちの共通の友人と同じ名前だったから少し驚いただけで……」
しかし3人はすぐにエミルダさんが言っていた人物というのが人魚であるという話を思い出したのだ。
ディーネに背を向けてこそこそとそのことを確認する3人。
そしてひとまず偶然同じ名前だったということにして城に行くことを優先した。
「そうですか……では早速城に行きましょう。アレスさんがいる場所も知っていますから」
こうしてティナたちはディーネの後を追うように海の上に立つ青城を目指すこととなった。
「ねえ……2人とも。もしだよ?もしもあの子が人間に化けていてこの絵の世界を創り出したって言う人魚本人だったらどうする?」
その道中、自然とディーネから少しだけ距離をとった3人は彼女に聞かれないよう小声で彼女についての話を始めた。
「……その時は、彼女にこの世界からの出口を作ってもらえるようお願いしよう」
「ですが、それはつまり彼女に……」
「わかってる。だけどこの世界から出るためには仕方がないんだ」
「……ひとまず、アレス君を助け出してから改めてディーネさんに話を聞いてみることにしよう?」
アレスたちを助け出してこの世界から脱出することは3人が絵の中に入る前に決意したこと。
しかしいざ本当にこの世界を創り出した張本人を目の前にしたかと思うと、創造主の人魚の命を奪うという3人の覚悟はいとも簡単に揺らいでしまったのだ。
「この道を行けばすぐにお城の入り口です!」
覚悟が揺らぎ、苦しい決断が迫っていることを感じ取っていた3人だったが、結論など出るわけもなく4人はアレスが捉えられているという城の入り口付近までやってきたのだ。
だがそこで4人に問題が立ちはだかる。
「ディーネや。一体何をしているというのじゃ」
「エリギュラさん……」
城の入り口にはディーネがティナたちを連れてくることが分かっていたかのように、エリギュラが大勢の兵士と共にその帰りを待ち構えていたのだ。
「ディーネさん、奴らは?」
「あの真ん中に居る女の人がエリギュラさん。このお城の主でアレスさんを捕まえた……悪い人です」
「まったく。あちきが一体誰のために今まで働いてきたと思うとるのじゃ」
ディーネのその言葉を聞いたエリギュラはアレスと戦った時にも使用した三股の槍を取り出した。
さらに周囲に居た兵士たちにもハンドサインを送り臨戦態勢を取らせたのだ。
「アレス君を捕まるなんて、そんなの……」
「落ち着いてソシア。アレスが普通に戦えば誰かに負けるわけがないでしょう?」
「ティナさん……」
「奴らは私が請け負うわ。あなたたちは先に行ってアレスを助けてちょうだい」
「わかりました!アレスさんのことは僕たちに任せてください!ディーネさん、案内お願いします!」
「わ、わかりました!」
「何を言ってるのじゃ。誰もあちきの城の中へ立ち入らせるわけがなかろうが」
戦闘の意思をみせたエリギュラに、ティナは前へゆっくりと歩み出る。
そして静かに冷気を纏うとソシアたちに先にアレスの元に行くよう促したのだ。
「どんな汚い手を使ったか知らないけれど、アレスの仇は討たせてもらうわよ」
「戯言を……海龍神の咆哮!!」
ティナの言葉にエリギュラが力強く槍を構える。
エリギュラが構えた槍が水の流れを纏ったかと思うと、直後エリギュラは龍の突進を思わせるような激流をティナに向けて放ったのだ。
「ふぅー……爆凍・アイスフレア!!」
バキィイイイン!!
獲物を抉らんとする龍の突進に、ティナは動じることなく刀に手をかける。
そして白く凍てついた息を短く吐き出すと、凄まじい速度で抜刀し蓄えた冷気を一気に爆発させ水の龍を一瞬で凍り付かせばらばらにしてしまったのだ。
「なにっ!?」
「さあ3人とも!!先に行って!」
「わかりました!!インパクトシールド!!」
「ぎゃああああ!!」
「うわぁあああ!!」
「ディーネさん!案内お願いします!!」
渾身の一撃をいとも簡単に相殺されてしまったことに驚きを隠せないエリギュラ。
その隙を付いたジョージが盾の突進で入り口を塞ぐ兵士たちを吹き飛ばすと、そのまま3人同時に城の中へ突入していったのだ。
「侵入者だー!!」
「即刻捕えよ!!」
「わぁ!中からも兵士がたくさん来ちゃった!!」
エリギュラの相手をティナに任せて城の中へと突入したソシアたち。
しかし当然城の中にも大量の兵士たちが待機しており、アレスが捕まっている部屋を目指そうとしたソシアたちの前に立ちはだかったのだ。
「回り道しましょう!こっちです!」
「うん!その前にあなたたちはついてこないでね!!」
正面の道は困難だと踏んだディーネは別の道からアレスの元を目指すことにする。
来た道を引き返すディーネにソシアは最後尾に残ると腰に身に着けていたポーチから片手でつかめるサイズの球を取り出した。
直後、ソシアがその球を自身と兵士たちの中間地点の地面に投げつける。
すると地面に叩きつけられた球が破裂し中から白い煙が噴き出したのだ。
「くそっ!目くらましか!?」
「奴らはどこへ行ったー!?」
「よし!今の内に急ごう!」
こうして3人は迫りくる兵士たちから逃げながら着実にアレスが囚われている部屋に向かっていったのだ。
一方そのころ城の入り口に残りエリギュラの足止めを任されたティナ。
「がぁ……はぁ……はぁ……。この小娘がぁ!!」
「やっぱりこの程度の実力じゃアレスには逆立ちしても勝てないわね」
彼女はエリギュラを圧倒し、周囲に居た兵士たちも皆氷漬けにしてしまっていたのだ。
「それじゃあそろそろ貴女も凍ってくれると助かるのだけど」
「ふ、ふふっ……甘いわ!!これしきで勝ったと思うなよ!!」
ゴゴゴォオオオ……
「っ!?なにっ!?」
追い詰められたエリギュラ。
しかし切り札を隠し持つエリギュラはアレスの時と同様勝利を確信すると笑みを浮かべながら仕掛けを作動させたのだ。
その直後、けたたましい音と共に城そのものが揺れ始める。
(これは……城が海に沈む!?)
「この城に来た時点で貴様らの負けじゃ!!中に入った仲間もろとも海に沈むがいい!!」
「やっぱりそういうことか!!」
「っ!?なにを……」
すべてが海に沈めば自身の勝利は確実のもの。
そう考えるエリギュラはこの仕掛けを作動させた段階で勝利を確信しそう叫んだのだが、城が沈むことを察知したティナは刀を鞘に納めるとその場にしゃがみ込み両手を地面にかざしたのだ。
「お前程度じゃアレスにはもちろん……私にだって勝てるわけがないでしょうが!!」
(……最大出力!!)
「完全凍結!!!」
「っ!!」
直後、ティナがかざした両手から凄まじい冷気を放つ。
床は一瞬で凍結し、氷は瞬く間に周囲の海へと広がっていく。
「ふぅー……ソシアたちを巻き込まないよう範囲は絞ったけど、こんなものね」
「貴様……!」
ティナが立ち上がり自身の両手に薄く張った氷をバリバリと砕く頃には城の周囲は一面氷の世界に閉ざされていたのだ。
ソシアたちを巻き込まないよう城を凍り付かせないよう配慮したためエリギュラを仕留めるには至らなかったが、ティナは見事城が海へ沈むことを阻止してみせたのだ。
絵の中に入る前にこの世界を創り出した人物の名を聞かされていた3人は、砂浜で出会った少女の名前がその名前と一致していたことに驚きを隠せなかった。
「ま、待ってください!確かにエミルダさんが言っていた名前はディーネでしたが、そもそもその人物は人魚だって話ですよ!?」
「そ、そうだったわね。確かにあの子はどう見ても人間……」
「でも、たまたま名前が一緒だったってこと?この世界にどれだけ人がいるのかもわからないけどそんな偶然あるのかな……」
「あの?まさか皆さん、私のことご存じなんですか?」
「い、いや!何でもない!私たちの共通の友人と同じ名前だったから少し驚いただけで……」
しかし3人はすぐにエミルダさんが言っていた人物というのが人魚であるという話を思い出したのだ。
ディーネに背を向けてこそこそとそのことを確認する3人。
そしてひとまず偶然同じ名前だったということにして城に行くことを優先した。
「そうですか……では早速城に行きましょう。アレスさんがいる場所も知っていますから」
こうしてティナたちはディーネの後を追うように海の上に立つ青城を目指すこととなった。
「ねえ……2人とも。もしだよ?もしもあの子が人間に化けていてこの絵の世界を創り出したって言う人魚本人だったらどうする?」
その道中、自然とディーネから少しだけ距離をとった3人は彼女に聞かれないよう小声で彼女についての話を始めた。
「……その時は、彼女にこの世界からの出口を作ってもらえるようお願いしよう」
「ですが、それはつまり彼女に……」
「わかってる。だけどこの世界から出るためには仕方がないんだ」
「……ひとまず、アレス君を助け出してから改めてディーネさんに話を聞いてみることにしよう?」
アレスたちを助け出してこの世界から脱出することは3人が絵の中に入る前に決意したこと。
しかしいざ本当にこの世界を創り出した張本人を目の前にしたかと思うと、創造主の人魚の命を奪うという3人の覚悟はいとも簡単に揺らいでしまったのだ。
「この道を行けばすぐにお城の入り口です!」
覚悟が揺らぎ、苦しい決断が迫っていることを感じ取っていた3人だったが、結論など出るわけもなく4人はアレスが捉えられているという城の入り口付近までやってきたのだ。
だがそこで4人に問題が立ちはだかる。
「ディーネや。一体何をしているというのじゃ」
「エリギュラさん……」
城の入り口にはディーネがティナたちを連れてくることが分かっていたかのように、エリギュラが大勢の兵士と共にその帰りを待ち構えていたのだ。
「ディーネさん、奴らは?」
「あの真ん中に居る女の人がエリギュラさん。このお城の主でアレスさんを捕まえた……悪い人です」
「まったく。あちきが一体誰のために今まで働いてきたと思うとるのじゃ」
ディーネのその言葉を聞いたエリギュラはアレスと戦った時にも使用した三股の槍を取り出した。
さらに周囲に居た兵士たちにもハンドサインを送り臨戦態勢を取らせたのだ。
「アレス君を捕まるなんて、そんなの……」
「落ち着いてソシア。アレスが普通に戦えば誰かに負けるわけがないでしょう?」
「ティナさん……」
「奴らは私が請け負うわ。あなたたちは先に行ってアレスを助けてちょうだい」
「わかりました!アレスさんのことは僕たちに任せてください!ディーネさん、案内お願いします!」
「わ、わかりました!」
「何を言ってるのじゃ。誰もあちきの城の中へ立ち入らせるわけがなかろうが」
戦闘の意思をみせたエリギュラに、ティナは前へゆっくりと歩み出る。
そして静かに冷気を纏うとソシアたちに先にアレスの元に行くよう促したのだ。
「どんな汚い手を使ったか知らないけれど、アレスの仇は討たせてもらうわよ」
「戯言を……海龍神の咆哮!!」
ティナの言葉にエリギュラが力強く槍を構える。
エリギュラが構えた槍が水の流れを纏ったかと思うと、直後エリギュラは龍の突進を思わせるような激流をティナに向けて放ったのだ。
「ふぅー……爆凍・アイスフレア!!」
バキィイイイン!!
獲物を抉らんとする龍の突進に、ティナは動じることなく刀に手をかける。
そして白く凍てついた息を短く吐き出すと、凄まじい速度で抜刀し蓄えた冷気を一気に爆発させ水の龍を一瞬で凍り付かせばらばらにしてしまったのだ。
「なにっ!?」
「さあ3人とも!!先に行って!」
「わかりました!!インパクトシールド!!」
「ぎゃああああ!!」
「うわぁあああ!!」
「ディーネさん!案内お願いします!!」
渾身の一撃をいとも簡単に相殺されてしまったことに驚きを隠せないエリギュラ。
その隙を付いたジョージが盾の突進で入り口を塞ぐ兵士たちを吹き飛ばすと、そのまま3人同時に城の中へ突入していったのだ。
「侵入者だー!!」
「即刻捕えよ!!」
「わぁ!中からも兵士がたくさん来ちゃった!!」
エリギュラの相手をティナに任せて城の中へと突入したソシアたち。
しかし当然城の中にも大量の兵士たちが待機しており、アレスが捕まっている部屋を目指そうとしたソシアたちの前に立ちはだかったのだ。
「回り道しましょう!こっちです!」
「うん!その前にあなたたちはついてこないでね!!」
正面の道は困難だと踏んだディーネは別の道からアレスの元を目指すことにする。
来た道を引き返すディーネにソシアは最後尾に残ると腰に身に着けていたポーチから片手でつかめるサイズの球を取り出した。
直後、ソシアがその球を自身と兵士たちの中間地点の地面に投げつける。
すると地面に叩きつけられた球が破裂し中から白い煙が噴き出したのだ。
「くそっ!目くらましか!?」
「奴らはどこへ行ったー!?」
「よし!今の内に急ごう!」
こうして3人は迫りくる兵士たちから逃げながら着実にアレスが囚われている部屋に向かっていったのだ。
一方そのころ城の入り口に残りエリギュラの足止めを任されたティナ。
「がぁ……はぁ……はぁ……。この小娘がぁ!!」
「やっぱりこの程度の実力じゃアレスには逆立ちしても勝てないわね」
彼女はエリギュラを圧倒し、周囲に居た兵士たちも皆氷漬けにしてしまっていたのだ。
「それじゃあそろそろ貴女も凍ってくれると助かるのだけど」
「ふ、ふふっ……甘いわ!!これしきで勝ったと思うなよ!!」
ゴゴゴォオオオ……
「っ!?なにっ!?」
追い詰められたエリギュラ。
しかし切り札を隠し持つエリギュラはアレスの時と同様勝利を確信すると笑みを浮かべながら仕掛けを作動させたのだ。
その直後、けたたましい音と共に城そのものが揺れ始める。
(これは……城が海に沈む!?)
「この城に来た時点で貴様らの負けじゃ!!中に入った仲間もろとも海に沈むがいい!!」
「やっぱりそういうことか!!」
「っ!?なにを……」
すべてが海に沈めば自身の勝利は確実のもの。
そう考えるエリギュラはこの仕掛けを作動させた段階で勝利を確信しそう叫んだのだが、城が沈むことを察知したティナは刀を鞘に納めるとその場にしゃがみ込み両手を地面にかざしたのだ。
「お前程度じゃアレスにはもちろん……私にだって勝てるわけがないでしょうが!!」
(……最大出力!!)
「完全凍結!!!」
「っ!!」
直後、ティナがかざした両手から凄まじい冷気を放つ。
床は一瞬で凍結し、氷は瞬く間に周囲の海へと広がっていく。
「ふぅー……ソシアたちを巻き込まないよう範囲は絞ったけど、こんなものね」
「貴様……!」
ティナが立ち上がり自身の両手に薄く張った氷をバリバリと砕く頃には城の周囲は一面氷の世界に閉ざされていたのだ。
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