20 / 21
3- 逃亡と錯綜
咆哮の魔獣__『スライム』
しおりを挟む
…なんだか、いつも歩いているような気がする。
夜の星は煌々と輝いていて、その中でも大きな紫紺の光へと歩を進める。
「そろそろ眠いのだけど……」
小さな口を開けて、既に微睡みに沈みそうなフィラがあくびをしながらそう言う。
俺たちは、例の『賢者』を探す為に星の方角へと歩いていた。街の城門を抜けて、この世界に来た初めての街を後にする。あの白い巨塔を見る機会はもうないだろうか。
小一時間は経ったところで、皆の足取りがおぼつかなくなってきた。時間的には、日が沈む後だから大体7時かそんなところだろうが、なにせ日中にあれだけ色々あったのだ。疲れて当然といったら当然か。
俺は、背中に背負うリュックサックのような鞄の紐を緩め、中から簡易テント?を取り出した。流石転生した俺には様々な荷物を授けてくれたようで、他にも簡易食料、毛布、変えの洋服、そして火打ち石など色々入っている。重さも大きさもそこまで入るようには見えないので、きっとなにかしらの魔法かなにかが掛かっているのだろうとは思う。流石異世界だ。
さて、俺はテントを組み立てようとしてのだが、一瞬でかなりの大きさに開いた。
「私に……野宿させようなんて……神なのに!」
「愚痴るな」
アクリスは真っ先にテントへ突っ込んで、そのまま秒速で寝てしまった。
銀河の下に広がる草原の中、3つの温もりが瞼を下げた。
__
「北の大地」とは言うが、まぁ当然だが一朝一夕ではたどり着けない距離だ、特に徒歩では。
なんだか、いつも歩いている気がする。
「あれ、遠くの方になんか見えるぞ!」
突如、俺の耳に響いたのはそんな言葉だった。アクリスが指差す先には、かすかに「何か」がある。
「街?……ん、なんだかさっきよりも大きく見えないか…」
遠くに見えた「ソレ」は、以前よりも近く見え、
絶叫がつんざく。
心を強く保たなければ失禁・嘔吐はしそうな異形が、草地に跡を残しながら猛スピードで近づいてくるのだ。俺たちの前で急停止、そして俺たちはソレを見上げる形になる。
「ま、魔獣……」
「お、おぅ……」
《魔獣とは、野生で生息する異形の、人間に対して敵対心を抱く生物で、形状は周りの環境に大きく依存します》
土ごとえぐりながら、濃い紫の触手が地面を吹き飛ばす。風圧で思わず倒れ、第二打は俺をかすめて、地面は俺を乗せて数メートル吹っ飛ぶ。
色は濃い紫。身体全体から醜い体液が滲みだしていて、それはある意味スライムのような印象を与える。が、某クエストにおけるような可愛らしい水色のものではなく、触手を十数本は備えた殺人マシンだ。
「誰かっ!助け…」
フィラは泣き叫び、泥まみれになりながらも必死に逃げ回っている。
「刺突!」
俺は手をかざし、とっさに魔法を唱える。歪な結晶は、風を斬りながら一直線、その異形に穴を開ける。
「………通じてないじゃ…」
亀裂。俺はまたもふっとばされる。残念ながら武闘家ではないせいで、受け身も取れずに背中をモロに打ち、しびれと激痛が走る。
『貫徹!』
白光が異形を貫いた。喘ぎ苦しむ声はか弱く微風の中に消えていく。結晶は溶ける雪のように、その魔獣の身体は空へ。
絶対に、何かがおかしい。
夜の星は煌々と輝いていて、その中でも大きな紫紺の光へと歩を進める。
「そろそろ眠いのだけど……」
小さな口を開けて、既に微睡みに沈みそうなフィラがあくびをしながらそう言う。
俺たちは、例の『賢者』を探す為に星の方角へと歩いていた。街の城門を抜けて、この世界に来た初めての街を後にする。あの白い巨塔を見る機会はもうないだろうか。
小一時間は経ったところで、皆の足取りがおぼつかなくなってきた。時間的には、日が沈む後だから大体7時かそんなところだろうが、なにせ日中にあれだけ色々あったのだ。疲れて当然といったら当然か。
俺は、背中に背負うリュックサックのような鞄の紐を緩め、中から簡易テント?を取り出した。流石転生した俺には様々な荷物を授けてくれたようで、他にも簡易食料、毛布、変えの洋服、そして火打ち石など色々入っている。重さも大きさもそこまで入るようには見えないので、きっとなにかしらの魔法かなにかが掛かっているのだろうとは思う。流石異世界だ。
さて、俺はテントを組み立てようとしてのだが、一瞬でかなりの大きさに開いた。
「私に……野宿させようなんて……神なのに!」
「愚痴るな」
アクリスは真っ先にテントへ突っ込んで、そのまま秒速で寝てしまった。
銀河の下に広がる草原の中、3つの温もりが瞼を下げた。
__
「北の大地」とは言うが、まぁ当然だが一朝一夕ではたどり着けない距離だ、特に徒歩では。
なんだか、いつも歩いている気がする。
「あれ、遠くの方になんか見えるぞ!」
突如、俺の耳に響いたのはそんな言葉だった。アクリスが指差す先には、かすかに「何か」がある。
「街?……ん、なんだかさっきよりも大きく見えないか…」
遠くに見えた「ソレ」は、以前よりも近く見え、
絶叫がつんざく。
心を強く保たなければ失禁・嘔吐はしそうな異形が、草地に跡を残しながら猛スピードで近づいてくるのだ。俺たちの前で急停止、そして俺たちはソレを見上げる形になる。
「ま、魔獣……」
「お、おぅ……」
《魔獣とは、野生で生息する異形の、人間に対して敵対心を抱く生物で、形状は周りの環境に大きく依存します》
土ごとえぐりながら、濃い紫の触手が地面を吹き飛ばす。風圧で思わず倒れ、第二打は俺をかすめて、地面は俺を乗せて数メートル吹っ飛ぶ。
色は濃い紫。身体全体から醜い体液が滲みだしていて、それはある意味スライムのような印象を与える。が、某クエストにおけるような可愛らしい水色のものではなく、触手を十数本は備えた殺人マシンだ。
「誰かっ!助け…」
フィラは泣き叫び、泥まみれになりながらも必死に逃げ回っている。
「刺突!」
俺は手をかざし、とっさに魔法を唱える。歪な結晶は、風を斬りながら一直線、その異形に穴を開ける。
「………通じてないじゃ…」
亀裂。俺はまたもふっとばされる。残念ながら武闘家ではないせいで、受け身も取れずに背中をモロに打ち、しびれと激痛が走る。
『貫徹!』
白光が異形を貫いた。喘ぎ苦しむ声はか弱く微風の中に消えていく。結晶は溶ける雪のように、その魔獣の身体は空へ。
絶対に、何かがおかしい。
0
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる