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(๑><๑) ハーシア15歳♡
28:提案
一頻り泣いたハーシアはプレデータに付き添われて屋敷に戻ってきた。
「何があった?!」と心配する両親や使用人たちだが心配は杞憂。
プレデータはハーシアを迎える事を告げ、ハーシアもその言葉に大きく頷いた事で婚約となっても女性としては望まれて嫁ぐ事や心のこもった求婚には感動するもの。きっと熱い求婚を受けて泣いたのだろうと思ってくれた。
「子爵家では覚えて頂くこともありますが、当主と言うのは最後の責任だけ取る者と考えています。執務なども領民と共に行っているので教育としては不要です」
その話は公園でハーシアもプレデータから聞いた。
バイソン子爵家の所有する領は面積としては広いけれど、人の住める場所は少ない。当然領民も少ない。
果樹を植林したのも平野が少ないので日光の当たる面の多い山の斜面を利用できる方法を考えてのこと。
領民には学びを与えていて、その一環で執務も領民には可視化するためオープンにしている。交代で携わる事で「出来心」も抱きにくく不正を防止すると同時に、全員が「自分たちがやっている」という意識を持っているので、当主だから、当主夫人だからと一手に担う事も気負う事もないのだ。
ハーシアもそれは良いことだと思えた。
記憶になる中では自分しかやる人がいなかったので明け方に横になれればいい方。そんな日もあった。
間違うと全て自己責任。見直しを何度もするけれど自分で作った書類を自分が確認をするので抜けがある。慣れるまでは何度も差し戻しになって苦労をした。
バイソン子爵家では幼子は別だが声を掛ければどの領民も執務を行える。
沢山の目を通す事で抜かりを見つける事も出来るし、何より素晴らしいと思ったのは領内での仕事がなくても出稼ぎで別の領の代官に執事補佐など呼ばれるのも多い事だ。
その繋がりで特産品も販路が開拓出来て、田舎なのに王都並みの所得を領民は得ていた。
「一緒に領に戻っても構いませんが、まだ15。友人もいるでしょうし親にも甘えたい年齢ですから時期を見て迎えに来ても構いませんよ」
プレデータは更に田舎で何もないので、籍は入れてもハーシアが王都にいたいのなら別居婚でも構わないと続けた。
どうするかの判断はハーシアに託されたが、直ぐに返事は出来なかった。
プレデータが領に戻るのは2週間後。
それすらも「期限ではないから」と言ってくれた。
翌日の事だった。
先触れもなくやってきたセシル伯爵にベルマウス伯爵は機嫌が悪かった。
「何の御用で?」
また平行線の話をせねばならないかと思うと頭の痛い話だ。
しかしセシル伯爵は思いもよらない事を言い出した。
「大人が話し合いをするのは当然の事としてですが、嫁ぐにあたっての教育を始めたいのです」
「教育?」
「えぇ。お互い爵位は伯爵ですが、行っている事業は異なります。先ずはどんな事業をしているのかから理解をして頂きたいと思いましてね」
セシル伯爵はユリアに教育を始めたいと言い出したのだ。
だか、ハーシアを諦めた訳ではないのは「話し合いをするのは当然の事」と前置きをした事で判る。
「そこでですよ?いきなりであればご息女1人で手前も判らず困惑するでしょうから姉妹で揃ってきて頂きたいのです。勿論心配でしょうからベルマウス家から侍女でも従者でも、なんなら護衛騎士を人数制限なくつけて頂いて構いませんよ。ずっとじゃない。最初のうちだけですよ。慣れれば1人でも問題ないでしょうし」
もしやハーシアを呼び出し、軟禁するのかと思えば人数に制限を付けず同行させてもいいし、私兵ではなく騎士団に要請をしての騎士でも構わないとまで言い出した。
提案をして来たのは、ユリアが嫁ぐにあたって必要な事なので拒否する理由がない。
それもありきで婚約をしたし、直ぐにでもユリアを向かわせるとは告げていたが「相手が違う」とセシル伯爵がごねだしたので教育も棚上げになっていたのだ。
――何か裏がありそうだな――
直ぐにセシル伯爵には返事をせず、帰って貰った後にイクスは従者に「ユリアを呼んできてくれ」と頼んだ。
「何があった?!」と心配する両親や使用人たちだが心配は杞憂。
プレデータはハーシアを迎える事を告げ、ハーシアもその言葉に大きく頷いた事で婚約となっても女性としては望まれて嫁ぐ事や心のこもった求婚には感動するもの。きっと熱い求婚を受けて泣いたのだろうと思ってくれた。
「子爵家では覚えて頂くこともありますが、当主と言うのは最後の責任だけ取る者と考えています。執務なども領民と共に行っているので教育としては不要です」
その話は公園でハーシアもプレデータから聞いた。
バイソン子爵家の所有する領は面積としては広いけれど、人の住める場所は少ない。当然領民も少ない。
果樹を植林したのも平野が少ないので日光の当たる面の多い山の斜面を利用できる方法を考えてのこと。
領民には学びを与えていて、その一環で執務も領民には可視化するためオープンにしている。交代で携わる事で「出来心」も抱きにくく不正を防止すると同時に、全員が「自分たちがやっている」という意識を持っているので、当主だから、当主夫人だからと一手に担う事も気負う事もないのだ。
ハーシアもそれは良いことだと思えた。
記憶になる中では自分しかやる人がいなかったので明け方に横になれればいい方。そんな日もあった。
間違うと全て自己責任。見直しを何度もするけれど自分で作った書類を自分が確認をするので抜けがある。慣れるまでは何度も差し戻しになって苦労をした。
バイソン子爵家では幼子は別だが声を掛ければどの領民も執務を行える。
沢山の目を通す事で抜かりを見つける事も出来るし、何より素晴らしいと思ったのは領内での仕事がなくても出稼ぎで別の領の代官に執事補佐など呼ばれるのも多い事だ。
その繋がりで特産品も販路が開拓出来て、田舎なのに王都並みの所得を領民は得ていた。
「一緒に領に戻っても構いませんが、まだ15。友人もいるでしょうし親にも甘えたい年齢ですから時期を見て迎えに来ても構いませんよ」
プレデータは更に田舎で何もないので、籍は入れてもハーシアが王都にいたいのなら別居婚でも構わないと続けた。
どうするかの判断はハーシアに託されたが、直ぐに返事は出来なかった。
プレデータが領に戻るのは2週間後。
それすらも「期限ではないから」と言ってくれた。
翌日の事だった。
先触れもなくやってきたセシル伯爵にベルマウス伯爵は機嫌が悪かった。
「何の御用で?」
また平行線の話をせねばならないかと思うと頭の痛い話だ。
しかしセシル伯爵は思いもよらない事を言い出した。
「大人が話し合いをするのは当然の事としてですが、嫁ぐにあたっての教育を始めたいのです」
「教育?」
「えぇ。お互い爵位は伯爵ですが、行っている事業は異なります。先ずはどんな事業をしているのかから理解をして頂きたいと思いましてね」
セシル伯爵はユリアに教育を始めたいと言い出したのだ。
だか、ハーシアを諦めた訳ではないのは「話し合いをするのは当然の事」と前置きをした事で判る。
「そこでですよ?いきなりであればご息女1人で手前も判らず困惑するでしょうから姉妹で揃ってきて頂きたいのです。勿論心配でしょうからベルマウス家から侍女でも従者でも、なんなら護衛騎士を人数制限なくつけて頂いて構いませんよ。ずっとじゃない。最初のうちだけですよ。慣れれば1人でも問題ないでしょうし」
もしやハーシアを呼び出し、軟禁するのかと思えば人数に制限を付けず同行させてもいいし、私兵ではなく騎士団に要請をしての騎士でも構わないとまで言い出した。
提案をして来たのは、ユリアが嫁ぐにあたって必要な事なので拒否する理由がない。
それもありきで婚約をしたし、直ぐにでもユリアを向かわせるとは告げていたが「相手が違う」とセシル伯爵がごねだしたので教育も棚上げになっていたのだ。
――何か裏がありそうだな――
直ぐにセシル伯爵には返事をせず、帰って貰った後にイクスは従者に「ユリアを呼んできてくれ」と頼んだ。
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