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第17話♡ パロンシン領の状況
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テーブルに大きく広げられた地図はバリファン伯爵家が所有するパロンシン領の拡大地図で御座います。
「リアス海岸になっているのね」
「はい。湾にもなっていまして、ここは外海とは違って大きく時化る事もないので養殖をしているんです。満潮、干潮の潮位の差は最大値になる大潮の時で2mあります」
「まぁそんなに?干上がるのではありませんか?」
「干上がって砂浜が出るところもありますね。潮干狩りでアサリとか掘りに来る者も居ますよ」
「ではシジミも?」
「シジミは獲れませんね。淡水や汽水じゃないのでシジミはいません」
地形を見て思うのです。
満潮時と干潮時はかなり潮の流れが速い事が推測できます。海水が常に入れ替わるので養殖をするにも便利がいいのでしょう。
干上がらない所に養殖の網を設置すればいいのですから。
かなり激しい潮の流れが日に2回はあるのに。
「でもどうして赤潮が?」
「それなんだが…多分この防潮堤が原因だと思われるんだ」
渋い顔でもう1枚地図を広げたのはライオネル様。
地形を削るほど波も荒いので、悪天候時などの高潮などを被害を抑えるために湾の入り口に防潮堤を建設したため、最初の地図から容易に想定出来た潮の流れが妨げられていたのです。
「なら、天候の悪い時だけ防潮堤の出入り口を開閉すればいいのではないんですの?」
防潮堤は両側から石を積んで桟橋のようにしているけれど、中央には木製の可動式で大きな引き戸がある仕様。天候の悪い時だけ閉めて、通常は開けておけば間隔が10mほどあるので出入り口付近はかなり潮の流れがキツくなるのは判りますが、流れを引き起こすことは出来ます。
キツイ流れになるので、湾内の海水は引き潮の時には例えるなら噴射のようになって外に出るでしょうし、逆に満ち潮の時も噴射のように流れ込んでいるとは思います。
「それが…その扉。高潮の度に閉じるのが面倒だと木船が通れる幅だけ開いて放って置いたら壊れちゃったんです。閉じることもそれ以上戻して幅を広げることも出来なくて」
開閉操作、面倒だものね。
あるあるだわ。
私も幼い頃、どうせ雨が降れば桶に水が溜まると庭に放置し、ど忘れ。
思い出したころには桶の板が腐っていたことがありますわ。面倒でも日々の水汲みをして水撒きをすれば良かったと後悔したものです。
ビオヘルミさんが申し訳なさそうに言い、手でその幅を示してくれますが木船の側面が擦れるというので1mほどしか開いていない。
最悪なのは幅が狭いのに潮の流れは起こるので、唯一の通り道となったその部分に山から流れ込んだ石や木材が蓄積してしまって流れがさらに悪くなっているというのです。
以前は水深20mほどあったのに今では船上から蓄積した石が見えるとの事なので4、5m。大潮の干潮時にはその石に船底を擦るというのでもっと浅くなっているでしょう。
だけど、そこまで流れが悪くなって何故赤潮??
赤潮は栄養過多となってしまって発生するのです。
どちらかと言えばその状態だと湾内は栄養不足になると思うのです。外海の海水はあまり入ってこないし、湾内で混ざり合いませんし。
その事を伝えますとアミナリンさんが「もしかして!?」と声をあげます。
「どうなさいましたの?」
「赤潮が発生する2年前に農作物も収穫量を増やそうと思って山を削って耕作地を増やしたんです」
「でも、それだけでは赤潮は‥」
「そうなんです。でも、鰤の成長が良かったんですよ…多分畑に入れる肥料が海に流れる水にも影響してるんだと思ったんです。野菜も鰤も大きくなるならもっと肥料を入れようと思って」
「まさか、追加で肥料を入れましたの?」
「はぃ…」
ショボンとするアミナリンさん。ビオヘルミさんが気落ちするアミナリンさんの背を撫でます。
何が起こったかと言えば、むやみやたらに肥料を追加し、作物は肥料焼けしてしまいほぼ全滅。鰤も赤潮で壊滅的状態になってしまったというのです。
気持ちはわかります。
作物だけでなく草花を育てる時も肥料をあげましょうって言いますしね。
ですが…ここは…。
「お話は解りました。荒療治になると思いますが事業を立ち上げます」
「ナティ事業認可は直ぐ手続きをするが…なにから始めるんだ?」
ライオネル様が従者に書類を持ってきてと言いながら私に問います。
アミナリンさんとビオヘルミさんは心配そうに私を見ております。
「ご安心ください!ぶっ壊してしまいましょう!!」
<< えぇーっ?! >>
あれ?おかしいわね…
安心どころか、恐怖に怯える表情になっておられるんですけど??
「リアス海岸になっているのね」
「はい。湾にもなっていまして、ここは外海とは違って大きく時化る事もないので養殖をしているんです。満潮、干潮の潮位の差は最大値になる大潮の時で2mあります」
「まぁそんなに?干上がるのではありませんか?」
「干上がって砂浜が出るところもありますね。潮干狩りでアサリとか掘りに来る者も居ますよ」
「ではシジミも?」
「シジミは獲れませんね。淡水や汽水じゃないのでシジミはいません」
地形を見て思うのです。
満潮時と干潮時はかなり潮の流れが速い事が推測できます。海水が常に入れ替わるので養殖をするにも便利がいいのでしょう。
干上がらない所に養殖の網を設置すればいいのですから。
かなり激しい潮の流れが日に2回はあるのに。
「でもどうして赤潮が?」
「それなんだが…多分この防潮堤が原因だと思われるんだ」
渋い顔でもう1枚地図を広げたのはライオネル様。
地形を削るほど波も荒いので、悪天候時などの高潮などを被害を抑えるために湾の入り口に防潮堤を建設したため、最初の地図から容易に想定出来た潮の流れが妨げられていたのです。
「なら、天候の悪い時だけ防潮堤の出入り口を開閉すればいいのではないんですの?」
防潮堤は両側から石を積んで桟橋のようにしているけれど、中央には木製の可動式で大きな引き戸がある仕様。天候の悪い時だけ閉めて、通常は開けておけば間隔が10mほどあるので出入り口付近はかなり潮の流れがキツくなるのは判りますが、流れを引き起こすことは出来ます。
キツイ流れになるので、湾内の海水は引き潮の時には例えるなら噴射のようになって外に出るでしょうし、逆に満ち潮の時も噴射のように流れ込んでいるとは思います。
「それが…その扉。高潮の度に閉じるのが面倒だと木船が通れる幅だけ開いて放って置いたら壊れちゃったんです。閉じることもそれ以上戻して幅を広げることも出来なくて」
開閉操作、面倒だものね。
あるあるだわ。
私も幼い頃、どうせ雨が降れば桶に水が溜まると庭に放置し、ど忘れ。
思い出したころには桶の板が腐っていたことがありますわ。面倒でも日々の水汲みをして水撒きをすれば良かったと後悔したものです。
ビオヘルミさんが申し訳なさそうに言い、手でその幅を示してくれますが木船の側面が擦れるというので1mほどしか開いていない。
最悪なのは幅が狭いのに潮の流れは起こるので、唯一の通り道となったその部分に山から流れ込んだ石や木材が蓄積してしまって流れがさらに悪くなっているというのです。
以前は水深20mほどあったのに今では船上から蓄積した石が見えるとの事なので4、5m。大潮の干潮時にはその石に船底を擦るというのでもっと浅くなっているでしょう。
だけど、そこまで流れが悪くなって何故赤潮??
赤潮は栄養過多となってしまって発生するのです。
どちらかと言えばその状態だと湾内は栄養不足になると思うのです。外海の海水はあまり入ってこないし、湾内で混ざり合いませんし。
その事を伝えますとアミナリンさんが「もしかして!?」と声をあげます。
「どうなさいましたの?」
「赤潮が発生する2年前に農作物も収穫量を増やそうと思って山を削って耕作地を増やしたんです」
「でも、それだけでは赤潮は‥」
「そうなんです。でも、鰤の成長が良かったんですよ…多分畑に入れる肥料が海に流れる水にも影響してるんだと思ったんです。野菜も鰤も大きくなるならもっと肥料を入れようと思って」
「まさか、追加で肥料を入れましたの?」
「はぃ…」
ショボンとするアミナリンさん。ビオヘルミさんが気落ちするアミナリンさんの背を撫でます。
何が起こったかと言えば、むやみやたらに肥料を追加し、作物は肥料焼けしてしまいほぼ全滅。鰤も赤潮で壊滅的状態になってしまったというのです。
気持ちはわかります。
作物だけでなく草花を育てる時も肥料をあげましょうって言いますしね。
ですが…ここは…。
「お話は解りました。荒療治になると思いますが事業を立ち上げます」
「ナティ事業認可は直ぐ手続きをするが…なにから始めるんだ?」
ライオネル様が従者に書類を持ってきてと言いながら私に問います。
アミナリンさんとビオヘルミさんは心配そうに私を見ております。
「ご安心ください!ぶっ壊してしまいましょう!!」
<< えぇーっ?! >>
あれ?おかしいわね…
安心どころか、恐怖に怯える表情になっておられるんですけど??
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