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第41話♠ 市井で流れる第2王子妃の噂
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人と言うのはどうしてこうも噂話が好きなんだろう。
異変が現れたのは1週間後。そう、あの文官にうっかりルシェルの事を妃と言ってしまった日から1週間後だったがそこから始まる大異変。
「また届いたのか…」
「どうしますか?もう保管場所がありませんが」
次々に毎日どこかからか贈り物が届くのだ。
平民が興した新興商会だったり、貴族からの物もあるが、どこから届いたのか見てみれば良い評判がない貴族ばかり。
大商会やそこそこ名の売れた商会からは一切届かないのが気味悪い。
物を貰って文句を言うのもなんだが、未使用で売ったところで大した値もつかない品ばかり。
どうせなら現金を送ってくれた方がずっと助かる。
宮の使用人はほぼ総入れ替えが4回だ。
2回目、3回目になると真面目な者で長く続いて2か月。
短いと勤務初日の退出時に「辞めます」と言い出す始末。
長く続いている者も居るが問題児ばかりだ。
それだけローテーションが激しくなると、伯爵家、子爵家、男爵家などそこそこの家から行儀見習いで奉公に来てくれる子女はおらず、稀に爵位のある子だな?と思い調べてみたら金を積んで貧乏男爵から爵位を買い取った家の者だったり。
だからなのか。
市井には、事実なのだが、事実と少し違う噂が流れている。
ルシェルはどんどん腹が大きくなり、現在妊娠8か月になった。
うっかりと妃なんて言ってしまったばかりに、ルシェルの言動にも拍車がかかり我儘を言いたい放題のやりたい放題。
次々に入れ替わる使用人。ルシェルはその中で見目の良い男性使用人を側に置き、ハーレムを楽しんでいる。流石に妊婦であり、男性使用人たちはルシェルの事を王子妃と思っているので一線を越える事は無くても、昼間から酒を飲んで騒いでいるのだ。
「ルシェル!妊婦なのに酒なんか飲んで何をしてるんだ!」
「失礼ね。これも執務よ。し・つ・む。こんなお腹じゃ市井に視察に行けないからこうやって、みんなの気分を盛り上げて、情報収集してるのよ」
こんなルシェルに仕えている使用人がまともであるはずもなく、ルシェルを持ち上げる事でおこぼれに肖る者や、「こんなところで働いてられるか!」と辞めて行ったものが市井で「第2王子妃の愚行」を面白おかしく広めている。
今や第2王子妃は前代未聞の愚妃、ハイネブレーグ王国の恥、血税を食い荒らす害虫妃。
散々な言われようだ。
ルシェル達が浴びるように飲む酒も第2王子レアンドロの宮に合成酒なんていう酒の中に水などを混ぜて嵩増しした酒があってはならないし、平民が飲むような酒を置いているとなれば私が恥をかく。
なので、私の宮だからこそと思う酒を仕入れれば仕入れただけ空にしていく。
酒もドレスも、時に吟遊詩人などを宮に引き入れて庭で愉しむものだから出費も半端ない。
支払いが滞ったなんて1件でもあれば大問題になるので、国から支給される金のほかに私財と、恥を忍んで王子領を担保に入れて支払いを行っている。
王子領を担保にする際、国王である父上の許可が必要だったので城に出向いたまでは良かったけれど叱られるのが嫌でつい…。
「父上が妊産婦に必要と思われるものを揃えよと言ったんです!」
言ってしまったのだ。
「お前が必要と判断したのなら仕方ないな」
いや、そこはじゃぁ領地を担保にするなら私が出そうだろう?!と思ったのだのが父上の口からは代わりに払ってくれるという優しい言葉は聞けなかった。
ついでに…。
「第2王子妃について耳を疑うような話が聞こえてくるのだが、何故お前はそんな話を放っておくのだ?」
と問われた。
遠回しに噂を収拾させろと言っているのだが、ルシェルの事なのだから放っておけばいい。
事態を収拾するのにも金はかかるし、実際にファリティは関与していないのだから後からどうにでもなるし、そもそもルシェルの事を妃と勝手に思い込んでいる民衆の噂だ。
わざわざ私が出張る事でもない。
ヘタに今、動いて、本当だと思われたらルシェルが処刑された後で面倒じゃないか。
ルシェルが子供を産んだら、市井に置いておけば誰か憐れんで拾っていくだろうし、代わりはどこかから死んだ子供の亡骸を持ってくれば父上だって誤魔化せる。
生まれてすぐの赤子なんてどれも似たり寄ったりだ。解るはずがないんだから。
「私はお前は時期に救われたといったが‥意味は判っているんだろうな?」
「えぇ。勿論」
金を出してくれるわけでもなく、小言だけ言うのならわざわざ来るんじゃなかった。
宮に戻れば使用人が来週に迫る給料は大丈夫なのだろうかと話をしているのが聞こえた。
どいつもこいつも自分の取り分の事ばかり。うんざりだ。
だが、そんな使用人たちの話の中に私の心をかき乱す言葉があった。
異変が現れたのは1週間後。そう、あの文官にうっかりルシェルの事を妃と言ってしまった日から1週間後だったがそこから始まる大異変。
「また届いたのか…」
「どうしますか?もう保管場所がありませんが」
次々に毎日どこかからか贈り物が届くのだ。
平民が興した新興商会だったり、貴族からの物もあるが、どこから届いたのか見てみれば良い評判がない貴族ばかり。
大商会やそこそこ名の売れた商会からは一切届かないのが気味悪い。
物を貰って文句を言うのもなんだが、未使用で売ったところで大した値もつかない品ばかり。
どうせなら現金を送ってくれた方がずっと助かる。
宮の使用人はほぼ総入れ替えが4回だ。
2回目、3回目になると真面目な者で長く続いて2か月。
短いと勤務初日の退出時に「辞めます」と言い出す始末。
長く続いている者も居るが問題児ばかりだ。
それだけローテーションが激しくなると、伯爵家、子爵家、男爵家などそこそこの家から行儀見習いで奉公に来てくれる子女はおらず、稀に爵位のある子だな?と思い調べてみたら金を積んで貧乏男爵から爵位を買い取った家の者だったり。
だからなのか。
市井には、事実なのだが、事実と少し違う噂が流れている。
ルシェルはどんどん腹が大きくなり、現在妊娠8か月になった。
うっかりと妃なんて言ってしまったばかりに、ルシェルの言動にも拍車がかかり我儘を言いたい放題のやりたい放題。
次々に入れ替わる使用人。ルシェルはその中で見目の良い男性使用人を側に置き、ハーレムを楽しんでいる。流石に妊婦であり、男性使用人たちはルシェルの事を王子妃と思っているので一線を越える事は無くても、昼間から酒を飲んで騒いでいるのだ。
「ルシェル!妊婦なのに酒なんか飲んで何をしてるんだ!」
「失礼ね。これも執務よ。し・つ・む。こんなお腹じゃ市井に視察に行けないからこうやって、みんなの気分を盛り上げて、情報収集してるのよ」
こんなルシェルに仕えている使用人がまともであるはずもなく、ルシェルを持ち上げる事でおこぼれに肖る者や、「こんなところで働いてられるか!」と辞めて行ったものが市井で「第2王子妃の愚行」を面白おかしく広めている。
今や第2王子妃は前代未聞の愚妃、ハイネブレーグ王国の恥、血税を食い荒らす害虫妃。
散々な言われようだ。
ルシェル達が浴びるように飲む酒も第2王子レアンドロの宮に合成酒なんていう酒の中に水などを混ぜて嵩増しした酒があってはならないし、平民が飲むような酒を置いているとなれば私が恥をかく。
なので、私の宮だからこそと思う酒を仕入れれば仕入れただけ空にしていく。
酒もドレスも、時に吟遊詩人などを宮に引き入れて庭で愉しむものだから出費も半端ない。
支払いが滞ったなんて1件でもあれば大問題になるので、国から支給される金のほかに私財と、恥を忍んで王子領を担保に入れて支払いを行っている。
王子領を担保にする際、国王である父上の許可が必要だったので城に出向いたまでは良かったけれど叱られるのが嫌でつい…。
「父上が妊産婦に必要と思われるものを揃えよと言ったんです!」
言ってしまったのだ。
「お前が必要と判断したのなら仕方ないな」
いや、そこはじゃぁ領地を担保にするなら私が出そうだろう?!と思ったのだのが父上の口からは代わりに払ってくれるという優しい言葉は聞けなかった。
ついでに…。
「第2王子妃について耳を疑うような話が聞こえてくるのだが、何故お前はそんな話を放っておくのだ?」
と問われた。
遠回しに噂を収拾させろと言っているのだが、ルシェルの事なのだから放っておけばいい。
事態を収拾するのにも金はかかるし、実際にファリティは関与していないのだから後からどうにでもなるし、そもそもルシェルの事を妃と勝手に思い込んでいる民衆の噂だ。
わざわざ私が出張る事でもない。
ヘタに今、動いて、本当だと思われたらルシェルが処刑された後で面倒じゃないか。
ルシェルが子供を産んだら、市井に置いておけば誰か憐れんで拾っていくだろうし、代わりはどこかから死んだ子供の亡骸を持ってくれば父上だって誤魔化せる。
生まれてすぐの赤子なんてどれも似たり寄ったりだ。解るはずがないんだから。
「私はお前は時期に救われたといったが‥意味は判っているんだろうな?」
「えぇ。勿論」
金を出してくれるわけでもなく、小言だけ言うのならわざわざ来るんじゃなかった。
宮に戻れば使用人が来週に迫る給料は大丈夫なのだろうかと話をしているのが聞こえた。
どいつもこいつも自分の取り分の事ばかり。うんざりだ。
だが、そんな使用人たちの話の中に私の心をかき乱す言葉があった。
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