16 / 28
第16話 オクタヴィアンの断捨離
しおりを挟む
ジョゼフィーヌの1件で気の置けない友人からは「忘れろ」「そんな女、コッチから捨ててやったと思え」と言われたがそんなに簡単に忘れられるなら苦労しない。
落ち着きは取り戻したけれど、今の今までオクタヴィアンはジョゼフィーヌの事を忘れられなかった。「これが未練って言うのかな」女々しいと思いながらも気持ちを断ち切る事は出来ず、「あんな高さから飛び降りたんだ。怪我をしていないかどうか。それだけでいい。知りたい」・・・など理由をつけてオーストン公爵家の使用人に命じ探させていた。
そう・・・ブリュエットにコソコソと覗き魔のような事をしながらも、本当についさっきまで「心の君」であるジョゼフィーヌの事を忘れたことはなかったし、オクタヴィアンの心の中の90%を占めていたのはジョゼフィーヌだった。
屋敷に戻ったオクタヴィアンは、寝台にダイブすると抱き枕を抱えて「う~!!」顔を埋めて声が漏れないように気を使いながら吠えた。
「なんだ!あの可愛さはなんだ?!にゃん♡…。くわぁぁ可愛いっ!!」
可視化した円グラフがあればまさにビフォーアフター。
ビフォーではジョゼフィーヌの事が90%、執務をしなきゃと5%、友人や周囲に申し訳ないと3%、ブリュエットに謝らないと!と2%だった。
それがアフターとなると95%がブリュエット。友人や周囲に「私の妻はこんなに可愛い」と自慢したい気持ちが5%。全てがブリュエット関連で埋まってしまい、ジョゼフィーヌの「ジ」、いや綴りの「J」でさえ心の片隅にも残っていなかった。
恋とは恐ろしい。切り替わったスイッチ。元に戻そうにもそこにはもうジョゼフィーヌを思わせる物は何一つなかた。
しかし、枕に顔を埋めて「可愛い!可愛いっ!」悶絶していると物理的に気が付いた。
「枕・・・臭っさ!」
そう言えばこの枕・・・イラネ。
むくりと起き上がって両端を抓むとポイ!!寝台という陣地から放り投げた。そして周囲をキョロキョロと見回す。
寝台から出ると先ず棚や壁に飾っていたジョゼフィーヌからの贈り物を無造作に集め出した。
扉を開けて廊下に向かって「誰か!ゴミを入れる箱か袋を持って来てくれないか」声を掛けると、部屋にある全ての引き出しも開けて、中にあるジョゼフィーヌ関連のグッズを床に放り投げる。
使用人が「ごみ入れ」の木箱を持ってやってきた時には部屋の数カ所に小さな雑貨山が出来ていた。
「あの若旦那様、持ってきたんですけど」
「ありがとう。要らないものを整理してるんだ。床に盛っている物が要らないものだから処分してくれ。その中に必要なものがあったら皆で分けてくれていいよ」
10年以上に及ぶ婚約期間。明らかにジョゼフィーヌではなくジョゼフィーヌの両親である侯爵夫妻が選んであろう品もあるが、気持ちの切り替えがスパーン!!と出来てしまったオクタヴィアンは全て捨てようと思ったのだ。
「こんなのが部屋の中にあるからダメだったんだ。うん。なんか気持ちいいぞ」
断捨離をするとスッキリすると、結婚を前に隠れて付き合っていた愛人を断捨離した友人の言葉の通り不要だと思う物を捨てると気持ちが良い。
部屋の中にジョゼフィーヌ関連のグッズは使用人が持ってきたごみ入れ用の木箱では足らず、なんと7個も満杯になる量があった。
壁に掛けてあったジョゼフィーヌの肖像画も「本当に良いんですか?」と使用人がオクタヴィアンに問えば「いいよ」と答える。
肖像画のジョゼフィーヌはまだ5、6歳の幼女だが使用人が躊躇ったのはモデルがジョゼフィーヌだからではない。その絵を描いたシャメールという画家。ジョゼフィーヌの肖像画がほぼ最後の仕事だったのだが現在は鬼籍に入っている。芸術家あるあるで亡くなってからその価値が見出されて現在ではポストカードサイズの絵が1億は下らない価格で取引をされているのだ。
人物画は苦手だったようで生涯に2,3点あるかどうかの1点が目の前にある。
使用人達にも欲がある。「この絵を売り飛ばせば買い叩かれても10億」になる。なんせ公爵家に飾ってあって、絵の隅には署名もあるし、ジョゼフィーヌの実家がシャメールのパトロンだったのだから真贋鑑定など不要。
しかし!絵は色んな所有者を転々とする傾向があり、「必要なものがあったら分けて良い」そんな言葉を真に受けてしまったら大変なことになる。捨てたはずの物がまだ現存をするとなったらとんでもないブーメランになって返ってきてしまうじゃないか。
「捨てろっと言われても!」
「ばれたら怖すぎる!!」
使用人達の心の中には激しいブーメランハリケーンが吹き荒れる。
それだけではない。ジョゼフィーヌとお揃いだと揃えた宝飾品。ここにあるのは男性用だけだがもし!もしだがジョゼフィーヌが持っている宝飾品と対で揃える事が出来ればこれまた価値の出てしまう宝飾品がずらり。
オクタヴィアン用の物だけでも触れるのに新品の真っ白い手袋をしてしまう超高級品。
宝飾品のみでなく、個々を収納しているケースにだって単品で給料の何倍もの値がつく。
そんな中で唯一と言っていい「素朴な品」がオクタヴィアンの抱いていた抱き枕。
刺繍を覚えたてのジョゼフィーヌが作った不格好な1品で、「洗うの禁止」としているのでオクタヴィアンの頭皮の皮脂で汚れている。
それだけは躊躇うことなくゴミ箱に入れることは出来たが、その他の品は丁寧に木箱に詰めて使用人控室に持ち込んだ。
ネコババをするのではない。
言葉通りに「皆で分けよう」と考えたからだが全てを売り払い均等に売り上げを分配したら、公爵家でも頭一つ抜けた家令の給料62年分となる事に使用人達の心臓は止まりそうになったのは言うまでもない。
落ち着きは取り戻したけれど、今の今までオクタヴィアンはジョゼフィーヌの事を忘れられなかった。「これが未練って言うのかな」女々しいと思いながらも気持ちを断ち切る事は出来ず、「あんな高さから飛び降りたんだ。怪我をしていないかどうか。それだけでいい。知りたい」・・・など理由をつけてオーストン公爵家の使用人に命じ探させていた。
そう・・・ブリュエットにコソコソと覗き魔のような事をしながらも、本当についさっきまで「心の君」であるジョゼフィーヌの事を忘れたことはなかったし、オクタヴィアンの心の中の90%を占めていたのはジョゼフィーヌだった。
屋敷に戻ったオクタヴィアンは、寝台にダイブすると抱き枕を抱えて「う~!!」顔を埋めて声が漏れないように気を使いながら吠えた。
「なんだ!あの可愛さはなんだ?!にゃん♡…。くわぁぁ可愛いっ!!」
可視化した円グラフがあればまさにビフォーアフター。
ビフォーではジョゼフィーヌの事が90%、執務をしなきゃと5%、友人や周囲に申し訳ないと3%、ブリュエットに謝らないと!と2%だった。
それがアフターとなると95%がブリュエット。友人や周囲に「私の妻はこんなに可愛い」と自慢したい気持ちが5%。全てがブリュエット関連で埋まってしまい、ジョゼフィーヌの「ジ」、いや綴りの「J」でさえ心の片隅にも残っていなかった。
恋とは恐ろしい。切り替わったスイッチ。元に戻そうにもそこにはもうジョゼフィーヌを思わせる物は何一つなかた。
しかし、枕に顔を埋めて「可愛い!可愛いっ!」悶絶していると物理的に気が付いた。
「枕・・・臭っさ!」
そう言えばこの枕・・・イラネ。
むくりと起き上がって両端を抓むとポイ!!寝台という陣地から放り投げた。そして周囲をキョロキョロと見回す。
寝台から出ると先ず棚や壁に飾っていたジョゼフィーヌからの贈り物を無造作に集め出した。
扉を開けて廊下に向かって「誰か!ゴミを入れる箱か袋を持って来てくれないか」声を掛けると、部屋にある全ての引き出しも開けて、中にあるジョゼフィーヌ関連のグッズを床に放り投げる。
使用人が「ごみ入れ」の木箱を持ってやってきた時には部屋の数カ所に小さな雑貨山が出来ていた。
「あの若旦那様、持ってきたんですけど」
「ありがとう。要らないものを整理してるんだ。床に盛っている物が要らないものだから処分してくれ。その中に必要なものがあったら皆で分けてくれていいよ」
10年以上に及ぶ婚約期間。明らかにジョゼフィーヌではなくジョゼフィーヌの両親である侯爵夫妻が選んであろう品もあるが、気持ちの切り替えがスパーン!!と出来てしまったオクタヴィアンは全て捨てようと思ったのだ。
「こんなのが部屋の中にあるからダメだったんだ。うん。なんか気持ちいいぞ」
断捨離をするとスッキリすると、結婚を前に隠れて付き合っていた愛人を断捨離した友人の言葉の通り不要だと思う物を捨てると気持ちが良い。
部屋の中にジョゼフィーヌ関連のグッズは使用人が持ってきたごみ入れ用の木箱では足らず、なんと7個も満杯になる量があった。
壁に掛けてあったジョゼフィーヌの肖像画も「本当に良いんですか?」と使用人がオクタヴィアンに問えば「いいよ」と答える。
肖像画のジョゼフィーヌはまだ5、6歳の幼女だが使用人が躊躇ったのはモデルがジョゼフィーヌだからではない。その絵を描いたシャメールという画家。ジョゼフィーヌの肖像画がほぼ最後の仕事だったのだが現在は鬼籍に入っている。芸術家あるあるで亡くなってからその価値が見出されて現在ではポストカードサイズの絵が1億は下らない価格で取引をされているのだ。
人物画は苦手だったようで生涯に2,3点あるかどうかの1点が目の前にある。
使用人達にも欲がある。「この絵を売り飛ばせば買い叩かれても10億」になる。なんせ公爵家に飾ってあって、絵の隅には署名もあるし、ジョゼフィーヌの実家がシャメールのパトロンだったのだから真贋鑑定など不要。
しかし!絵は色んな所有者を転々とする傾向があり、「必要なものがあったら分けて良い」そんな言葉を真に受けてしまったら大変なことになる。捨てたはずの物がまだ現存をするとなったらとんでもないブーメランになって返ってきてしまうじゃないか。
「捨てろっと言われても!」
「ばれたら怖すぎる!!」
使用人達の心の中には激しいブーメランハリケーンが吹き荒れる。
それだけではない。ジョゼフィーヌとお揃いだと揃えた宝飾品。ここにあるのは男性用だけだがもし!もしだがジョゼフィーヌが持っている宝飾品と対で揃える事が出来ればこれまた価値の出てしまう宝飾品がずらり。
オクタヴィアン用の物だけでも触れるのに新品の真っ白い手袋をしてしまう超高級品。
宝飾品のみでなく、個々を収納しているケースにだって単品で給料の何倍もの値がつく。
そんな中で唯一と言っていい「素朴な品」がオクタヴィアンの抱いていた抱き枕。
刺繍を覚えたてのジョゼフィーヌが作った不格好な1品で、「洗うの禁止」としているのでオクタヴィアンの頭皮の皮脂で汚れている。
それだけは躊躇うことなくゴミ箱に入れることは出来たが、その他の品は丁寧に木箱に詰めて使用人控室に持ち込んだ。
ネコババをするのではない。
言葉通りに「皆で分けよう」と考えたからだが全てを売り払い均等に売り上げを分配したら、公爵家でも頭一つ抜けた家令の給料62年分となる事に使用人達の心臓は止まりそうになったのは言うまでもない。
2,386
あなたにおすすめの小説
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
【完結】身勝手な旦那様と離縁したら、異国で我が子と幸せになれました
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
腹を痛めて産んだ子を蔑ろにする身勝手な旦那様、離縁してくださいませ!
完璧な人生だと思っていた。優しい夫、大切にしてくれる義父母……待望の跡取り息子を産んだ私は、彼らの仕打ちに打ちのめされた。腹を痛めて産んだ我が子を取り戻すため、バレンティナは離縁を選ぶ。復讐する気のなかった彼女だが、新しく出会った隣国貴族に一目惚れで口説かれる。身勝手な元婚家は、嘘がバレて自業自得で没落していった。
崩壊する幸せ⇒異国での出会い⇒ハッピーエンド
元婚家の自業自得ざまぁ有りです。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/10/07……アルファポリス、女性向けHOT4位
2022/10/05……カクヨム、恋愛週間13位
2022/10/04……小説家になろう、恋愛日間63位
2022/09/30……エブリスタ、トレンド恋愛19位
2022/09/28……連載開始
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます
天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。
王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。
影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。
私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。
美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ
さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。
絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。
荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。
優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。
華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる