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捨てる所はないのです!
結婚式の翌朝、時間的には昼食であるが一緒に食事をするミカエルとエリザベート。
「エル様。お食事が終わりましたらお話が御座います」
「なんだろうか?」
「領地他、色々で御座います」
「難しい話かな…あまり得意分野ではないんだが」
「その後の家族計画についても全く関係がないわけではないですが」
「します。是非伺わせて頂きます」
素直なのはいい事である。しかし使用人達は【何かが変だ】と感じ取る。
【この夫婦。温度差が半端なくない?】
貴族の事はよく判らなくても、同じ人間である故に感じ取る違和感。間違いではない。
この夫婦の体温にさほど差はないが、感覚の温度差はかなりある。
成婚パレードの笑顔に騙されてはいけない。
「あ、すまない。これを少し茶に混ぜてくれないか」
パンジーとデイジーの神経がピリっと緊張をする。まさかやっと「新婚」になったのに避妊薬を使うつもりでは?と警戒をしているのだ。
子は神様からの贈り物である。計画通りにいかないのが子づくりなのである。
「殿下、これはなんでしょうか?」
「あ、これ柚子。柚子ね。柚子の皮を細かくして乾燥させたやつ。香りが良いんだ」
「柚子?聞いた事が御座いませんね。どこの品ですか?」
「遠い東の小さな島国の果物だよ。柑橘系なんだけどオレンジ何かのように果肉についてはそのまま食べたりしないんだ。食べる事もあるけどね。大抵果肉は絞って果汁にした後、料理にちょっと使ったりするんだよ。でも種や皮まで余すところなく使う果実なんだ。変わった果実で…」
【エル様!ちょっとお待ちくださいましっ!】
突然立ち上がって、いつもは静かな声なのに結構な声量だったのにパンジーもデイジーも驚いてしまう。時折【本当はお転婆さんですよね?】という片鱗を見せてはいたが…。
「エル様!それです!まさにそれですわ!」
「え?」
持っていた乾燥柚子皮の入った袋を指さすと、うんうんと頷く新妻が可愛い。萌える。
だが、手に入れるのはなかなかに難しい。ミカエルも本当に偶然手に入れた物なのだ。
山を駆け回っていて、野宿をしている時に道に迷った男に出会った。
もう何日も食事をしていないと言うので、狩ったウサギ肉を差し出すと素材の味のみだったため腰につけていた袋から色々な調味料を取り出したのである。
取り分け、この柚子の果汁を振りかけるとビックリするほど美味かった。
その時に、分けてもらったものなのである。
「リザ。これもあるよ」
取り出したのは果汁が入った小瓶である。「ファァァ!」っと新妻の顔が輝く。至福だ。
早速、昼食のサラダにその小瓶の果汁をふりかける。
「毒味もせずに!」っと慌てるパンジーだが、毒味なら既にミカエルが行っていると告げる。
王子が毒味役。だが山で【狩る→焼く→食う】でほぼ完結しているミカエルである。
通常の人間と同じ枠で考えてよいのか…そう思っているうちにエリザベートはパクっとサラダを食べてしまった。瞬間、目がパッと開いて【ジュエルボックスやあぁぁぁん!】と叫ぶ。
「パンジー!!デイジー!!」
2人を呼ぶと、「毒味はしたから♡」と言って「こっちは触ってないから大丈夫」と柚子果汁のかかったレタスをグザっとフォークで刺して2人の口に放り込む。
【フォォォ!】 思わず酸っぱさの中に鼻に突き抜ける爽やかな香り!
そっくりな双子姉妹が向かい合って、ハイタッチ。美味いのである。
エリザベートの幾つかの悩みに、王子領で放っておいても実る果実があった。
幾つかは収穫して領民がおやつ代わりに食べるのだがあとは鳥に食べられるか腐って落ちる。
おやつ代わりと言っても決して甘くて美味しいものではない。
毒がないから腹の足しになるなら、飢えるよりマシ、その程度の味なのだ。
試しに先月数個取り寄せてもらったのだが、全然熟れておらず皮も固い。
護衛に雇った【あと数日で破落戸に転職】する寸前だった者に剣で半分に切ってもらうと、とても爽やかな香りがしたのだ。で、皆でその果肉を分けて食べてみた。
【酸っぱすぎてとても食べられない】
全員が生れてはじめてレモンを口にした幼子ような顔になったのは言うまでもない。
しかし!放っておいてもジャンジャン実る上に王子領にはこの果実がなる木がわんさか生えている。伐採も考えたが木を切ってしまうと禿山になってしまう。
思いもよらない発見いや、収穫があった。
「エル様、流石ですわ!見直しました」
「え?柚子皮と果汁出しただけなんだけど…」
「さ、参りますわよ」
「どこへ?」
「わたくしの執務室です。あ、エル様のお部屋ですが適当な部屋がないのでしばらくはわたくしと相部屋でお願いしますわね」
ミカエルにとってみれば願ったり叶ったりである。
そんな事も露知らず、いそいそと夫の手を引き執務室に行くエリザベート。
「エル様、いえ、仕事中はミカエル様とお呼びしましょうか」
「いや、エルでいい。様も要らないくらいだが‥‥そこは譲歩しよう」
「判りました。で、わたくし火急の案件をエル様に承認頂きたいのです」
「難しい事は判らないから、リザのやりたいようにしていいよ」
「それではダメです!実行はわたくしで結構ですが、エル様にも知っておいて頂かねばなりません」
エリザベートは先ず、王子領の地図をテーブルの上に広げる。
「この辺り一帯は傾斜がきついのですが可照時間に対しての日照時間がある、つまり日照率が高いと判断した地区です。現在ここは帝国より専門家を派遣してもらい日照を確保するにあたって邪魔となる日影を‥」
「ちょちょちょ…ちょっと待って。全然言葉が判らない」
「言葉?わたくしそんなに滑舌が悪ぅございましたか?」
「いや、滑舌じゃなくて動詞?名詞?助動詞っていうの?」
「あら?リジーからミカエルさまはバカではないとお聞きしておりますが」
「まぁ。その…リジーは忖度が入ってるからさ」
「どのあたりがお判りにならないと?」
「えっと…傾斜がきついというのは地面に付いてる勾配があるって事だよね?」
「そうですわ」
「その後が…すまない。全然わからない」
「可照時間というのは、日の出から日の入りまでの時間の事です。要はお日様が見られる時間です」
「なるほど」
「日照時間というのは、その可照時間のうち実際にお日様が照った時間です」
「なら同じじゃないか」
「違いますわ。例えば雨の日、雪の日。空が雲に覆われていれば日は照りません」
「あ、そう言う事か…晴れのち雨なら割合が減るな」
「そうです。その割合が日照率なのです」
「それから、日は照っているのだけど部分的にそうではない場所があります」
「日が照っているのに?」
「えぇ。木が生えているとします。お日様が右の方向から当たれば木の左側は?」
「日が照っていないな。というより、日に当たっていない」
「えぇ。お日様の当たっている面の反対側が日陰(にちいん)ですわ。で、地面に暗い部分が出来ますでしょう?そちらが日影(にちえい)ですわ」
「王子領は傾斜面を現在工事中ですの。段々畑にして水平な部分を作り耕作地を増やします。で、他に邪魔となる木を伐採して日影の個所を減らします」
「ふむ‥‥いいんじゃないか?」
「それでですね。王子領は盆地のようにもなっているんです。お日様の当たる面は耕作地として段々畑にしますが当たらない、全く当たらない訳ではないんですが、逆の面には先程の柚子ににた果実の木が沢山御座いますの。改良の余地はあると思いますが、その果実で果汁を絞り、外果皮(フラベド)からは掃除用の果実油脂を抽出。余った皮をどうするか悩んでいましたの!乾燥させて売りに出せば王子領の収入にもなりますわ」
バっと立ち上がり、グっと拳でガッツポーズ!
「あ‥‥良いんじゃないかな‥リザの思うように…」
「まぁっ!判ってない癖にわかったようなお顔ですわ!酷いっ」
「いや、まぁ理解度は…底辺だけどそこはほら…名前は使っていいから」
間違いなく理解度の低いミカエルはヘラっと笑いながらうんうんと頷くがエリザベートの逆鱗に触れるだけである。それを人は悪手と言う。
「判りました。では自由にさせて頂きます。視察もわたくしだけで参ります」
「あっ!それはダメだ。俺もいく」
「判っていないものは連れて行きません。留守番です…と言いたいところですが毒味役として連れて行きましょう」
「やった!」
ミカエル。いわば新婚旅行である。連れて行ってやると言われて喜ぶでない。
そしてエリザベートは【同行】という名の【飴】を与えた所で本丸事業について語るのだった。
「エル様。お食事が終わりましたらお話が御座います」
「なんだろうか?」
「領地他、色々で御座います」
「難しい話かな…あまり得意分野ではないんだが」
「その後の家族計画についても全く関係がないわけではないですが」
「します。是非伺わせて頂きます」
素直なのはいい事である。しかし使用人達は【何かが変だ】と感じ取る。
【この夫婦。温度差が半端なくない?】
貴族の事はよく判らなくても、同じ人間である故に感じ取る違和感。間違いではない。
この夫婦の体温にさほど差はないが、感覚の温度差はかなりある。
成婚パレードの笑顔に騙されてはいけない。
「あ、すまない。これを少し茶に混ぜてくれないか」
パンジーとデイジーの神経がピリっと緊張をする。まさかやっと「新婚」になったのに避妊薬を使うつもりでは?と警戒をしているのだ。
子は神様からの贈り物である。計画通りにいかないのが子づくりなのである。
「殿下、これはなんでしょうか?」
「あ、これ柚子。柚子ね。柚子の皮を細かくして乾燥させたやつ。香りが良いんだ」
「柚子?聞いた事が御座いませんね。どこの品ですか?」
「遠い東の小さな島国の果物だよ。柑橘系なんだけどオレンジ何かのように果肉についてはそのまま食べたりしないんだ。食べる事もあるけどね。大抵果肉は絞って果汁にした後、料理にちょっと使ったりするんだよ。でも種や皮まで余すところなく使う果実なんだ。変わった果実で…」
【エル様!ちょっとお待ちくださいましっ!】
突然立ち上がって、いつもは静かな声なのに結構な声量だったのにパンジーもデイジーも驚いてしまう。時折【本当はお転婆さんですよね?】という片鱗を見せてはいたが…。
「エル様!それです!まさにそれですわ!」
「え?」
持っていた乾燥柚子皮の入った袋を指さすと、うんうんと頷く新妻が可愛い。萌える。
だが、手に入れるのはなかなかに難しい。ミカエルも本当に偶然手に入れた物なのだ。
山を駆け回っていて、野宿をしている時に道に迷った男に出会った。
もう何日も食事をしていないと言うので、狩ったウサギ肉を差し出すと素材の味のみだったため腰につけていた袋から色々な調味料を取り出したのである。
取り分け、この柚子の果汁を振りかけるとビックリするほど美味かった。
その時に、分けてもらったものなのである。
「リザ。これもあるよ」
取り出したのは果汁が入った小瓶である。「ファァァ!」っと新妻の顔が輝く。至福だ。
早速、昼食のサラダにその小瓶の果汁をふりかける。
「毒味もせずに!」っと慌てるパンジーだが、毒味なら既にミカエルが行っていると告げる。
王子が毒味役。だが山で【狩る→焼く→食う】でほぼ完結しているミカエルである。
通常の人間と同じ枠で考えてよいのか…そう思っているうちにエリザベートはパクっとサラダを食べてしまった。瞬間、目がパッと開いて【ジュエルボックスやあぁぁぁん!】と叫ぶ。
「パンジー!!デイジー!!」
2人を呼ぶと、「毒味はしたから♡」と言って「こっちは触ってないから大丈夫」と柚子果汁のかかったレタスをグザっとフォークで刺して2人の口に放り込む。
【フォォォ!】 思わず酸っぱさの中に鼻に突き抜ける爽やかな香り!
そっくりな双子姉妹が向かい合って、ハイタッチ。美味いのである。
エリザベートの幾つかの悩みに、王子領で放っておいても実る果実があった。
幾つかは収穫して領民がおやつ代わりに食べるのだがあとは鳥に食べられるか腐って落ちる。
おやつ代わりと言っても決して甘くて美味しいものではない。
毒がないから腹の足しになるなら、飢えるよりマシ、その程度の味なのだ。
試しに先月数個取り寄せてもらったのだが、全然熟れておらず皮も固い。
護衛に雇った【あと数日で破落戸に転職】する寸前だった者に剣で半分に切ってもらうと、とても爽やかな香りがしたのだ。で、皆でその果肉を分けて食べてみた。
【酸っぱすぎてとても食べられない】
全員が生れてはじめてレモンを口にした幼子ような顔になったのは言うまでもない。
しかし!放っておいてもジャンジャン実る上に王子領にはこの果実がなる木がわんさか生えている。伐採も考えたが木を切ってしまうと禿山になってしまう。
思いもよらない発見いや、収穫があった。
「エル様、流石ですわ!見直しました」
「え?柚子皮と果汁出しただけなんだけど…」
「さ、参りますわよ」
「どこへ?」
「わたくしの執務室です。あ、エル様のお部屋ですが適当な部屋がないのでしばらくはわたくしと相部屋でお願いしますわね」
ミカエルにとってみれば願ったり叶ったりである。
そんな事も露知らず、いそいそと夫の手を引き執務室に行くエリザベート。
「エル様、いえ、仕事中はミカエル様とお呼びしましょうか」
「いや、エルでいい。様も要らないくらいだが‥‥そこは譲歩しよう」
「判りました。で、わたくし火急の案件をエル様に承認頂きたいのです」
「難しい事は判らないから、リザのやりたいようにしていいよ」
「それではダメです!実行はわたくしで結構ですが、エル様にも知っておいて頂かねばなりません」
エリザベートは先ず、王子領の地図をテーブルの上に広げる。
「この辺り一帯は傾斜がきついのですが可照時間に対しての日照時間がある、つまり日照率が高いと判断した地区です。現在ここは帝国より専門家を派遣してもらい日照を確保するにあたって邪魔となる日影を‥」
「ちょちょちょ…ちょっと待って。全然言葉が判らない」
「言葉?わたくしそんなに滑舌が悪ぅございましたか?」
「いや、滑舌じゃなくて動詞?名詞?助動詞っていうの?」
「あら?リジーからミカエルさまはバカではないとお聞きしておりますが」
「まぁ。その…リジーは忖度が入ってるからさ」
「どのあたりがお判りにならないと?」
「えっと…傾斜がきついというのは地面に付いてる勾配があるって事だよね?」
「そうですわ」
「その後が…すまない。全然わからない」
「可照時間というのは、日の出から日の入りまでの時間の事です。要はお日様が見られる時間です」
「なるほど」
「日照時間というのは、その可照時間のうち実際にお日様が照った時間です」
「なら同じじゃないか」
「違いますわ。例えば雨の日、雪の日。空が雲に覆われていれば日は照りません」
「あ、そう言う事か…晴れのち雨なら割合が減るな」
「そうです。その割合が日照率なのです」
「それから、日は照っているのだけど部分的にそうではない場所があります」
「日が照っているのに?」
「えぇ。木が生えているとします。お日様が右の方向から当たれば木の左側は?」
「日が照っていないな。というより、日に当たっていない」
「えぇ。お日様の当たっている面の反対側が日陰(にちいん)ですわ。で、地面に暗い部分が出来ますでしょう?そちらが日影(にちえい)ですわ」
「王子領は傾斜面を現在工事中ですの。段々畑にして水平な部分を作り耕作地を増やします。で、他に邪魔となる木を伐採して日影の個所を減らします」
「ふむ‥‥いいんじゃないか?」
「それでですね。王子領は盆地のようにもなっているんです。お日様の当たる面は耕作地として段々畑にしますが当たらない、全く当たらない訳ではないんですが、逆の面には先程の柚子ににた果実の木が沢山御座いますの。改良の余地はあると思いますが、その果実で果汁を絞り、外果皮(フラベド)からは掃除用の果実油脂を抽出。余った皮をどうするか悩んでいましたの!乾燥させて売りに出せば王子領の収入にもなりますわ」
バっと立ち上がり、グっと拳でガッツポーズ!
「あ‥‥良いんじゃないかな‥リザの思うように…」
「まぁっ!判ってない癖にわかったようなお顔ですわ!酷いっ」
「いや、まぁ理解度は…底辺だけどそこはほら…名前は使っていいから」
間違いなく理解度の低いミカエルはヘラっと笑いながらうんうんと頷くがエリザベートの逆鱗に触れるだけである。それを人は悪手と言う。
「判りました。では自由にさせて頂きます。視察もわたくしだけで参ります」
「あっ!それはダメだ。俺もいく」
「判っていないものは連れて行きません。留守番です…と言いたいところですが毒味役として連れて行きましょう」
「やった!」
ミカエル。いわば新婚旅行である。連れて行ってやると言われて喜ぶでない。
そしてエリザベートは【同行】という名の【飴】を与えた所で本丸事業について語るのだった。
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