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ミカエルの満点回答
エリザベートは【第2街道整備改良工事計画書】と書かれた表紙の書類の束を引き出しから取り出す。テーブルに置かれたその書類をミカエルはじっくりと目を通す。
本来ならば既に目を通しておいてもおかしくない事業計画書であるが、宮に帰ってもいないミカエルにはそれ以外にも目を通していない書類は山ほどある。
「是非はともかく、読みながらで結構です。お聞きくださいませ」
「判った…(パラっ…)」
読み進めるごとに眉間に皺が寄っていくミカエルを横目に見る。
先ほどの柚子のようにほんわかした話でない事は察したようである。
「まず、パッツィオ家には明日の午前中面会の約束は取り付けております」
「へっ?」
思わず顔をあげるミカエルを【読みながら聞け!】と指で書類をツンツンする。
そして視線を文字に走らせ始めたのを確認するとエリザベートは続ける。
「結婚式にわたくしの両親、そして帝国の皇帝陛下、皇后陛下、そして宰相をしている親類も揃っている今は絶好の好機と言っても過言ではありません。パッツィオ家にいい返事がもらえれば直ぐにでも。断られればミカエル様。あなたに先陣を切って頂きます。どちらにしても単独でこの事業は無理ですので帝国の後ろ盾は必須なのです。皇帝陛下が今、この地にいる時に資金などの確約を取る必要があります」
エリザベートの言葉が終わってもミカエルは書類に目を通す。
その間にパンジーが茶を淹れてくれる。パッツィオ家の名前が出てもパンジーや後ろに立っているリジーが驚かないのはデイジーからある程度は聞いているからだろう。
書類を一通り読んだミカエルは淹れてもらった茶を一口飲む。
「はぁ~」と長く息を吐きだした後で、ニコリとエリザベートに微笑む。
【で?何をするつもりなんだ?】
何をしようとしているのかは判らなくても、ミカエルにはエリザベートがこの事業計画書から全く違う事をしようとしているのは読み取れたのだろう。
「多分、リザがこの計画書に注目をしたのは【パッツィオ家】だと思うんだ」
「あら?よく判りましたわね」
「そりゃ俺はリザの夫だからね」
――まぁ、お互い初めて顔を見てそろそろ24時間経過の夫婦ですけど――
「俺はどうすればいい?」
「明日、わたくしと一緒にパッツィオ家に行って頂きたいですわ」
「用心棒…じゃないよね」
「えぇ。それも引き受けてくださるなら大変に結構ですがデイジーがいますので。エル様にしか出来ない事が御座います。ですが‥‥」
「ここにきて迷う事があるのか?」
「言ってもよろしいのですか?」
エリザベートはちらりとデイジー、パンジー、リジーがここには同席していると目線でミカエルに訴える。この3人は元々ミカエルに仕えていた者ではない。ミカエルの母、王妃に仕えていた者である。
エリザベート自身も計画の内容を誰にも話をしてはいない。
デイジーに言ったのは【パッツィオ家に書簡を送れ】という事だけで内容は話をしていない。
3カ月間、気ごころを許しているように見えて全ては詳らかにはしていない。
その証拠にここに第5王子がパッツィオ家の回答が入った封書を持ってきた。
第5王子はその内容は知らなかったが、諜報を使うにしてもお粗末な仕上がりである。
と、なればエリザベートの目的である【本当の事業計画】を知っているのはエリザベート本人とパッツィオ家当主だけという事になる。
デイジーは本来の雇い主であるミカエルの母、つまり王妃に報告をしている。
第5王子はその報告を知って、パッツィオ家からの回答が入った袋を手にした。
封を切られていないままエリザベートの手には渡ったが、中身は見られても問題がない。
【承知した。婚姻の儀の2日後に当家にて待つ】
それしか書かれていなかったからである。何らかの方法で内容を見たとしても第5王子には何の事か判らない。だから直接乗り込んできて探りを入れたのだ。
エリザベートはお人よしではない。黒い部分もしっかり持ち合わせた元侯爵令嬢である。
全てを明かすには付いてくれている3人ですらまだ判断材料は足らない。
それはミカエルも同じである。しかもミカエルとは3人以上に過ごした時間が短すぎる。
だが、ミカエルだけが持っている特権がある。【夫】だと言う事である。
勿論世の中の夫が皆、妻を慈しみ愛し、尊んでくれるかと言えばそれは否。
夫とて人であり、男なのだ。どう出るか。3人の前でも構わないと言うか…。
エリザベートは賭けた。昨夜【王にはならない】と言った事も踏まえて賭けてみた。
【リザ。愛し合おうか】
ミカエルの出した答えはエリザベートに取っては満点回答だ。
ミカエルは立ち上がるとエリザベートの手を取り、夫婦の寝室にエスコートをする。
勿論、昼間から盛りがついたわけではない。
【2人きりでないと困る大事な話】だと理解をしてくれたからである。
この王子宮で唯一外に声が漏れず、屋根裏に忍び込む事も出来ず、外からも侵入が困難。
それが【夫婦の寝室】である。
「夕食は軽食を。ドアの外に置いてくれればいい」
「畏まりました」
「さぁ、俺の愛する奥様。朝までたっぷり愛し合おうじゃないか」
そう言って先にエリザベートを部屋に入れるとミカエルが扉を閉め、内鍵をかける。
「さて、愛しい奥様。俺は君のお眼鏡にかなったかな?」
「ふふっ。それはもう」
「先に行っておくが昨夜の言葉に嘘はない。君を愛する自信しかないが…付け加えよう。生涯をかけてエリザベートを幸せにすると誓おう。あ、でも王妃はなしね。それ以外で」
「構いません。わたくしは王妃になりたい訳ではありません。正直、エル様が王子宮に一切戻らずともこの国で王子妃として骨を埋める覚悟でやって参りましたもの」
「よし。ちょっと待ってくれるか」
ミカエルは飾られていた剣を手にして戻ってくる。
王子宮に戻らず、各地を転々としながらも片時も手放さなかった剣である。
「消毒は一応してある。少し痛いが我慢してくれ」
そう言うとエリザベートの手を取り、鞘から少し剣を抜く。
「お待ちくださいませ」
「やっぱり怖い?」
「いいえ?こうするのです」
刃に自分の指を押し当て、少し引く。プっと肌が切れ赤い線が出来たかと思うとジワリと吹き出す。
ミカエルはそれを見て「最高の妻だ」と言い同じように指を刃で切る。
お互いの指を口元に差し出し、同じように咥える。
「これで俺の体には君の血が。君の体には俺の血が入った。永遠の誓いだ」
「えぇ。運命共同体とも言えますわね」
「今一度、誓おう。君は俺の魂。俺の全てはエリザベート。君の為にある」
「ありがとう。わたくしも生涯を貴方に捧げますわ」
エリザベートは計画の全てをミカエルに話す。
扉から一番遠い寝台の上で向かい合って座り、話をする声は廊下で聞き耳を立てる使用人には全く聞こえない。パンジーはそっと扉から耳を離す。
パンジーに聞えたのは・・・。
「‥……ある。少し痛いが我慢してくれ」
「お待ちくださいませ」
「やっぱり怖い?」
まさに夫婦の会話である。ポっと頬を染めてしまうパンジー。勘違いが可愛い23歳である。
デイジーもそれを見て「ついに?王妃様に報告しなきゃ!」と廊下を静かに走る。
こちらも先走った可愛い23歳である。
「そうか‥‥下手したら本当に国王にされるかもな」
「大丈夫ですわ」
「えらく自信があるな」
「だって、わたくしは、王子妃エリザベートですもの」
「じゃ、時間もあるから子供でも作っておくか!」
「却下です」
「えぇぇぇ~…どうしてぇ?」
「それについてはもっと夫婦間で協議が必要で御座います」
「体で協議するよ?多分、持久力と復活力には自信あるしさぁ」
「自己申告ほどあてにならないものは御座いません」
「ねぇっ!ほら!行動力もこうやって示しているしさぁ!」
チラっと見るエリザベート。
「フッ」
第2回夫婦間協議が終了したのだった。
本来ならば既に目を通しておいてもおかしくない事業計画書であるが、宮に帰ってもいないミカエルにはそれ以外にも目を通していない書類は山ほどある。
「是非はともかく、読みながらで結構です。お聞きくださいませ」
「判った…(パラっ…)」
読み進めるごとに眉間に皺が寄っていくミカエルを横目に見る。
先ほどの柚子のようにほんわかした話でない事は察したようである。
「まず、パッツィオ家には明日の午前中面会の約束は取り付けております」
「へっ?」
思わず顔をあげるミカエルを【読みながら聞け!】と指で書類をツンツンする。
そして視線を文字に走らせ始めたのを確認するとエリザベートは続ける。
「結婚式にわたくしの両親、そして帝国の皇帝陛下、皇后陛下、そして宰相をしている親類も揃っている今は絶好の好機と言っても過言ではありません。パッツィオ家にいい返事がもらえれば直ぐにでも。断られればミカエル様。あなたに先陣を切って頂きます。どちらにしても単独でこの事業は無理ですので帝国の後ろ盾は必須なのです。皇帝陛下が今、この地にいる時に資金などの確約を取る必要があります」
エリザベートの言葉が終わってもミカエルは書類に目を通す。
その間にパンジーが茶を淹れてくれる。パッツィオ家の名前が出てもパンジーや後ろに立っているリジーが驚かないのはデイジーからある程度は聞いているからだろう。
書類を一通り読んだミカエルは淹れてもらった茶を一口飲む。
「はぁ~」と長く息を吐きだした後で、ニコリとエリザベートに微笑む。
【で?何をするつもりなんだ?】
何をしようとしているのかは判らなくても、ミカエルにはエリザベートがこの事業計画書から全く違う事をしようとしているのは読み取れたのだろう。
「多分、リザがこの計画書に注目をしたのは【パッツィオ家】だと思うんだ」
「あら?よく判りましたわね」
「そりゃ俺はリザの夫だからね」
――まぁ、お互い初めて顔を見てそろそろ24時間経過の夫婦ですけど――
「俺はどうすればいい?」
「明日、わたくしと一緒にパッツィオ家に行って頂きたいですわ」
「用心棒…じゃないよね」
「えぇ。それも引き受けてくださるなら大変に結構ですがデイジーがいますので。エル様にしか出来ない事が御座います。ですが‥‥」
「ここにきて迷う事があるのか?」
「言ってもよろしいのですか?」
エリザベートはちらりとデイジー、パンジー、リジーがここには同席していると目線でミカエルに訴える。この3人は元々ミカエルに仕えていた者ではない。ミカエルの母、王妃に仕えていた者である。
エリザベート自身も計画の内容を誰にも話をしてはいない。
デイジーに言ったのは【パッツィオ家に書簡を送れ】という事だけで内容は話をしていない。
3カ月間、気ごころを許しているように見えて全ては詳らかにはしていない。
その証拠にここに第5王子がパッツィオ家の回答が入った封書を持ってきた。
第5王子はその内容は知らなかったが、諜報を使うにしてもお粗末な仕上がりである。
と、なればエリザベートの目的である【本当の事業計画】を知っているのはエリザベート本人とパッツィオ家当主だけという事になる。
デイジーは本来の雇い主であるミカエルの母、つまり王妃に報告をしている。
第5王子はその報告を知って、パッツィオ家からの回答が入った袋を手にした。
封を切られていないままエリザベートの手には渡ったが、中身は見られても問題がない。
【承知した。婚姻の儀の2日後に当家にて待つ】
それしか書かれていなかったからである。何らかの方法で内容を見たとしても第5王子には何の事か判らない。だから直接乗り込んできて探りを入れたのだ。
エリザベートはお人よしではない。黒い部分もしっかり持ち合わせた元侯爵令嬢である。
全てを明かすには付いてくれている3人ですらまだ判断材料は足らない。
それはミカエルも同じである。しかもミカエルとは3人以上に過ごした時間が短すぎる。
だが、ミカエルだけが持っている特権がある。【夫】だと言う事である。
勿論世の中の夫が皆、妻を慈しみ愛し、尊んでくれるかと言えばそれは否。
夫とて人であり、男なのだ。どう出るか。3人の前でも構わないと言うか…。
エリザベートは賭けた。昨夜【王にはならない】と言った事も踏まえて賭けてみた。
【リザ。愛し合おうか】
ミカエルの出した答えはエリザベートに取っては満点回答だ。
ミカエルは立ち上がるとエリザベートの手を取り、夫婦の寝室にエスコートをする。
勿論、昼間から盛りがついたわけではない。
【2人きりでないと困る大事な話】だと理解をしてくれたからである。
この王子宮で唯一外に声が漏れず、屋根裏に忍び込む事も出来ず、外からも侵入が困難。
それが【夫婦の寝室】である。
「夕食は軽食を。ドアの外に置いてくれればいい」
「畏まりました」
「さぁ、俺の愛する奥様。朝までたっぷり愛し合おうじゃないか」
そう言って先にエリザベートを部屋に入れるとミカエルが扉を閉め、内鍵をかける。
「さて、愛しい奥様。俺は君のお眼鏡にかなったかな?」
「ふふっ。それはもう」
「先に行っておくが昨夜の言葉に嘘はない。君を愛する自信しかないが…付け加えよう。生涯をかけてエリザベートを幸せにすると誓おう。あ、でも王妃はなしね。それ以外で」
「構いません。わたくしは王妃になりたい訳ではありません。正直、エル様が王子宮に一切戻らずともこの国で王子妃として骨を埋める覚悟でやって参りましたもの」
「よし。ちょっと待ってくれるか」
ミカエルは飾られていた剣を手にして戻ってくる。
王子宮に戻らず、各地を転々としながらも片時も手放さなかった剣である。
「消毒は一応してある。少し痛いが我慢してくれ」
そう言うとエリザベートの手を取り、鞘から少し剣を抜く。
「お待ちくださいませ」
「やっぱり怖い?」
「いいえ?こうするのです」
刃に自分の指を押し当て、少し引く。プっと肌が切れ赤い線が出来たかと思うとジワリと吹き出す。
ミカエルはそれを見て「最高の妻だ」と言い同じように指を刃で切る。
お互いの指を口元に差し出し、同じように咥える。
「これで俺の体には君の血が。君の体には俺の血が入った。永遠の誓いだ」
「えぇ。運命共同体とも言えますわね」
「今一度、誓おう。君は俺の魂。俺の全てはエリザベート。君の為にある」
「ありがとう。わたくしも生涯を貴方に捧げますわ」
エリザベートは計画の全てをミカエルに話す。
扉から一番遠い寝台の上で向かい合って座り、話をする声は廊下で聞き耳を立てる使用人には全く聞こえない。パンジーはそっと扉から耳を離す。
パンジーに聞えたのは・・・。
「‥……ある。少し痛いが我慢してくれ」
「お待ちくださいませ」
「やっぱり怖い?」
まさに夫婦の会話である。ポっと頬を染めてしまうパンジー。勘違いが可愛い23歳である。
デイジーもそれを見て「ついに?王妃様に報告しなきゃ!」と廊下を静かに走る。
こちらも先走った可愛い23歳である。
「そうか‥‥下手したら本当に国王にされるかもな」
「大丈夫ですわ」
「えらく自信があるな」
「だって、わたくしは、王子妃エリザベートですもの」
「じゃ、時間もあるから子供でも作っておくか!」
「却下です」
「えぇぇぇ~…どうしてぇ?」
「それについてはもっと夫婦間で協議が必要で御座います」
「体で協議するよ?多分、持久力と復活力には自信あるしさぁ」
「自己申告ほどあてにならないものは御座いません」
「ねぇっ!ほら!行動力もこうやって示しているしさぁ!」
チラっと見るエリザベート。
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