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第14話 立ちはだかる試練
「護衛さんは、2歳の娘さんがいるの?」
「はい。グローリアと言うんですけど可愛いんですよ~」
「なら、こんな事してないで夜は帰らないと!奥様も心配しているでしょう?子供も・・・私はいないから判らないけど、夜泣きもあって大変だと聞くわよ?」
――でも、こういう仕事なんですよ――
とはいえず、護衛はヘラっと笑う。
竈に火を起こしたあと、昨夜のスープを温めて追加で野菜を投入。
「ついでだから一緒に食べましょう」と誘われて何故か第2王子妃と朝食を共にする護衛。
なんと報告をしようかと考えていると、トゥトゥーリアが言った。
「変わった事は何もないって言っといてくださると助かるわ」
「それはよぅ御座いました。ご不便は?」
「護衛がいる事かしら」
「そ、そうですよね。アハハ・・・アハハ」
朝食が終わると、食材の中に牛乳がない事に気が付くトゥトゥーリア。
流石に牛は飼えないので、牛乳を買うしかないが先立つ物がない。
報告に宮へ戻るという護衛に頼みごとをしたトゥトゥーリア。
「何でしょう?」
「予定表を頂いてほしいの。夜会とか慰問もあるって言ってたので」
「まさかずっとここに?いやいや、宮に帰ればいいじゃないですか」
「話をする前に既に不機嫌だし、理不尽な事を求められても応える事なんて出来ないもの。2年で離縁してくれるって言ってたんだもの。離縁するまでここでいいわ。ダメって言うなら・・・住み込みで働けるところを探すしかないわね」
護衛は聞いてはいけないような事を聞いた気がして、言葉を返せなくなった。
「どうされたの?」
「い、いえ。予定表ですね。畏まりましとワァッ??」
突然頬をプニッとつままれた護衛は久しぶりの事に頬を赤くする。
以前に頬を抓られたのは妻と結婚する前。淡い思い出であるがここでは省略。
「この家にいる時はそういう言葉使いは禁止!引継ぎの方にも伝えて?」
「か・・・判りました」
護衛が宮に向けて出て行ったあと、トゥトゥーリアは「さて!」腕まくりをして掃除を始めたのだった。
家中の窓を開けてハタキで埃をパンパン!
庭の草を千切って水で濡らし、軽く水気を切ると床にばらまき、箒で集める。
小さな家だし、昨日のうちに寝室とした部屋と使用人の仮眠室は掃除を終えていたのでさほどに手間もかからない。元々掃除はバリバ侯爵家にいた時に使用人としても扱われていたので手順も覚えている。
下男が直してくれた井戸の滑車とロープも使いやすい。
「今のうちに水瓶に水を入れておこうかしら」
今夜は護衛もいないのだから、昨日のように存分にバスタブで石鹸遊びが出来る。
無駄使いは出来ないけれど、1日や2日は大目に見て欲しいと思うのも欲張りにはならないだろうと井戸からせっせと水を汲み上げ、水瓶に溜めていく。
竈にも枯れ木や落ち葉を放り込み、湯を沸かし湯殿のバスタブに溜めていく。
今まで着ていたワンピースからしみ出した汚れに目を疑ったが、「洗えばいいの!洗えば!」と元々は濃紺だったのに今では青っぽいベージュになったワンピースも風にたなびく。
「御不浄と厨房はお天気を見ながら順番にしなくちゃ」
全てを1日で終わらせる事も出来るのだが、それは「掃除」に限ってのこと。トゥトゥーリアにはその他にもしなければならない事があった。
厨房で調理台の上に野菜を並べていく。
朝食に使うために切った物から使わねばならないが、根菜類は日持ちをするけれど葉物野菜はそうもいかない。
「白菜と・・・キャベツにほうれん草は早めに食べないといけないわね」
朝晩が冷えると言っても凍るほどではないし雪も降り始めるのは来月。
雪が降り始めれば積もった雪の中に野菜を埋めておけばもう数日日持ちはするが、今はまだその時期ではないので傷んで腐る前に食べるのが最善策。
副菜となる野菜をどう使うかは決まったのだが、トゥトゥーリアの前に最大の難問が立ちはだかった。
「困ったわ。これじゃぁパンが焼けない」
小麦の入った袋の口をギュッと握る。ネジネジと絞るように袋の口を捩じるがいい知恵が浮かんでこなかった。
「はい。グローリアと言うんですけど可愛いんですよ~」
「なら、こんな事してないで夜は帰らないと!奥様も心配しているでしょう?子供も・・・私はいないから判らないけど、夜泣きもあって大変だと聞くわよ?」
――でも、こういう仕事なんですよ――
とはいえず、護衛はヘラっと笑う。
竈に火を起こしたあと、昨夜のスープを温めて追加で野菜を投入。
「ついでだから一緒に食べましょう」と誘われて何故か第2王子妃と朝食を共にする護衛。
なんと報告をしようかと考えていると、トゥトゥーリアが言った。
「変わった事は何もないって言っといてくださると助かるわ」
「それはよぅ御座いました。ご不便は?」
「護衛がいる事かしら」
「そ、そうですよね。アハハ・・・アハハ」
朝食が終わると、食材の中に牛乳がない事に気が付くトゥトゥーリア。
流石に牛は飼えないので、牛乳を買うしかないが先立つ物がない。
報告に宮へ戻るという護衛に頼みごとをしたトゥトゥーリア。
「何でしょう?」
「予定表を頂いてほしいの。夜会とか慰問もあるって言ってたので」
「まさかずっとここに?いやいや、宮に帰ればいいじゃないですか」
「話をする前に既に不機嫌だし、理不尽な事を求められても応える事なんて出来ないもの。2年で離縁してくれるって言ってたんだもの。離縁するまでここでいいわ。ダメって言うなら・・・住み込みで働けるところを探すしかないわね」
護衛は聞いてはいけないような事を聞いた気がして、言葉を返せなくなった。
「どうされたの?」
「い、いえ。予定表ですね。畏まりましとワァッ??」
突然頬をプニッとつままれた護衛は久しぶりの事に頬を赤くする。
以前に頬を抓られたのは妻と結婚する前。淡い思い出であるがここでは省略。
「この家にいる時はそういう言葉使いは禁止!引継ぎの方にも伝えて?」
「か・・・判りました」
護衛が宮に向けて出て行ったあと、トゥトゥーリアは「さて!」腕まくりをして掃除を始めたのだった。
家中の窓を開けてハタキで埃をパンパン!
庭の草を千切って水で濡らし、軽く水気を切ると床にばらまき、箒で集める。
小さな家だし、昨日のうちに寝室とした部屋と使用人の仮眠室は掃除を終えていたのでさほどに手間もかからない。元々掃除はバリバ侯爵家にいた時に使用人としても扱われていたので手順も覚えている。
下男が直してくれた井戸の滑車とロープも使いやすい。
「今のうちに水瓶に水を入れておこうかしら」
今夜は護衛もいないのだから、昨日のように存分にバスタブで石鹸遊びが出来る。
無駄使いは出来ないけれど、1日や2日は大目に見て欲しいと思うのも欲張りにはならないだろうと井戸からせっせと水を汲み上げ、水瓶に溜めていく。
竈にも枯れ木や落ち葉を放り込み、湯を沸かし湯殿のバスタブに溜めていく。
今まで着ていたワンピースからしみ出した汚れに目を疑ったが、「洗えばいいの!洗えば!」と元々は濃紺だったのに今では青っぽいベージュになったワンピースも風にたなびく。
「御不浄と厨房はお天気を見ながら順番にしなくちゃ」
全てを1日で終わらせる事も出来るのだが、それは「掃除」に限ってのこと。トゥトゥーリアにはその他にもしなければならない事があった。
厨房で調理台の上に野菜を並べていく。
朝食に使うために切った物から使わねばならないが、根菜類は日持ちをするけれど葉物野菜はそうもいかない。
「白菜と・・・キャベツにほうれん草は早めに食べないといけないわね」
朝晩が冷えると言っても凍るほどではないし雪も降り始めるのは来月。
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副菜となる野菜をどう使うかは決まったのだが、トゥトゥーリアの前に最大の難問が立ちはだかった。
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