11 / 61
第10話 片足をへりに
しおりを挟む
薬草を摘んできたオフィーリアは使用人に「湯の準備を。それからSサイズをワンピースを数着急いで買って来い」と命じると厨房に行き、小さめのボウルとスプーンを何本か。そして綺麗な水をピッチャーに入れると器用に部屋まで運んできた。
部屋に入るのに開けた扉からは廊下で目を丸くして言葉を失っている使用人が見えた。
「それをどうするんだ?」
「言ったでしょう?薬草湿布を作るの。このままだと飛び上がるくらい痛いわよ?」
「だろうな」
「お願いだから無茶しないで」
薬草を水洗いし、すり潰しながら声を掛けてくれるオフィーリアにフェリクスは胸の奥がジンと熱くなった。
が。
「勘違いしないでよ?痛みを感じるのはフェリクス様だけど傷んでいる体は私なの。いい加減カイゼルに両手を傷めつけられたのに他もだなんて。それに打撲も早く治さないと」
「自分の体だからか」
「当たり前じゃない。さ、服を脱ぐわよ」
「ちょ、ちょ、ちょっと待て。いくらなんでも!」
「恥ずかしがらないで。大丈夫よ。貴方の体を隅々まで見るわけじゃないでしょう?」
それはそうだが、羞恥心と言うものがフェリクスにもある。
――あれ?でも見られる体は彼女の体。見るのも彼女。問題はないのか?――
フェリクスの姿をしたオフィーリアは容赦なくドレスにハサミを入れて切り刻んで脱がしていく。
これはこれで恥ずかしいがなんだか違う扉が開きそうになる感覚だ。
素っ裸になると「湯殿に行きましょう」とまた肩を貸されて運ばれる。
横抱きにしないのは頭の中がオフィーリアなので、フェリクスの体であっても横抱きで運ぶ概念がないからだ。
すり潰した薬草をべっとりと塗り捲られると痛みが少し引いた気がした。
数分時間を置いて湯をかけ流されるとヒリヒリと痛みはあるが先ほどまでの痛みからすればかなり緩和されていた。
「わぁ。ドロドロね」
「あぁ。汚いな。――――痛っ!何するんだ」
体に掛けられて足元を流れる湯を見たままに答えたのにフェリクスは頬を抓られた。
「こうしたのは貴方自身でしょう?汚いって言わないで」
「た、確かに階段は落ちたし変なネバネバしたものが着いたがそれは私のせいではない!」
「貴方のせいよ。どうせカイゼルに偉そうな事を言ったんでしょう?」
「護衛騎士なんだから命じて当たり前だ」
「その当たり前が逆転してるの。はい。片足を湯舟のヘリにあげて」
「は?い、いやいやいやいや…」
流石に陰部は見られると恥ずかしい…恥ずかしい?
あ、体はオフィーリアだった。無理やり理解をするとフェリクスは真っ赤になりながら片足を湯舟のヘリにあげた。
体を本当に隅々まで洗われながら恥ずかしさで眩暈のしそうなフェリクスに対しオフィーリアは簡単に説明をした。
「王都に来てから月のものは止まっているからお腹は痛くならないと思うわ」
「月のもの…まさか妊娠で止まって?相手は誰だ?!」
「何言ってるの。失礼ね。こう見えて生粋の処女よ。栄養不足!毎日腹に2分目、時に空腹。繰り返していたら月のものだって止まるわよ」
――何故だ?彼女の食事などは十分な予算を…だったらあの地下室はなんだ?――
フェリクスは謎を謎のままにしておきたくなくて髪を洗い始めたオフィーリアに問うた。
部屋に入るのに開けた扉からは廊下で目を丸くして言葉を失っている使用人が見えた。
「それをどうするんだ?」
「言ったでしょう?薬草湿布を作るの。このままだと飛び上がるくらい痛いわよ?」
「だろうな」
「お願いだから無茶しないで」
薬草を水洗いし、すり潰しながら声を掛けてくれるオフィーリアにフェリクスは胸の奥がジンと熱くなった。
が。
「勘違いしないでよ?痛みを感じるのはフェリクス様だけど傷んでいる体は私なの。いい加減カイゼルに両手を傷めつけられたのに他もだなんて。それに打撲も早く治さないと」
「自分の体だからか」
「当たり前じゃない。さ、服を脱ぐわよ」
「ちょ、ちょ、ちょっと待て。いくらなんでも!」
「恥ずかしがらないで。大丈夫よ。貴方の体を隅々まで見るわけじゃないでしょう?」
それはそうだが、羞恥心と言うものがフェリクスにもある。
――あれ?でも見られる体は彼女の体。見るのも彼女。問題はないのか?――
フェリクスの姿をしたオフィーリアは容赦なくドレスにハサミを入れて切り刻んで脱がしていく。
これはこれで恥ずかしいがなんだか違う扉が開きそうになる感覚だ。
素っ裸になると「湯殿に行きましょう」とまた肩を貸されて運ばれる。
横抱きにしないのは頭の中がオフィーリアなので、フェリクスの体であっても横抱きで運ぶ概念がないからだ。
すり潰した薬草をべっとりと塗り捲られると痛みが少し引いた気がした。
数分時間を置いて湯をかけ流されるとヒリヒリと痛みはあるが先ほどまでの痛みからすればかなり緩和されていた。
「わぁ。ドロドロね」
「あぁ。汚いな。――――痛っ!何するんだ」
体に掛けられて足元を流れる湯を見たままに答えたのにフェリクスは頬を抓られた。
「こうしたのは貴方自身でしょう?汚いって言わないで」
「た、確かに階段は落ちたし変なネバネバしたものが着いたがそれは私のせいではない!」
「貴方のせいよ。どうせカイゼルに偉そうな事を言ったんでしょう?」
「護衛騎士なんだから命じて当たり前だ」
「その当たり前が逆転してるの。はい。片足を湯舟のヘリにあげて」
「は?い、いやいやいやいや…」
流石に陰部は見られると恥ずかしい…恥ずかしい?
あ、体はオフィーリアだった。無理やり理解をするとフェリクスは真っ赤になりながら片足を湯舟のヘリにあげた。
体を本当に隅々まで洗われながら恥ずかしさで眩暈のしそうなフェリクスに対しオフィーリアは簡単に説明をした。
「王都に来てから月のものは止まっているからお腹は痛くならないと思うわ」
「月のもの…まさか妊娠で止まって?相手は誰だ?!」
「何言ってるの。失礼ね。こう見えて生粋の処女よ。栄養不足!毎日腹に2分目、時に空腹。繰り返していたら月のものだって止まるわよ」
――何故だ?彼女の食事などは十分な予算を…だったらあの地下室はなんだ?――
フェリクスは謎を謎のままにしておきたくなくて髪を洗い始めたオフィーリアに問うた。
885
あなたにおすすめの小説
もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない
もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。
……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。
理想の『女の子』を演じ尽くしましたが、不倫した子は育てられないのでさようなら
赤羽夕夜
恋愛
親友と不倫した挙句に、黙って不倫相手の子供を生ませて育てさせようとした夫、サイレーンにほとほとあきれ果てたリリエル。
問い詰めるも、開き直り復縁を迫り、同情を誘おうとした夫には千年の恋も冷めてしまった。ショックを通りこして吹っ切れたリリエルはサイレーンと親友のユエルを追い出した。
もう男には懲り懲りだと夫に黙っていたホテル事業に没頭し、好きな物を我慢しない生活を送ろうと決めた。しかし、その矢先に距離を取っていた学生時代の友人たちが急にアピールし始めて……?
愛しの第一王子殿下
みつまめ つぼみ
恋愛
公爵令嬢アリシアは15歳。三年前に魔王討伐に出かけたゴルテンファル王国の第一王子クラウス一行の帰りを待ちわびていた。
そして帰ってきたクラウス王子は、仲間の訃報を口にし、それと同時に同行していた聖女との婚姻を告げる。
クラウスとの婚約を破棄されたアリシアは、言い寄ってくる第二王子マティアスの手から逃れようと、国外脱出を図るのだった。
そんなアリシアを手助けするフードを目深に被った旅の戦士エドガー。彼とアリシアの逃避行が、今始まる。
幼馴染と仲良くし過ぎている婚約者とは婚約破棄したい!
ルイス
恋愛
ダイダロス王国の侯爵令嬢であるエレナは、リグリット公爵令息と婚約をしていた。
同じ18歳ということで話も合い、仲睦まじいカップルだったが……。
そこに現れたリグリットの幼馴染の伯爵令嬢の存在。リグリットは幼馴染を優先し始める。
あまりにも度が過ぎるので、エレナは不満を口にするが……リグリットは今までの優しい彼からは豹変し、権力にものを言わせ、エレナを束縛し始めた。
「婚約破棄なんてしたら、どうなるか分かっているな?」
その時、エレナは分かってしまったのだ。リグリットは自分の侯爵令嬢の地位だけにしか興味がないことを……。
そんな彼女の前に現れたのは、幼馴染のヨハン王子殿下だった。エレナの状況を理解し、ヨハンは動いてくれることを約束してくれる。
正式な婚約破棄の申し出をするエレナに対し、激怒するリグリットだったが……。
【完結】私の婚約者の、自称健康な幼なじみ。
❄️冬は つとめて
恋愛
「ルミナス、すまない。カノンが…… 」
「大丈夫ですの? カノン様は。」
「本当にすまない。ルミナス。」
ルミナスの婚約者のオスカー伯爵令息は、何時ものようにすまなそうな顔をして彼女に謝った。
「お兄様、ゴホッゴホッ! ルミナス様、ゴホッ! さあ、遊園地に行きましょ、ゴボッ!! 」
カノンは血を吐いた。
私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです
風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。
婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。
そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!?
え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!?
※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。
※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
【完結】「かわいそう」な公女のプライド
干野ワニ
恋愛
馬車事故で片脚の自由を奪われたフロレットは、それを理由に婚約者までをも失い、過保護な姉から「かわいそう」と口癖のように言われながら日々を過ごしていた。
だが自分は、本当に「かわいそう」なのだろうか?
前を向き続けた令嬢が、真の理解者を得て幸せになる話。
※長編のスピンオフですが、単体で読めます。
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる