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第07話 条件を飲んだ男
「夫婦って所詮は他人なの。婚姻と言う制度で成り立つ関係ね」
「そうだね。血縁者ではないからね」
「太古の昔に近親婚を行う王朝もあったけど結局は破綻しているでしょう?貴族の青い血はね、濃度に気を付けなきゃいけないのよ」
「それは僕も賛成だな。近親の交配が続くのは昆虫や植物でもいい結果にはならないからね」
「そうなの。嬉しいわ!理解してくれる人なんて久しぶりよ」
アンネマリーは弾んだ声を出し、顔の前で手のひらを合わせ嬉しそうに微笑んだ。
「他人って言うのは何年も経てば馴れ合いになるわ」
――それは解る気がする。リゼとはまさにそうだからな――
リーゼロッテの事は嫌いではないが、出会った頃の様なフレッシュさがないのはアンセルも認めているところ。かと言って不特定多数と付き合う気はない。同時進行でなんとかやりくりできるのは2人までが精一杯。今の状況でもう1人となるとアンセルは上手く回せる自信がない。
しかし、その事とアンネマリーの求婚に当たっての約束とは何だろう?アンセルは心地よい適度な不安感と答えを聞きたい期待で胸を膨らませた。
「夫は夫。その他にお互い恋が出来る相手を持つことを許しあいたいわ」
「え?は?そ、それって愛人を持つし、持てと言う事なのか?」
「愛人じゃないわ。恋人よ。愛は望んでないの。面倒でしょう?考えてみて?他人の男と女が未来永劫仲良くやっていけると思う?」
「それは…しかし、夫婦と言うのはそれを乗り越えてだな」
「そんなの乗り越えてどうなるの?誰得?もし何か得する事があるなら倦怠期なんて言葉は存在しないと思うわ。わたくしは何時だって胸が躍るような恋がしたいのよ。一緒に居ることに飽きたり、つまらないと思うような時間は過ごしたくないの。その点恋人なら替えが利くでしょう?」
「そんな生き方は寂しいんじゃないのか?年を取った時にもお互いを分かり合えないなんて事にもなる」
「ならないわよ。だってお互い好きな相手と楽しい時間を過ごすのよ?相手がいないのをこちらの責任転嫁もおかしいでしょう?夫婦ってのは体力も気力も付いていけなくなれば最後はどちらかが看取ればいい関係だと思ってるの。どう?飲めるなら結婚してあげるわ」
アンセルは迷った。
確かにアンネマリーのいう通りなのだ。
リーゼロッテとは一緒に過ごす時間が長すぎてつまらないと思う事も多くなった。倦怠期の入り口なのか、真っ只中なのか。
出会った頃の様なトキメキも無ければ、他の男に取られてしまうかも知れないという不安もない。ただ一緒に居れば気取らなくて済むので気が楽だという事もある。
それに両親を見ているとつくづく感じる。お互いがいない所で子供に欠点や短所を最大限に悪く言う。そこまで嫌なら離縁すればいいじゃないかと思うのだが、これが離縁をしない。
だったら常に恋をするような相手と楽しくやれば時間の経つのも忘れて過ごせそうだ。
色々と考える必要もなければ、何かを天秤にかける必要もない。
アンセルは確認のためにもう一度問う。
「それはお互いが恋人を作り、体の関係があっても口出しはしない、そう言う事か?」
「そうよ。わたくしには恋人がいて楽しく過ごしているのにアンセルに恋人が出来たからと言って嫉妬はしないわ。だって夫でしょう?夫と恋人は全く違うわ」
アンネマリーは言った。
夫は肉若しくは魚。恋人はスパイスなどのような調味料なのだと。
味付けのない肉や魚は食べられないわけではないが毎日続くと文句も言いたくなるが、ないと困る。
対してスパイスも同じ味付けばかりは飽きてしまう。
夫(妻)を美味しく食べようと思えば異なる調味料が沢山あればあるほどに飽きることなく楽しめるだろう。
「お互いを思いやろう、大事にしようと思えば常に新しいスパイスは必要よ。昨日と同じ今日、今日と同じ明日。なんてつまらない人生。1度しかない人生なのにそれで満足できると思う?」
2択で答えるなら「満足できない」としか思えなかったアンセルは「2つの条件を飲むよ」と答えを返したのだった。
「そうだね。血縁者ではないからね」
「太古の昔に近親婚を行う王朝もあったけど結局は破綻しているでしょう?貴族の青い血はね、濃度に気を付けなきゃいけないのよ」
「それは僕も賛成だな。近親の交配が続くのは昆虫や植物でもいい結果にはならないからね」
「そうなの。嬉しいわ!理解してくれる人なんて久しぶりよ」
アンネマリーは弾んだ声を出し、顔の前で手のひらを合わせ嬉しそうに微笑んだ。
「他人って言うのは何年も経てば馴れ合いになるわ」
――それは解る気がする。リゼとはまさにそうだからな――
リーゼロッテの事は嫌いではないが、出会った頃の様なフレッシュさがないのはアンセルも認めているところ。かと言って不特定多数と付き合う気はない。同時進行でなんとかやりくりできるのは2人までが精一杯。今の状況でもう1人となるとアンセルは上手く回せる自信がない。
しかし、その事とアンネマリーの求婚に当たっての約束とは何だろう?アンセルは心地よい適度な不安感と答えを聞きたい期待で胸を膨らませた。
「夫は夫。その他にお互い恋が出来る相手を持つことを許しあいたいわ」
「え?は?そ、それって愛人を持つし、持てと言う事なのか?」
「愛人じゃないわ。恋人よ。愛は望んでないの。面倒でしょう?考えてみて?他人の男と女が未来永劫仲良くやっていけると思う?」
「それは…しかし、夫婦と言うのはそれを乗り越えてだな」
「そんなの乗り越えてどうなるの?誰得?もし何か得する事があるなら倦怠期なんて言葉は存在しないと思うわ。わたくしは何時だって胸が躍るような恋がしたいのよ。一緒に居ることに飽きたり、つまらないと思うような時間は過ごしたくないの。その点恋人なら替えが利くでしょう?」
「そんな生き方は寂しいんじゃないのか?年を取った時にもお互いを分かり合えないなんて事にもなる」
「ならないわよ。だってお互い好きな相手と楽しい時間を過ごすのよ?相手がいないのをこちらの責任転嫁もおかしいでしょう?夫婦ってのは体力も気力も付いていけなくなれば最後はどちらかが看取ればいい関係だと思ってるの。どう?飲めるなら結婚してあげるわ」
アンセルは迷った。
確かにアンネマリーのいう通りなのだ。
リーゼロッテとは一緒に過ごす時間が長すぎてつまらないと思う事も多くなった。倦怠期の入り口なのか、真っ只中なのか。
出会った頃の様なトキメキも無ければ、他の男に取られてしまうかも知れないという不安もない。ただ一緒に居れば気取らなくて済むので気が楽だという事もある。
それに両親を見ているとつくづく感じる。お互いがいない所で子供に欠点や短所を最大限に悪く言う。そこまで嫌なら離縁すればいいじゃないかと思うのだが、これが離縁をしない。
だったら常に恋をするような相手と楽しくやれば時間の経つのも忘れて過ごせそうだ。
色々と考える必要もなければ、何かを天秤にかける必要もない。
アンセルは確認のためにもう一度問う。
「それはお互いが恋人を作り、体の関係があっても口出しはしない、そう言う事か?」
「そうよ。わたくしには恋人がいて楽しく過ごしているのにアンセルに恋人が出来たからと言って嫉妬はしないわ。だって夫でしょう?夫と恋人は全く違うわ」
アンネマリーは言った。
夫は肉若しくは魚。恋人はスパイスなどのような調味料なのだと。
味付けのない肉や魚は食べられないわけではないが毎日続くと文句も言いたくなるが、ないと困る。
対してスパイスも同じ味付けばかりは飽きてしまう。
夫(妻)を美味しく食べようと思えば異なる調味料が沢山あればあるほどに飽きることなく楽しめるだろう。
「お互いを思いやろう、大事にしようと思えば常に新しいスパイスは必要よ。昨日と同じ今日、今日と同じ明日。なんてつまらない人生。1度しかない人生なのにそれで満足できると思う?」
2択で答えるなら「満足できない」としか思えなかったアンセルは「2つの条件を飲むよ」と答えを返したのだった。
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