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第24話 壮大過ぎるインフラ整備
翌日からリーゼロッテはオッペル男爵領をデルモントに案内をしてもらった。
一番先に見たい!とリーゼロッテがお願いをしたのがデルモントが両親の前で「圧巻ですよ」と言った羊の群れ。
羊飼いは男の子かと思ったら女の子で何とリーダーの羊の背に乗って笛を吹き「んベぇぇ~」「ボモォオォ~」「バァ~バァ~」鳴き声を上げる羊たちを放牧地に先導していく。
「わぁ。凄い。100、ううん200以上いるわね」
「見えているだけなら600だな」
「600?!まだいるの?」
「羊は報告書では現在104万だからな。遂に103万の壁を超えたよ」
「まぁ…どこかの国の所得みたいね。じゃぁ次は106万の壁?」
「それな~。一気に150万の壁まで超えるぞ」
「150万と言えば羊の数だけじゃなくオッペル男爵領の領民の平均年収なのよね。もっと引き上げたいわ。出来ればそうね…350万までは引き上げたいわね」
「いきなり倍以上か?それは難しそうだな」
「難しくないわ。ずっと前にね王太子殿下の演説を聞いたことがあるの」
「所得倍増計画だろう?あれは言うのは簡単なんだが…設備投資にも金がかかる。無理だ」
「無理だと諦めてはダメよ。先ずはそうね…国に申請してインフラを整備しましょう。公共工事っていうのは経済が回るわ。何よりこれからの取引相手は隣国よ。陳情書にも隣国との経済格差に触れてここをモデル地区としてもらう事で予算を割り当ててもらうのよ」
「俺の奥様は構想がでかいな…あの落ち込んでたご令嬢は何処に行ったんだ?」
「そんなの足を擽られた時に捨ててきたわ」
擽るんじゃなかったとデルモントがちょっぴり反省をしたのは屋敷に帰るまで。
屋敷に帰ると有言実行とばかりにリーゼロッテは領地の地図を広げ、デルモントに対して好意的な領民だけでなく反感を持つ領民も屋敷に呼ぶように使用人に申し付けると街道整備計画をデルモントに語り始めたのだ。
――マジか。本気でやるつもりなのか――
「ちょっと!聞いてる?いい?これからの時代は今までの街道ではダメなの。荷馬車も向かいからきたら待避所に寄って行き違いをするんじゃなく最低でも対面通行…もう!ちゃんと聞いて!」
「聞いてるよ。でもそうなると山をごっそり削らなきゃいけないだろう?崩落が起きるよ」
「起こさないわ。山を削ると羊の放牧地が少なくなるもの。ここからが大事なところよ」
「なんだ?」
「橋みたいに上を通すのよ」
「はぁっ?!」
「フフフ。名付けて!天空の高架街道よ!」
要所要所に柱脚を設置して橋のように荷馬車などは高架を走る。平坦な地では休憩所などを設けてそこが宿場町になる。野生動物にも襲われないし大雨の時も崩落の危険もない。
距離を取るので遠目から見ればかなりキツい傾斜のついた道に見えても1mあたり10cmしか高低差がないようにすれば平坦な道を走るのと大差がない。
確かにそれでも登坂なので馬は疲れる。待避所はその為に設ける。今のように向かいから荷馬車が来れば使うのではなく馬の休憩に使うのである。
問題点と言えば上空になるため風の対策と超莫大になる予算。軽く試算して現在の国家予算の15年分。しかもそれがオッペル男爵領に設置する分に対してである。
「ふはっ!!」
「何がおかしいの?」
「いや、あまりにもスケールがデカ過ぎて。もう笑うしかないだろう」
「あら?でも海の向こうの国では高架に鉄道が走ってるのよ?馬車の時代が終わるのはあっという間。何百年も続いてきた馬車での輸送も一気に切り替わるわ。いい?古臭い慣習に虐められたデルが時代の最先端を行くのよ!」
そう言いながらもリーゼロッテはガサガサと教会からそのまま持ってきた自身のカバンの中から折りたたんだ紙を取り出して広げた。
「なんだこれは?」
「地図はベルカム子爵領なんだけど、実はこっちがメインなの。考え方は同じだから男爵領だと思ってね」
「え?さっきのは?」
「うーん…お父様が言ってたの。無茶ブリだなって要求を飲んでもらう時は最初に絶対無理っていうのを言っておいてその後に本丸を出すって。そうすると相手は全部を却下出来ないから飲んでくれやすいって」
「義父上…策士だな」
ベルカム子爵領の地図に書きこまれていたのはインフラ計画ではあったけれど街道を整備するついでにその側面に飲料水などになる上水道と、排水などを流す下水道を併設し平行に走らせて設置するというもの。
「どうして街道の下を通さないんだ?」
「上下水道管を通すのに掘るでしょう?その土を街道に盛るのよ。そうすれば掘った土をどこに置けば?何処に捨てれば?って悩まなくて済むじゃない。何より流すのが水だから街道の下だと土が水に流されると困るでしょう?」
こちらも予算は相当な金額になりそうだが、先にあまりにもスケールの大きなものを見せられるとこっちなら何とか出来そうな気がしてくるから不思議なものだ。
デルモントはその夜、王弟に手紙を書いた。
冗談のようなリーゼロッテの計画も数行加えたが、かの日頼んだことについて何か進展があったかどうかを知りたいと。
その返信は3か月後に届くのだが…。
一番先に見たい!とリーゼロッテがお願いをしたのがデルモントが両親の前で「圧巻ですよ」と言った羊の群れ。
羊飼いは男の子かと思ったら女の子で何とリーダーの羊の背に乗って笛を吹き「んベぇぇ~」「ボモォオォ~」「バァ~バァ~」鳴き声を上げる羊たちを放牧地に先導していく。
「わぁ。凄い。100、ううん200以上いるわね」
「見えているだけなら600だな」
「600?!まだいるの?」
「羊は報告書では現在104万だからな。遂に103万の壁を超えたよ」
「まぁ…どこかの国の所得みたいね。じゃぁ次は106万の壁?」
「それな~。一気に150万の壁まで超えるぞ」
「150万と言えば羊の数だけじゃなくオッペル男爵領の領民の平均年収なのよね。もっと引き上げたいわ。出来ればそうね…350万までは引き上げたいわね」
「いきなり倍以上か?それは難しそうだな」
「難しくないわ。ずっと前にね王太子殿下の演説を聞いたことがあるの」
「所得倍増計画だろう?あれは言うのは簡単なんだが…設備投資にも金がかかる。無理だ」
「無理だと諦めてはダメよ。先ずはそうね…国に申請してインフラを整備しましょう。公共工事っていうのは経済が回るわ。何よりこれからの取引相手は隣国よ。陳情書にも隣国との経済格差に触れてここをモデル地区としてもらう事で予算を割り当ててもらうのよ」
「俺の奥様は構想がでかいな…あの落ち込んでたご令嬢は何処に行ったんだ?」
「そんなの足を擽られた時に捨ててきたわ」
擽るんじゃなかったとデルモントがちょっぴり反省をしたのは屋敷に帰るまで。
屋敷に帰ると有言実行とばかりにリーゼロッテは領地の地図を広げ、デルモントに対して好意的な領民だけでなく反感を持つ領民も屋敷に呼ぶように使用人に申し付けると街道整備計画をデルモントに語り始めたのだ。
――マジか。本気でやるつもりなのか――
「ちょっと!聞いてる?いい?これからの時代は今までの街道ではダメなの。荷馬車も向かいからきたら待避所に寄って行き違いをするんじゃなく最低でも対面通行…もう!ちゃんと聞いて!」
「聞いてるよ。でもそうなると山をごっそり削らなきゃいけないだろう?崩落が起きるよ」
「起こさないわ。山を削ると羊の放牧地が少なくなるもの。ここからが大事なところよ」
「なんだ?」
「橋みたいに上を通すのよ」
「はぁっ?!」
「フフフ。名付けて!天空の高架街道よ!」
要所要所に柱脚を設置して橋のように荷馬車などは高架を走る。平坦な地では休憩所などを設けてそこが宿場町になる。野生動物にも襲われないし大雨の時も崩落の危険もない。
距離を取るので遠目から見ればかなりキツい傾斜のついた道に見えても1mあたり10cmしか高低差がないようにすれば平坦な道を走るのと大差がない。
確かにそれでも登坂なので馬は疲れる。待避所はその為に設ける。今のように向かいから荷馬車が来れば使うのではなく馬の休憩に使うのである。
問題点と言えば上空になるため風の対策と超莫大になる予算。軽く試算して現在の国家予算の15年分。しかもそれがオッペル男爵領に設置する分に対してである。
「ふはっ!!」
「何がおかしいの?」
「いや、あまりにもスケールがデカ過ぎて。もう笑うしかないだろう」
「あら?でも海の向こうの国では高架に鉄道が走ってるのよ?馬車の時代が終わるのはあっという間。何百年も続いてきた馬車での輸送も一気に切り替わるわ。いい?古臭い慣習に虐められたデルが時代の最先端を行くのよ!」
そう言いながらもリーゼロッテはガサガサと教会からそのまま持ってきた自身のカバンの中から折りたたんだ紙を取り出して広げた。
「なんだこれは?」
「地図はベルカム子爵領なんだけど、実はこっちがメインなの。考え方は同じだから男爵領だと思ってね」
「え?さっきのは?」
「うーん…お父様が言ってたの。無茶ブリだなって要求を飲んでもらう時は最初に絶対無理っていうのを言っておいてその後に本丸を出すって。そうすると相手は全部を却下出来ないから飲んでくれやすいって」
「義父上…策士だな」
ベルカム子爵領の地図に書きこまれていたのはインフラ計画ではあったけれど街道を整備するついでにその側面に飲料水などになる上水道と、排水などを流す下水道を併設し平行に走らせて設置するというもの。
「どうして街道の下を通さないんだ?」
「上下水道管を通すのに掘るでしょう?その土を街道に盛るのよ。そうすれば掘った土をどこに置けば?何処に捨てれば?って悩まなくて済むじゃない。何より流すのが水だから街道の下だと土が水に流されると困るでしょう?」
こちらも予算は相当な金額になりそうだが、先にあまりにもスケールの大きなものを見せられるとこっちなら何とか出来そうな気がしてくるから不思議なものだ。
デルモントはその夜、王弟に手紙を書いた。
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