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第20話 別れた人に会ったけれどそこに1●9はない
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「それで、常時使うものじゃないけど、この時だけあればいい!そんな品を貸すのはどうかなと。返却をされたら貸す前と貸した後で比較をして傷があれば補修代を貰うとか!」
リサは必死でプレゼンをしたがイクル子爵は腕を組んで渋い顔。
「リサ、それだと使いたいって人が殺到するまで1年のうち殆どを保管になる品も多くなるぞ」
「そうなんだけど…このままよりも…廃棄するよりいいかなって思って」
ちらっとレンダールを見ると目が合った。
「聞くだけ時間の無駄だった」そう言われそうな気がした。
「面白い案だな。まだ草案だから中身がスカスカなのは仕方がない」
――褒めてる?ディスってる?――
「先ず。売るではなく貸す。特化するのも良いと思うがどちらか1つにする意味は?」
「そ、それは…使わない時もあるし、置き場所を取るし…」
「しかし、君の言葉を借りるなら一度は金を出して買った物だろう?決めつけるんじゃなく貸すと売る。両方を併用することをしないのは何故だ?」
「併用?!」
「そう。リユース品で良いと買っていく人間もいるんだ。レンタルのつもりでやってきて長年探していた品があったら人はどうする?」
「売ってくれないかって言うと思います」
「そういうことだ。買い取って行く事も出来るし…」
「出来るし?他に何が?」
「なんなら取り置き料金を別途に出せば確実に借りられるとしてもいいだろう。そうすれば借りたい時に誰かに借られてしまって借りることが出来ないなんて事はない。人には色々タイプがある。確実に借りるために取り置き料を出す者もいれば、買う金が貯まるまで取り置き料を払って他者に渡らないようにと考える者もいる。こちらは品が傷まないように保管すれば収入になる。ついでだな。保管業もすればいい」
レンダールはレンタル業の他に保管業もやれば良いと勧めてきた。
それはゴミの山のように積まれた品の方が圧倒的に多いけれど、一応屋根も壁もある倉庫に売ろうとした品がある。保管状態を見て、驚いたからだと言う。
「単に修理済み、清掃済みを置いているんじゃなく直ぐに売れる状態に保っているだろう?簡単に出来るように見えて出来る事じゃない。ならその技術を使って ”保管場所” という場所レンタルもすればどうだ」
「場所のレンタル?」
「そう。レンタルできるのは品物に限らない。それは君が一番よく解ってると思ったが?」
遠回しにレンダールはリサが自分自身、つまり人間をレンタルしてきたのだから家具などの品物に限らず、場所という空間を貸せばどうだと提案してきた。
「無理です」
「やる前から無理?君らしくないな」
「だって…ここを片付けても今ある品を分別し保管しなきゃいけません。その品は融資して頂くお金で建屋が建設できますので保管は出来ます。でもそうなると場所がないんです。誰かに貸せる場所は用意できません。郊外なら土地は安く借りられるでしょうけど遠いので…借りる人も利便性を考えるでしょうから」
「土地ならあるじゃないか」
「ありませんよ」
「はぁ…君は何処を見てるんだ?何か新しい事をしようとする時に何を遠慮しているんだ?海のものとも山のものとも思えない話をしているのなら、ドーンとシートは大きく広げたらどうだ」
「どうだって言われても土地なんかありません!」
「あると言ってる。どうしてカモク侯爵家を巻き込むのにカモク侯爵家の土地を使おうと思わないんだ?流石に本宅のある場所は無理だが、王都内なら幾つか遊ばせている土地がある。君は侯爵夫人だ。自由に使えばいいんだ」
「でも…認めないって…」
「遊びに使うのなら許可はしないが事業だろう?事業をするのに相手が自分にとってやり難い相手ならスルーするのか?そんなお飯事のような考えなら最初から提案などするな。時間の無駄だ」
レンダールは「暫くここで考えろ」と言い残しカモク侯爵家に帰って行ってしまったが、翌日リンゴンが書類を持ってイクル子爵家にやってきた。
何だろう?と書類を受け取ると王都内にあるカモク侯爵家が所有者となっている土地のリスト。丁寧に場所の地図の他に広さ、接する道幅、現在更地、家屋があるなど分けられていた。
「旦那様って顔は良いんですけど、悪い人じゃないんですよ」
――悪い事する人がイケメンって訳じゃないってば!――
見目が良いと結婚詐欺などしやすいのかも知れないが、使用人たちの言う悪い人でないのは確かだとリサはありがたく書類を受け取り、急ぎになるので簡単だが礼を認めた返事をリンゴンに手渡した。
頬をぱちん!手のひらで覆うように叩いて自分に気合を入れたリサは父のイクル子爵に指示を出した。
「父さま。人の募集を。ここを片付けるわ。私はこのリストにある土地に行って貸し場所に出来そうなところをピックアップしてくる」
「いいのかい?侯爵様はお金も融資をしてくださってるんだ。これ以上の迷惑は――」
「いいの!壁に当たるまでやりきれば!!」
「やりきれば?」
「(ビシッ)3年経ってるから返済不要よッ!!」
転んでもただでは起きないリサは「女は度胸!」今度はドーンを胸を叩くと従業員を2人連れて侯爵家の所有する土地に向かったのだった。
★~★
1か所目に到着したリサは大きな門の前に立つ騎士に話しかけた。
「あのぅ…この中を見たいんですけど、いいでしょうか」
「勿論です。奥様」
「え?…奥様って…知ってるんですか?」
「お顔を拝見するのは初めてですが旦那様より連絡は受けておりますので」
――そこまで手を回してくれてるんだ?――
レンダールの仕事の速さに感謝をしつつ敷地内に入って行くリサと2人の従業員。
その姿をギャーギャー言い合いをしながら通りかかった男女が見ていた。
「あれ、リサだろ。あんなところで何してんだ?」
「はぁ?話を誤魔化すんじゃないわよ!!」
それはモナ伯爵家のショーと、ダダン男爵家のイリーナだった。
リサは必死でプレゼンをしたがイクル子爵は腕を組んで渋い顔。
「リサ、それだと使いたいって人が殺到するまで1年のうち殆どを保管になる品も多くなるぞ」
「そうなんだけど…このままよりも…廃棄するよりいいかなって思って」
ちらっとレンダールを見ると目が合った。
「聞くだけ時間の無駄だった」そう言われそうな気がした。
「面白い案だな。まだ草案だから中身がスカスカなのは仕方がない」
――褒めてる?ディスってる?――
「先ず。売るではなく貸す。特化するのも良いと思うがどちらか1つにする意味は?」
「そ、それは…使わない時もあるし、置き場所を取るし…」
「しかし、君の言葉を借りるなら一度は金を出して買った物だろう?決めつけるんじゃなく貸すと売る。両方を併用することをしないのは何故だ?」
「併用?!」
「そう。リユース品で良いと買っていく人間もいるんだ。レンタルのつもりでやってきて長年探していた品があったら人はどうする?」
「売ってくれないかって言うと思います」
「そういうことだ。買い取って行く事も出来るし…」
「出来るし?他に何が?」
「なんなら取り置き料金を別途に出せば確実に借りられるとしてもいいだろう。そうすれば借りたい時に誰かに借られてしまって借りることが出来ないなんて事はない。人には色々タイプがある。確実に借りるために取り置き料を出す者もいれば、買う金が貯まるまで取り置き料を払って他者に渡らないようにと考える者もいる。こちらは品が傷まないように保管すれば収入になる。ついでだな。保管業もすればいい」
レンダールはレンタル業の他に保管業もやれば良いと勧めてきた。
それはゴミの山のように積まれた品の方が圧倒的に多いけれど、一応屋根も壁もある倉庫に売ろうとした品がある。保管状態を見て、驚いたからだと言う。
「単に修理済み、清掃済みを置いているんじゃなく直ぐに売れる状態に保っているだろう?簡単に出来るように見えて出来る事じゃない。ならその技術を使って ”保管場所” という場所レンタルもすればどうだ」
「場所のレンタル?」
「そう。レンタルできるのは品物に限らない。それは君が一番よく解ってると思ったが?」
遠回しにレンダールはリサが自分自身、つまり人間をレンタルしてきたのだから家具などの品物に限らず、場所という空間を貸せばどうだと提案してきた。
「無理です」
「やる前から無理?君らしくないな」
「だって…ここを片付けても今ある品を分別し保管しなきゃいけません。その品は融資して頂くお金で建屋が建設できますので保管は出来ます。でもそうなると場所がないんです。誰かに貸せる場所は用意できません。郊外なら土地は安く借りられるでしょうけど遠いので…借りる人も利便性を考えるでしょうから」
「土地ならあるじゃないか」
「ありませんよ」
「はぁ…君は何処を見てるんだ?何か新しい事をしようとする時に何を遠慮しているんだ?海のものとも山のものとも思えない話をしているのなら、ドーンとシートは大きく広げたらどうだ」
「どうだって言われても土地なんかありません!」
「あると言ってる。どうしてカモク侯爵家を巻き込むのにカモク侯爵家の土地を使おうと思わないんだ?流石に本宅のある場所は無理だが、王都内なら幾つか遊ばせている土地がある。君は侯爵夫人だ。自由に使えばいいんだ」
「でも…認めないって…」
「遊びに使うのなら許可はしないが事業だろう?事業をするのに相手が自分にとってやり難い相手ならスルーするのか?そんなお飯事のような考えなら最初から提案などするな。時間の無駄だ」
レンダールは「暫くここで考えろ」と言い残しカモク侯爵家に帰って行ってしまったが、翌日リンゴンが書類を持ってイクル子爵家にやってきた。
何だろう?と書類を受け取ると王都内にあるカモク侯爵家が所有者となっている土地のリスト。丁寧に場所の地図の他に広さ、接する道幅、現在更地、家屋があるなど分けられていた。
「旦那様って顔は良いんですけど、悪い人じゃないんですよ」
――悪い事する人がイケメンって訳じゃないってば!――
見目が良いと結婚詐欺などしやすいのかも知れないが、使用人たちの言う悪い人でないのは確かだとリサはありがたく書類を受け取り、急ぎになるので簡単だが礼を認めた返事をリンゴンに手渡した。
頬をぱちん!手のひらで覆うように叩いて自分に気合を入れたリサは父のイクル子爵に指示を出した。
「父さま。人の募集を。ここを片付けるわ。私はこのリストにある土地に行って貸し場所に出来そうなところをピックアップしてくる」
「いいのかい?侯爵様はお金も融資をしてくださってるんだ。これ以上の迷惑は――」
「いいの!壁に当たるまでやりきれば!!」
「やりきれば?」
「(ビシッ)3年経ってるから返済不要よッ!!」
転んでもただでは起きないリサは「女は度胸!」今度はドーンを胸を叩くと従業員を2人連れて侯爵家の所有する土地に向かったのだった。
★~★
1か所目に到着したリサは大きな門の前に立つ騎士に話しかけた。
「あのぅ…この中を見たいんですけど、いいでしょうか」
「勿論です。奥様」
「え?…奥様って…知ってるんですか?」
「お顔を拝見するのは初めてですが旦那様より連絡は受けておりますので」
――そこまで手を回してくれてるんだ?――
レンダールの仕事の速さに感謝をしつつ敷地内に入って行くリサと2人の従業員。
その姿をギャーギャー言い合いをしながら通りかかった男女が見ていた。
「あれ、リサだろ。あんなところで何してんだ?」
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