2 / 21
リズリーの旅立ち
「お母様!どうしてわたくしが隣国のパトリック様の元に嫁がねばならないのですか!」
22歳初婚の娘にバツ4の30歳男…父ダスティンも泣き出したい!!
「バツも3つか4つ付いてるそうだから、あわなきゃ帰ってくればいいから。ほらイケメンだと言うし顔見るだけで帰っておいで」
キッ!っと父のダスティンを睨みつけたリズリー。
「わたくし、イケメンは嫌いなんです!お父様のようなフツメンが良いんですぅ」
「え?…父さん…フツメン??」
嬉しいような悲しいような。小さい頃は「父さまが一番カッコイイ♡」と言ってくれたのにとセピア色の思い出を娘に重ね合わせたが…。
「お世辞ですぅぅ~ランク付けるならお父様は圏外~!下の上だからぁぁ!!」
「ダメよ。リズリー。そういう時は中の下って言ってあげないと」
ボディブローの連打を浴びたようなダスティン。
足元がふら付いてテンカウントの開始。
もぐもぐと母シエナが作った干し芋を食べながらハルトが呟く。
「いいんじゃないか?22にもなって貰い手もないんだしさ」
「ハルトだって彼女いない歴イコール年齢じゃないのよ!」
「俺はいないんじゃなくて、作らないの。違いがわからねぇかなぁ」
母親のシエナ仕込みの剣の腕を買われて近衛隊に所属をしているものの、女の影が全くないハルト。実は理想の女性は母のシエナなので、シエナを超える女性でないと受け入れないだけのマザコンである。危険度は薄め。
元々孤児だったリズリーとハルトを養子に迎えたダスティンと妻のシエナ。
きっとリズリーの出自を国王が心配しての事だろうとは思ったものの複雑な心境であるのは間違いない。
しかしシエナは思うのだった。
――私の娘だもの!ダメンズを更生させるには適任かも?――
ちらりと夫のダスティンを見ると「やだぁ」と泣くリズリーの周りを怪しげな部族の舞のように手を上げ下げしながらおろおろと回っている。
――あとでお仕置きね――
ダスティンは娘のリズリーには甘いのである。尤も、妻のシエナにはその倍以上甘い。
でも甘やかすだけではダメなのだ。
シエナは知っている。リズリーが伝説の剣を欲しがっている事を。
「リズリー。上手くいけばオリハルコンが手に入るかもよ?」
「えっ?本当?!なら行く」
女の子なのに剣が大好きなリズリー。簡単だった。
そっと小さく折りたたんだ紙を手渡した。
「これなに?」
「パトリックさんの所に行く前に、ここに寄りなさい。きっとリズリーにいい方法を指南してくれるはずよ」
それはパトリックの一番目の妻。エレインの住所が書かれた紙だった。
11月初旬の小春日和な日。
「荷物はちゃんと持った?」
「持ったわ。忘れ物はないと思うけどあったら手紙を書くから送って」
「ちゃっかりしてんなぁ。手紙じゃなくて向こうの特産品でも送ってこいよ」
「ハルトには送らない!」
馬車を用意すると言ったけれど、長距離用の乗合馬車でゆっくりと出かけるリズリー。
見送るダスティンは涙が止まらず、声もかけられない。
「お父様、行って参ります」
「リジュ‥リズリっ‥‥やっぱり辞めよう。父さんといよう?」
「ダメだったらすぐに帰りますわ。お父様の好きな果実がお土産ね」
「うわぁぁん。リズリーっ」
「父さまは放っておいて、ほら!早く馬車に乗りなさい」
一先ずは途中下車でパトリックの1番目の妻だったエレインの元に立ち寄るリズリー。
「行ってきまぁす」
動き出した馬車の荷台。大きな幌馬車がガタゴトと音を立て乍ら進み始めると手を振る。
馬車が小さくなるまで見送った3人。
「母さん。はい」
ぶっきらぼうにシエナにハンカチをハルトが手渡すと、「擦っちゃダメだ」とダスティンがシエナの頬にハンカチをあてる。
帰りの馬は2頭。ハルトは父と母が同乗した馬の後を追った。
22歳初婚の娘にバツ4の30歳男…父ダスティンも泣き出したい!!
「バツも3つか4つ付いてるそうだから、あわなきゃ帰ってくればいいから。ほらイケメンだと言うし顔見るだけで帰っておいで」
キッ!っと父のダスティンを睨みつけたリズリー。
「わたくし、イケメンは嫌いなんです!お父様のようなフツメンが良いんですぅ」
「え?…父さん…フツメン??」
嬉しいような悲しいような。小さい頃は「父さまが一番カッコイイ♡」と言ってくれたのにとセピア色の思い出を娘に重ね合わせたが…。
「お世辞ですぅぅ~ランク付けるならお父様は圏外~!下の上だからぁぁ!!」
「ダメよ。リズリー。そういう時は中の下って言ってあげないと」
ボディブローの連打を浴びたようなダスティン。
足元がふら付いてテンカウントの開始。
もぐもぐと母シエナが作った干し芋を食べながらハルトが呟く。
「いいんじゃないか?22にもなって貰い手もないんだしさ」
「ハルトだって彼女いない歴イコール年齢じゃないのよ!」
「俺はいないんじゃなくて、作らないの。違いがわからねぇかなぁ」
母親のシエナ仕込みの剣の腕を買われて近衛隊に所属をしているものの、女の影が全くないハルト。実は理想の女性は母のシエナなので、シエナを超える女性でないと受け入れないだけのマザコンである。危険度は薄め。
元々孤児だったリズリーとハルトを養子に迎えたダスティンと妻のシエナ。
きっとリズリーの出自を国王が心配しての事だろうとは思ったものの複雑な心境であるのは間違いない。
しかしシエナは思うのだった。
――私の娘だもの!ダメンズを更生させるには適任かも?――
ちらりと夫のダスティンを見ると「やだぁ」と泣くリズリーの周りを怪しげな部族の舞のように手を上げ下げしながらおろおろと回っている。
――あとでお仕置きね――
ダスティンは娘のリズリーには甘いのである。尤も、妻のシエナにはその倍以上甘い。
でも甘やかすだけではダメなのだ。
シエナは知っている。リズリーが伝説の剣を欲しがっている事を。
「リズリー。上手くいけばオリハルコンが手に入るかもよ?」
「えっ?本当?!なら行く」
女の子なのに剣が大好きなリズリー。簡単だった。
そっと小さく折りたたんだ紙を手渡した。
「これなに?」
「パトリックさんの所に行く前に、ここに寄りなさい。きっとリズリーにいい方法を指南してくれるはずよ」
それはパトリックの一番目の妻。エレインの住所が書かれた紙だった。
11月初旬の小春日和な日。
「荷物はちゃんと持った?」
「持ったわ。忘れ物はないと思うけどあったら手紙を書くから送って」
「ちゃっかりしてんなぁ。手紙じゃなくて向こうの特産品でも送ってこいよ」
「ハルトには送らない!」
馬車を用意すると言ったけれど、長距離用の乗合馬車でゆっくりと出かけるリズリー。
見送るダスティンは涙が止まらず、声もかけられない。
「お父様、行って参ります」
「リジュ‥リズリっ‥‥やっぱり辞めよう。父さんといよう?」
「ダメだったらすぐに帰りますわ。お父様の好きな果実がお土産ね」
「うわぁぁん。リズリーっ」
「父さまは放っておいて、ほら!早く馬車に乗りなさい」
一先ずは途中下車でパトリックの1番目の妻だったエレインの元に立ち寄るリズリー。
「行ってきまぁす」
動き出した馬車の荷台。大きな幌馬車がガタゴトと音を立て乍ら進み始めると手を振る。
馬車が小さくなるまで見送った3人。
「母さん。はい」
ぶっきらぼうにシエナにハンカチをハルトが手渡すと、「擦っちゃダメだ」とダスティンがシエナの頬にハンカチをあてる。
帰りの馬は2頭。ハルトは父と母が同乗した馬の後を追った。
あなたにおすすめの小説
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。
【完結】帳簿係の地味令嬢、商会の不正を見抜いて王宮に見出されました。
夏灯みかん
恋愛
王都の商工会議所で働く、地味な帳簿係エミリー。
真面目に記録をつけることだけが取り柄の彼女は、同僚から軽く扱われ、雑用を押しつけられる日々を送っていた。
そんなある日――エミリーは、孤児院への配給物資の記録に、わずかな“ズレ”があることに気づく。
数量は合っている。
だが、なぜか中身の重量だけが減っている。
違和感を覚えたエミリーは、自ら倉庫へ足を運び、現物を確認する。
そこで見つけたのは、帳簿では見えない“静かな不正”だった。
しかしその矢先――不正の責任を押しつけられ、職場から追い出されそうになってしまう。
それでもエミリーは諦めない。ただ一つ、自分が積み上げてきた“記録”を信じて。
「では、正式な監査をお願いいたします」
やがてその記録は、王宮の政務監査官リオンの目に留まり――
隠されていた不正はすべて暴かれる。
そして、彼女を軽んじていた者たちは、その代償を支払うことになる。
これは、地味で目立たなかった一人の帳簿係が、
“正しく記録した”ことで不正を暴き、王宮に見出されるまでの物語。
【完結】断頭台で処刑された悪役王妃の生き直し
有栖多于佳
恋愛
近代ヨーロッパの、ようなある大陸のある帝国王女の物語。
30才で断頭台にかけられた王妃が、次の瞬間3才の自分に戻った。
1度目の世界では盲目的に母を立派な女帝だと思っていたが、よくよく思い起こせば、兄妹間で格差をつけて、お気に入りの子だけ依怙贔屓する毒親だと気づいた。
だいたい帝国は男子継承と決まっていたのをねじ曲げて強欲にも女帝になり、初恋の父との恋も成就させた結果、継承戦争起こし帝国は二つに割ってしまう。王配になった父は人の良いだけで頼りなく、全く人を見る目のないので軍の幹部に登用した者は役に立たない。
そんな両親と早い段階で決別し今度こそ幸せな人生を過ごすのだと、決意を胸に生き直すマリアンナ。
史実に良く似た出来事もあるかもしれませんが、この物語はフィクションです。
世界史の人物と同名が出てきますが、別人です。
全くのフィクションですので、歴史考察はありません。
*あくまでも異世界ヒューマンドラマであり、恋愛あり、残業ありの娯楽小説です。
【完結】都合のいい女ではありませんので
風見ゆうみ
恋愛
アルミラ・レイドック侯爵令嬢には伯爵家の次男のオズック・エルモードという婚約者がいた。
わたしと彼は、現在、遠距離恋愛中だった。
サプライズでオズック様に会いに出かけたわたしは彼がわたしの親友と寄り添っているところを見てしまう。
「アルミラはオレにとっては都合のいい女でしかない」
レイドック侯爵家にはわたししか子供がいない。
オズック様は侯爵という爵位が目的で婿養子になり、彼がレイドック侯爵になれば、わたしを捨てるつもりなのだという。
親友と恋人の会話を聞いたわたしは彼らに制裁を加えることにした。
※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
夫に用無しと捨てられたので薬師になって幸せになります。
光子
恋愛
この世界には、魔力病という、まだ治療法の見つかっていない未知の病が存在する。私の両親も、義理の母親も、その病によって亡くなった。
最後まで私の幸せを祈って死んで行った家族のために、私は絶対、幸せになってみせる。
たとえ、離婚した元夫であるクレオパス子爵が、市民に落ち、幸せに暮らしている私を連れ戻そうとしていても、私は、あんな地獄になんか戻らない。
地獄に連れ戻されそうになった私を救ってくれた、同じ薬師であるフォルク様と一緒に、私はいつか必ず、魔力病を治す薬を作ってみせる。
天国から見守っているお義母様達に、いつか立派な薬師になった姿を見てもらうの。そうしたら、きっと、私のことを褒めてくれるよね。自慢の娘だって、思ってくれるよね――――
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
さようなら、私を「枯れた花」と呼んだ貴方。~辺境で英雄を救って聖女と呼ばれたので、没落した元婚約者の謝罪は受け付けません~
阿里
恋愛
「お前のような見栄えの悪い女は、俺の隣にふさわしくない」
婚約者アレクに捨てられ、辺境へ追いやられたセレナ。
けれど、彼女が森で拾ったのは、アレクなど足元にも及ばないほど強くて優しい、呪われた英雄ライアンだった。
セレナの薬草が奇跡を起こし、王都を救う特効薬となったとき、かつて自分を捨てた男との再会が訪れる。
「やり直そう」と縋り付くアレクに、セレナは最愛の人と寄り添いながら静かに微笑む。
――あなたが捨てたのは、ただの影ではなく、あなたの未来そのものだったのですよ。