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切り捨てられたイザベラ
★この回はイザベラ(義妹)の視点です
◆~◆~◆
どういうことなの?いったいどういう事?意味が分からない。
お母様を見れば、真っ青な顔でマイラと背を壁に当ててへたり込んでいるし、お姉様はお兄様に殴られて、そう!いきなり殴られたの。人の顔があぁまでずれる事があるなんて見た事もないほどにお姉様は殴られて顔が歪んだのよ。次は私かと思うと腰が抜けてしまって、お兄様に睨まれた瞬間、お尻が小水で濡れてしまった。
だってお母様が泣いて困っていたのよ!
何もしなかったのはお兄様じゃないの!
だから私とお姉様が鉄槌を下したのよ。なのにどうして…何故私が悪者なの?
そんなのおかしい。何かが間違ってる!
お兄様はシスティアナは皇帝陛下の異母妹だと言っていた。
でも、それがどうしたと言うの?私はお母様を守っただけ。何も悪い事はしていない。
でも判るの。陛下にこの事を言われたら間違いなく私は断頭台に送られる。それは私だけじゃなくて夫も、夫の弟妹もそして‥‥可愛い4歳になった娘ともうすぐ2歳になる息子も。
皇帝陛下は慈悲がないと有名で、ついこの間も遊ぶ金欲しさに親と祖父母を惨殺した11歳の少年が断頭台で処刑をされたの。興味はなかったけれどお茶会で一緒になる友達が見に行こうというので公開処刑を見に行った。
11歳って聞いて、驚いたけど親も祖父母も手にかけるなんて非道だもの。
「陛下は家族を蔑ろにするのは絶対に許さないからなぁ」
後ろで中年の男の人がそう言ってた。
陛下の異母妹をお母様へした事の罰だと言ってもやり過ぎてしまったの?
追い出しさえしなければよかったの?
もう頭の中がゴチャゴチャで判らない。だけど私はお母様を守ったのよ。
なのに‥‥どうして私は屋敷に戻って、こうなっているの?
幼い娘と息子の目の前で、夫に鞭でどうして打たれているの?
「ばぁば。どうしてお母様は叱られているの?」
「お母様ではないわ。あれは人の格好をした悪魔なのよ」
「え?じゃぁお母様は何処にいるの?」
「お母様は悪魔に体も心も食べられてしまったの。あぁ可哀想なミリィ」
「ミリィ平気よ。トムも私が守るわ。お父様は悪魔を退治してくれているのでしょう?」
聖教会の狂信者とも言って良いくらいにその教えに全てを捧げている義母は私を悪魔と呼び娘と息子に教えていたわ。
一部始終を見ていた付き人は夫に見たままを報告すると、夫は私に「本当か」と聞いたの。
「だけど私はお母様を守っただけよ」
「では聞くが、お前の母は階段から落ちたのか」
「落ちるわけがないでしょう!あれは勝手に転んだのよ。なのに何時までもグダグダと寝台で寝転がって執務もお母様に押し付けていたのよ」
「お前の母親が執務?笑わせる。私はここ1年各家からの報告書に目を通しているし、不明点を問い合わせもしているが書類を作成し、質疑応答に対応したのはお前の母ではない。お前の母はとっくに執務などしていない」
「そ、そりゃぁ一部でしょう?全部を見た訳じゃな――」
「全部だ。お前は私が適当な仕事をしているとでも思っているのか」
そう言えばと思い出した。階段から落ちる前、あの娘は今日の分は家令にもう渡したと言っていた。お母様は何をしていたかしら…。
いつ実家に行ってもお母様は直ぐに対応してくれて帰るまで一緒に寛いでいた。
お母様はいつ執務をしていたの?お父様が生きている頃は王宮の仕事から帰っても深夜遅くまで執務室で書類の山に埋もれていた。あれはお父様が亡くなった後誰がやっていたの?
お兄様は遠征で本当に屋敷に居なかった。と、いう事は…。
背や肩を鞭で打たれるたびに、お仕置きをしていた時のあの娘を思い出したの。
歩き方も本当は何の問題もなかった。食事の仕方も優雅で見事だった。
ちょっとした立ち振る舞いも、娘に付けている所作の講師よりずっと良かった。
倍の給金を払ってでもお手本にしたいような所作だった。
判っていたの。判っていたのよ。でもお母様が虐められているのが我慢できなかっただけ。
え?…本当に虐められていたの?
ふいに部屋の隅に置かれていたバザーに寄付をする品を思い出したわ。
お母様の刺繍の癖は知ってる。あれはお母様が刺繍をしたものではない事は直ぐに判った。
あんなに沢山の刺繍をしながら、執務をしててお母様に構う時間が取れるの?
塩の菓子は作っている時に調理人が面白半分に塩を練り込んだ。
遠征中の騎士たちは汗を多くかくぶん、体内の塩分が不足するから丁度だと言っていた。
「でも、固形のまま1個食べると男でも…そうだな鍛えた騎士でも3日は起き上がれないから絶対に大量の湯にふかして溶けたら食べてくださいよ。ウチの坊ちゃんやお嬢様なら半分でも食べたら死んでもおかしくない量ですから使い方は絶対に間違わないでと閣下に伝えてくださいね」
鍛え上げた騎士でも3日は動けないというものを私は食べさせた。
そう…半分でも我が子が危険な状況に陥るという物を、2日後に茶会があると判っていて敢えて食べさせた。顔色が悪かったわねぇと「ちょっとすっきりした」というお母様に私はお手柄だったのだからネックレスを強請って買ってもらった。
使用人が夫に言われて知らせに行ったのだろう。
恐ろしいほどの剣幕で夫の弟妹がやってきた。
「なんてことをしてくれたんだ。折角長男が生まれたばかりなのに」
「そうよ…アナタお母様に同じことをしていたんじゃないでしょうね」
ソファにがっくりと項垂れて誰も声を出さない中、私は打たれて痛む体を折り曲げて床に額を付けて謝罪をしたけれど、その謝罪に応えてくれる人は一人もいなかった。
「兄さん…不動産は諦めるしかないが…宝飾品はどれくらいある?」
「全部売り払ったところで焼け石に水、としか言えないな」
「すぐ金に換えよう。今から換金して逃げれば――」
「無理よ!この国の領土がどれくらいあると思っているの?!逃げ切れると思って?!」
「そうだな…」
その会話を聞いてやっとした事の重大さが判った。
既に狭い物置のような部屋に閉じ込められていた私は使用人の言葉を扉越しに聞いて知った。
皇帝陛下からの使者が伯爵家にやってきて、ジャガイモの1個に至るまで全ての数を調べられ、搬入する物も厳しく精査されたという。
本当の刑罰が与えられるのはお兄様の妻であるシスティアナが見つかってから。
もし見つからなかったら‥‥見つかったとしてももう儚くなっていたら…。
やっと扉が開くとそこには無表情の夫が立っていた。
私は夫によって「死ぬまで反省をしていろ」と屋敷にある地下牢に放り込まれた。
真っ暗で上の方にある僅かな隙間からしか光も風も入らないジメジメした地下牢。
ドレスの上を何かが這っている感覚があるけれど、どうでもいい。
私は夫の妻だし、伯爵夫人だもの。数日で「もうバカな事はするなよ」と出してくれるはず。
1日1回だけパッと明るくなって義母がパンとミルクを持ってきてくれた。
固くなってぱさぱさしたパンを齧ると義母が言ったの。
「濃い味が希望なら、調理人が作った兵士の遠征用固形食糧があるわよ?」
私は要りませんと首を振った。義母は少しだけ微笑んだ。
「雄弁は銀、沈黙は金‥‥ご存じ?」
「いえ、知りません」
「わたくし、あなたの事大嫌いだったの。可愛い息子を取られるのも嫌だった。でもね何も言わなかったでしょう?わたくしが貴女に何か文句を言ったことがあって?実家に頻繁に帰るのも何にも言わなかったでしょう?」
「あり…ません」
そう、妻が頻繁に実家に行くと言うのはこのリガール帝国では良い意味では捉えてもらえない。嫁ぎ先で不遇の扱いをされていますと黙して語らずと捉えられるんだって学んだ事を思い出したの。
「ピーチクパーチクと五月蠅い貴女。放っておいても自滅すると思ったの。可愛い孫も出来たからわたくしは猶更口を噤んであなたの自滅を待った。宗教に傾倒するふりは大変だったのよ。フフフ」
「そんな…」
「安心して。陛下の調査は入ったけれど伯爵家は安泰。ミリィもトムも息子も誰もお咎めなしよ。あなたのおかげで全部戻ってきた。孫と言う利息まで付いて手の内に戻ってきた。あなたには感謝しているわ。大丈夫。ちゃんと離縁の届けは出しているわ。貴女と違ってわたくしは、こうなればあれが必要と事前に準備していたもの。ごめんなさいね。わたくしも好きで公爵家から伯爵家に嫁いだわけではないの。でも嫁いだからには自分の居場所を守るのも、何を切り捨てればよいかを精査するのも夫人として大事な務めなのよ。嫁ぐという意味を間違え、切り捨てる物をも間違った愚かな女。あぁ、最後に全てを戻してくれたという点では出来た嫁だったわ」
喉を鳴らしながら義母が出て行ったあと、ここに食事が運ばれる事も扉が開く事も無かったの。
◆~◆~◆
どういうことなの?いったいどういう事?意味が分からない。
お母様を見れば、真っ青な顔でマイラと背を壁に当ててへたり込んでいるし、お姉様はお兄様に殴られて、そう!いきなり殴られたの。人の顔があぁまでずれる事があるなんて見た事もないほどにお姉様は殴られて顔が歪んだのよ。次は私かと思うと腰が抜けてしまって、お兄様に睨まれた瞬間、お尻が小水で濡れてしまった。
だってお母様が泣いて困っていたのよ!
何もしなかったのはお兄様じゃないの!
だから私とお姉様が鉄槌を下したのよ。なのにどうして…何故私が悪者なの?
そんなのおかしい。何かが間違ってる!
お兄様はシスティアナは皇帝陛下の異母妹だと言っていた。
でも、それがどうしたと言うの?私はお母様を守っただけ。何も悪い事はしていない。
でも判るの。陛下にこの事を言われたら間違いなく私は断頭台に送られる。それは私だけじゃなくて夫も、夫の弟妹もそして‥‥可愛い4歳になった娘ともうすぐ2歳になる息子も。
皇帝陛下は慈悲がないと有名で、ついこの間も遊ぶ金欲しさに親と祖父母を惨殺した11歳の少年が断頭台で処刑をされたの。興味はなかったけれどお茶会で一緒になる友達が見に行こうというので公開処刑を見に行った。
11歳って聞いて、驚いたけど親も祖父母も手にかけるなんて非道だもの。
「陛下は家族を蔑ろにするのは絶対に許さないからなぁ」
後ろで中年の男の人がそう言ってた。
陛下の異母妹をお母様へした事の罰だと言ってもやり過ぎてしまったの?
追い出しさえしなければよかったの?
もう頭の中がゴチャゴチャで判らない。だけど私はお母様を守ったのよ。
なのに‥‥どうして私は屋敷に戻って、こうなっているの?
幼い娘と息子の目の前で、夫に鞭でどうして打たれているの?
「ばぁば。どうしてお母様は叱られているの?」
「お母様ではないわ。あれは人の格好をした悪魔なのよ」
「え?じゃぁお母様は何処にいるの?」
「お母様は悪魔に体も心も食べられてしまったの。あぁ可哀想なミリィ」
「ミリィ平気よ。トムも私が守るわ。お父様は悪魔を退治してくれているのでしょう?」
聖教会の狂信者とも言って良いくらいにその教えに全てを捧げている義母は私を悪魔と呼び娘と息子に教えていたわ。
一部始終を見ていた付き人は夫に見たままを報告すると、夫は私に「本当か」と聞いたの。
「だけど私はお母様を守っただけよ」
「では聞くが、お前の母は階段から落ちたのか」
「落ちるわけがないでしょう!あれは勝手に転んだのよ。なのに何時までもグダグダと寝台で寝転がって執務もお母様に押し付けていたのよ」
「お前の母親が執務?笑わせる。私はここ1年各家からの報告書に目を通しているし、不明点を問い合わせもしているが書類を作成し、質疑応答に対応したのはお前の母ではない。お前の母はとっくに執務などしていない」
「そ、そりゃぁ一部でしょう?全部を見た訳じゃな――」
「全部だ。お前は私が適当な仕事をしているとでも思っているのか」
そう言えばと思い出した。階段から落ちる前、あの娘は今日の分は家令にもう渡したと言っていた。お母様は何をしていたかしら…。
いつ実家に行ってもお母様は直ぐに対応してくれて帰るまで一緒に寛いでいた。
お母様はいつ執務をしていたの?お父様が生きている頃は王宮の仕事から帰っても深夜遅くまで執務室で書類の山に埋もれていた。あれはお父様が亡くなった後誰がやっていたの?
お兄様は遠征で本当に屋敷に居なかった。と、いう事は…。
背や肩を鞭で打たれるたびに、お仕置きをしていた時のあの娘を思い出したの。
歩き方も本当は何の問題もなかった。食事の仕方も優雅で見事だった。
ちょっとした立ち振る舞いも、娘に付けている所作の講師よりずっと良かった。
倍の給金を払ってでもお手本にしたいような所作だった。
判っていたの。判っていたのよ。でもお母様が虐められているのが我慢できなかっただけ。
え?…本当に虐められていたの?
ふいに部屋の隅に置かれていたバザーに寄付をする品を思い出したわ。
お母様の刺繍の癖は知ってる。あれはお母様が刺繍をしたものではない事は直ぐに判った。
あんなに沢山の刺繍をしながら、執務をしててお母様に構う時間が取れるの?
塩の菓子は作っている時に調理人が面白半分に塩を練り込んだ。
遠征中の騎士たちは汗を多くかくぶん、体内の塩分が不足するから丁度だと言っていた。
「でも、固形のまま1個食べると男でも…そうだな鍛えた騎士でも3日は起き上がれないから絶対に大量の湯にふかして溶けたら食べてくださいよ。ウチの坊ちゃんやお嬢様なら半分でも食べたら死んでもおかしくない量ですから使い方は絶対に間違わないでと閣下に伝えてくださいね」
鍛え上げた騎士でも3日は動けないというものを私は食べさせた。
そう…半分でも我が子が危険な状況に陥るという物を、2日後に茶会があると判っていて敢えて食べさせた。顔色が悪かったわねぇと「ちょっとすっきりした」というお母様に私はお手柄だったのだからネックレスを強請って買ってもらった。
使用人が夫に言われて知らせに行ったのだろう。
恐ろしいほどの剣幕で夫の弟妹がやってきた。
「なんてことをしてくれたんだ。折角長男が生まれたばかりなのに」
「そうよ…アナタお母様に同じことをしていたんじゃないでしょうね」
ソファにがっくりと項垂れて誰も声を出さない中、私は打たれて痛む体を折り曲げて床に額を付けて謝罪をしたけれど、その謝罪に応えてくれる人は一人もいなかった。
「兄さん…不動産は諦めるしかないが…宝飾品はどれくらいある?」
「全部売り払ったところで焼け石に水、としか言えないな」
「すぐ金に換えよう。今から換金して逃げれば――」
「無理よ!この国の領土がどれくらいあると思っているの?!逃げ切れると思って?!」
「そうだな…」
その会話を聞いてやっとした事の重大さが判った。
既に狭い物置のような部屋に閉じ込められていた私は使用人の言葉を扉越しに聞いて知った。
皇帝陛下からの使者が伯爵家にやってきて、ジャガイモの1個に至るまで全ての数を調べられ、搬入する物も厳しく精査されたという。
本当の刑罰が与えられるのはお兄様の妻であるシスティアナが見つかってから。
もし見つからなかったら‥‥見つかったとしてももう儚くなっていたら…。
やっと扉が開くとそこには無表情の夫が立っていた。
私は夫によって「死ぬまで反省をしていろ」と屋敷にある地下牢に放り込まれた。
真っ暗で上の方にある僅かな隙間からしか光も風も入らないジメジメした地下牢。
ドレスの上を何かが這っている感覚があるけれど、どうでもいい。
私は夫の妻だし、伯爵夫人だもの。数日で「もうバカな事はするなよ」と出してくれるはず。
1日1回だけパッと明るくなって義母がパンとミルクを持ってきてくれた。
固くなってぱさぱさしたパンを齧ると義母が言ったの。
「濃い味が希望なら、調理人が作った兵士の遠征用固形食糧があるわよ?」
私は要りませんと首を振った。義母は少しだけ微笑んだ。
「雄弁は銀、沈黙は金‥‥ご存じ?」
「いえ、知りません」
「わたくし、あなたの事大嫌いだったの。可愛い息子を取られるのも嫌だった。でもね何も言わなかったでしょう?わたくしが貴女に何か文句を言ったことがあって?実家に頻繁に帰るのも何にも言わなかったでしょう?」
「あり…ません」
そう、妻が頻繁に実家に行くと言うのはこのリガール帝国では良い意味では捉えてもらえない。嫁ぎ先で不遇の扱いをされていますと黙して語らずと捉えられるんだって学んだ事を思い出したの。
「ピーチクパーチクと五月蠅い貴女。放っておいても自滅すると思ったの。可愛い孫も出来たからわたくしは猶更口を噤んであなたの自滅を待った。宗教に傾倒するふりは大変だったのよ。フフフ」
「そんな…」
「安心して。陛下の調査は入ったけれど伯爵家は安泰。ミリィもトムも息子も誰もお咎めなしよ。あなたのおかげで全部戻ってきた。孫と言う利息まで付いて手の内に戻ってきた。あなたには感謝しているわ。大丈夫。ちゃんと離縁の届けは出しているわ。貴女と違ってわたくしは、こうなればあれが必要と事前に準備していたもの。ごめんなさいね。わたくしも好きで公爵家から伯爵家に嫁いだわけではないの。でも嫁いだからには自分の居場所を守るのも、何を切り捨てればよいかを精査するのも夫人として大事な務めなのよ。嫁ぐという意味を間違え、切り捨てる物をも間違った愚かな女。あぁ、最後に全てを戻してくれたという点では出来た嫁だったわ」
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