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第16話 立ちはだかる難関
「これを?何に使うんです?」
「ライオット様の移動に使うの。乗せて運べば私でも移動をさせられるでしょう?」
「無理無理!試しに今道具を載せているから動かしてご覧。かなり重いよ」
「そうなんですか?では…ちょっと」
パトリシアはまだ道具が乗ったままの手押しの一輪車のハンドルを握り前方に押してみたが左右にフラフラするし、渾身の力を入れたのに車輪を1回転させるのがやっとだった。
「この道具は坊ちゃんの体重からすると3分の1,いや4分の1の重さも無いよ。これに坊ちゃん乗せるとなれば…お嬢さん、相当な怪力じゃないと無理だ」
庭師の言葉の通りだ。半分にも満たない重さで全然前には進めないしふらついてしまう。
しっかりと持っていても、動かない道具でこの通りなのだから人間は動くしもっと重さがある。横に倒してしまうだろう。ライオットを乗せたら、乗せた瞬間に横倒しになってしまいそうだ。
ライオットのためにと用意をして、ライオットに怪我をさせたら何の意味も無い。
「ならば車輪が両脇に2個。荷車…あ~駄目ね。前後にギッコンバッタンになってしまうわ」
「だったら荷車の前方に1つ車輪を加えたらどうだ?」
「ハッ!!そうね。そうだわ!」
「でも荷車はデカいよ?廊下を直進しても曲がれないよ」
大は小を兼ねるというけれど、この場合大きいと荷台でライオットが転がり回る事にもなる。
「椅子くらいの大きさならフィットすると思うんだけど、そんな小さい荷車はねぇしな」
「それよ!!」
<< えっ? >>
パトリシアは「少しお待ちになって」庭師と侯爵夫妻を庭に残し、家屋に戻ると歩いていた使用人に「使わない椅子をください」と頼んだ。
小ぶりな椅子を1脚貸してもらうとエッサホッサと抱えて庭に戻る。
バンバン!!椅子の背もたれを叩いた。
「この椅子の脚の代わりに車輪を取り付けたらどうかしら」
それでも問題があった。椅子の脚の代わりに車輪を取り付けたら座面の下と車輪は接してしまうので車輪の役目を果たさない。本当に椅子の脚が車輪になるだけで動かない椅子である事は変わりなかった。
「だったらなんですけど」
若い庭師が椅子のひじ掛け部分に車輪を取り付けたらどうかと提案した。
しかしやはり問題がある。前後にギッコンバッタンとなるのでバランスを取るには前か後ろにも車輪が必要になるのだ。
後ろに着ければ押す人はかなり前のめりに手を伸ばした格好で押さねばならないし、前に着ければ股の間に挟む格好になって足や服を巻き込む可能性もある。
「いいかなって思ったんだけど…」
「ありがとう。あの子の事を考えてくれたのよね」
侯爵夫人はパトリシアを抱きしめた。
使用人もライオットのためにあれこれと工夫はしているが、まだ数日のパトリシアがライオットの心を溶かしてしまったと思っている。
侯爵夫人はパトリシアを抱きしめつつ、侯爵にアイコンタクト。
『絶対に逃がさないわよ?いいわね?』
『勿論だ。手続きを超簡素化するよう兄上にも言うよ』
『頼んだわよ』
『任せてくれ』
以心伝心の夫婦の会話。パトリシア包囲網が張り巡らされる予兆だったがパトリシアは気が付かなかった。
「ライオット様の移動に使うの。乗せて運べば私でも移動をさせられるでしょう?」
「無理無理!試しに今道具を載せているから動かしてご覧。かなり重いよ」
「そうなんですか?では…ちょっと」
パトリシアはまだ道具が乗ったままの手押しの一輪車のハンドルを握り前方に押してみたが左右にフラフラするし、渾身の力を入れたのに車輪を1回転させるのがやっとだった。
「この道具は坊ちゃんの体重からすると3分の1,いや4分の1の重さも無いよ。これに坊ちゃん乗せるとなれば…お嬢さん、相当な怪力じゃないと無理だ」
庭師の言葉の通りだ。半分にも満たない重さで全然前には進めないしふらついてしまう。
しっかりと持っていても、動かない道具でこの通りなのだから人間は動くしもっと重さがある。横に倒してしまうだろう。ライオットを乗せたら、乗せた瞬間に横倒しになってしまいそうだ。
ライオットのためにと用意をして、ライオットに怪我をさせたら何の意味も無い。
「ならば車輪が両脇に2個。荷車…あ~駄目ね。前後にギッコンバッタンになってしまうわ」
「だったら荷車の前方に1つ車輪を加えたらどうだ?」
「ハッ!!そうね。そうだわ!」
「でも荷車はデカいよ?廊下を直進しても曲がれないよ」
大は小を兼ねるというけれど、この場合大きいと荷台でライオットが転がり回る事にもなる。
「椅子くらいの大きさならフィットすると思うんだけど、そんな小さい荷車はねぇしな」
「それよ!!」
<< えっ? >>
パトリシアは「少しお待ちになって」庭師と侯爵夫妻を庭に残し、家屋に戻ると歩いていた使用人に「使わない椅子をください」と頼んだ。
小ぶりな椅子を1脚貸してもらうとエッサホッサと抱えて庭に戻る。
バンバン!!椅子の背もたれを叩いた。
「この椅子の脚の代わりに車輪を取り付けたらどうかしら」
それでも問題があった。椅子の脚の代わりに車輪を取り付けたら座面の下と車輪は接してしまうので車輪の役目を果たさない。本当に椅子の脚が車輪になるだけで動かない椅子である事は変わりなかった。
「だったらなんですけど」
若い庭師が椅子のひじ掛け部分に車輪を取り付けたらどうかと提案した。
しかしやはり問題がある。前後にギッコンバッタンとなるのでバランスを取るには前か後ろにも車輪が必要になるのだ。
後ろに着ければ押す人はかなり前のめりに手を伸ばした格好で押さねばならないし、前に着ければ股の間に挟む格好になって足や服を巻き込む可能性もある。
「いいかなって思ったんだけど…」
「ありがとう。あの子の事を考えてくれたのよね」
侯爵夫人はパトリシアを抱きしめた。
使用人もライオットのためにあれこれと工夫はしているが、まだ数日のパトリシアがライオットの心を溶かしてしまったと思っている。
侯爵夫人はパトリシアを抱きしめつつ、侯爵にアイコンタクト。
『絶対に逃がさないわよ?いいわね?』
『勿論だ。手続きを超簡素化するよう兄上にも言うよ』
『頼んだわよ』
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