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第17話 契約更新ならず?
バレス侯爵の命を受けた使者がパトリシアの帰宅が伸びる事を伝えるためにルーフェルズ伯爵家に到着をした時、ルーフェルズ伯爵は5つの商会と契約更新のための面会中だった。
相手が何を言っているかサッパリ理解できないし、どうして羊毛と言う材料が王都から遠く離れた領地にあるのに運送費であったり、手間賃が必要になるのかとルーフェルズ伯爵は疑問でならなかった。
そんなものはわざわざ商会を介さずとも、領民にやらせればいい。
パトリシアにやらせる前は、領民が「量を運ぶなら荷馬車若しくは人力で押すので荷車を買ってくれ」と言ったが「背中に背負い、両手で持てばいい」とあしらってきた。
ルーフェルズ伯爵は領民はタダで使い放題だが、商会に頼むと支払いが生じるので無駄だとしか考えていなかったのだ。
更にはパトリシアは家から出るので事業をエルドラに引き継がせると言えば彼らは直ぐにNO!!拒否されてしまっていた。
「捨てた娘に縋っても利益は出ないぞ?お前達も身の振り方を考えた方が良いと思うがなッ!」
商人を恫喝するルーフェルズ伯爵はバレス侯爵家から使者が来たと知り、目の前の商人に「住む世界が違うんだ」と見せつけてやろう。そう考えて客もいるのにこの場に案内をしろと使用人に伝えた。
ソファにふんぞり返って葉巻に火をつけ、煙を目の前の商会の番頭に吹き付けた。
「こちらで御座います」
使用人に案内をされて部屋に入るなり従者は一歩引いて「待ちますよ?」と返すが、ルーフェルズ伯爵は立ち上がって「どうも、どうも!」にこやかに笑って近づき、親密さを知らしめようと従者の肩を叩いた。
「今日は、どうされました?パトリシアが何かやらかしてしまいましたか?あれから2週間も帰ってこないので親としてはもう、恥ずかしい限りで」
パトリシアを下げる発言をするルーフェルズ伯爵に商人たちは眉をひそめた。
だが、次に従者が発した言葉に顔色が変わった。
「パトリシア様には何の問題も御座いません。早くバレス侯爵家に慣れて頂くため当面お戻りにはなりませんのでその事をお知らせに参った次第です」
<< 戻らない?どういう事だ? >>
商人にとってはパトリシアがいるといないでは大違い。
ハッキリ言って、パトリシアだから職人が付いてくるし、パトリシアだからここ数年少しづつ発注を増やしてきた。
パトリシアが抜けるのならわざわざ問題を起こすであろう事が判っていてルーフェルズ伯爵と取引をしたいとは思わない。
パトリシアが離れた時は契約は解除。違約金は申し訳ないが職人に分配をしたいので払えない。パトリシアは単価を下げてもこの条項は外せないと必死だった。
違約金と言っても微々たるもの。
細々とした零細商会なので、本業以外のドブ攫いなどをせねば仕事もなかったがルーフェルズ伯爵家とは仕事をしたくない。みんなそうだった。
イイトコ取りだけをして賃金は難癖を付けて値切られるし、不手際があれば責任だけを押し付けられる。連絡も滞りがちで納期もいい加減。
最初はルーフェルズ伯爵家の女の子が何か言ってる程度に流してきたが、パトリシアは毎日やってきて頭を下げて職人たちに交じって「手伝わせてください」とドブ攫いをした。
その熱意に打たれた。
仕事の話をしようと告げた日、パトリシアは満面の笑みで計画書を説明してくれた。
彼らは相手がパトリシアでもあるから契約をした。ルーフェルズ伯爵家は関係がない。ルーフェルズ伯爵家の売り上げはパトリシアの取り分でしかない。
その事は契約書にも書いてある。
商人たちは契約書を交わす際にどうしてパトリシアがこの1行を加えたのか。おおよその事は解っていたがなるほどと首を縦に何度も小さく振った。
暫くどころか下手をすれば永遠に帰らないパトリシアに会うためにルーフェルズ伯爵家に来ても仕方がない。
商人たちは一斉に立ち上がった。
「伯爵。話の途中だが来客のようだし私たちはこれで失礼をするよ」
「わざわざ時間を割いたのに中座をすると?ハッ。流石はパトリシアと手を組んだヤカラだけはある、非礼であることも教える手間が省ける。帰れ、帰れ。お前らでなくてもルーフェルズ伯爵家と手を組んで商売をしたいって商会も貴族も多いんだ。後で泣きついて来たらその時処遇を考えてやろう」
ルーフェルズ伯爵は強気だった。
パトリシアが取り付けてきた契約など取るに足らない。
エルドラには無理、手は組めないと言い切るくらいなのだから、大した商会でもない。物事の良しあしや先見の明のない者は必要が無いと切り捨てた。
相手が何を言っているかサッパリ理解できないし、どうして羊毛と言う材料が王都から遠く離れた領地にあるのに運送費であったり、手間賃が必要になるのかとルーフェルズ伯爵は疑問でならなかった。
そんなものはわざわざ商会を介さずとも、領民にやらせればいい。
パトリシアにやらせる前は、領民が「量を運ぶなら荷馬車若しくは人力で押すので荷車を買ってくれ」と言ったが「背中に背負い、両手で持てばいい」とあしらってきた。
ルーフェルズ伯爵は領民はタダで使い放題だが、商会に頼むと支払いが生じるので無駄だとしか考えていなかったのだ。
更にはパトリシアは家から出るので事業をエルドラに引き継がせると言えば彼らは直ぐにNO!!拒否されてしまっていた。
「捨てた娘に縋っても利益は出ないぞ?お前達も身の振り方を考えた方が良いと思うがなッ!」
商人を恫喝するルーフェルズ伯爵はバレス侯爵家から使者が来たと知り、目の前の商人に「住む世界が違うんだ」と見せつけてやろう。そう考えて客もいるのにこの場に案内をしろと使用人に伝えた。
ソファにふんぞり返って葉巻に火をつけ、煙を目の前の商会の番頭に吹き付けた。
「こちらで御座います」
使用人に案内をされて部屋に入るなり従者は一歩引いて「待ちますよ?」と返すが、ルーフェルズ伯爵は立ち上がって「どうも、どうも!」にこやかに笑って近づき、親密さを知らしめようと従者の肩を叩いた。
「今日は、どうされました?パトリシアが何かやらかしてしまいましたか?あれから2週間も帰ってこないので親としてはもう、恥ずかしい限りで」
パトリシアを下げる発言をするルーフェルズ伯爵に商人たちは眉をひそめた。
だが、次に従者が発した言葉に顔色が変わった。
「パトリシア様には何の問題も御座いません。早くバレス侯爵家に慣れて頂くため当面お戻りにはなりませんのでその事をお知らせに参った次第です」
<< 戻らない?どういう事だ? >>
商人にとってはパトリシアがいるといないでは大違い。
ハッキリ言って、パトリシアだから職人が付いてくるし、パトリシアだからここ数年少しづつ発注を増やしてきた。
パトリシアが抜けるのならわざわざ問題を起こすであろう事が判っていてルーフェルズ伯爵と取引をしたいとは思わない。
パトリシアが離れた時は契約は解除。違約金は申し訳ないが職人に分配をしたいので払えない。パトリシアは単価を下げてもこの条項は外せないと必死だった。
違約金と言っても微々たるもの。
細々とした零細商会なので、本業以外のドブ攫いなどをせねば仕事もなかったがルーフェルズ伯爵家とは仕事をしたくない。みんなそうだった。
イイトコ取りだけをして賃金は難癖を付けて値切られるし、不手際があれば責任だけを押し付けられる。連絡も滞りがちで納期もいい加減。
最初はルーフェルズ伯爵家の女の子が何か言ってる程度に流してきたが、パトリシアは毎日やってきて頭を下げて職人たちに交じって「手伝わせてください」とドブ攫いをした。
その熱意に打たれた。
仕事の話をしようと告げた日、パトリシアは満面の笑みで計画書を説明してくれた。
彼らは相手がパトリシアでもあるから契約をした。ルーフェルズ伯爵家は関係がない。ルーフェルズ伯爵家の売り上げはパトリシアの取り分でしかない。
その事は契約書にも書いてある。
商人たちは契約書を交わす際にどうしてパトリシアがこの1行を加えたのか。おおよその事は解っていたがなるほどと首を縦に何度も小さく振った。
暫くどころか下手をすれば永遠に帰らないパトリシアに会うためにルーフェルズ伯爵家に来ても仕方がない。
商人たちは一斉に立ち上がった。
「伯爵。話の途中だが来客のようだし私たちはこれで失礼をするよ」
「わざわざ時間を割いたのに中座をすると?ハッ。流石はパトリシアと手を組んだヤカラだけはある、非礼であることも教える手間が省ける。帰れ、帰れ。お前らでなくてもルーフェルズ伯爵家と手を組んで商売をしたいって商会も貴族も多いんだ。後で泣きついて来たらその時処遇を考えてやろう」
ルーフェルズ伯爵は強気だった。
パトリシアが取り付けてきた契約など取るに足らない。
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