捨てたのはあなたです。

cyaru

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第27話  ゴミ箱が無い!?

「で、色々とルーフェルズ伯爵家絡みでご迷惑をお掛けするので、事前に切り離して頂きたいんです」
「なるほどな。良いだろう。シアの好きなように作成すればいい」
「良いんですか?」
「あぁ」
「後でこれがダメとか書き直しは嫌ですよ?」
「書き直す必要はない。シアがこうしたいと思う文言を書けばいい」
「ありがとうございます!じゃぁ早速作りますね」

(話の判る人で良かったわ。やっぱり不貞腐れてて拗ねてただけね)

初日にいきなり掛布を剥ぎ取って有無を言わせず、グイグイと押し切ったのも本当にイカれているのなら国王陛下に問われた時に、口調を変えたりはしない。

ライオットも自分の状況が受け入れられないし、何をどうしていいのか判らなかっただけだ。

(バレス侯爵家の人って良い人ばかりね)

ついつい鼻歌も飛び出し、パトリシアは同じ文面の書面を3つ作成した。

今夜侯爵夫妻と食事をする時にライオットは婚姻届けを作成するつもりなのだから時間もないし、そうなる前に手を打っておかねばならない。

1つはパトリシア、1つはライオット、もう1つは侯爵夫妻でもいいし貴族院の個人保管庫に預けても良い。我ながら完璧!!パトリシアはフンフン鼻息荒くライオットに説明を始めた。

「先ずはですね、この先私の携わる事業で起こりえるであろう揉め事などはバレス侯爵家には関係がない。よろしいですか?」
「ふむ。次は?」
「私、パトリシアが負債を抱えてもライオット様には弁済や肩代わり、立て替えの必要はない。よろしいですか?」
「なるほどね。次は?」
「バレス侯爵家に私が要因で不利益になる事象が起きた時、私パトリシアは離縁をし身1つで出て行く。慰謝料を残したいんですけど…払えるかどうかは判らないのでその時の個人資産全て…で、宜しいですか?」
「ふーん。これだけか?」
「これだけ…他に何かご要望が?」
「いいや?私はシアがこうしたい、その文面を書けと言った。私からは何もない」
「良かった!では署名を頂けますか?」

署名は3つとも作成者であるパトリシアは先に済ませてあった。
ライオットの目の前に3通が並べられ、パトリシアはペンを差し出した。

「すまないが、ゴミ箱を取ってくれないか」
「ゴミ箱?いいですよ。‥‥あれ?ない??ゴミ箱が無い?どうしよう」

キョロキョロするパトリシアに扉の外にいた従者がやってきてそっと教えてくれた。

「バレス侯爵家にゴミ箱は御座いません」
「えぇっ?!じゃ、どうしよう…」
「そうですねぇ…いくつかある花瓶を使えばどうでしょう」
「花瓶っ?!いやいや。どれも国宝級の花瓶ですよね?」
「まぁそうですが、その中から価値が無さそうなのを選んで頂ければ」

(選べるわけないでしょうに!!)

パトリシアは廊下に飛び出し、クリーンメイドが風で入り込んだ葉などを入れる箱をクリーンワゴンに載せていた。

「それ、貸してぇ!!」
「パトリシア様、どうされました?」
「それっ!その箱が欲しいの!」
「でしたら、これはもう廃棄する箱なので綺麗な箱を――」
「それが良いの!それじゃないとダメなの!捨てる箱が良いの」

廃棄をする箱なら価値はない。うっかり新しい箱を貰ってしまうと価値のある箱なら大変だ。
パトリシアは箱を受け取ると急いでライオットの待つ部屋に戻った。
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