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第28話 ゴミ箱が無い理由
パトリシアがゴミ箱代わりの箱を持ってくるとライオットは3つの書類を重ねてビリリ。
破った書類を重ねてまたビリリ!!
さらに重ねてビリリ。
パトリシアは驚き過ぎて動けなかった。
「なっ!何してるんですか!」
「破っている」
(うん。それは否定しない)
つかの間の沈黙。
パトリシアは破ってしまった書類をライオットから取ろうとしたが、紙くずを手にしたライオットの手がスルリと逃げた。
「見ればわかりますよ!なんで破るんです?サインするだけなのに」
ぷんぷんと怒ってライオットを睨んだが、ライオットは「フフン」鼻で笑った。
「どんな状況になろうと私は離縁はしないし、君が私から離れることも無い。婚姻届けにサインをすれば君は私と同じ力を持つ。君が憂いを感じればそれは私の憂いと同義。全てを排除するように周囲が動く」
「だから!私の事で迷惑を掛けたくないんです」
「君は私に迷惑をかけるつもりがあるのか?」
「ありません!ありませんけど…」
「ならいい。不可抗力など理由にはならん」
ライオットは体を傾け、ゴミ箱代わりの箱を手に取ると破った書類を放り込んだ。
ついでに「縁起でもない」と使ったペンもゴミ箱代わりの箱に放り込んだ。
「あぁっ!このペンまだ使えるのに!」
「拾うな!」
「でもぉ…インクも内蔵した新製ひ――」
「シアッ!」
ライオットは低い声でパトリシアの名を呼んだ。
ペンをゴミ箱代わりの箱から拾おうとしたパトリシアは動きを止めた。
「シア、君はもう私の婚約者だ。君がロセに話を受けると告げた時から婚約者なんだ。そこに署名など必要ない。バレス侯爵家が申し込んだ、君は受けた。成立だ」
(そんな!横暴な!確かに勢いで言っちゃった私も悪いけど‥うぅぅ)
「そして今夜婚姻届けに署名をする。そうなれば私の妻だ。一度捨てたものは拾うな。それが物であろうと親であろうと子であろうと友であろうとだ。捨てるという事は手放すという事、そして自分には必要が無いという事だ。私に迷惑を掛けたくないのなら何事もやり切れ。それで失敗だったのなら夫の務めとして尻拭いをしてやる」
ライオットはふざけていない。
表情は真剣そのものだった。
「そんなこと、させられません!」
「自分は良いのに、私にはさせないのか?」
「え?私、ライオット様に何かしました?」
パトリシアは自分を指さし「私、した?」ライオットに念押しをするため再度問うた。
「尻を拭っただろう。窄まりの皴の奥までキッチリと!」
「あれのこと?!」
恥ずかしい部分を見られたのはライオットなのに今はパトリシアの方が顔が真っ赤になる。恥ずかしさがこみ上げてきて穴があったら入りたい気分になった。
「私には同じことだ。シア、いいか?この先、周囲が反対をしても自分がこうだと思うのなら押し通せ。皆が白だと言ってもシアが黒と思うのなら塗り潰せ。その上で間違っていたのなら一緒に頭を下げてやる。世界中の誰もシアの味方にならなくても私は味方になる。面倒を掛けるからと自分で背負い込むな。私が一緒に背負ってやる。それが夫婦だし、バレス侯爵家の家訓だ」
「家訓…ですか?」
「あぁ。バレス侯爵家の男は生を受けた時からそう叩きこまれる。政略結婚であろうが恋愛結婚であろうが1組の男と女が同じ時、同じ場所を生きて出会う確率は低い。そこで結ばれた縁は唯一の縁として生涯を懸けて共に歩くんだ」
言い終わったライオットは手招きでパトリシアに「ここへ」と示した。
ゆっくりと近寄っていくとライオットは背後になるベッドボードから小さな箱を取り出した。
「手を出して」
「手?…バゥ?ワンッ?」
パトリシアは両手をグーにして軽く握った手を差し出した。
「違う!お手じゃない!しかもだ!なんで両手なんだ」
「左右どっちと指定なしだったですよね」
「‥‥あのな…まぁいい。左手だ。ついでに広げろ」
言われるがままにパトリシアは左手を広げ、手のひらを上にした。
「違うっ!逆!反転!」
「逆?反転?元の手のひらになるけど」
「色々と肝心なところが残念だが…はい指輪だ。一生嵌めておけ」
「え?…」
「すまないが婚約指輪も婚約指輪も用意をしていない。今はこれで我慢しろ」
「我慢?がぁまぁんっ?こんな凄い指輪なのに?」
「価値が判るのか?」
「全然…高そうだなってくらいで」
「気にするな。時価で言えば150億くらい‥‥おい!おいっ!!」
ライオットは寝台から出られない。足元にうつぶせのままバサっと倒れたパトリシア。
目を回していた。
破った書類を重ねてまたビリリ!!
さらに重ねてビリリ。
パトリシアは驚き過ぎて動けなかった。
「なっ!何してるんですか!」
「破っている」
(うん。それは否定しない)
つかの間の沈黙。
パトリシアは破ってしまった書類をライオットから取ろうとしたが、紙くずを手にしたライオットの手がスルリと逃げた。
「見ればわかりますよ!なんで破るんです?サインするだけなのに」
ぷんぷんと怒ってライオットを睨んだが、ライオットは「フフン」鼻で笑った。
「どんな状況になろうと私は離縁はしないし、君が私から離れることも無い。婚姻届けにサインをすれば君は私と同じ力を持つ。君が憂いを感じればそれは私の憂いと同義。全てを排除するように周囲が動く」
「だから!私の事で迷惑を掛けたくないんです」
「君は私に迷惑をかけるつもりがあるのか?」
「ありません!ありませんけど…」
「ならいい。不可抗力など理由にはならん」
ライオットは体を傾け、ゴミ箱代わりの箱を手に取ると破った書類を放り込んだ。
ついでに「縁起でもない」と使ったペンもゴミ箱代わりの箱に放り込んだ。
「あぁっ!このペンまだ使えるのに!」
「拾うな!」
「でもぉ…インクも内蔵した新製ひ――」
「シアッ!」
ライオットは低い声でパトリシアの名を呼んだ。
ペンをゴミ箱代わりの箱から拾おうとしたパトリシアは動きを止めた。
「シア、君はもう私の婚約者だ。君がロセに話を受けると告げた時から婚約者なんだ。そこに署名など必要ない。バレス侯爵家が申し込んだ、君は受けた。成立だ」
(そんな!横暴な!確かに勢いで言っちゃった私も悪いけど‥うぅぅ)
「そして今夜婚姻届けに署名をする。そうなれば私の妻だ。一度捨てたものは拾うな。それが物であろうと親であろうと子であろうと友であろうとだ。捨てるという事は手放すという事、そして自分には必要が無いという事だ。私に迷惑を掛けたくないのなら何事もやり切れ。それで失敗だったのなら夫の務めとして尻拭いをしてやる」
ライオットはふざけていない。
表情は真剣そのものだった。
「そんなこと、させられません!」
「自分は良いのに、私にはさせないのか?」
「え?私、ライオット様に何かしました?」
パトリシアは自分を指さし「私、した?」ライオットに念押しをするため再度問うた。
「尻を拭っただろう。窄まりの皴の奥までキッチリと!」
「あれのこと?!」
恥ずかしい部分を見られたのはライオットなのに今はパトリシアの方が顔が真っ赤になる。恥ずかしさがこみ上げてきて穴があったら入りたい気分になった。
「私には同じことだ。シア、いいか?この先、周囲が反対をしても自分がこうだと思うのなら押し通せ。皆が白だと言ってもシアが黒と思うのなら塗り潰せ。その上で間違っていたのなら一緒に頭を下げてやる。世界中の誰もシアの味方にならなくても私は味方になる。面倒を掛けるからと自分で背負い込むな。私が一緒に背負ってやる。それが夫婦だし、バレス侯爵家の家訓だ」
「家訓…ですか?」
「あぁ。バレス侯爵家の男は生を受けた時からそう叩きこまれる。政略結婚であろうが恋愛結婚であろうが1組の男と女が同じ時、同じ場所を生きて出会う確率は低い。そこで結ばれた縁は唯一の縁として生涯を懸けて共に歩くんだ」
言い終わったライオットは手招きでパトリシアに「ここへ」と示した。
ゆっくりと近寄っていくとライオットは背後になるベッドボードから小さな箱を取り出した。
「手を出して」
「手?…バゥ?ワンッ?」
パトリシアは両手をグーにして軽く握った手を差し出した。
「違う!お手じゃない!しかもだ!なんで両手なんだ」
「左右どっちと指定なしだったですよね」
「‥‥あのな…まぁいい。左手だ。ついでに広げろ」
言われるがままにパトリシアは左手を広げ、手のひらを上にした。
「違うっ!逆!反転!」
「逆?反転?元の手のひらになるけど」
「色々と肝心なところが残念だが…はい指輪だ。一生嵌めておけ」
「え?…」
「すまないが婚約指輪も婚約指輪も用意をしていない。今はこれで我慢しろ」
「我慢?がぁまぁんっ?こんな凄い指輪なのに?」
「価値が判るのか?」
「全然…高そうだなってくらいで」
「気にするな。時価で言えば150億くらい‥‥おい!おいっ!!」
ライオットは寝台から出られない。足元にうつぶせのままバサっと倒れたパトリシア。
目を回していた。
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