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第29話 ジョーズのケーキ
「ジョーズさん、何してるんです?」
ビクッとジョーズの肩が跳ねる。呼び止めたのはメイド。厩舎から近いのは裏口なので裏口から入って来るのは問題はないが、何かこそこそと抱えてジョーズに割り当てられた部屋に向かっていた。
「何って…ちょっと私物を部屋に置いておこうかなぁ~なぁんて」
「なんです…それ…スンスン…スンスン…甘い香りがするわね」
「な、何でもない!何でもないです!」
「見せなさいっ!」
年配のメイドには敵わない。ジョーズはお持ち帰りケーキの箱をメイドに差し出した。
「まぁ!ケーキじゃない!美味しそう♡全部違うのね。これなんか可愛い~」
「あの‥それ…(待てよ?)」
それは自分のものだと言おうとしてジョーズは一呼吸置いた。
自分のものだと言えば「1個くらいいいじゃなぁい」と言ってメイドや侍女が10人以上わらわらと集まって来る。そうなると「1個どうぞ」と分けるしかなくなる。
ケーキの個数と同数若しくは上回る人数になるとジョーズの口に入る事は無くなる。
考えた末にジョーズは小さな嘘を吐いた。
「それ…ライオット様に頼まれて買って来たんです。パトリシア様が甘いものが好きみたいだから色々と種類を買って来いって」
「そうなの?じゃぁ…貰っちゃダメよね」
(ライオット様に頼まれたケーキでなくても自分のじゃないからダメだろうに)
なんて心の声が外に出せるくらいなら困らない。
無事にメイドの手から奪還出来たケーキだが、嘘は吐くものではない。
「じゃぁ、お茶を淹れてお部屋に持って行くわね」
(ぐあぁぁ!!今持って行かなくていいよぅ!!)
こうなったらもう差し入れとしてライオットの部屋に持って行くしかない。
さっきまでウッキウキだったのに、今は抱えるケーキの箱が葬儀の花束の様にも思えてしまう。足が重い。
ライオットの部屋に行くと何故か部屋の中にメイドと侍女が9人もいた。
明らかにケーキ狙い。パトリシアだけでは食べきれないのでライオットが「皆も食べればいい」というのを期待しているのだ。
(お茶係にそんな人数いらんやろぅ!!)
心で叫ぶもやっぱり声には出せないジョーズ。
ケーキの箱を抱える沈んだ表情のジョーズを見てライオットは手招きをした。
「何個あるんだ?」
「17個デス…」
「そうか。足らないかも知れないから申し訳ないが…もう一度走ってくれるか」
そう言ってライオットはジョーズに「店ごと買う気ですか?」と言いたくなる現金を手渡した。
さらに小さな声で「自分用に好きなのを好きなだけ買え。箱は分けて貰えよ」と呟いた。
「(ぱぁぁ!)ライオット様ぁ!神ですかぁ」
「ジョーズはケーキ好きだしな。自分へのご褒美だったんだろう?すまないな」
「いえいえーイ!全然?もうガンガン食べちゃってください!」
現金なもので、渡された金でざっと見積もるにショーケースにあったケーキは大人買いで買い占め。いつもは見るだけのホールケーキだって30個は買えてしまう。
ジョーズはガバッと礼をして部屋を出て行こうとした。
「あ、パトリシア様」
「はい?」
パトリシアを見つけ、商会の男性たちの言葉を伝えようと近寄った。
「あれ?その指…」
「さっき、ライオット様が一生嵌めとけって…どうしましょう」
「なら嵌めておけばいいんです。オネダリすれば全部の指にナックルダスター風になるまで指輪買って貰えますよ」
「そんなにいらないわ。グーにしたら自分が痛いじゃないの」
「気にするのはそこなんですか…指輪同士で傷が付くとかじゃなく…」
「それもそうね…で?どうしたのですか?」
「実は旦那様のお使いでルーフェルズ伯爵家に行ったんですが、帰りに伝言を頼まれまして」
そう言うと一気にパトリシアの顔が曇った。
両親かエルドラか。無茶な事を言いだしたのだろうとパトリシアは考えた。
「ち、違いますよ?えぇっと‥何だったかな。シャネムコとペルルーシャ、えぇっとヒラマヤンに…」
「ラドグール商会?マチンカン商会?」
「そう!それです。5人の男性からパトリシア様に面会をしたいと」
「まぁ!そうなのね。早速手紙を…」
パトリシアはちらっとライオットを見た。
「何を見ている」
「あのぅ…早速なんですけど事業関係の人を呼んでも?」
「構わないぞ。投資をする以上私も話を聞きたい。この部屋に呼ぶと良い。来る時はジョーズ、何か手土産になる菓子を買って来てくれ」
「了ッ解ッしましたぁーッ!」
これで短期間に2回もケーキが食べられる。焼き菓子もいっぱい買ってこよう。ジョーズは超絶上機嫌になってパトリシアをケーキの待つテーブルに案内した。
メイドたちが箱から皿に移し替えているケーキと焼き菓子。
パトリシアは…。
「あー!!!それぇ!!それよぅ!!」
<< 何事?! >>
全員がパトリシアを注視した。
ビクッとジョーズの肩が跳ねる。呼び止めたのはメイド。厩舎から近いのは裏口なので裏口から入って来るのは問題はないが、何かこそこそと抱えてジョーズに割り当てられた部屋に向かっていた。
「何って…ちょっと私物を部屋に置いておこうかなぁ~なぁんて」
「なんです…それ…スンスン…スンスン…甘い香りがするわね」
「な、何でもない!何でもないです!」
「見せなさいっ!」
年配のメイドには敵わない。ジョーズはお持ち帰りケーキの箱をメイドに差し出した。
「まぁ!ケーキじゃない!美味しそう♡全部違うのね。これなんか可愛い~」
「あの‥それ…(待てよ?)」
それは自分のものだと言おうとしてジョーズは一呼吸置いた。
自分のものだと言えば「1個くらいいいじゃなぁい」と言ってメイドや侍女が10人以上わらわらと集まって来る。そうなると「1個どうぞ」と分けるしかなくなる。
ケーキの個数と同数若しくは上回る人数になるとジョーズの口に入る事は無くなる。
考えた末にジョーズは小さな嘘を吐いた。
「それ…ライオット様に頼まれて買って来たんです。パトリシア様が甘いものが好きみたいだから色々と種類を買って来いって」
「そうなの?じゃぁ…貰っちゃダメよね」
(ライオット様に頼まれたケーキでなくても自分のじゃないからダメだろうに)
なんて心の声が外に出せるくらいなら困らない。
無事にメイドの手から奪還出来たケーキだが、嘘は吐くものではない。
「じゃぁ、お茶を淹れてお部屋に持って行くわね」
(ぐあぁぁ!!今持って行かなくていいよぅ!!)
こうなったらもう差し入れとしてライオットの部屋に持って行くしかない。
さっきまでウッキウキだったのに、今は抱えるケーキの箱が葬儀の花束の様にも思えてしまう。足が重い。
ライオットの部屋に行くと何故か部屋の中にメイドと侍女が9人もいた。
明らかにケーキ狙い。パトリシアだけでは食べきれないのでライオットが「皆も食べればいい」というのを期待しているのだ。
(お茶係にそんな人数いらんやろぅ!!)
心で叫ぶもやっぱり声には出せないジョーズ。
ケーキの箱を抱える沈んだ表情のジョーズを見てライオットは手招きをした。
「何個あるんだ?」
「17個デス…」
「そうか。足らないかも知れないから申し訳ないが…もう一度走ってくれるか」
そう言ってライオットはジョーズに「店ごと買う気ですか?」と言いたくなる現金を手渡した。
さらに小さな声で「自分用に好きなのを好きなだけ買え。箱は分けて貰えよ」と呟いた。
「(ぱぁぁ!)ライオット様ぁ!神ですかぁ」
「ジョーズはケーキ好きだしな。自分へのご褒美だったんだろう?すまないな」
「いえいえーイ!全然?もうガンガン食べちゃってください!」
現金なもので、渡された金でざっと見積もるにショーケースにあったケーキは大人買いで買い占め。いつもは見るだけのホールケーキだって30個は買えてしまう。
ジョーズはガバッと礼をして部屋を出て行こうとした。
「あ、パトリシア様」
「はい?」
パトリシアを見つけ、商会の男性たちの言葉を伝えようと近寄った。
「あれ?その指…」
「さっき、ライオット様が一生嵌めとけって…どうしましょう」
「なら嵌めておけばいいんです。オネダリすれば全部の指にナックルダスター風になるまで指輪買って貰えますよ」
「そんなにいらないわ。グーにしたら自分が痛いじゃないの」
「気にするのはそこなんですか…指輪同士で傷が付くとかじゃなく…」
「それもそうね…で?どうしたのですか?」
「実は旦那様のお使いでルーフェルズ伯爵家に行ったんですが、帰りに伝言を頼まれまして」
そう言うと一気にパトリシアの顔が曇った。
両親かエルドラか。無茶な事を言いだしたのだろうとパトリシアは考えた。
「ち、違いますよ?えぇっと‥何だったかな。シャネムコとペルルーシャ、えぇっとヒラマヤンに…」
「ラドグール商会?マチンカン商会?」
「そう!それです。5人の男性からパトリシア様に面会をしたいと」
「まぁ!そうなのね。早速手紙を…」
パトリシアはちらっとライオットを見た。
「何を見ている」
「あのぅ…早速なんですけど事業関係の人を呼んでも?」
「構わないぞ。投資をする以上私も話を聞きたい。この部屋に呼ぶと良い。来る時はジョーズ、何か手土産になる菓子を買って来てくれ」
「了ッ解ッしましたぁーッ!」
これで短期間に2回もケーキが食べられる。焼き菓子もいっぱい買ってこよう。ジョーズは超絶上機嫌になってパトリシアをケーキの待つテーブルに案内した。
メイドたちが箱から皿に移し替えているケーキと焼き菓子。
パトリシアは…。
「あー!!!それぇ!!それよぅ!!」
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