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第44話 とっておきの解決策
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ルーフェルズ伯爵家とウェルゾ伯爵家の大喧嘩は民事不介入として注意を受け、4人は釈放をされた。
「裁判で決着をつけてやるッ!」
「望むところだ!いいか?ケガなんか托卵に比べたらどうってことはない。家も土地も領地も売って賠償金を用意しておけっ!」
憲兵の前で一触即発な伯爵2人だが、ルーフェルズ伯爵夫人が「エルドラの所へ行きましょう」と声を掛けるとルーフェルズ伯爵は何か言いたそうに後ろを何度も振り返るたびにウェルゾ伯爵を指さした。
エルドラは顔面の損傷だけだったが、鼻は完全に折れているいや、骨が砕けていた。ガラス片も大きいものは取り除けたけれど細かいものは今後も瘡蓋と一緒に取れるかも?と言われる。
頬も額も口の回りも縫合し、全部で100針以上を縫った。
前歯も全て折れていてレオンの怒りが凄まじかった事を物語っていた。
夫妻は言葉にはしなかったが、エルドラが人の前に出ることは無理だ。そう悟った。
医者も縫合はしたが傷跡は一生残るし、骨が粉砕してしまった鼻を形成する技術はなく、今の医療では無理とハッキリ言った。
「どうするの?ねぇ、あなたっ!」
「どうするって‥‥」
ルーフェルズ伯爵はまだ意識が戻っていないエルドラをちらりと見て縋る夫人を押して距離を取った。
少し考えた後、ポンと手の平を打つと夫人に向かって言った。
「とっておきの解決策がある。これで丸く収まる」
「なんなの?」
「お前…私より弟妹が多かったよな?それに弟の所にいきなり行ってもいいくらい仲が良いんだろう?」
「は?何を言ってるの?こんな時に」
「私は知っての通り弟妹とは犬猿の仲だ。この際離縁して弟にディラとお前の面倒を見て貰え」
「はぁ?はぁぁーっ?!」
「私の老後はパティに面倒を見てもらうよ。ディラも一緒だとバレス侯爵家に悪いし、お前はなんだかんだでディラを贔屓していただろう?」
「何言ってるのよ!ディラを猫かわいがりしていたのは貴方の方でしょう?」
「パティは当主にするために手を入れ、目を掛けてただけだ。同じくらいの関りにするには可愛がるしかなかっただけだ。勘違いをするな」
「なっ!!なっ!!あなたっ!ディラを私に押し付けて楽をする気ね?嫌よ。ディラは貴方の方が好きだしキスもしてたじゃない。パティの所には私が行くわ」
「あれは小遣いをやったからだ。人聞きの悪い言葉の使い方をするな」
ルーフェルズ伯爵夫妻は今後のエルドラの治療費などを考えると、とても面倒は見られない。この顔ではどこかに嫁ぐのも無理。例え相手が高齢の好色爺だったとしても断られる。
ならばとお互いに押し付け合いを始めてしまったが、部屋の扉がノックされた。
「誰?」
カチャリと扉が開くと女性が入室してきた。
「会計課の者です。昨夜は時間外で運び込まれ処置を致しました。このまま入院で経過をみますか?それとも退院してご自宅で?」
ルーフェルズ伯爵夫妻はお互いの顔を見る。
「すまない。これから取引先と会合があるんだ。お前、頼んだぞ」
「なっ!!会合なんてないでしょう?逃げる気!待ちなさいよ!」
ルーフェルズ伯爵を追いかけようとしたが、会計課の職員は夫人の腕をガッと掴んだ。
その目は「逃がしませんよ?」と言ってるかのよう。
「お支払いを。入院継続ならこちら、退院ならこちらです。どちらにされます?」
世は非情だ。金が無ければ医療だって受けられない。
その為に任意で保険に加入している者もいるが医院に厄介にならない日の方が多いので気を付けていれば大丈夫と考えている者もいる。
前者はこんな場合にも慌てることはない。手持ちがなくても保険に加入している事が証明できれば医療院から保険商会に連絡をしてくれるので継続も退院も給付の範囲で決められる。
しかし後者は悲惨だ。退院しか術がないが退院をさせるにも金が無いので払えない。下手をすると不可抗力なのに詐欺罪で懲役刑を食らう事だってあるのだ。
「ぶ、物納はダメかしら」
ルーフェルズ伯爵夫人は恥を忍んで身に着けている宝飾品で退院させる費用を捻出する事にした。会計課の職員は夫人のイヤリングにネックレス、指に4個嵌っている指輪に持っているバッグ、そして来ている服を品定めした。
「上の者に相談をしてみます。こちらへ」
「わ、私も行くの?」
「勿論です。会計窓口の隣に専用の待合室も御座いますので、そちらで査定も致しますよ」
夫が先に逃げたばかりに飛んだ貧乏くじを引かされたと夫人は足をダンッ!!大きく1つ音をさせると職員の後ろをついて部屋から出た。
「裁判で決着をつけてやるッ!」
「望むところだ!いいか?ケガなんか托卵に比べたらどうってことはない。家も土地も領地も売って賠償金を用意しておけっ!」
憲兵の前で一触即発な伯爵2人だが、ルーフェルズ伯爵夫人が「エルドラの所へ行きましょう」と声を掛けるとルーフェルズ伯爵は何か言いたそうに後ろを何度も振り返るたびにウェルゾ伯爵を指さした。
エルドラは顔面の損傷だけだったが、鼻は完全に折れているいや、骨が砕けていた。ガラス片も大きいものは取り除けたけれど細かいものは今後も瘡蓋と一緒に取れるかも?と言われる。
頬も額も口の回りも縫合し、全部で100針以上を縫った。
前歯も全て折れていてレオンの怒りが凄まじかった事を物語っていた。
夫妻は言葉にはしなかったが、エルドラが人の前に出ることは無理だ。そう悟った。
医者も縫合はしたが傷跡は一生残るし、骨が粉砕してしまった鼻を形成する技術はなく、今の医療では無理とハッキリ言った。
「どうするの?ねぇ、あなたっ!」
「どうするって‥‥」
ルーフェルズ伯爵はまだ意識が戻っていないエルドラをちらりと見て縋る夫人を押して距離を取った。
少し考えた後、ポンと手の平を打つと夫人に向かって言った。
「とっておきの解決策がある。これで丸く収まる」
「なんなの?」
「お前…私より弟妹が多かったよな?それに弟の所にいきなり行ってもいいくらい仲が良いんだろう?」
「は?何を言ってるの?こんな時に」
「私は知っての通り弟妹とは犬猿の仲だ。この際離縁して弟にディラとお前の面倒を見て貰え」
「はぁ?はぁぁーっ?!」
「私の老後はパティに面倒を見てもらうよ。ディラも一緒だとバレス侯爵家に悪いし、お前はなんだかんだでディラを贔屓していただろう?」
「何言ってるのよ!ディラを猫かわいがりしていたのは貴方の方でしょう?」
「パティは当主にするために手を入れ、目を掛けてただけだ。同じくらいの関りにするには可愛がるしかなかっただけだ。勘違いをするな」
「なっ!!なっ!!あなたっ!ディラを私に押し付けて楽をする気ね?嫌よ。ディラは貴方の方が好きだしキスもしてたじゃない。パティの所には私が行くわ」
「あれは小遣いをやったからだ。人聞きの悪い言葉の使い方をするな」
ルーフェルズ伯爵夫妻は今後のエルドラの治療費などを考えると、とても面倒は見られない。この顔ではどこかに嫁ぐのも無理。例え相手が高齢の好色爺だったとしても断られる。
ならばとお互いに押し付け合いを始めてしまったが、部屋の扉がノックされた。
「誰?」
カチャリと扉が開くと女性が入室してきた。
「会計課の者です。昨夜は時間外で運び込まれ処置を致しました。このまま入院で経過をみますか?それとも退院してご自宅で?」
ルーフェルズ伯爵夫妻はお互いの顔を見る。
「すまない。これから取引先と会合があるんだ。お前、頼んだぞ」
「なっ!!会合なんてないでしょう?逃げる気!待ちなさいよ!」
ルーフェルズ伯爵を追いかけようとしたが、会計課の職員は夫人の腕をガッと掴んだ。
その目は「逃がしませんよ?」と言ってるかのよう。
「お支払いを。入院継続ならこちら、退院ならこちらです。どちらにされます?」
世は非情だ。金が無ければ医療だって受けられない。
その為に任意で保険に加入している者もいるが医院に厄介にならない日の方が多いので気を付けていれば大丈夫と考えている者もいる。
前者はこんな場合にも慌てることはない。手持ちがなくても保険に加入している事が証明できれば医療院から保険商会に連絡をしてくれるので継続も退院も給付の範囲で決められる。
しかし後者は悲惨だ。退院しか術がないが退院をさせるにも金が無いので払えない。下手をすると不可抗力なのに詐欺罪で懲役刑を食らう事だってあるのだ。
「ぶ、物納はダメかしら」
ルーフェルズ伯爵夫人は恥を忍んで身に着けている宝飾品で退院させる費用を捻出する事にした。会計課の職員は夫人のイヤリングにネックレス、指に4個嵌っている指輪に持っているバッグ、そして来ている服を品定めした。
「上の者に相談をしてみます。こちらへ」
「わ、私も行くの?」
「勿論です。会計窓口の隣に専用の待合室も御座いますので、そちらで査定も致しますよ」
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