転生先は王子様の元婚約者候補というifモブでした

cyaru

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第30話   サンドリヨンがヒーローの代役

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会話の「」の前にあるシはシャルロット、サはサンドリヨンを示します。<(_ _)>

★~★

――神様のおかげ?!――

多少は対応していると神様は言っていたがこの事だろうか。

チャミングが開く以外でこの扉が開いたのはシャルロットがこの部屋に閉じ込められて実に2週間経過しての事だった。

どんなに床や壁を調べても抜け穴になるような仕掛けはなかった。だから次の段階、天井を調べていたのだ。

アベルジェ公爵家でアンヌに貸して貰っていたようなお仕着せを着た可愛い女の子がシャルロットの前に現れた。

同じく向こうの世界で父親が中学生の時にド嵌りしたロールプレイングゲームのサブ画面が脳内に浮かんだ気すらする。

ビビビビ

▶たたかう
▶にげる
▶はなしをきく

『うわ~文字までドッドっぽい!』散々に向こうの世界の父親をこき下ろしているのにラスボスまで倒してしまったが、その時の画面に似た文字が浮かぶ。

――ここは一択! ”はなしをきく” だわ――

シャルロットはテーブルの上に置いた椅子から降りる時に、「場を和ませた方が良い?」と考えた。ガラス宮の住人ではない者が天井裏に逃げようとしている図、つまり泥棒にも見えたんじゃないか?

ここは某国の雑技団のように「ハッ!ホッ!」とぐらつく椅子の上で倒立でもして誤魔化した方が良い?

――ダメだわ。私、マット運動の後転と鉄棒の逆上がりは出来なかったわ――

そんな運動音痴が椅子の上で倒立など出来るはずがない。
大きな音を立てて転んでしまうのがオチになる。大きな音を立ててしまいチャミングがここに来たらチャンスを失ってしまう。

シャルロットは「ちょっと待ってくださる?」と努めてにこやかに声を掛けると、そおーっと椅子から降りてテーブルからも無事に着地した。

サ「あなた、こんな所で何をしているの?」

――皆まで言うな!その疑問は御尤も――

話を切り出すのに相手から言いやすい問いをされるとはなんという幸運。
シャルロットはこの女性がチャミングの手下ではない事を祈りつつ駆け寄った。

シ「お願い。この部屋から出たいの。出口を教えてくれない?」
サ「部屋から出たいの?・・・そうよね。階段も隠し階段だったし」
シ「隠し階段?!」
サ「そうなの。数日前から変だなと思って。外とね、中ではこうやって歩いて――」


サンドリヨンは右足のつま先に左足の踵をつけて長さを計測していたと身振りで伝えようとしたが、シャルロットはそれでこの部屋の長さを今から計測するのは止めて欲しい。
出来ればここから逃がして貰った後に、存分に計測して頂ければ幸いだ。

シ「判った。判ったわ。で?その隠し階段ってどこに?」
サ「この廊下の突き当り。あなた・・・ここから逃げたいの?」

――どうしよう。逃げたいって言った方が良いかな――

シャルロットが迷っているととんでもない言葉がサンドリヨンの口から飛び出した。

サ「逃げるのなら。私も連れて行ってくれない?」
シ「え?どういうこと?」
サ「ジョルジュは優しいけど、ここって牢屋みたいなものなの。私も逃げたいの。殿下に無理矢理連れて来られて・・・」

――まさか!まさかの本編ヒロイン、サンドリヨンなの?!――

サンドリヨンと王子様は幸せに暮らしました…ではなく不仲ってのは本当だったのか。それよりも無理矢理連れて来られたとはどういうことなのか。

シャルロットには判らなかったが、兎に角ここから出る事が先決。牢屋みたいなものとの事だが、先ずはこの部屋から出れば後は何とかなるかも知れない。そう考えた。

シ「判ったわ。ここを出る時、貴女も一緒に。だからこの部屋から出してくれない?」
サ「そうか!貴女は囚われの姫なのね。こういう時はヒーローがやって来るものだけど…いいわ!私がヒーローの代わりをするわ!」

――は?どういう事?子供が読む御伽噺の設定みたい――

サ「姫!こっちよ。取り敢えずは私の部屋に。そこなら悪漢チャミングは滅多に来ないわ」
シ「悪漢・・・」
サ「そうよ?物語には悪いやつも出てくるの。あんな悪役が似合う男なんでチャミングしかいないわ」

――よくお判りで――

サンドリヨンは「こっち」とシャルロットの手を引くと階段までいざなった。ゆっくりと先に階段を降りていくと「大丈夫。きて!」と声を掛けてくれる。

階段を降りた先にはこの数日、チャミングが運んで来た食事の食器やトレーが山のように積まれていた。

――危ない。危ない。あと1カ月も閉じ込められていたらこの階段がゴミで埋まってしまう所だったわ――

サンドリヨンは壁と同化したような隠し扉をゆっくり、少しだけ開けて顔だけを出した後、「誰もいないわ。行けそうよ」そう言ってシャルロットの手を握ると3階の部屋に出た。

サ「私の部屋は1階なの。ここは3階。使用人が来たら隠れないと!」
シ「判ったわ」
サ「曲がり角とかの前は私が先に行くから合図を見たらついてきて」


ヒロインのサンドリヨンに助けられるとはシャルロットも思ってもみなかったが、無事にサンドリヨンの部屋までたどり着いた。しかし、サンドリヨンの部屋はシャルロットには異様に見えた。

シ「どうして何もないの?」
サ「あるわよ?ほら、ジョルジュが本を持って来てくれるの」

そうは言っても、調度品らしい調度品はないし、寝台だって何日もシーツを取り換えて貰っていないのもよく判る汚れ具合。確かに窓の近くにあるテーブルには本が何冊か積まれているがランプもない。

サ「夜は月が出ている時は読めるんだけど、月がない日は読めないの」
シ「ランプもないの?!」
サ「なんかね~すっごく豪華なランプで、チャミングが五月蠅いから返品したの」
シ「それよりも!シーツも代えてもらってないんじゃないの?」
サ「食事だけは運んできて下げてくれるの。あとは何もしてくれないわ」
シ「嘘でしょ…」

サンドリヨンは庭には出ても構わないけれど、チャミングがあまり来なくなると使用人の監視がより厳しくなったと言った。

サ「逃げられないようにしているのね。こんなとこにいるより養母にこき使われてた時の方がもっと自由があったわ」

ここがifな世界でモブなシャルロットの話だからだろうか。
本編からは想像も出来ないような対応をサンドリヨンはされていたし、サンドリヨンは望んでチャミングの手を取った訳ではなく、強制的に拉致されたのだと判った。
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