21 / 45
第21話 快楽の海に溺れて
「も、もう食べられない」
「畏まりました。撤収!!」
キャサリンの目の前からワゴンが消えていく。
(全部じゃなくていいなら先に言ってよ!)
そうは思っても口には出せない。
アンと2人になると「雑用できたかしら」不安げに問うた。
「勿論よ!ホールケーキを3つ食べられる人なんて初めて見たわ」
(私も、人生初の挑戦だったわ。全部が!だけど)
キャサリンは生クリームなるものも人生初。
白くて丸いケーキを見て「どうぞ」と言われたのでスプーンでクリームを掬いパクリと食べると朝食のバターロール以上の衝撃。
(こんなに甘くて美味しいものが世の中にあったなんて!)
そう思い1つ目は男性の掌より1周り大きなサイズだったので食べきった。
よく腹八分目と言うが、あと少しならいけそう。そう思いついつい隣に並んでいたフルーツタルトを食べるとまたもや衝撃!!
アンにも勧め、満腹になったのだがどうしても気になったのが更に隣にある黒くて長方形をした物体。
「これは何?」と問えばチョコレートムースケーキと言われ、1口食べた。
「ふぉぉぉ!!苦みもあるのに甘い?」
俗にいう味変だ。
甘いだけでなく苦みを感じるとまだイケそう、盛大な勘違いを脳が起こした。
口の中でも生クリームの溶け具合とは違う食感に2口目、3口目と進めたが半分ほどで限界点に達した。
ムースはかなり重いのだ。
しかし一度食べてしまったものを残すのは貧乏性のキャサリンには神に背く行為よりも禁忌な行為。
時折ぴょんぴょんと飛び跳ねて胃袋に空きを作り、さらに下腹部に食べたものを追いやってムースケーキを食べきった。
とても美味しかったのだが、チョコレートムースケーキを今後半世紀1人で丸々1本を食べきることはないだろう。
「アン…もう動けない…」
「ではお昼寝する?」
「だめ。今寝ちゃったら間違いなく太っちゃう。でももう動けないぃぃ」
「だったらマッサージはどう?」
「マッサージ?お年寄りに肩揉みするみたいな?」
「肩だけじゃないのよ。この家のマッサージ隊の腕は天下一品なの」
「でもそれって雑用係の私には‥」
「何言ってるの。体を使う使用人も頼めばしてもらえるのよ。それに結構汗も掻くからしてもらっているほうも体力使うのよ」
使用人でも施術してもらっていいならやってもらおうかな。
キャサリンは満腹を超えていて、動かなくても体力を使うのならマッサージをしてもらう事にしたが、またもや…。
「じゃぁお願いしようかな」
言葉を言い終わるが早いか部屋の扉が開いた。
「奥様、ハムス様より申し付けられました」
「え?何を?また味見?」
「いいえ。単に体を揉み解すだけではなくリンパを流す、これが良いと言われており我々技術を習得して参りましたが、披露する機会がなく」
「えぇーっと…お試しになれ?と?」
「さぁさぁ、こちらにどうぞ。横になってください。あとは全て我々にお任せを」
施術台なんてどこにあった?いつの間にか運び込まれた小さな簡易寝台ほどの大きさの施術台に腰掛けた。
マッサージ隊は全て女性。
「恥ずかしがることはない」と言われワンピースを脱がされると転がされてオイルをヌリヌリ。
(わぁ。なんだか温かいわね。気持ちいい~♡)
アンが言った通りマッサージをしてもらっていると確かに汗が噴き出てくる。施術をされないのはまだ塗り薬を塗って包帯を巻いたままの肘から手首までのみ。
それでも二の腕を揉み解されて鎖骨から腋に強めに撫でられると体がますます熱くなってくる。
顔もオイルの滑りを利用し頬を顎から指でトゥルルンと何度も繰りされると快楽の海に溺れていく感覚。
仰向けからコロンと反転、うつ伏せになると脹脛にマッサージ隊の指が足首から膝裏に走り程よい痛みと快楽が押し寄せる。
肩甲骨付近も最初は痛みを感じても指が走るたびに心地よさに変っていく。
(やばっ!寝ちゃいそう…)
寝ちゃいそうどころではなかった。
キャサリンが覚醒するとプテロインはとっくに帰宅し、間もなく夕食の時間だと言われた。
「私、本当に食べたら寝る人になっちゃったのかも」
のそのそと寝台から出て、手櫛で髪を直そうと化粧台の鏡を覗き込むと…。
「ニャァァァーッ!!」
キャサリンは叫んだ。キャサリンの声にアンが部屋に飛び込んでくる。
「どうされましたっ?!」
「ア、アン…私の顔…」
「大丈夫、リフトアップしただけ。本来のリンの顔よ」
鏡にはお肌ツルツルのプルプル。
顔全体が引き締まり、別人のようになったキャサリンが映っていた。
「畏まりました。撤収!!」
キャサリンの目の前からワゴンが消えていく。
(全部じゃなくていいなら先に言ってよ!)
そうは思っても口には出せない。
アンと2人になると「雑用できたかしら」不安げに問うた。
「勿論よ!ホールケーキを3つ食べられる人なんて初めて見たわ」
(私も、人生初の挑戦だったわ。全部が!だけど)
キャサリンは生クリームなるものも人生初。
白くて丸いケーキを見て「どうぞ」と言われたのでスプーンでクリームを掬いパクリと食べると朝食のバターロール以上の衝撃。
(こんなに甘くて美味しいものが世の中にあったなんて!)
そう思い1つ目は男性の掌より1周り大きなサイズだったので食べきった。
よく腹八分目と言うが、あと少しならいけそう。そう思いついつい隣に並んでいたフルーツタルトを食べるとまたもや衝撃!!
アンにも勧め、満腹になったのだがどうしても気になったのが更に隣にある黒くて長方形をした物体。
「これは何?」と問えばチョコレートムースケーキと言われ、1口食べた。
「ふぉぉぉ!!苦みもあるのに甘い?」
俗にいう味変だ。
甘いだけでなく苦みを感じるとまだイケそう、盛大な勘違いを脳が起こした。
口の中でも生クリームの溶け具合とは違う食感に2口目、3口目と進めたが半分ほどで限界点に達した。
ムースはかなり重いのだ。
しかし一度食べてしまったものを残すのは貧乏性のキャサリンには神に背く行為よりも禁忌な行為。
時折ぴょんぴょんと飛び跳ねて胃袋に空きを作り、さらに下腹部に食べたものを追いやってムースケーキを食べきった。
とても美味しかったのだが、チョコレートムースケーキを今後半世紀1人で丸々1本を食べきることはないだろう。
「アン…もう動けない…」
「ではお昼寝する?」
「だめ。今寝ちゃったら間違いなく太っちゃう。でももう動けないぃぃ」
「だったらマッサージはどう?」
「マッサージ?お年寄りに肩揉みするみたいな?」
「肩だけじゃないのよ。この家のマッサージ隊の腕は天下一品なの」
「でもそれって雑用係の私には‥」
「何言ってるの。体を使う使用人も頼めばしてもらえるのよ。それに結構汗も掻くからしてもらっているほうも体力使うのよ」
使用人でも施術してもらっていいならやってもらおうかな。
キャサリンは満腹を超えていて、動かなくても体力を使うのならマッサージをしてもらう事にしたが、またもや…。
「じゃぁお願いしようかな」
言葉を言い終わるが早いか部屋の扉が開いた。
「奥様、ハムス様より申し付けられました」
「え?何を?また味見?」
「いいえ。単に体を揉み解すだけではなくリンパを流す、これが良いと言われており我々技術を習得して参りましたが、披露する機会がなく」
「えぇーっと…お試しになれ?と?」
「さぁさぁ、こちらにどうぞ。横になってください。あとは全て我々にお任せを」
施術台なんてどこにあった?いつの間にか運び込まれた小さな簡易寝台ほどの大きさの施術台に腰掛けた。
マッサージ隊は全て女性。
「恥ずかしがることはない」と言われワンピースを脱がされると転がされてオイルをヌリヌリ。
(わぁ。なんだか温かいわね。気持ちいい~♡)
アンが言った通りマッサージをしてもらっていると確かに汗が噴き出てくる。施術をされないのはまだ塗り薬を塗って包帯を巻いたままの肘から手首までのみ。
それでも二の腕を揉み解されて鎖骨から腋に強めに撫でられると体がますます熱くなってくる。
顔もオイルの滑りを利用し頬を顎から指でトゥルルンと何度も繰りされると快楽の海に溺れていく感覚。
仰向けからコロンと反転、うつ伏せになると脹脛にマッサージ隊の指が足首から膝裏に走り程よい痛みと快楽が押し寄せる。
肩甲骨付近も最初は痛みを感じても指が走るたびに心地よさに変っていく。
(やばっ!寝ちゃいそう…)
寝ちゃいそうどころではなかった。
キャサリンが覚醒するとプテロインはとっくに帰宅し、間もなく夕食の時間だと言われた。
「私、本当に食べたら寝る人になっちゃったのかも」
のそのそと寝台から出て、手櫛で髪を直そうと化粧台の鏡を覗き込むと…。
「ニャァァァーッ!!」
キャサリンは叫んだ。キャサリンの声にアンが部屋に飛び込んでくる。
「どうされましたっ?!」
「ア、アン…私の顔…」
「大丈夫、リフトアップしただけ。本来のリンの顔よ」
鏡にはお肌ツルツルのプルプル。
顔全体が引き締まり、別人のようになったキャサリンが映っていた。
あなたにおすすめの小説
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
分厚いメガネを外した令嬢は美人?
しゃーりん
恋愛
極度の近視で分厚いメガネをかけている子爵令嬢のミーシャは家族から嫌われている。
学園にも行かせてもらえず、居場所がないミーシャは教会と孤児院に通うようになる。
そこで知り合ったおじいさんと仲良くなって、話をするのが楽しみになっていた。
しかし、おじいさんが急に来なくなって心配していたところにミーシャの縁談話がきた。
会えないまま嫁いだ先にいたのは病に倒れたおじいさんで…介護要員としての縁談だった?
この結婚をきっかけに、将来やりたいことを考え始める。
一人で寂しかったミーシャに、いつの間にか大切な人ができていくお話です。
私のお父様とパパ様
棗
ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。
婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。
大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。
※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。
追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
妹の身代わり人生です。愛してくれた辺境伯の腕の中さえ妹のものになるようです。
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
双子として生まれたエレナとエレン。
かつては忌み子とされていた双子も何代か前の王によって、そういった扱いは禁止されたはずだった。
だけどいつの時代でも古い因習に囚われてしまう人達がいる。
エレナにとって不幸だったのはそれが実の両親だったということだった。
両親は妹のエレンだけを我が子(長女)として溺愛し、エレナは家族とさえ認められない日々を過ごしていた。
そんな中でエレンのミスによって辺境伯カナトス卿の令息リオネルがケガを負ってしまう。
療養期間の1年間、娘を差し出すよう求めてくるカナトス卿へ両親が差し出したのは、エレンではなくエレナだった。
エレンのフリをして初恋の相手のリオネルの元に向かうエレナは、そんな中でリオネルから優しさをむけてもらえる。
だが、その優しささえも本当はエレンへ向けられたものなのだ。
自分がニセモノだと知っている。
だから、この1年限りの恋をしよう。
そう心に決めてエレナは1年を過ごし始める。
※※※※※※※※※※※※※
異世界として、その世界特有の法や産物、鉱物、身分制度がある前提で書いています。
現実と違うな、という場面も多いと思います(すみません💦)
ファンタジーという事でゆるくとらえて頂けると助かります💦
わたしさえいなければ、完璧な王太子だそうです。
ふらり
恋愛
人並外れた美貌・頭脳・スタイル・武勇を持つウィンダリア王国の25歳の王太子は、完璧な王太子だと言われていた。ただし、「婚約者さえいなければ完璧な王太子なのに」と皆が言う。12歳の婚約者、ヴァイオレット・オルトニーは周囲から憐みの目を向けられていた。
「私との婚約は、契約で仕方なくなのかい? もう私に飽きてしまっている? 私は今でも君にこんなに夢中なのに」
13歳年下の婚約者少女に執着溺愛する美貌も能力も人間離れした王太子様と、振り回される周囲のお話です。小説家になろうにて完結しております。少しずつこちらにもあげていくつもりです。ファンタジー要素はちょっぴりです。
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました