戦闘狂と呼ばれる男に嫁ぎたくなくて逃げたはずなのに何故か溺愛されている奥様になっていた

cyaru

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第21話  快楽の海に溺れて

「も、もう食べられない」
「畏まりました。撤収!!」

キャサリンの目の前からワゴンが消えていく。

(全部じゃなくていいなら先に言ってよ!)

そうは思っても口には出せない。
アンと2人になると「雑用できたかしら」不安げに問うた。

「勿論よ!ホールケーキを3つ食べられる人なんて初めて見たわ」
(私も、人生初の挑戦だったわ。全部が!だけど)

キャサリンは生クリームなるものも人生初。
白くて丸いケーキを見て「どうぞ」と言われたのでスプーンでクリームを掬いパクリと食べると朝食のバターロール以上の衝撃。

(こんなに甘くて美味しいものが世の中にあったなんて!)

そう思い1つ目は男性の掌より1周り大きなサイズだったので食べきった。
よく腹八分目と言うが、あと少しならいけそう。そう思いついつい隣に並んでいたフルーツタルトを食べるとまたもや衝撃!!

アンにも勧め、満腹になったのだがどうしても気になったのが更に隣にある黒くて長方形をした物体。

「これは何?」と問えばチョコレートムースケーキと言われ、1口食べた。

「ふぉぉぉ!!苦みもあるのに甘い?」

俗にいう味変だ。
甘いだけでなく苦みを感じるとまだイケそう、盛大な勘違いを脳が起こした。

口の中でも生クリームの溶け具合とは違う食感に2口目、3口目と進めたが半分ほどで限界点に達した。

ムースはかなりのだ。

しかし一度食べてしまったものを残すのは貧乏性のキャサリンには神に背く行為よりも禁忌な行為。
時折ぴょんぴょんと飛び跳ねて胃袋に空きを作り、さらに下腹部に食べたものを追いやってムースケーキを食べきった。

とても美味しかったのだが、チョコレートムースケーキを今後半世紀1人で丸々1本を食べきることはないだろう。


「アン…もう動けない…」
「ではお昼寝する?」
「だめ。今寝ちゃったら間違いなく太っちゃう。でももう動けないぃぃ」
「だったらマッサージはどう?」
「マッサージ?お年寄りに肩揉みするみたいな?」
「肩だけじゃないのよ。この家のマッサージ隊の腕は天下一品なの」
「でもそれって雑用係の私には‥」
「何言ってるの。体を使う使用人も頼めばしてもらえるのよ。それに結構汗も掻くからしてもらっているほうも体力使うのよ」

使用人でも施術してもらっていいならやってもらおうかな。
キャサリンは満腹を超えていて、動かなくても体力を使うのならマッサージをしてもらう事にしたが、またもや…。

「じゃぁお願いしようかな」

言葉を言い終わるが早いか部屋の扉が開いた。

「奥様、ハムス様より申し付けられました」
「え?何を?また味見?」
「いいえ。単に体を揉み解すだけではなくリンパを流す、これが良いと言われており我々技術を習得して参りましたが、披露する機会がなく」
「えぇーっと…お試しになれ?と?」
「さぁさぁ、こちらにどうぞ。横になってください。あとは全て我々にお任せを」

施術台なんてどこにあった?いつの間にか運び込まれた小さな簡易寝台ほどの大きさの施術台に腰掛けた。

マッサージ隊は全て女性。
「恥ずかしがることはない」と言われワンピースを脱がされると転がされてオイルをヌリヌリ。

(わぁ。なんだか温かいわね。気持ちいい~♡)

アンが言った通りマッサージをしてもらっていると確かに汗が噴き出てくる。施術をされないのはまだ塗り薬を塗って包帯を巻いたままの肘から手首までのみ。

それでも二の腕を揉み解されて鎖骨から腋に強めに撫でられると体がますます熱くなってくる。

顔もオイルの滑りを利用し頬を顎から指でトゥルルンと何度も繰りされると快楽の海に溺れていく感覚。

仰向けからコロンと反転、うつ伏せになると脹脛にマッサージ隊の指が足首から膝裏に走り程よい痛みと快楽が押し寄せる。

肩甲骨付近も最初は痛みを感じても指が走るたびに心地よさに変っていく。

(やばっ!寝ちゃいそう…)

寝ちゃいそうどころではなかった。
キャサリンが覚醒するとプテロインはとっくに帰宅し、間もなく夕食の時間だと言われた。

「私、本当に食べたら寝る人になっちゃったのかも」

のそのそと寝台から出て、手櫛で髪を直そうと化粧台の鏡を覗き込むと…。

「ニャァァァーッ!!」

キャサリンは叫んだ。キャサリンの声にアンが部屋に飛び込んでくる。

「どうされましたっ?!」
「ア、アン…私の顔…」
「大丈夫、リフトアップしただけ。本来のリンの顔よ」

鏡にはお肌ツルツルのプルプル。
顔全体が引き締まり、別人のようになったキャサリンが映っていた。
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