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「おい。」
僕はその低い音でアラームがずっと鳴っていることに気がつき、目が覚めるとお父さんがPC片手に僕の部屋にいた。
父「それ、なんの服だ?」
と、僕が昨日の夜、洗って部屋干ししていた衣装を指差し睨んでくる。
琥太郎「昨日、友達とクリスマス会した時にもらった。」
父「にしてはだいぶ高そうな生地使ってるな。」
そう言ってお父さんは衣装を干してるカーテン前に近づき、レールにかけていた衣装を持って服の内側を見始めた。
父「どこのブランドだ。タグがないぞ。」
琥太郎「無名のブランドだからないんだよ。あんま触んないで。結構デザイン気に入ってるから壊したくない。」
父「これ、なんの衣装だ。お前、何をやろうとしてるんだ。」
と、僕の嘘が全て分かってしまうお父さんは片手に持っていた僕のPCを乱暴に置き、側にあったペン立てからハサミを取り出すと日向が丹精込めて作ってくれた衣装に這わせる。
父「壊したくないなら本当のこと言え。じゃないと切る。」
…言ったとしても、切られる。
けど、このまま何も言わないのもダメだ。
どうしよう。
琥太郎「画像検索して調べてみればいいじゃん。最近のネットって便利だから調べたら一発で出るよ。」
父「じゃあお前が検索しろ。」
琥太郎「…え。」
父「検索して、俺に見せろ。本当に商品としてあるなら一応切り刻まないでおく。」
ど、どうしよう。
携帯で検索して手を離しているうちに取り返そうと思ったのに。
僕は恐る恐るそのスウェット生地の学ランを写真で撮っていろんな方法で検索かけるけれど、やっぱり唯一無二の作品で似たようなものは引っかからない。
父「早く見せろ。」
琥太郎「ま、待ってよ。通信規制でなんか読み込み遅い。」
父「作ってもらったからないんだろ?PCにあった日記も、作ったショートムービーも見させてもらった。」
琥太郎「…個人情報だよ。」
父「親子間に個人情報なんてない。」
そう言ってお父さんはジョキリ…と耳心地がよすぎる刃物の音をさせて、僕の全身に鳥肌を立たせる。
琥太郎「やめてよ…!!」
父「俳優になりたいなんて夢、捨てろ。というより、なれるなんて妄想するな。お前は普通の人間なんだから。」
僕の大切な一張羅も、僕のずっと痛む心臓もズタボロにしたお父さんはハサミを持ったまま部屋を出て風呂に向かっていった。
琥太郎「……ごめん、日向。」
僕は日向に謝りながら切り刻まれた衣装を集めて、部活動に行く前に日向が泊まっているというお兄さんの家へ向かうけれど、連絡がつかないのであまり使うなと言われたメッセージチャットで家に向かってることを日向自身に伝えた僕は溢れそうな涙を乾かすように走って日向がいるマンションの部屋前に着き、インターフォンを鳴らす。
すると、日向はだいぶラフすぎる真っ白なシャツとショートパンツで出てきた。
琥太郎「…ごめん。」
僕はずっと胸に抱えていた一張羅の残骸を見せて、顔面蒼白させる日向にもう一度作ってもらえるよう起こったことを全て説明した。
日向「しおりは複製出来るけど、これは手縫いの部分が多いからこれみたいに完璧に出来ないよ。」
そう冷静に行った日向は瑠愛さんに電話をかけたけれど、すぐには出てくれなかったみたいでショートパンツのポケットに携帯をしまった。
琥太郎「本当にごめん…。手伝えることがあるならなんでもするからもう1回作ってほしい。」
僕は衣装が完成した時に嬉しそうにお披露目してくれた日向の笑顔を思い出し、目が潤んで顔を俯かせる。
日向「作るよ。」
と、日向は芯のある声で僕のお願いを聞いてくれた。
日向「けど、学校の噂なんとかして。」
琥太郎「…うわさ?」
僕はなんの事か分からずに潤んだままの目で顔を上げる。
日向「え…、渡辺たちがやってるんじゃないの…?」
琥太郎「なんの話か分かんないけど、潰したいもんがあるなら潰すし生地も買いに行ってくる。」
僕は部活後、すぐに手芸店に行ける分のお金があるか確認して日向としっかり目を合わせる。
琥太郎「これから部活あるから潰してくる。どんな噂?」
日向「…私がナンパ待ちしてパパ活してるって噂。」
そう言って少し日向は恥ずかしそうにシャツの裾を掴み、少し胸の膨らみを僕に見せつけてきて冷えた玄関のせいで起き上がっている2つの小さな胸元のボタンを浮き上がらせた。
琥太郎「で、でも…、してたじゃん…。」
僕は誘ってるのか、天然でしてるのか、分からずに思わずどもってしまうと日向は一度地団駄を踏んだ。
日向「してない!てか、証拠ないのになんでそんなこと言うの!?」
急に怒り出した日向は怒鳴り声を上げて僕を威嚇すると次は僕を家に引き込んで玄関の中に入れさせた。
日向「…渡辺じゃなかったら夏來?それとも杏?どっちにしろ嘘だから。」
と、自分の元友達の宮園 杏の名前を出してまで否定する日向はまだ自分がノーブラなのに気づいていない。
琥太郎「一昨日…、駅前で男2人に絡まれてたじゃん…。」
日向「一昨日…?」
そう言って本気で過去を思い出す日向の顔は嘘をついている様子もなく、困り顔がとてつもなく可愛すぎて僕は思わず玄関に座り込む。
琥太郎「…おでこに、…されてたじゃん。」
日向「さ、さ…っ、されたけど…。ナンパ待ちでもパパ活でもないよ。」
そう言って僕の隣に座った日向は顔を真っ赤にして膝を抱える。
日向「その1人にジャケット作ってってお願いされてひぃ兄の元彼さんと4人でご飯がてら、サイズ合わせすることになってただけだよ。」
琥太郎「…本当?」
日向「本当に決まってるじゃん。向こうは私のことからかってただけ。しかもそんなことしたら年齢的に犯罪じゃん。」
琥太郎「そうだけど…。」
僕は思ったよりも近くにいる日向にも、日向が抱えている生脚にも心臓の高鳴りを感じて噂どころではなくなってしまう。
そんなことをしていると、突然日向は立ち上がった。
日向「私は今から寝る。」
は?
なんで急に睡眠宣言?
僕は謎の行動をする日向を見上げると、つんと出たシャツの盛り上がりとショートパンツの広すぎる隙間から見えたベージュ色に驚き、思いっきり目を背ける。
日向「さっきまでジャケット作ってて活動限界来てるから。」
琥太郎「…そ、そう。」
日向「今日のクリスマスパーティー、瑠愛さんに呼ばれてるから来るよね?その時にスケジュール調節してもらおう?」
と、日向は僕の顔を覗き込むように体を傾けたけれど、これ以上何も見たくないので僕は全く目を合わせず頷いて立ち上がる。
琥太郎「…さむ、いや。ん…っと、あの…ぉ。」
帰る前に今後のことを考えて僕は言うべきか悩みながら言葉を詰まらせていると横目にいる日向は何も気づいてないようだったので、僕はなにもなかったフリをして部活に向かった。
環流 虹向/てんしとおコタ
僕はその低い音でアラームがずっと鳴っていることに気がつき、目が覚めるとお父さんがPC片手に僕の部屋にいた。
父「それ、なんの服だ?」
と、僕が昨日の夜、洗って部屋干ししていた衣装を指差し睨んでくる。
琥太郎「昨日、友達とクリスマス会した時にもらった。」
父「にしてはだいぶ高そうな生地使ってるな。」
そう言ってお父さんは衣装を干してるカーテン前に近づき、レールにかけていた衣装を持って服の内側を見始めた。
父「どこのブランドだ。タグがないぞ。」
琥太郎「無名のブランドだからないんだよ。あんま触んないで。結構デザイン気に入ってるから壊したくない。」
父「これ、なんの衣装だ。お前、何をやろうとしてるんだ。」
と、僕の嘘が全て分かってしまうお父さんは片手に持っていた僕のPCを乱暴に置き、側にあったペン立てからハサミを取り出すと日向が丹精込めて作ってくれた衣装に這わせる。
父「壊したくないなら本当のこと言え。じゃないと切る。」
…言ったとしても、切られる。
けど、このまま何も言わないのもダメだ。
どうしよう。
琥太郎「画像検索して調べてみればいいじゃん。最近のネットって便利だから調べたら一発で出るよ。」
父「じゃあお前が検索しろ。」
琥太郎「…え。」
父「検索して、俺に見せろ。本当に商品としてあるなら一応切り刻まないでおく。」
ど、どうしよう。
携帯で検索して手を離しているうちに取り返そうと思ったのに。
僕は恐る恐るそのスウェット生地の学ランを写真で撮っていろんな方法で検索かけるけれど、やっぱり唯一無二の作品で似たようなものは引っかからない。
父「早く見せろ。」
琥太郎「ま、待ってよ。通信規制でなんか読み込み遅い。」
父「作ってもらったからないんだろ?PCにあった日記も、作ったショートムービーも見させてもらった。」
琥太郎「…個人情報だよ。」
父「親子間に個人情報なんてない。」
そう言ってお父さんはジョキリ…と耳心地がよすぎる刃物の音をさせて、僕の全身に鳥肌を立たせる。
琥太郎「やめてよ…!!」
父「俳優になりたいなんて夢、捨てろ。というより、なれるなんて妄想するな。お前は普通の人間なんだから。」
僕の大切な一張羅も、僕のずっと痛む心臓もズタボロにしたお父さんはハサミを持ったまま部屋を出て風呂に向かっていった。
琥太郎「……ごめん、日向。」
僕は日向に謝りながら切り刻まれた衣装を集めて、部活動に行く前に日向が泊まっているというお兄さんの家へ向かうけれど、連絡がつかないのであまり使うなと言われたメッセージチャットで家に向かってることを日向自身に伝えた僕は溢れそうな涙を乾かすように走って日向がいるマンションの部屋前に着き、インターフォンを鳴らす。
すると、日向はだいぶラフすぎる真っ白なシャツとショートパンツで出てきた。
琥太郎「…ごめん。」
僕はずっと胸に抱えていた一張羅の残骸を見せて、顔面蒼白させる日向にもう一度作ってもらえるよう起こったことを全て説明した。
日向「しおりは複製出来るけど、これは手縫いの部分が多いからこれみたいに完璧に出来ないよ。」
そう冷静に行った日向は瑠愛さんに電話をかけたけれど、すぐには出てくれなかったみたいでショートパンツのポケットに携帯をしまった。
琥太郎「本当にごめん…。手伝えることがあるならなんでもするからもう1回作ってほしい。」
僕は衣装が完成した時に嬉しそうにお披露目してくれた日向の笑顔を思い出し、目が潤んで顔を俯かせる。
日向「作るよ。」
と、日向は芯のある声で僕のお願いを聞いてくれた。
日向「けど、学校の噂なんとかして。」
琥太郎「…うわさ?」
僕はなんの事か分からずに潤んだままの目で顔を上げる。
日向「え…、渡辺たちがやってるんじゃないの…?」
琥太郎「なんの話か分かんないけど、潰したいもんがあるなら潰すし生地も買いに行ってくる。」
僕は部活後、すぐに手芸店に行ける分のお金があるか確認して日向としっかり目を合わせる。
琥太郎「これから部活あるから潰してくる。どんな噂?」
日向「…私がナンパ待ちしてパパ活してるって噂。」
そう言って少し日向は恥ずかしそうにシャツの裾を掴み、少し胸の膨らみを僕に見せつけてきて冷えた玄関のせいで起き上がっている2つの小さな胸元のボタンを浮き上がらせた。
琥太郎「で、でも…、してたじゃん…。」
僕は誘ってるのか、天然でしてるのか、分からずに思わずどもってしまうと日向は一度地団駄を踏んだ。
日向「してない!てか、証拠ないのになんでそんなこと言うの!?」
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日向「…渡辺じゃなかったら夏來?それとも杏?どっちにしろ嘘だから。」
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琥太郎「一昨日…、駅前で男2人に絡まれてたじゃん…。」
日向「一昨日…?」
そう言って本気で過去を思い出す日向の顔は嘘をついている様子もなく、困り顔がとてつもなく可愛すぎて僕は思わず玄関に座り込む。
琥太郎「…おでこに、…されてたじゃん。」
日向「さ、さ…っ、されたけど…。ナンパ待ちでもパパ活でもないよ。」
そう言って僕の隣に座った日向は顔を真っ赤にして膝を抱える。
日向「その1人にジャケット作ってってお願いされてひぃ兄の元彼さんと4人でご飯がてら、サイズ合わせすることになってただけだよ。」
琥太郎「…本当?」
日向「本当に決まってるじゃん。向こうは私のことからかってただけ。しかもそんなことしたら年齢的に犯罪じゃん。」
琥太郎「そうだけど…。」
僕は思ったよりも近くにいる日向にも、日向が抱えている生脚にも心臓の高鳴りを感じて噂どころではなくなってしまう。
そんなことをしていると、突然日向は立ち上がった。
日向「私は今から寝る。」
は?
なんで急に睡眠宣言?
僕は謎の行動をする日向を見上げると、つんと出たシャツの盛り上がりとショートパンツの広すぎる隙間から見えたベージュ色に驚き、思いっきり目を背ける。
日向「さっきまでジャケット作ってて活動限界来てるから。」
琥太郎「…そ、そう。」
日向「今日のクリスマスパーティー、瑠愛さんに呼ばれてるから来るよね?その時にスケジュール調節してもらおう?」
と、日向は僕の顔を覗き込むように体を傾けたけれど、これ以上何も見たくないので僕は全く目を合わせず頷いて立ち上がる。
琥太郎「…さむ、いや。ん…っと、あの…ぉ。」
帰る前に今後のことを考えて僕は言うべきか悩みながら言葉を詰まらせていると横目にいる日向は何も気づいてないようだったので、僕はなにもなかったフリをして部活に向かった。
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