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BOYFRIEND
そうしん救急
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「…り。」
「めり…、も…だよ?」
「明人、明日の仕事に響くよ?」
私はずっと聞きたかった声で目が覚めて、その声を発してくれた口がある顔に抱きつく。
信之「どうした?調子悪い?」
明人「ううん…。ちょっと眠かっただけ。」
私は信之からゆっくり離れて体を起こすと、成くんがプレゼントしてくれたドレスをベッドの足元に脱ぎ散らかしたまま信之のベッドで寝てしまったらしく、下着姿の自分に驚き急いで布団で隠す。
信之「そっか。よかった。」
そう言って信之は寝起きの私の口元にキスをしてドレスをハンガーにかけてくれた。
明人「…ありがとう。」
信之「うん。お腹空いてる?」
明人「うん…。パーティー、人多すぎてごはん食べれなかった。」
信之「じゃあ昼も食べてないのか。ぺこぺこだね。俺が作るからゆっくりしてて。」
明人「うん。ありがとう…。」
私は信之の優しさに触れて少し泣きそうになるのをグッと抑えながら、信之がくれたTVのリモコンで何も面白くないお笑い番組を眺める。
信之「お茶。熱いから気をつけて。」
明人「…ありがとう。」
信之はごはんを作りながら私に温かいお茶と部屋着をくれて、またキッチンに戻っていった。
…この人が初めての彼氏だったらよかったのに。
そうやって昔の私の惚れっぽさを恨んだけど、そういう自分があったから信之のことを好きって思ったんだよなと思い返し、全てがうまくいかないことを改めて感じる。
信之「スープパスタ作ったよ。」
と、信之がうどんを食べた時と同じお椀に汁気たっぷりなパスタをコタツのテーブル上に置いた。
私はいつもの位置に座り、信之が来てくれるのを待っていると信之はやかんと急須を持ってきてそれを求人雑誌の上に置いて私と触れ合う距離に座ってくれた。
信之「タバコの匂いするね。喫煙OKのとこだったの?」
と、信之は私にスプーンとフォークを渡しながら少し心配そうな顔をした。
明人「ううん。昔の友達とばったり会って喫煙所でお話ししたの。」
私はいただきますを言って、信之が作ってくれたクリームスープパスタをゆっくり食べ進める。
信之「そっか。昔の友達は成紀さんが俺に連絡してくるほど悪い人なの?」
明人「…え?」
信之「仕事終わって携帯見たら成紀さんから驚く量の電話とメッセージ来てたんだ。『明人の様子どうですか?』『家にちゃんと帰ってますか?』って。」
そう言って信之が私に成くんとのトーク画面を見せてくれると、私が家に帰った頃の時間から10分毎に連絡している成くんのメッセージと通話履歴があった。
私はそれを見てずっと放置していた自分の携帯を見ると、成くんと綺咲さん、1番最新には信之から連絡が入っていた。
信之「…元彼さんと何があったのかは分からないけど、明人が嫌な思いするんだったら引き止めればよかったな。実際行ってほしくなかったし。」
明人「元彼って…、成紀くんから聞いたの?」
信之「うん。成紀さんがメッセージで一方的に送って来てたから見ちゃったんだ。俺に友達って誤魔化したのは過去のこと言いたくないからだよね…?」
と、信之は自分が持っていたカトラリーを1度皿に置き、私の目をしっかり見てくる。
信之「過去は気にしないけど、今の明人が嫌な思いをするのは嫌なんだ。俺じゃなくても成紀さんや友達にでも話して嫌な気持ち少しずつなくしていこう?」
…好き。
好きじゃなくて、好き。
けど、もっと私を知りたいって思う貪欲さは欲しいなって思っちゃうよ。
明人「…りとはちゃんと私と付き合ってくれたけど、それは私がりとにとって都合のいい女だったから。」
信之「…うん。」
私が話し出すと信之は静かに私を抱きしめ、温めてくれる。
明人「いつもセフレ終わりの私だったからりとと付き合えて嬉しかったけど、りとは私の家に女友達呼んでヤリ部屋にしてた。」
信之「今の家…?」
明人「…うん。家賃と交通の便良すぎて嫌だけど変えられない。」
信之「…そっか。じゃあこっち来る?」
明人「え?」
私は信之の発言に驚き、信之の胸にあった自分の顔を上げる。
信之「服とか小物は自分で持ってくればなんとかなるし、家具は…頑張れば入る?」
と、信之は自分の部屋を見渡して私の部屋の見たことない家具の置き場を探す。
明人「で、でも…、信之は1人が好きって言ってたじゃん。」
信之「1人は好きだけど、明人の方が好き。」
そう言って信之を見上げる私の唇にキスをした。
信之「1人は好きだけど、家に人がいる温かさ知っちゃったからもう前には戻れないかも。」
明人「かも…?」
信之「ない…、かな。」
私はまだ1人になろうとする信之に抱きつき、自分から信之の口に残っているクリームを食べに行く。
明人「1人になりたくなったら言って。私が外に出るから。」
信之「…分かった。ちゃんと言うね。」
なんでそんな悲しそうな顔をするんだろう。
私はちゃんとここに帰ってくるし、信之と出来るだけずっと一緒にいたいのに。
信之は私と一緒にいたくないってどこかで思ってるのかな。
それだったら私のこの気持ちはただの迷惑なのに、なんで信之は受け入れるんだろう。
…分かんないよ。
ちゃんと言ってほしいけど、そうしたら何故か信之はいなくなっちゃいそうだから聞けない。
今日もまた信之が分からなくなって好きになっちゃったよ。
困ったな…。
信之との終わりなんか考えたくなくても見えちゃって辛いよ。
だからもう少しこのお話するのは先延ばしにさせて。
涙が溢れないいい女になれる頃、聞けたら聞くことにする。
だからもうちょっとだけ一緒にいさせてね。信之。
…………
朝・ピカイチサンドセット
昼・なし
夜・信之のあったかいスープパスタ
今日は色々疲れたけどオアシスさんの信之と一緒にいられるからたくさん癒されるんだ。
だからもっと一緒にいようね。
おやすみ、信之・明人
…………
環流 虹向/エンディングノート
「めり…、も…だよ?」
「明人、明日の仕事に響くよ?」
私はずっと聞きたかった声で目が覚めて、その声を発してくれた口がある顔に抱きつく。
信之「どうした?調子悪い?」
明人「ううん…。ちょっと眠かっただけ。」
私は信之からゆっくり離れて体を起こすと、成くんがプレゼントしてくれたドレスをベッドの足元に脱ぎ散らかしたまま信之のベッドで寝てしまったらしく、下着姿の自分に驚き急いで布団で隠す。
信之「そっか。よかった。」
そう言って信之は寝起きの私の口元にキスをしてドレスをハンガーにかけてくれた。
明人「…ありがとう。」
信之「うん。お腹空いてる?」
明人「うん…。パーティー、人多すぎてごはん食べれなかった。」
信之「じゃあ昼も食べてないのか。ぺこぺこだね。俺が作るからゆっくりしてて。」
明人「うん。ありがとう…。」
私は信之の優しさに触れて少し泣きそうになるのをグッと抑えながら、信之がくれたTVのリモコンで何も面白くないお笑い番組を眺める。
信之「お茶。熱いから気をつけて。」
明人「…ありがとう。」
信之はごはんを作りながら私に温かいお茶と部屋着をくれて、またキッチンに戻っていった。
…この人が初めての彼氏だったらよかったのに。
そうやって昔の私の惚れっぽさを恨んだけど、そういう自分があったから信之のことを好きって思ったんだよなと思い返し、全てがうまくいかないことを改めて感じる。
信之「スープパスタ作ったよ。」
と、信之がうどんを食べた時と同じお椀に汁気たっぷりなパスタをコタツのテーブル上に置いた。
私はいつもの位置に座り、信之が来てくれるのを待っていると信之はやかんと急須を持ってきてそれを求人雑誌の上に置いて私と触れ合う距離に座ってくれた。
信之「タバコの匂いするね。喫煙OKのとこだったの?」
と、信之は私にスプーンとフォークを渡しながら少し心配そうな顔をした。
明人「ううん。昔の友達とばったり会って喫煙所でお話ししたの。」
私はいただきますを言って、信之が作ってくれたクリームスープパスタをゆっくり食べ進める。
信之「そっか。昔の友達は成紀さんが俺に連絡してくるほど悪い人なの?」
明人「…え?」
信之「仕事終わって携帯見たら成紀さんから驚く量の電話とメッセージ来てたんだ。『明人の様子どうですか?』『家にちゃんと帰ってますか?』って。」
そう言って信之が私に成くんとのトーク画面を見せてくれると、私が家に帰った頃の時間から10分毎に連絡している成くんのメッセージと通話履歴があった。
私はそれを見てずっと放置していた自分の携帯を見ると、成くんと綺咲さん、1番最新には信之から連絡が入っていた。
信之「…元彼さんと何があったのかは分からないけど、明人が嫌な思いするんだったら引き止めればよかったな。実際行ってほしくなかったし。」
明人「元彼って…、成紀くんから聞いたの?」
信之「うん。成紀さんがメッセージで一方的に送って来てたから見ちゃったんだ。俺に友達って誤魔化したのは過去のこと言いたくないからだよね…?」
と、信之は自分が持っていたカトラリーを1度皿に置き、私の目をしっかり見てくる。
信之「過去は気にしないけど、今の明人が嫌な思いをするのは嫌なんだ。俺じゃなくても成紀さんや友達にでも話して嫌な気持ち少しずつなくしていこう?」
…好き。
好きじゃなくて、好き。
けど、もっと私を知りたいって思う貪欲さは欲しいなって思っちゃうよ。
明人「…りとはちゃんと私と付き合ってくれたけど、それは私がりとにとって都合のいい女だったから。」
信之「…うん。」
私が話し出すと信之は静かに私を抱きしめ、温めてくれる。
明人「いつもセフレ終わりの私だったからりとと付き合えて嬉しかったけど、りとは私の家に女友達呼んでヤリ部屋にしてた。」
信之「今の家…?」
明人「…うん。家賃と交通の便良すぎて嫌だけど変えられない。」
信之「…そっか。じゃあこっち来る?」
明人「え?」
私は信之の発言に驚き、信之の胸にあった自分の顔を上げる。
信之「服とか小物は自分で持ってくればなんとかなるし、家具は…頑張れば入る?」
と、信之は自分の部屋を見渡して私の部屋の見たことない家具の置き場を探す。
明人「で、でも…、信之は1人が好きって言ってたじゃん。」
信之「1人は好きだけど、明人の方が好き。」
そう言って信之を見上げる私の唇にキスをした。
信之「1人は好きだけど、家に人がいる温かさ知っちゃったからもう前には戻れないかも。」
明人「かも…?」
信之「ない…、かな。」
私はまだ1人になろうとする信之に抱きつき、自分から信之の口に残っているクリームを食べに行く。
明人「1人になりたくなったら言って。私が外に出るから。」
信之「…分かった。ちゃんと言うね。」
なんでそんな悲しそうな顔をするんだろう。
私はちゃんとここに帰ってくるし、信之と出来るだけずっと一緒にいたいのに。
信之は私と一緒にいたくないってどこかで思ってるのかな。
それだったら私のこの気持ちはただの迷惑なのに、なんで信之は受け入れるんだろう。
…分かんないよ。
ちゃんと言ってほしいけど、そうしたら何故か信之はいなくなっちゃいそうだから聞けない。
今日もまた信之が分からなくなって好きになっちゃったよ。
困ったな…。
信之との終わりなんか考えたくなくても見えちゃって辛いよ。
だからもう少しこのお話するのは先延ばしにさせて。
涙が溢れないいい女になれる頃、聞けたら聞くことにする。
だからもうちょっとだけ一緒にいさせてね。信之。
…………
朝・ピカイチサンドセット
昼・なし
夜・信之のあったかいスープパスタ
今日は色々疲れたけどオアシスさんの信之と一緒にいられるからたくさん癒されるんだ。
だからもっと一緒にいようね。
おやすみ、信之・明人
…………
環流 虹向/エンディングノート
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