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ANNIVERSARY
ぽろぽろ想送
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信之が昔住んでたという海辺の街は、今私たちが一緒に住んでいる街にある2列しかない小さい電車が同じように走っていて、商店もその駅前付近によくあり信之が前に言っていたようにとても似ている部分が多い街だった。
信之「今日は花火大会だからやっぱり人が多いな。」
明人「花火大会じゃなかったらこの時期はもっと静かなの?」
信之「そうだね。海はオフシーズンだし、ここって夏のイメージが強いらしいから。」
そう話しながら信之は一緒に来たかったというカフェに連れてきてくれた。
私たちはそのカフェの階段を上がりテラス席に通されると、海と夕焼けの見晴らしが良き過ぎる席で少し西日が強くてもそれすら愛らしく感じる。
私は信之がピカイチと教えてくれたケーキを頼んでもらい、店員さんに持ってきてもらうとそれは大福アイスみたいな見た目でツルツルとした真っ白いクリームがかかっているカップケーキみたいなものだった。
信之「これ思い出して大福アイス買っちゃうんだよね。」
と、信之は本物を久しぶりに見れて嬉しそうにする。
明人「そうだったんだ!確かに似てる。」
私は信之が特に嬉しそうな顔をしてくれるケーキを見つけられたことが嬉しくて、ちゃんと誕生日が分かった時はこれを買うことに決めた。
私はスプーンでケーキをひとすくいして口に入れると優しいレモンクリームの味が広がって頬を落としかける。
ゆっくりと一口ずつ味わって信之の新しいピカイチの味を楽しんでいると、信之はお皿を押さえていた私の手を握ってその手の中に何か入れてきた。
信之「誕生日プレゼント。」
明人「…え?」
私は信之に握らされた小さい便箋に包まれている中身を見て目の前が涙で歪む。
信之「織華さんのを見に行った日とか、織華さんと晴大さんが交換するとこで1番号泣してたから欲しいのかなって。」
明人「…でも、ちょっと小さいかも。」
そう言うと信之は少し申し訳なさげに笑い、袋の中身を自分の手に取り出した。
信之「こっちは考え中だからお隣ね。俺からのお守りつけていい?」
そう言って信之は片手で私の薬指を持ち、自分の人差し指で私の小指を上げた。
明人「うんっ。」
信之「明人にいいことがいっぱい起こりますように。」
そう言いながら信之は私の左手の小指にシンプルなカットリングをはめてそこにキスしてくれた。
初めて信之が残る物をプレゼントしてくれたことが嬉しくて、私は周りに人がいてもお構いなしにぼたぼたと涙を流してしまう。
信之「今日誕生日?」
明人「…違うけど、日にちは合ってるよ。」
信之「そっか。惜しいね。」
と、信之は優しい垂れた笑顔で私の涙を拭き取ってくれる。
信之「明人は冬生まれ?」
明人「うん。信之も?」
信之「うん。これで当てやすくなったね。」
明人「そうだね。お祝いするの楽しみ。」
好きだ。
欲しかった薬指じゃないけど、隣の指に信之のお守りをくれただけで私は嬉しい。
織華の言う通り、無くしたら怖いって思っちゃうけどずっとつけたくもなっちゃう。
私は信之からの少し早い誕生日プレゼントとちょっとした昔話を貰えて嬉しさと幸せで胸いっぱい涙いっぱいの1日を過ごした。
…………
間・信之のピカイチケーキ
信之の誕生日、ちゃんとお祝いする。
私と同じくらい嬉しさと幸せいっぱいの日にするからお楽しみにね。
…………
環流 虹向/エンディングノート
信之「今日は花火大会だからやっぱり人が多いな。」
明人「花火大会じゃなかったらこの時期はもっと静かなの?」
信之「そうだね。海はオフシーズンだし、ここって夏のイメージが強いらしいから。」
そう話しながら信之は一緒に来たかったというカフェに連れてきてくれた。
私たちはそのカフェの階段を上がりテラス席に通されると、海と夕焼けの見晴らしが良き過ぎる席で少し西日が強くてもそれすら愛らしく感じる。
私は信之がピカイチと教えてくれたケーキを頼んでもらい、店員さんに持ってきてもらうとそれは大福アイスみたいな見た目でツルツルとした真っ白いクリームがかかっているカップケーキみたいなものだった。
信之「これ思い出して大福アイス買っちゃうんだよね。」
と、信之は本物を久しぶりに見れて嬉しそうにする。
明人「そうだったんだ!確かに似てる。」
私は信之が特に嬉しそうな顔をしてくれるケーキを見つけられたことが嬉しくて、ちゃんと誕生日が分かった時はこれを買うことに決めた。
私はスプーンでケーキをひとすくいして口に入れると優しいレモンクリームの味が広がって頬を落としかける。
ゆっくりと一口ずつ味わって信之の新しいピカイチの味を楽しんでいると、信之はお皿を押さえていた私の手を握ってその手の中に何か入れてきた。
信之「誕生日プレゼント。」
明人「…え?」
私は信之に握らされた小さい便箋に包まれている中身を見て目の前が涙で歪む。
信之「織華さんのを見に行った日とか、織華さんと晴大さんが交換するとこで1番号泣してたから欲しいのかなって。」
明人「…でも、ちょっと小さいかも。」
そう言うと信之は少し申し訳なさげに笑い、袋の中身を自分の手に取り出した。
信之「こっちは考え中だからお隣ね。俺からのお守りつけていい?」
そう言って信之は片手で私の薬指を持ち、自分の人差し指で私の小指を上げた。
明人「うんっ。」
信之「明人にいいことがいっぱい起こりますように。」
そう言いながら信之は私の左手の小指にシンプルなカットリングをはめてそこにキスしてくれた。
初めて信之が残る物をプレゼントしてくれたことが嬉しくて、私は周りに人がいてもお構いなしにぼたぼたと涙を流してしまう。
信之「今日誕生日?」
明人「…違うけど、日にちは合ってるよ。」
信之「そっか。惜しいね。」
と、信之は優しい垂れた笑顔で私の涙を拭き取ってくれる。
信之「明人は冬生まれ?」
明人「うん。信之も?」
信之「うん。これで当てやすくなったね。」
明人「そうだね。お祝いするの楽しみ。」
好きだ。
欲しかった薬指じゃないけど、隣の指に信之のお守りをくれただけで私は嬉しい。
織華の言う通り、無くしたら怖いって思っちゃうけどずっとつけたくもなっちゃう。
私は信之からの少し早い誕生日プレゼントとちょっとした昔話を貰えて嬉しさと幸せで胸いっぱい涙いっぱいの1日を過ごした。
…………
間・信之のピカイチケーキ
信之の誕生日、ちゃんとお祝いする。
私と同じくらい嬉しさと幸せいっぱいの日にするからお楽しみにね。
…………
環流 虹向/エンディングノート
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