エンディングノート

環流 虹向

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ぱらぱら支柱

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「え?転勤?」

私は久しぶりに一季さんから飲みに誘われて浮かれていたところ、突然転勤の話をされた。

一季「そう。系列店がある大阪に行くことになった。」

明人「…え、いつ行っちゃうんですか。」

一季「4月末。このぐらいになるとお呼びがかかるんだよ。」

一季さんはこの頃館内全体を把握したり、バイトや社員の勤怠管理などチームを動かす人になっていて、雲の上の存在になりかけたと思っていたら空に浮かぶよりも遠くて見えないところに行っちゃうらしい。

明人「えぇ…、一季さんいなくなるの心細いです…。」

一季「何言ってんだよ。もう後輩がいるんだからそんなこと言うな。」

明人「それとこれとは話が違いますよ…。」

一季「違くない。明人も今後そうなるかも知れないってことは頭に入れとけ。」

明人「…そっか。私もなるかもなんですよね。」

一季「そうだ。スキルアップする事に人事は色々埋め合わせをするため、転勤をお願いしてくるから明人もいつお呼びがかかるか分からないぞ。」

…転勤。

今まで考えたことなかったけど、そうなったら信之と一緒には暮らせなくなっちゃうよな。

転勤先が東京ならまだしも、一季さんみたいに県外の方に呼ばれてしまったらここを拠点にしてる信之とは一緒にいられなくなっちゃう。

その時、私ならどっちを選ぶんだろう。

一季「彼氏は東京でしか仕事出来ない人か?」

と、私の考え事を一瞬で見抜いた一季さんはそう聞いてきた。

明人「今の仕事は東京にしかない仕事なので、同棲は難しそうです…。」

一季「…そうか。まあ、そのタイミングで転職とか辞職を考えるから明人もその選択肢を持ってた方がいいぞ。」

明人「そうなんですか…?」

一季「そうだ。この間のエリさんも色々考えて東京に残るために仕事先変えたからな。」

明人「え?そういうことだったんですか?」

一季「ああ。ご家族の体の具合があまり良くないらしいから、遠いところにはしばらく行きたくないらしい。」

明人「そうだったんですね…。知らなかったです…。」

一季「エリさんはあまりプライベートを出す人じゃなかったからな。俺は転勤の件を聞いてからちょっと教えてもらったんだ。」

そういう道もあるのか…。

この仕事場は好きだけど、転勤先の仕事場を好きになれるかは分からないもんな。

一季「あとはその機に結婚して寿退社した強者もいる。まあ全部タイミングだけどな。」

明人「…そうですね。」

私はちょっと先の未来にまた頭を悩ませることになってしまい、また体に疲れが溜まってしまった。


…………
一季さんと呑みのに、気持ちが晴れないのはなんだなんだろう。
しかも、転勤しちゃうって。
そういうことがあるのは知ってたけど、このタイミングちょっと嫌だな。
…………


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