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家にある一眼レフを取りに帰ってよかったと思えるほど、綺麗な星空を写せて満足な俺たちは腹ごしらえを終え、東京に戻る高速道路を走っている。
俺は車から見る景色が好きだから助手席で海斗の眠気覚しの会話に付き合う。
一「助手席に女乗せたことあんの?」
海斗「ない。」
俺たちの会話にはもう入ってこなくなった奏、明、将。
車の走行音、微かに流れるラジオと寝息が聞こえる。
一「なんで?」
顔がいいんだからホイホイ寄ってくるだろ。
というより、寄ってるところばかり見る。
海斗「向こうが俺に興味ないんだろ。」
何言ってんだこいつ?
自分のこと、本当に分かって言ってんのか?
一「俺らの学年で1番モテてるのお前だと思うんだけど。」
海斗「そんなわけない。じゃあ、なんで俺には彼女がいないんだ?」
一「知らねぇよ。でも女とよく話してんじゃん。」
海斗「話してしばらくすると寄ってこなくなる。」
一「…なんでそうなるんだよ。」
海斗「知らない。」
俺はなぜ海斗に1度も彼女が出来ないのか考えるが、出来ないこと自体がおかしいと思えるほど女は寄ってきてるはずなんだ。
海斗も寄ってきた女には普通に話してるところを見るし、性格も容姿も何か問題があるってわけでもなさそうなんだけどな。
海斗「一はどうやって彼女出来たんだ?」
と、海斗は真剣に聞いてきた。
一「え?向こうに『付き合って』って言われた。」
海斗「なんでそれで彼女が出来るんだよ。」
一「は?それでOK出せば付き合うんだって。」
海斗「ん…?それで、どこに付き合ったら彼女が出来るんだ?」
は…?
ん?ちょっと待てよ。
そんなことあるか?
一「…いやいや!海斗、そういうの面白くない。」
海斗「答えになってないけど?」
え…お前、ガチなの?
20年生きてきて、付き合うって言葉を理解してこなかったの?
一「女に『付き合って』って言われたことある?」
海斗「ある。場所聞いたら毎回逃げられてそのあと疎遠になる。」
俺は1人、海斗という生物に驚きを隠せずにいた。
一「え?えっと…、付き合っては交際しようってこと。」
俺は困惑しながらも海斗がわかりそうな言葉で説明した。
海斗「は?どこか行くことじゃないのか?」
一「そうだよ。」
海斗「じゃあ、明が付き合ってって言う買い物も恋人として?」
一「それは違う。」
海斗が眉間にシワを寄せながら運転をし始める。
そんなに頭悩ますことじゃないだろ。
高校の時はいつもトップ争いするほど頭がいい海斗がその言葉を理解してない方がおかしい。
海斗「…日本語難しい。」
一「いや、簡単だって。」
すると海斗は思いっきりため息をついて、沈んだ顔をする。
海斗「…あぁ。愛子に告白されてたのか、俺。」
突然、海斗は高2の時に紹介してくれた女友達の名前を出してきた。
紹介してくれた後、数回遊んだ時に海斗ととても仲が良かった印象がまだ俺の中で残っていた。
一「好きだったの?」
海斗「…今も。」
海斗は想いを漏らし出すように呟き、見えない愛子ちゃんを窓越しに見つめる。
一「なんでお前から告白しないんだよ。」
海斗「今、3年付き合ってる彼氏いる。」
一「結婚してなければどの女もフリーだ。」
そう言うと海斗は驚いた顔をしたけれど、真剣な表情で俺と目を合わせる。
海斗「そうなのか…?」
一「そうだ。俺が出会ってきた女みんなそうだった。」
海斗「…そうか。」
海斗は何か考えごとをしているのか、無言になってしまった。
もう卒業して2年も経つのにまだ好きだと思えるのなら付き合うチャンスくらい作りたい。
そう思った俺は海斗にアドバイスすることにした。
一「愛子ちゃんに今でも会ったりする?」
海斗「この間の同窓会以来、会ってない。」
一「連絡先はある?」
海斗「愛子がアドレス変えてなければある。」
一「いいじゃん。飯、誘いなよ。」
海斗「…うーん。」
やっぱり彼氏がいる事が気がかりなのか、思いきれない様子。
一「愛子ちゃんがお前のことをどうにも思ってなかったら展開は進まないし、何か思ってたらなんかしら起こるもんだ。」
俺がそう言うと理解はしてくれたが、まだ気持ちの整理がつかずに海斗はしばらく唸り考える。
一「2人で誘いにくいなら俺でも奏でも連れてけばいいよ。とりあえず誘え。」
海斗「…分かった。」
そう言って、海斗は小さい渋滞に掴まるとすぐさま携帯を取って、愛子ちゃんに連絡をとり始めた。
愛子ちゃん、海斗のことを今でも好きならこいつの初の彼女になったやってほしい。
あの時は君の気持ちに気づけなかったバカだけど、俺がちゃんと教え込んどくからしっかり気持ちを伝える場だけ作らせてくれ。
海斗「どこ行くのって。」
一「レス早いな。」
俺は海斗の送ったメッセージを覗き込む。
一「え、おい!『俺と付き合って』ってなんで送ってんの?」
海斗「誘えって言ったじゃん。」
海斗は俺の発言を不思議そうに首を傾げる。
愛子ちゃん、だいぶハードル高いけど頑張ってみるよ。
俺は週末に会うよう約束を取り付けてもらって、デート時のことを海斗に教え込んだ。
→ I miss you -refrain-
俺は車から見る景色が好きだから助手席で海斗の眠気覚しの会話に付き合う。
一「助手席に女乗せたことあんの?」
海斗「ない。」
俺たちの会話にはもう入ってこなくなった奏、明、将。
車の走行音、微かに流れるラジオと寝息が聞こえる。
一「なんで?」
顔がいいんだからホイホイ寄ってくるだろ。
というより、寄ってるところばかり見る。
海斗「向こうが俺に興味ないんだろ。」
何言ってんだこいつ?
自分のこと、本当に分かって言ってんのか?
一「俺らの学年で1番モテてるのお前だと思うんだけど。」
海斗「そんなわけない。じゃあ、なんで俺には彼女がいないんだ?」
一「知らねぇよ。でも女とよく話してんじゃん。」
海斗「話してしばらくすると寄ってこなくなる。」
一「…なんでそうなるんだよ。」
海斗「知らない。」
俺はなぜ海斗に1度も彼女が出来ないのか考えるが、出来ないこと自体がおかしいと思えるほど女は寄ってきてるはずなんだ。
海斗も寄ってきた女には普通に話してるところを見るし、性格も容姿も何か問題があるってわけでもなさそうなんだけどな。
海斗「一はどうやって彼女出来たんだ?」
と、海斗は真剣に聞いてきた。
一「え?向こうに『付き合って』って言われた。」
海斗「なんでそれで彼女が出来るんだよ。」
一「は?それでOK出せば付き合うんだって。」
海斗「ん…?それで、どこに付き合ったら彼女が出来るんだ?」
は…?
ん?ちょっと待てよ。
そんなことあるか?
一「…いやいや!海斗、そういうの面白くない。」
海斗「答えになってないけど?」
え…お前、ガチなの?
20年生きてきて、付き合うって言葉を理解してこなかったの?
一「女に『付き合って』って言われたことある?」
海斗「ある。場所聞いたら毎回逃げられてそのあと疎遠になる。」
俺は1人、海斗という生物に驚きを隠せずにいた。
一「え?えっと…、付き合っては交際しようってこと。」
俺は困惑しながらも海斗がわかりそうな言葉で説明した。
海斗「は?どこか行くことじゃないのか?」
一「そうだよ。」
海斗「じゃあ、明が付き合ってって言う買い物も恋人として?」
一「それは違う。」
海斗が眉間にシワを寄せながら運転をし始める。
そんなに頭悩ますことじゃないだろ。
高校の時はいつもトップ争いするほど頭がいい海斗がその言葉を理解してない方がおかしい。
海斗「…日本語難しい。」
一「いや、簡単だって。」
すると海斗は思いっきりため息をついて、沈んだ顔をする。
海斗「…あぁ。愛子に告白されてたのか、俺。」
突然、海斗は高2の時に紹介してくれた女友達の名前を出してきた。
紹介してくれた後、数回遊んだ時に海斗ととても仲が良かった印象がまだ俺の中で残っていた。
一「好きだったの?」
海斗「…今も。」
海斗は想いを漏らし出すように呟き、見えない愛子ちゃんを窓越しに見つめる。
一「なんでお前から告白しないんだよ。」
海斗「今、3年付き合ってる彼氏いる。」
一「結婚してなければどの女もフリーだ。」
そう言うと海斗は驚いた顔をしたけれど、真剣な表情で俺と目を合わせる。
海斗「そうなのか…?」
一「そうだ。俺が出会ってきた女みんなそうだった。」
海斗「…そうか。」
海斗は何か考えごとをしているのか、無言になってしまった。
もう卒業して2年も経つのにまだ好きだと思えるのなら付き合うチャンスくらい作りたい。
そう思った俺は海斗にアドバイスすることにした。
一「愛子ちゃんに今でも会ったりする?」
海斗「この間の同窓会以来、会ってない。」
一「連絡先はある?」
海斗「愛子がアドレス変えてなければある。」
一「いいじゃん。飯、誘いなよ。」
海斗「…うーん。」
やっぱり彼氏がいる事が気がかりなのか、思いきれない様子。
一「愛子ちゃんがお前のことをどうにも思ってなかったら展開は進まないし、何か思ってたらなんかしら起こるもんだ。」
俺がそう言うと理解はしてくれたが、まだ気持ちの整理がつかずに海斗はしばらく唸り考える。
一「2人で誘いにくいなら俺でも奏でも連れてけばいいよ。とりあえず誘え。」
海斗「…分かった。」
そう言って、海斗は小さい渋滞に掴まるとすぐさま携帯を取って、愛子ちゃんに連絡をとり始めた。
愛子ちゃん、海斗のことを今でも好きならこいつの初の彼女になったやってほしい。
あの時は君の気持ちに気づけなかったバカだけど、俺がちゃんと教え込んどくからしっかり気持ちを伝える場だけ作らせてくれ。
海斗「どこ行くのって。」
一「レス早いな。」
俺は海斗の送ったメッセージを覗き込む。
一「え、おい!『俺と付き合って』ってなんで送ってんの?」
海斗「誘えって言ったじゃん。」
海斗は俺の発言を不思議そうに首を傾げる。
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