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音己ねぇとツーリングをして江ノ島に行き、音己ねぇが食べきれないとすぐに言ったしらす丼を俺が食べ終えた後、臭いと言われ近くの温泉施設で汗を流してさっぱりする。
服は自分が持ってきたシャツと音己ねぇが持っていた少し小さめのスエットを借り、汗と砂がついた服は音己ねぇが貸してくれた巾着に入れて待ち合わせていたロビーに行く。
音己「うん。いい匂い。」
一「そんな臭かった?」
音己「うん。辛気臭い。」
そう言って音己ねぇは俺の手を取って、またバイクにまたがる。
一「…どこ行くの?」
音己「どこ行きたい?」
今1番会いたいのは姐さんだけど、会いたくないって言われちゃったもんな…。
音己「また臭いよ。」
音己ねぇは俺の顔を覗き込んでくる。
一「風呂入ったし。」
音己「あっそ。で、どこ行きたい?」
一「…奏たちのとこ。」
俺がそう言うと音己ねぇは一気に不機嫌な顔になり、立ち上がって俺の左頬に噛み付いてきた。
その瞬間、幼い時に俺が音己ねぇに1度だけ嘘をついて同じ左頬を噛まれたことを思い出す。
俺は驚いて体がよろけると音己ねぇが俺を支えるように抱きついてきた。
音己「1番行きたい所、あるでしょ?」
音己ねぇは背伸びをして自分のおでこで俺の前髪あげ、おでこ同士をくっつけて俺の両目を見てくる。
音己「私に嘘つくなって。」
音己ねぇはずっと嘘が嫌い。
だから俺もあの1度しか嘘はついてこなかった。
音己ねぇも俺に嘘はついたことはない。
ただ、言葉数が足りないだけで言っていないことがあるだけ。
一「…姐さんに会いたい。」
音己「うん。行こ。」
音己ねぇは俺にヘルメットを被せて手を引き、強制的にバイクに乗せて東京に戻る。
その間、音己ねぇは呑気な歌を鼻歌で歌い始める。
いつも好きな曲が出来たら延々と1曲リピートするけど、まともに覚えられない音己ねぇはいつもこうやって歌ってる。
たまにサビはしっかりと覚えてるときはあるけど、今回の曲は覚えてなかったらしい。
全て曖昧で俺が思ってるリズムと合わなくてぐちゃぐちゃだけど、いつも通り楽しそうに歌う音己ねぇ。
上手いとは言えない歌声だけど、楽しそうに歌ういつもの音己ねぇを見てると安心する。
その曲はきっと音己ねぇが中学時代に出会ったバンドの曲だろうと思うが、俺は聞いたことがなかった。
けど、その歌声が俺の砕けた気持ちのカケラを集めくれる。
一「音己ねぇ、ありがとう。」
俺は風で飛ばされてしまうお礼を言って、音己ねぇの腹にしっかりしがみつく。
少し汗ばんだ背中が暑く感じたけど、今はこの熱が俺の冷めきった心を温めてくれている気がしてまた涙がこぼれた。
1、2時間走り続けてまたあの街に戻ってきた。
音己ねぇは俺に詳しく場所を聞いてきたけど、住所は覚えてなかったので家の隣にあるケバブ屋のことを話すとそれだけをヒントに俺が行きたかった場所に連れてきてくれた。
音己「行っていきな。」
音己ねぇは姐さんのマンション下にある自販機でお茶を買って一服する。
一「でも、会いたくないって言われた。」
音己「なんで?」
一「病気だから付き合えないって。もう会いたくないって。」
音己「何号室?」
一「303号室。」
音己「待ってて。」
すると音己ねぇはマンションのエントランスに入って行き、外から見える階段を上っていく。
一「音己ねぇ!何すんの!?」
音己「ちょっとね。」
音己ねぇは足早に3階に上っていき、たくさんチャイム鳴らしてしばらくすると扉が開く音が聞こえる。
静かに何か話している声が数分聞こえると扉がしまる音が聞こえた。
追い返されて帰ってくるだろうと思って階段を見ているけど全く音己ねぇが帰ってくることはなく、3時間近く待ってやっと音己ねぇはマンションを出てきた。
一「何してたの?」
音己「さきさんと話してた。」
一「…なんて言ってたの?」
音己ねぇは少し間を置いて、俺の頬に手を置いた。
音己「姐さん好き?」
一「うん。今も好き。」
音己「ずっと一緒にいたい?」
一「いたい。」
音己「姐さんがどんな秘密持ってても?」
一「病気ってことは聞いたよ?」
音己「ううん。他のこと。」
音己ねぇは俺の頬に置いた手で前髪をあげて俺の素顔を見ながら言う。
一「どんな人も秘密は持ってる。俺もある。音己ねぇもあるでしょ?」
音己「…あるね。」
一「俺は姐さんって人が好き。過去に何があったのか知らないけど、多分気持ちは変わらないと思う。」
音己「…絶対?」
一「絶対。」
音己「その気持ち、忘れないでね。」
そう言うと音己ねぇはヘルメットを被り始めた。
一「…姐さん、俺と会ってもいいって言ってた?」
音己「今は嫌だって。」
音己ねぇは初めて会って何時間も話してきたのに俺には会ってくれないんだ。
俺はその言葉に肩を落としていると音己ねぇは携帯を取り出して誰かに電話し始めた。
音己「うん。いるよ。」
また淡白な電話を数秒して電話を切り、バイクにまたがる。
音己「行くよ。」
一「…どこ?」
音己「2番目に行きたかったとこ。」
俺はその言葉を聞き、すぐにバイクにまたがる。
迷惑をいっぱいかけたからちゃんと謝ろう。
それで明日からちゃんと一緒に絵を描こう。
音己ねぇは俺が行きたかった所に連れて行った後、すぐに自分の家に帰って行った。
→ 恋
服は自分が持ってきたシャツと音己ねぇが持っていた少し小さめのスエットを借り、汗と砂がついた服は音己ねぇが貸してくれた巾着に入れて待ち合わせていたロビーに行く。
音己「うん。いい匂い。」
一「そんな臭かった?」
音己「うん。辛気臭い。」
そう言って音己ねぇは俺の手を取って、またバイクにまたがる。
一「…どこ行くの?」
音己「どこ行きたい?」
今1番会いたいのは姐さんだけど、会いたくないって言われちゃったもんな…。
音己「また臭いよ。」
音己ねぇは俺の顔を覗き込んでくる。
一「風呂入ったし。」
音己「あっそ。で、どこ行きたい?」
一「…奏たちのとこ。」
俺がそう言うと音己ねぇは一気に不機嫌な顔になり、立ち上がって俺の左頬に噛み付いてきた。
その瞬間、幼い時に俺が音己ねぇに1度だけ嘘をついて同じ左頬を噛まれたことを思い出す。
俺は驚いて体がよろけると音己ねぇが俺を支えるように抱きついてきた。
音己「1番行きたい所、あるでしょ?」
音己ねぇは背伸びをして自分のおでこで俺の前髪あげ、おでこ同士をくっつけて俺の両目を見てくる。
音己「私に嘘つくなって。」
音己ねぇはずっと嘘が嫌い。
だから俺もあの1度しか嘘はついてこなかった。
音己ねぇも俺に嘘はついたことはない。
ただ、言葉数が足りないだけで言っていないことがあるだけ。
一「…姐さんに会いたい。」
音己「うん。行こ。」
音己ねぇは俺にヘルメットを被せて手を引き、強制的にバイクに乗せて東京に戻る。
その間、音己ねぇは呑気な歌を鼻歌で歌い始める。
いつも好きな曲が出来たら延々と1曲リピートするけど、まともに覚えられない音己ねぇはいつもこうやって歌ってる。
たまにサビはしっかりと覚えてるときはあるけど、今回の曲は覚えてなかったらしい。
全て曖昧で俺が思ってるリズムと合わなくてぐちゃぐちゃだけど、いつも通り楽しそうに歌う音己ねぇ。
上手いとは言えない歌声だけど、楽しそうに歌ういつもの音己ねぇを見てると安心する。
その曲はきっと音己ねぇが中学時代に出会ったバンドの曲だろうと思うが、俺は聞いたことがなかった。
けど、その歌声が俺の砕けた気持ちのカケラを集めくれる。
一「音己ねぇ、ありがとう。」
俺は風で飛ばされてしまうお礼を言って、音己ねぇの腹にしっかりしがみつく。
少し汗ばんだ背中が暑く感じたけど、今はこの熱が俺の冷めきった心を温めてくれている気がしてまた涙がこぼれた。
1、2時間走り続けてまたあの街に戻ってきた。
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音己「行っていきな。」
音己ねぇは姐さんのマンション下にある自販機でお茶を買って一服する。
一「でも、会いたくないって言われた。」
音己「なんで?」
一「病気だから付き合えないって。もう会いたくないって。」
音己「何号室?」
一「303号室。」
音己「待ってて。」
すると音己ねぇはマンションのエントランスに入って行き、外から見える階段を上っていく。
一「音己ねぇ!何すんの!?」
音己「ちょっとね。」
音己ねぇは足早に3階に上っていき、たくさんチャイム鳴らしてしばらくすると扉が開く音が聞こえる。
静かに何か話している声が数分聞こえると扉がしまる音が聞こえた。
追い返されて帰ってくるだろうと思って階段を見ているけど全く音己ねぇが帰ってくることはなく、3時間近く待ってやっと音己ねぇはマンションを出てきた。
一「何してたの?」
音己「さきさんと話してた。」
一「…なんて言ってたの?」
音己ねぇは少し間を置いて、俺の頬に手を置いた。
音己「姐さん好き?」
一「うん。今も好き。」
音己「ずっと一緒にいたい?」
一「いたい。」
音己「姐さんがどんな秘密持ってても?」
一「病気ってことは聞いたよ?」
音己「ううん。他のこと。」
音己ねぇは俺の頬に置いた手で前髪をあげて俺の素顔を見ながら言う。
一「どんな人も秘密は持ってる。俺もある。音己ねぇもあるでしょ?」
音己「…あるね。」
一「俺は姐さんって人が好き。過去に何があったのか知らないけど、多分気持ちは変わらないと思う。」
音己「…絶対?」
一「絶対。」
音己「その気持ち、忘れないでね。」
そう言うと音己ねぇはヘルメットを被り始めた。
一「…姐さん、俺と会ってもいいって言ってた?」
音己「今は嫌だって。」
音己ねぇは初めて会って何時間も話してきたのに俺には会ってくれないんだ。
俺はその言葉に肩を落としていると音己ねぇは携帯を取り出して誰かに電話し始めた。
音己「うん。いるよ。」
また淡白な電話を数秒して電話を切り、バイクにまたがる。
音己「行くよ。」
一「…どこ?」
音己「2番目に行きたかったとこ。」
俺はその言葉を聞き、すぐにバイクにまたがる。
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