単純な俺たちのありふれた恋の話

みーくん

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頭と心はチグハグ

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 期末テストも終わり、寒さも増した12月。



 あっ、弁当忘れた。



「なあ、友也。今日購買行く?」

「行くー!」

「俺、弁当忘れたわ。一緒に連れてって。」



 この学校の購買は品揃えが充実している。いつもは弁当であまり利用したことはないから、友也のお気に入りパンを二つ買った。



 教室へ戻る途中の渡り廊下を歩いていると裏庭に二人の影が見えた。



「直樹。あれ圭一郎じゃね?」

「本当だ。圭一郎と・・・女の子?一年生かな。・・また告白されてんのか。」

「お前、大丈夫?あーゆう場面見ても平気か?」

「んー。平気っていうか。見たくはないよね。でも仕方ないし。」



 友也とぼーっと見ていると、その女の子が圭一郎に抱きついて

・・・キスした。  ・・・え?



いつもより低い声で「おいおい、今のなんだよ!」と友也が怒っている。



 圭一郎は女の子を突き飛ばし何か怒鳴ると、その子は泣きながら走り去っていった。



「友也。大丈夫だよ。今の見ただろ?圭一郎に非はないよ。」

「それはそうだけど・・・」

「だいじょーぶ!」



 でも、やっぱり大丈夫じゃない。頭と心はチグハグだから、分かってはいても気持ちが追い付かない。黒くてドロドロした感情が流れ込んで溢れていく。



 この気持ちの名前はちゃんと知ってる。



「ともやぁ~。ごめん。大丈夫なんだけど、一回気持ちを落ち着けたいから一人になってもいい?」

「えっ?それ大丈夫って言わないだろ!」

「いや、ちゃんと分かってるんだよ。圭一郎は悪くない。一部始終見てただろ?・・・まぁ~これはあれだな。俺の勝手なヤキモチみたいなもんだな。だから、ほんのちょっとだけ一人にさせて。」

「直樹・・・。」

「このまま圭一郎と顔を合わせても笑えない。なにも悪くないのに、あいつにそんな顔は見せられないだろ?」

「・・・分かった。でも早く戻って来いよ!心配だから。」

「はーい!ありがとな。ちょっと行ってくる!」



 と言って友也と別れたものの・・・どこへ行こうか。寒くない所がいい。

一人でトボトボ歩いていると、見た事のない部屋のドアが開いているのが見えた。



「なんだこの部屋。」



 備品庫みたいな部屋には、教材とか棚が無造作に置いてある。少し奥に入るとソファーもある。校長室にあるようなフカフカのやつだ。



 静かだし、誰もいないし、ソファーもあるしここにしよう。少し埃っぽいけど、すぐに戻るからいいか。



 はぁ~。女の子とキスしてたな。違うか・・されたんだろうな。

別に怒りもないし、傷ついてもない。あいつの気持ちを疑ってもない。



 本当、ただの嫉妬だよ。



 圭一郎は最近よく告白されるよな。・・・そうか、もうすぐクリスマスだからか。クリスマス前に彼氏(彼女)を作りたいって話はよく聞くもんな。



 クリスマスかぁ~。圭一郎に何をプレゼントしようかな。何か欲しい物あるかな。一緒にケーキとか食べたいな!!



 あいつ、見かけに似合わず甘い物好きなんだよな。ふふっ。

うわー!クリスマスが楽しみになってきた。







・・・

  ・・・

   ・・・

    ・・・







 はっ!!!ヤバい!寝てた!!??

えっ!暗い。 はぁ?今何時だ?授業は???

とりあえず急いで教室に戻ろう。もしかしたら圭一郎が待っててくれてるかも!!



「あれ?・・・ん?・・え?・・開かない・・・」



マジマジマジマジ。ドアが開かない!・・・は?俺、ここから入ったよな?

携帯もねえ。カバンの中だ。



・・・マジ暗いんだけど。こわっ!電気の場所もわかんねぇ。



・・・おばけ・・・とか出ないよな?・・・こわっ。

何?ガタッってなった!なに?おばけ?



 お腹空いた・・・怖いからパン食べて落ち着こう。



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