単純な俺たちのありふれた恋の話

みーくん

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メリークリスマス!

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 今日はクリスマスイブ。そして金曜日。そして終業式だ。

イブが終業式でクリスマスが休みとか最高だろ!今年の暦に感謝。



 学校が終わって、圭一郎との待ち合わせ場所に向かう。

たまには外で待ち合わせをしてデート気分を味わいたいからな。



 急いで向かっている途中、人通りのない路地の電信柱の陰で誰かが蹲っているのが見えた。



ん?何してんだ?あの人。あれ?おばあちゃんか??

どうしたんだろう。



「おばあちゃん。どうしたんですか?大丈夫ですか?」

「あら。ごめんなさいね。ちょっと気分が悪くて・・・。」

「えっ!!大丈夫??家は近く??」

「孫の顔を見に来たんだけれど・・・。」

「お孫さんの家は近く?・・・てか顔色が悪いよ。立てる?」

「あなた・・・用事があるんでしょ?私はいいから・・・大丈夫だから行きなさい。」

「いやいや、おばあちゃん大丈夫じゃないよ。・・・ちょっと待ってて!」



 今にも倒れそうなおばあちゃんを置いてはいけないから、自販機で水を買いながら圭一郎に電話を掛ける。



「・・・あ、もしもし。圭一郎もう着いた?」

『もうすぐ。どうした?』

「なんか行く途中で、おばあちゃんが体調悪くて蹲ってるんだよ。悪いけど二丁目の三角公園の所に来て欲しい。」

『大丈夫なのか?すぐに行くから待ってて!』

「ごめんな。頼む。」



 おばあちゃんの所に戻ると、やはり顔色が悪く動けそうにない。



「ほら、おばあちゃん。水買ってきたから飲んで。飲める?」

「ごめんなさいね。ありがとう。」

「今、俺の友達も来るよ。そしたらお孫さんの所に連れて行くから、もう少し頑張ってね。」

「本当・・・ごめんなさいね。私のせいで・・・。」

「いいよ全然。お孫さんもおばあちゃんが来るの楽しみに待ってるよ。」



 圭一郎が来るまで、名前とお孫さんの家を聞きだした。



「直樹っ!大丈夫!?」

「圭一郎。おばあちゃん、お孫さんの家に行く途中で気分悪くなったらしいんだ。で、家聞いたから一緒に連れて行って欲しいんだよ。」

「分かった。――おばあさん。大丈夫ですか?」

「おんぶしてあげて。俺じゃ無理だった。」

「うん。おばあさん僕の背中に乗ってください。」



「ごめんなさいね・・・。」



それから聞き出した家に向かうと、勢いよく玄関が開き「おばーちゃーん!」と五歳くらいの男の子が飛び出してきた。

 だけど、立っているのは俺と圭一郎だ。その子は一瞬にして固まり、俺たちをジーっと見つめると



「お、おかーさーん!!おうじさまとおひめさまがたってる!!!!」



と叫んだ。・・・ん?お姫さまって???横の圭一郎が笑ってる・・・ぐむむ。



「どちら様・・・あら!おばあちゃん!?」

「はい。すみません。途中の道端で気分が悪くなってしまったようです。」

「あら!あなた達が連れてきてくれたの??」

「はい。すみません。勝手に家を聞き出しました。」

「ありがとう!どうぞ入って。」



 おばあちゃんの体調も大分落ち着いたようなので帰ろうとすると男の子が話しかけてきた。



「ぼく、れんだよ。ごさい!おうじさまとおひめさまも、クリスマスだからでえとしてるの?」

「そうだよ。」



 おいおい圭一郎。肯定するなよ。いや、デートは本当なんだけど。間違いがあっただろ?ほら間違い探し得意だろ?圭一郎。



「あ、あのさ。れん君。お姫さまって誰の事かな?」

「え?おねえちゃん。」



れん君。俺を指さすな!・・・圭一郎は笑うな!



「お姫様じゃなくて、俺、男だよ。」



「え?うそっ!」と言ったのはお母さんだった。

あらごめんなさいね。と言ってお母さんは笑い出し、おばあちゃんも釣られて笑ってる。



良かった。元気になったみたいだ。



 散々お礼を言われて、れん君は「またきてね!」と可愛らしい笑顔で見えなくなるまで手を振ってくれていた。





「おばあちゃん、元気になってよかったな。」

「途中で来てもらってありがとな、圭一郎。」

「直樹のさ~。そういう優しい所、大好きだよ。」

「・・・・・・・ありがとう。それにしても、れん君可愛かったな!」

「うん。でも俺は直樹の方が可愛いと思うよ。」

「・・・・。恥ずかしい事言うな。」



 昼過ぎに待ち合わせの予定だったけれど、いろいろあって既に空は薄暗くなっている。



「今日の予定は明日に持ち越しだな。とりあえず飯食いに行くか!」

「そーだな。・・・・なあ、圭一郎。ここ、誰もいないから。手つなごっ!」



 瞬時に力いっぱい抱きしめられた。



 二人で考えて立てた予定は実行できなかったけど、どんな時でも好きな人が一緒なら、何をしてて幸せを感じるんだな。

 圭一郎が隣に居れば、公園で座ってるだけでも道を歩くだけでも楽しいだろう。



「さっき直樹がれん君と遊んでるときにさ、お母さんに貰ったんだ。これ。」

「あっ!観覧車のチケットだ!」

「後で行こうか。直樹と乗りたい!」

「・・・うん。いこうか。」



 そして俺たちは、ご飯を食べて観覧車へと向かった。


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