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第二章『変態』
第一話『まるで、返事をする様に』
・
任された水槽は、水と微かな砂利だけで満たされた簡素な物だった。だから、なんだか味気が無いと感じてしまって。うずうずとした衝動を抑えきれなかった俺は、放課後になると友達と連れ立って川の上流まで登った。
どっかムンクに似てる石。
打ち上げられた格好いい流木。
粒子の荒いぴかぴかした砂。
初夏の明明とした日差しを浴びながら、目を皿の様にして探し回って、掻き集めては吟味した。
担任の話によると、アホロートルは蛙と同じ、両生類というものらしい。蛙なら飼ったことがある。なら前と同じでいいか。安直にそう思って、陸生と水生、両方が棲み易い環境を整えてやった。今で言うところの、アクアテラリウム。陸地を作って植物を植えて、水辺の自然を再現した。水槽は大ぶりなものだったから、空間を割と自由に使えた。
夢中になった。宝物といっても過言じゃなかった。そいつの為に、小五の一学期を捧げた。
飼育係の義務、否、半分以上趣味も兼ねていたけれど。夏休みになったので、俺はその水槽を家に持ち帰った。通学路にある材木屋の駐車場には、自由に持っていっていい端材がいくつか置いてある。それを使って手作りした台座を、自分の部屋の中でも一番風通りの良い窓辺に置いた。そしてその上に水槽を鎮座させて、一日中飽きもせず眺めて過ごした。
寧ろ、毎日見ていたからだろう。その変化に、直ぐ気が付かなかったのは。夏休みも半ばを過ぎた、ある日。風呂上がりに頭を拭きながら、ソーダ味のアイスキャンディを齧り、扇風機の前で寛ぎながら。なんとはなしに水槽に目をやった時。違和感は、唐突に訪れた。
慌てて立ち上がって、水槽のもとまで走り寄る。ベッドの角に足の小指をぶつけた。鋭く痛んだが構っていられなかった。ガラス面にべたりと貼り付いて中を覗き込むと、そいつの姿を頭の先から尾の先端まで、まじまじ眺めた。
エラが縮んでいる。明らかに、前よりも。よく見てみれば背びれも。心なしか全体的にごつごつとしてきていて、独特の丸いフォルムが薄れてきている。これは只事ではないと、一気に青褪めた。
夜。しかも夏休みなので、担任には話が聞けない。今と違ってインターネットの普及もあまりなく、周りの大人達の知識を借りようとしても首を傾げるばかりで、全く頼りにならなかった。
次の日、開館時間と同時に訪れた地元の図書館は小さくて。目ぼしい資料は見当たらず、すごすごとその場を後にした。最後の頼みの綱と思って、近所にあるせせこましい魚専門のペットショップに足を運んだ。常連とまではいかないが、よく友達と連れ立って冷やかしに行く店だった。金にならないと分かっていながら暖かく迎えてくれる店員の風間さんは、小さい頃の自分にとって、一番身近な大人の相談相手だった。しかし、その日は店の店休日で、だから出来れば頼りたくはなかったけれど、なりふり構っていられなかった。
店と一体型になっている住居のインターホンをかき鳴らし、何事かと眉を潜めて扉を開けた風間さんの服の裾を捕まえて、必死になって事の詳細を告げる。風間さんは、いつもと違う此方の様子を最初は訝しんでいたが、とっ散らかった内容の話にも茶々を入れずに、目線を合わせて小さく頷きながら話を聞いてくれた。
「ねぇ、風間さん。俺なんか悪い事したかな。病気なのかな。あいつ死んじゃったりしねぇかな」
一通り話し終えると、頬に涙が伝っていた。こんな事で男が泣くなんてみっともない。だけど縋る相手がもう見当たらない。風間さんは口許に優しげな笑みを湛えると、此方の頭に、ぽんと手を置いた。
「お前、凄いなぁ」
まさか褒められるとは思わなくて、意表を突かれた格好になった自分は目をぱちくりとさせた。
「病気じゃないから安心しろ。それはな、変態したんだよ」
「変態?」
「そう。そいつは普通に飼ってたらオタマジャクシみたいな中途半端な姿のままで一生を過ごす。けど、いろーんな条件が整ったりすると、蛙みたいに陸生にもなれるんだ。凄く難しいんだぜ、自然にそうするのって」
風間さんは、鼻を指で擦る様に触った。この仕草をした時の彼は本当に生き物が好きなんだなという雰囲気でもって、俺達に水棲の生き物や魚についての見識を語ってくれたりするので、俺を筆頭とした近所の男子連中からは絶大な人気を誇っていた。本人は自覚していないかもしれないけれど、どんな子供にも分け隔てなく接してくれる、そんな人柄をみて、子供達が慕っているのだという事は間違い様の無い事実だった。アクアテラリウムについての質問にも難なく答えてくれる、俺の師匠でもある。そんな彼のいつも通りの姿に、俺の瞳には次第に安堵の色が滲み出していた。
「つまりは、そんだけお前が大事にしてきたってことだ。そいつはさ、お前の愛情に応えたんだよ」
オタマジャクシ。蛙。安全な言葉の数々に、ホッと息を吐く。そうだった、あいつは両生類だ。分かっていたじゃないか、姿が変わる余地のある生き物だと。そこに頭が働かないほど、のっぴきならない所まで追い詰められていたとは。途端に恥ずかしくなって俯いた。
「じゃあ、死なない?」
いくら安堵の色が胸の中で濃厚になっていったとはいえ、けれども、一度胸に宿った不安はなかなか拭い去る事ができず、頭に浮かんだ言葉を思わずそのまま問い掛けた。だが、どれだけ待っても、なかなか思うような返答が返ってこない。訪れた沈黙に、再び不安になって。ゆっくり顔を上げる。すると風間さんは、それまで浮かべていた優しげな笑みを鎮めていた。
子供だって空気を読めるのだ。自分は特にそういう風に出来ている子だったから、合わせた視線が微かに逸らされた瞬間に、何と無く先に続く言葉を悟ってしまった。
「残念だけど、陸生になっちまった奴は、長いこと生きられないんだ」
◇◇◇◇
どうやって家に帰ったか分からない。けれど、気が付いたら自分の部屋にいて、四肢の力をだらんと抜いてベッドに横たわっていた。目に移すのは、丹精込めて作ったアクアテラリウム。水中にふわふわ漂う、間抜けな顔したアホロートル。
『お前の為に、頑張ったんだよきっと』
去り際に風間さんに告げられた言葉が、頭を過る。
『じゃないと、触れ合えないだろ』
水生の頃に出来なかった事が、陸生に変われば出来るようになる。確かにそうだ。だけど。だけど。
「お前、死ぬの?」
視界が滲む。息が浅くなる。嗚咽が漏れる。
「俺の為に、頑張って姿まで変えて。そんで、死ぬの?」
話が出来る訳ない。そもそも、人に懐くだとかいう性質を持たない、そいつが。途切れ途切れに、涙ながらに問い掛けた瞬間、すう、と水面に向かって泳ぎ出した。
上手く息継ぎが出来ない自分に代わる様に。
「わん」
まるで、返事をする様に。
任された水槽は、水と微かな砂利だけで満たされた簡素な物だった。だから、なんだか味気が無いと感じてしまって。うずうずとした衝動を抑えきれなかった俺は、放課後になると友達と連れ立って川の上流まで登った。
どっかムンクに似てる石。
打ち上げられた格好いい流木。
粒子の荒いぴかぴかした砂。
初夏の明明とした日差しを浴びながら、目を皿の様にして探し回って、掻き集めては吟味した。
担任の話によると、アホロートルは蛙と同じ、両生類というものらしい。蛙なら飼ったことがある。なら前と同じでいいか。安直にそう思って、陸生と水生、両方が棲み易い環境を整えてやった。今で言うところの、アクアテラリウム。陸地を作って植物を植えて、水辺の自然を再現した。水槽は大ぶりなものだったから、空間を割と自由に使えた。
夢中になった。宝物といっても過言じゃなかった。そいつの為に、小五の一学期を捧げた。
飼育係の義務、否、半分以上趣味も兼ねていたけれど。夏休みになったので、俺はその水槽を家に持ち帰った。通学路にある材木屋の駐車場には、自由に持っていっていい端材がいくつか置いてある。それを使って手作りした台座を、自分の部屋の中でも一番風通りの良い窓辺に置いた。そしてその上に水槽を鎮座させて、一日中飽きもせず眺めて過ごした。
寧ろ、毎日見ていたからだろう。その変化に、直ぐ気が付かなかったのは。夏休みも半ばを過ぎた、ある日。風呂上がりに頭を拭きながら、ソーダ味のアイスキャンディを齧り、扇風機の前で寛ぎながら。なんとはなしに水槽に目をやった時。違和感は、唐突に訪れた。
慌てて立ち上がって、水槽のもとまで走り寄る。ベッドの角に足の小指をぶつけた。鋭く痛んだが構っていられなかった。ガラス面にべたりと貼り付いて中を覗き込むと、そいつの姿を頭の先から尾の先端まで、まじまじ眺めた。
エラが縮んでいる。明らかに、前よりも。よく見てみれば背びれも。心なしか全体的にごつごつとしてきていて、独特の丸いフォルムが薄れてきている。これは只事ではないと、一気に青褪めた。
夜。しかも夏休みなので、担任には話が聞けない。今と違ってインターネットの普及もあまりなく、周りの大人達の知識を借りようとしても首を傾げるばかりで、全く頼りにならなかった。
次の日、開館時間と同時に訪れた地元の図書館は小さくて。目ぼしい資料は見当たらず、すごすごとその場を後にした。最後の頼みの綱と思って、近所にあるせせこましい魚専門のペットショップに足を運んだ。常連とまではいかないが、よく友達と連れ立って冷やかしに行く店だった。金にならないと分かっていながら暖かく迎えてくれる店員の風間さんは、小さい頃の自分にとって、一番身近な大人の相談相手だった。しかし、その日は店の店休日で、だから出来れば頼りたくはなかったけれど、なりふり構っていられなかった。
店と一体型になっている住居のインターホンをかき鳴らし、何事かと眉を潜めて扉を開けた風間さんの服の裾を捕まえて、必死になって事の詳細を告げる。風間さんは、いつもと違う此方の様子を最初は訝しんでいたが、とっ散らかった内容の話にも茶々を入れずに、目線を合わせて小さく頷きながら話を聞いてくれた。
「ねぇ、風間さん。俺なんか悪い事したかな。病気なのかな。あいつ死んじゃったりしねぇかな」
一通り話し終えると、頬に涙が伝っていた。こんな事で男が泣くなんてみっともない。だけど縋る相手がもう見当たらない。風間さんは口許に優しげな笑みを湛えると、此方の頭に、ぽんと手を置いた。
「お前、凄いなぁ」
まさか褒められるとは思わなくて、意表を突かれた格好になった自分は目をぱちくりとさせた。
「病気じゃないから安心しろ。それはな、変態したんだよ」
「変態?」
「そう。そいつは普通に飼ってたらオタマジャクシみたいな中途半端な姿のままで一生を過ごす。けど、いろーんな条件が整ったりすると、蛙みたいに陸生にもなれるんだ。凄く難しいんだぜ、自然にそうするのって」
風間さんは、鼻を指で擦る様に触った。この仕草をした時の彼は本当に生き物が好きなんだなという雰囲気でもって、俺達に水棲の生き物や魚についての見識を語ってくれたりするので、俺を筆頭とした近所の男子連中からは絶大な人気を誇っていた。本人は自覚していないかもしれないけれど、どんな子供にも分け隔てなく接してくれる、そんな人柄をみて、子供達が慕っているのだという事は間違い様の無い事実だった。アクアテラリウムについての質問にも難なく答えてくれる、俺の師匠でもある。そんな彼のいつも通りの姿に、俺の瞳には次第に安堵の色が滲み出していた。
「つまりは、そんだけお前が大事にしてきたってことだ。そいつはさ、お前の愛情に応えたんだよ」
オタマジャクシ。蛙。安全な言葉の数々に、ホッと息を吐く。そうだった、あいつは両生類だ。分かっていたじゃないか、姿が変わる余地のある生き物だと。そこに頭が働かないほど、のっぴきならない所まで追い詰められていたとは。途端に恥ずかしくなって俯いた。
「じゃあ、死なない?」
いくら安堵の色が胸の中で濃厚になっていったとはいえ、けれども、一度胸に宿った不安はなかなか拭い去る事ができず、頭に浮かんだ言葉を思わずそのまま問い掛けた。だが、どれだけ待っても、なかなか思うような返答が返ってこない。訪れた沈黙に、再び不安になって。ゆっくり顔を上げる。すると風間さんは、それまで浮かべていた優しげな笑みを鎮めていた。
子供だって空気を読めるのだ。自分は特にそういう風に出来ている子だったから、合わせた視線が微かに逸らされた瞬間に、何と無く先に続く言葉を悟ってしまった。
「残念だけど、陸生になっちまった奴は、長いこと生きられないんだ」
◇◇◇◇
どうやって家に帰ったか分からない。けれど、気が付いたら自分の部屋にいて、四肢の力をだらんと抜いてベッドに横たわっていた。目に移すのは、丹精込めて作ったアクアテラリウム。水中にふわふわ漂う、間抜けな顔したアホロートル。
『お前の為に、頑張ったんだよきっと』
去り際に風間さんに告げられた言葉が、頭を過る。
『じゃないと、触れ合えないだろ』
水生の頃に出来なかった事が、陸生に変われば出来るようになる。確かにそうだ。だけど。だけど。
「お前、死ぬの?」
視界が滲む。息が浅くなる。嗚咽が漏れる。
「俺の為に、頑張って姿まで変えて。そんで、死ぬの?」
話が出来る訳ない。そもそも、人に懐くだとかいう性質を持たない、そいつが。途切れ途切れに、涙ながらに問い掛けた瞬間、すう、と水面に向かって泳ぎ出した。
上手く息継ぎが出来ない自分に代わる様に。
「わん」
まるで、返事をする様に。
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