〜黒色よりも漆黒の、白。〜四角関係のその先に潜む、本性

鱗。

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最終話 黒色よりも漆黒の、白。

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風の噂で、真澄さんと由依さんが別れた、という情報を耳にした。情報の発信源は、同じシーツに包まっている幼馴染で。まぁ、それ以外にあの二人との接点は無いのだから、当然というか、何というか。


「驚かないの?」

「まぁ……真澄さんも、由依さんも、お互いに本気じゃないの、見え見えでしたから」

「由依はまぁ……だけど、真澄さんに本命がいるって、なんで分かったの」

「それは……」


言うべきか、言わざるべきか。直情径行にある自分にしては、悩んだ。だけど、純粋に疑問に思っている、と言わんばかりの澄んだ眼差しを受けている内に、気持ちが固まった。


「……それこそ、抱かれてみて初めて分かる事もあるんじゃないですか。男の醜さや、脆さって」


あの人が、醜い人だと決まっていた訳じゃない。真澄さんは、由依さんを本当に大事にしていたし、由依さんも、自分なりの献身を注いでいた。二人は、誰が見てもお似合いのカップルで。だからこそ、疲れてしまっただけなんだと思う。


そんな時に、昔追いかけていた人物が目の前にひょっこり現れたら、其方に転がり込んでも可笑しくはない。因みに、真澄さんの本命であり、過去から現在に掛けて片想いし続けてきた人物は、老眼鏡を一緒に見繕いに行った眼鏡屋の長男坊だそうだ。あの商店街は、魔窟に違いない。もう、今後一生足を踏み入れない事にしよう。


「じゃあ、その誰かさんのおかげで、視野が広がったって事ね」

「自分の手柄みたいに言わないで下さいよ、鬱陶しい」

「慰めてやってるの、分かんないの?」

「そんな馬鹿に見えますか」


素直じゃないねー、とクスクスと笑いながら、俺の剥き出しの腰に手を回す幼馴染に、鋭く舌を打つ。一人だけ独り勝ちしていて心底腹が立ったから、手の甲をつねってやると、大袈裟にリアクションを取るので、ざまぁ見ろ、と少しだけ胸がすいた。


「ここにある、モノレールの部屋でさ、お前に自分がゲイなんだって告白されてから、俺の人生って決まっててね」


今年の冬は、一段と寒い。降った雪も一段と深く、だから、人肌が無いと、凍えて死んでしまう。この人を、この別荘に呼び寄せたのは、だから、それだけの理由だ。


そう、俺も男で、つまりは、醜い生き物で。
汚くて、狡くて、悲惨で。


「だから、後悔しないで、いいよ」


一番近くにある、光に、手を伸ばしてしまう、脆さが、あって。


「泣いても、泣かなくても、いいよ」


雪が白いのは、雪が白く見えるのは、雪のつぶが小さい為に、いろいろな波長の光をあちこちに乱反射して、それらの色がすべて混ざり合うからなのだと。いろいろな色の光を合わせると、白になるからなのだと、貴方から教わった俺は。


「泣いても、何も変わらないから。お前が、俺に抱かれた事実は」


黒色よりも、白色の方が、よっぽど意地汚いじゃないか、と今では思うんだ。

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みんなの感想(5件)

ひより
2022.08.21 ひより

起承転結がしっかりしていて、読みやすかったです!ラストも意外で、楽しんで読めました!

解除
きょうすけ
2022.08.21 きょうすけ

猫被る主人公が可愛い過ぎました……幸せになって欲しいです。

解除
みねぎし
2022.08.21 みねぎし

ラストまで展開が読めず、楽しんで読むことが出来ました!

解除

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