詰んでる不遇悪役令嬢は電波少女になり、どうにか死亡フラグを回避したい

礼瀬

文字の大きさ
7 / 39

効果なし

しおりを挟む
「ティア嬢、昨日ぶりですね」

扉を開けると、王子がたっていた。はっきり言って話す元気もなければ、何かする気力もない。でも、死亡フラグは回避しておかないとだよなぁ。まぁ、この悪役令嬢の死亡フラグ、王子とヒロイン以外にも大量にある気がしてきたけれど。

「殿下、昨日はわが身に宿いし呪のせいで、ゆっくりとお話しできずに申し訳ありません、今日は呪も随分と大人しいようです、いつまた襲い掛かるか私にも分からぬものですが」
「そうですか、残念ながら、呪の力は忌避されているようで、力を使える人や、どんな力があるかあまり情報が無いようなのです」

この作戦、功を成す日がくるのか? 王子は同い年、まだ幼いから純粋にそういうものだとおもっているのかもしれない、成長すれば、きっとただの痛い奴だと分かってくれるだろう、うん、そう信じよう。というか、実際に呪われているから、あながち嘘ではなくなってしまった。あれ、中二病越しなら、呪いのこと言えているような。でもあれこれ言葉を試すには、呪いが発動した時の痛みが辛すぎる、しばらく様子見かなぁ。

「そういえば、今日から、いろいろ勉強が始まると聞きました、ミュリーとはうまくいっていますか?」
「ミュリーは、とても素晴らしいです、丁寧に教えてくださいます。私、ミュリーに感謝しているほどなのですよ」

頭に靄にかかったような感覚に襲われながら、するりと口から言葉が出てくる。

「それはよかった、もし何があれば言ってくださいね」

あぁ、お気楽な言葉と、お気楽な笑顔が辛い。別にこの人は何も悪くない、でも、何も気づかず簡単に言ってくれるような相手に対して、深い闇が溜まるのを感じる。環境が劣悪だとこうも歪んでしまうものなのか、それとも自分がひねくれているのかよくわからない。

「私は、呪と雷の力を受けし者ですよ。殿下のお手を煩わせるようなことはございません」
「お強いのですね」

誰か、突っ込みをプリーズ。あるぇ、腹黒王子、めっちゃ純粋なんだが、なんでゲームはあんなに腹黒だったんだ。

「もちろんでございます、この力をもってすれば、右に出るものなどいません」
「そうですか、それなら、ぜひメファールに出場されてはいかがでしょう?」

メファール、なんか聞いたことあるぞ、なんだったけ、ええと種類がいろいろあったような。

「来月にメファールが開催されます。今回は子供の宝取りの部ですね。社交デビューをしていない子供が、魔法を駆使しながら宝を取りに行くのです。子供たちだけということで、他の子に対しての妨害工作は禁止、危ない仕掛けも少なく比較的安全ですので、女子の参加も認められています。あ、私も出場するのですよ」

なんだろう、こういうイベントは危ないって私の直感が言っている、第一、魔法なんて一個も知らないんだが!! 

「わ、私の力は見せびらかすようなものとは違いますの、参加は……」
「してくれますよね? ぜひ、その強い力を一度見せてほしいのです、それに、今回の婚約、反対をしている人も少なくありません、良い成績をおさめればある程度声を抑えることができると思いませんか?」

抑えなくていいです、むしろ今すぐ破棄していただきたい。

「まさか、婚約はお嫌でしたか?」

上目遣いにこちらをじっと見つめてくる、婚約は嫌ですはあまりに不敬が過ぎる、要は拒否権がないぞこれ、RPGだったら、選択肢がはいとイエスのやつだ。

「さ、参加いたします」

この傷で参加とか鬼か! 悪魔か!! あ、返事した瞬間めっちゃ満足そうに笑っている、訂正する、こいつ絶対純粋じゃない、純粋な振りした、鬼畜な腹黒に違いない。

「よかった、楽しみにしていますね」

くそぅ、権力に屈する自分が憎たらしい。少し憂鬱な気分になりながら、お茶を飲んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【長編版】悪役令嬢は乙女ゲームの強制力から逃れたい

椰子ふみの
恋愛
 ヴィオラは『聖女は愛に囚われる』という乙女ゲームの世界に転生した。よりによって悪役令嬢だ。断罪を避けるため、色々、頑張ってきたけど、とうとうゲームの舞台、ハーモニー学園に入学することになった。  ヒロインや攻略対象者には近づかないぞ!  そう思うヴィオラだったが、ヒロインは見当たらない。攻略対象者との距離はどんどん近くなる。  ゲームの強制力?  何だか、変な方向に進んでいる気がするんだけど。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

乙女ゲーの世界に聖女様として召喚されたけど興味がないので妹に譲ります

ゆずぽんず
恋愛
ある日、ユウとチカの姉妹が乙女ゲームの世界に聖女様として召喚された。 好きなゲームの世界に入れたと喜ぶ妹のチカ。 本来、聖女様として召喚されるのだったの一人。どちらかが死に、召喚された。 妹のことが大切な姉のユウは、妹がこの世界にいたいのならば私が偽物となってこの世界から消えようと決意する。 *乙女ゲーマーによる小説です。乙女ゲーになろう設定混ぜ込んでみました。 *乙女ゲーによくある設定(共通ルートやバッドエンドなどのよくある設定)の説明があります。分かりにくかったらすみません。

幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない

ラム猫
恋愛
 幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。  その後、十年以上彼と再会することはなかった。  三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。  しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。  それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。 「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」 「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」 ※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

処理中です...